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闇よ、我が手を取りたまえ
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闇よ、我が手を取りたまえの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.82pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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本書ではレヘインとなっているが、ルヘインとも表記される。Lehaneをどう読むかであるが、一般的にはレヘインで、発音に拘ると、ルヘインになるのだろう。そのレヘインは、「ミスティック・リバー」が映画化された事もあって、一躍有名になり、最近では「夜を生きる」も高い評価を受けている。 本書は「ミスティック・リバー」以前の作品であるが、静謐なタッチはこの頃から変わっていない。内容は、深く、重いが、個人的には、以下の文章に釘づけになった。 「子供の心配は一生続くわ、決して解放されない。子供がはじめて揺りかごから這い出て、抱きとめる前に床に落ちたときの事が忘れられないの。死んだかと思ったわ、ほんの一瞬だけわね。その時の恐ろしさをいつまでも憶えているの。子供がもっと大きくなって自転車に乗ったり、木に登ったり、ひとりで学校に行ったり、信号が変わるのを待たずに、車の前に飛び出したりしても、平気な顔をするのよ。そしてこう言うの『子供はみんなそうだ。わたしだって、あの年頃には同じ事をした』ってね。でも喉の奥にはいつも悲鳴がこみあげていて、かろうじてそれを抑えているの」 遠くにチャンドラーの足音がする。 | ||||
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主人公の私立探偵の元に精神科の女性から依頼があり・・・というお話。 前作にも増して、魅力が開花したかの様な第二作。今回は依頼された事件からやがて思いもよらない様な様相を呈していくというスケールの大きい、器の大きいお話でした。それが取りも直さず、主人公が拠点にしている街の暗部を覗く様な展開を見せて読者を唸らせます。 また、解説で指摘されている通り、主人公とその相棒の女性探偵の複雑な関係にも微妙な発展があり、今後のシリーズでどういう展開があるのか興味を掻き立てられて、早く続きが読みたくなります。本当にこの後二人はどうなるのだろうかと気になります。 また、著書は相当なロック好きの様で、全編の至る所でロックに対する言及があり、ロックおたくの私みたいな人間にはたまりません。例えばアイルランド系の登場人物が多い所ではアイリッシュ系のWatersboysやPoguesを流すシーンがあったりして使い方も絶妙だと思いました。この人とイアン・ランキンは本当にロックが大好きみたいで好感度大です。 偉大なシリーズになる予感の第二作。機会があったら是非。 | ||||
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“ボストンの鬼才”デニス・レヘインによる、<探偵パトリック&アンジー>シリーズの第2弾。’00年、「このミステリーがすごい!」海外編で第8位にランクインしている。 はじめは、息子の命を案ずる女性精神科医からの依頼だった。ボストンの街を牛耳るアイリッシュ・マフィアとのトラブルとみたパトリックは躊躇するが、アンジーに背中を押されて、ふたりは事件に飛び込む。しかしふたりを待っていたのは、この街が抱える底なしの闇だった。 次々に発見される惨殺死体。いつしかふたりはこの連続猟奇殺人事件に巻き込まれる。被害者たちをつなぐミッシングリンクを探るうちに、パトリックは亡き父親の秘密にたどりついてしまう。そして、さらに殺人鬼は、自分たちとパトリックの恋人親子、アンジーの元夫までをも標的にして迫ってくる。 物語の後半は、サイコパスでソシオパスのシリアルキラーとふたりの、文字通りの死闘が繰り広げられる。それは生半可なものではなく、パトリックとアンジーのふたりは、自らの命はもちろんのこと、愛も、友情も、思い出までも殺人鬼の刃でズタズタにされて致命的なダメージを受ける。 「降りかかる圧倒的な暴力、絶対悪に対して、人はどう対処するべきであるか。」それこそが、短い章立てで畳み掛けるように綴られる、この疾走感あふれる物語のまさに根底のテーマではないだろうか。 第1作『スコッチに涙を託して』の中でみられた冗長な比喩と皮肉や軽口は、本書ではほとんどなく、深刻で重厚、それでいて抜群のリーダビリティーをもって進んでゆく。そんな展開のなかで、連続猟奇殺人犯の凍りついた魂ばかりでなく、事件に巻き込まれた人々の「心の闇」にまで迫った本書は、究極のハードボイルドといえるだろう。 | ||||
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私立探偵パトリック&アンジー・シリーズの第2弾。パットとアンジーの身近な人物に次々と魔の手が忍び寄る連続殺人事件。犯人は意外な「過去」に関連している人物だった…。 第1作を凌ぐスケール、深く、激しいストーリー展開でインパクトは十分。衝撃的な内容で、間違いなく前作を上回る出来栄え。パットとアンジーの関係は相変わらずもどかしい。次作以降の展開が気になる。 | ||||
