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許されざる者



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【この小説が収録されている参考書籍】
許されざる者 (創元推理文庫)

許されざる者の評価: 8.00/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(8pt)

物語として面白く読めた

時効になった事件を警察を退いた男が個人的に調べ直す。このような設定は他にもいろいろあるでしょう。
それほど斬新な設定でもないのだけれど、これが読ませます。それだけ物語が面白いということです。登場人物もみんなキャラクターが立っており魅力的です。
だからこそ読み進められます。時効になって手が出せない事件にどう立ち向かうのかそこがキモでしょう。この解決の仕方は凡庸といえばそうですがしかし納得は出来ます。
事件に携わるきっかけとなる部分も上手く考えてあり、そこに意外な関係も用意してある周到さです。
些細な手掛かりから徐々に犯人に近づいていく過程はミステリとして大事なところですが甘さも都合のよさも感じられません。
当時とても大きな事件があり国民すべてがその事件に注目していたことで、この少女殺害事件の捜査が手薄になったという経緯が作用しているからです。
確かなツボを押さえた構成というところはベテラン作家の所以でしょう。主人公と周りに係わる人たちも許せない犯人という一点でまとまっており
主人公のキャリアに敬服しながら手足となって動くところは読んでいて気持ちの良さを感じます。
小児性愛者という異常者に断罪をもって挑むというのはある意味強引だとも思いますが(結局こういった人物は病気でしょう、それらを全部抹殺するという思想はどうかなと)
単純に罪のない少女の無念を晴らすという思いで調べを進める彼らの様子がミステリとして面白く読めるということです。
主人公ひとりではジグゾーパズルの一片をぴたりと収めることが出来ない、そういったところがこの物語の面白さです。
みんなとても気持ちのいい奴らです。読後感の良さはそういったところでしょう。

ニコラス刑事
25MT9OHA
No.1:
(8pt)

退職警官もので時効捜査もの

スウェーデンを代表するベテラン作家だが、これまで日本では翻訳されておらず、本邦初訳という作品。脳梗塞で倒れ麻痺が残る元犯罪捜査局長官が、時効を過ぎた未解決事件を解決するという、骨太でスリリングな警察ミステリーである。
脳梗塞で入院した元長官ヨハンソンは、主治医である女性から「牧師だった父が、25年前の少女惨殺事件の犯人を知っているという懺悔を聞き、悩んでいた。犯人を見つけ出せないだろうか」という相談を受ける。だが、事件は数ヶ月前に時効を迎えており、公に捜査をすることはできなかった。そこでヨハンソンは、麻痺が残った体に不満を覚えながらも、信頼する元同僚、外見とは裏腹に頭が良い個人介護士、大金持ちの長兄から派遣されてきた頭脳も肉体も優秀な若者などの手を借り、鋭い推理力で犯人をあぶり出すのだった。そしてついに犯人を発見したのだが、時効の壁があって裁判にかけることはできなかった。そこで罪を償わせるためにヨハンソンが選択した手段は・・・。
老いた警官や探偵が主役という点では「もう年はとれない」などと同系列で、さらに法で裁けない罪をどう償わせるかという時効捜査もののテイストも加えられている。主人公をはじめ主要な人物のキャラクターがきちんと立ち上がっているし、ひたすら未解決事件の犯人を追うというストーリーも明確で、560ページを越える長編だがとても読みやすい。
本作はヨハンソンを主人公にしたシリーズの最終作とのこと。次は、シリーズの前作になるのか、他のシリーズになるのか、いずれにしても今後の翻訳が期待できる作家といえる。
北欧の警察ミステリーファン、老人が主人公のミステリーファンには絶対のオススメ。のみならず、事件捜査ものが好きな読者には自信を持ってオススメしたい。

iisan
927253Y1

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