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一体どうして、どうやって、何が目的で殺人がつづくのか?と優しい目をした子供のころからしっている友人に話し、相談し、それがパトリックとアンジーに強烈なダメージを与えることになるとは。登場人物の人間関係もスレスレのきわどい奴らの出演。ただ単に「変質者の事件」で片付けられない犯人の人間関係、心理、欲望、残忍さ!本シリーズニ作目で強烈な印象とゾクゾク感をあじあわせてくれた本作に感謝をしたい。決して強引な人間関係でなく納得させる登場人物の人間関係に圧倒されてしまった。読み終えて、私個人的にはパトリックとアンジーの関係にホッとしているのですが・・・ | ||||
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レヘインはデビュー作でギャングの抗争と父子の関係を巧みに 描いてみせた。ボストンの優秀な若き私立探偵パトリック・ケンジーを 私たちのヒーローとしてこの世に紹介してくれた。 どうしてもいろいろと説明しないといけない第1作とは違って、 本作はたっぷりとストーリー展開に力が注がれている。 レヘインは、特異な犯人像で私たちを楽しませ、主人公らの人間関係で私たちを虜にしてしまい、 シニカルでクスッと笑わせる台詞回しで私たちを寝不足にしてしまいます。 主人公パトリックの強さ加減と頭の良さ加減も適当で 読者を離しませんね。無敵の強さだとつまらないし、 何でも最初から見抜いてしまうとつまらない、そういうもんでしょ。 その絶妙なバランスがレヘインの凄さなんです。本作からいきなり読んでも楽しめますが、 やっぱり第1作目「スコッチに涙を託して」を読んでからがお勧めです。 「スコッチに涙を託して」という題のせいで、 酔いどれ探偵の話だと誤解されているなら残念ですね。 | ||||
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探偵パトリック・ケンジー&アンジー=シリーズの第二弾である。前作よりも数段ブラッシュアップされた濃密で圧倒的なストーリィに度肝を抜かれることでしょう。チャンドラーライクなアフォリズムは前作ほどではないが、前作の雰囲気を十二分に継承しつつ、考え抜かれた精緻なプロット、テーマの掘り下げ方、小出しにする謎解きなど、前作からは想像もつかない出来映えだ。一気読みの快作である。彼らがたどり着いたひとつの答えは、特に目新しいとは思わないが、そこに至るまでのひとつひとつのディテールに思いを馳せたとき、読者は漆黒の世界に微かな光明と温もりを見出すのである。 不可解な依頼から端を発した事件が、ひとつの殺人事件をきっかけに怒涛のスリラーに変貌する。人間の暗黒面に目を向けたありがちな犯罪小説かシリアル・キラー物かと思いきや、20年前に穿たれた暗黒が極限まで膨らんで探偵パトリック・ケンジーを呑みこむブラック・ホールと化す。ボストンを覆い尽くす。見事としか言いようがない。すれっからしの読者は、作者が仕掛けたトラップにものの見事に嵌ってしまうんだろうな。こんなトラップにまで周到でほろ苦い結末を用意する作者には唸るばかりだ。 シリアル・キラーの内面描写や怖さの演出にはいろいろと工夫が凝らしてある。が、このシリアル・キラー像が今一つはっきりと像を結ばないのが最大の欠点だろうか。だから、新味はいろいろとあるものの、不気味な怖さも少々尻すぼみ。あまり知能が高いとも思えないし、終わってみれば復讐譚ってのもね…。でも、頭脳の勝負を前面に押し出さず、体力勝負のアクションでカタをつける姿勢が逆に新鮮だったかな。つまるところ、このサイコ風味の怖さは、ひとりのシリアル・キラーの怖さではなく、多くの人間に潜んでいる最大公約数的な社会病質の怖さを指すのである。何をきっかけにエスカレートするか、一線を踏み越えたあとのサイコパスの心理状態とか。作者の解釈にはちょっと戦慄を覚えた。 | ||||
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探偵パトリック・ケンジー&アンジー=シリーズの第二弾である。前作よりも数段ブラッシュアップされた濃密で圧倒的なストーリィに度肝を抜かれることでしょう。チャンドラーライクなアフォリズムは前作ほどではないが、前作の雰囲気を十二分に継承しつつ、考え抜かれた精緻なプロット、テーマの掘り下げ方、小出しにする謎解きなど、前作からは想像もつかない出来映えだ。一気読みの快作である。彼らがたどり着いたひとつの答えは、特に目新しいとは思わないが、そこに至るまでのひとつひとつのディテールに思いを馳せたとき、読者は漆黒の世界に微かな光明と温もりを見出すのである。 不可解な依頼から端を発した事件が、ひとつの殺人事件をきっかけに怒涛のスリラーに変貌する。人間の暗黒面に目を向けたありがちな犯罪小説かシリアル・キラー物かと思いきや、20年前に穿たれた暗黒が極限まで膨らんで探偵パトリック・ケンジーを呑みこむブラック・ホールと化す。ボストンを覆い尽くす。見事としか言いようがない。すれっからしの読者は、作者が仕掛けたトラップにものの見事に嵌ってしまうんだろうな。こんなトラップにまで周到でほろ苦い結末を用意する作者には唸るばかりだ。 シリアル・キラーの内面描写や怖さの演出にはいろいろと工夫が凝らしてある。が、このシリアル・キラー像が今一つはっきりと像を結ばないのが最大の欠点だろうか。だから、新味はいろいろとあるものの、不気味な怖さも少々尻すぼみ。あまり知能が高いとも思えないし、終わってみれば復讐譚ってのもね…。でも、頭脳の勝負を前面に押し出さず、体力勝負のアクションでカタをつける姿勢が逆に新鮮だったかな。つまるところ、このサイコ風味の怖さは、ひとりのシリアル・キラーの怖さではなく、多くの人間に潜んでいる最大公約数的な社会病質の怖さを指すのである。何をきっかけにエスカレートするか、一線を踏み越えたあとのサイコパスの心理状態とか。作者の解釈にはちょっと戦慄を覚えた。 | ||||
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