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殉教カテリナ車輪



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【この小説が収録されている参考書籍】
殉教カテリナ車輪
殉教カテリナ車輪 (創元推理文庫)

殉教カテリナ車輪の評価: 8.25/10点 レビュー 4件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.25pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

まとめ読み一冊目

コロナ禍ということで、前々から気になっていた飛鳥部作品を一気読み。
一冊目は、まずはデビュー作から。
総評としては、図像学(イコノグラフィー)とミステリーを組み合わせた作品ということで、
当時の鮎川哲也賞では審査員満場一致で入選したと聞く。
当時からしてもこの試みは画期的であっただろうし、今読んでみても色あせない魅力を感じる。
また、図像学を抜きにしてもミステリー小説として完成度が高く、物語終盤に至って真相が二転三転するさまは見事。最後の真相には正直驚いた。
(氏の他の作品もいくつか読んでみたが、多重解決とどんでん返しが終盤に盛り込まれた作品が多いようで、氏がミステリーを書く上での一つの手法になっているのかもしれない)

また、飛鳥部作品ならではの「退廃した世界」と「薄幸の少女」も健在。後の作品では幻想的な雰囲気やより崩壊した世界感の要素が強まっていくが、デビュー作である本作の段階では、まだその辺りは抑え気味であり、少なくともある程度のミステリーファンにはオススメできそうな作品である。
核となるトリック自体は、ややバカミス寄りではあるものの、近年の本格ものにみられる「単調なストーリー」「書き分けの出来ていない登場人物」といったマイナス点は一切無く、
むしろ個性的なキャラクターと、ミステリーを抜きにしても面白い純文学的な文章が体現されている。名作。

陰獣
Z0SROFAS
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

殉教カテリナ車輪の感想

読む前と読了後ではかなり印象が変わった作品です。
読む前は「殉教カテリナ車輪」という意味不明なタイトルから、何か難しいものを想像していたんですけどね。
あるきっかけから某画家の事が気になり調査を始める美術館勤務の学芸員、その画家の手記、謎解きをする学芸員の同僚という3人の視点から描かれる三章構成は、物語の流れとしても非常にわかりやすく、またこの作者自身の文章も非常に読みやすく感じました。
まぁ全体を通して淡々としすぎていた感じはありましたが・・・
で、「(ほぼ)同時刻に発生した連続密室殺人。しかも犯人は一人。そして凶器も一つ」というコテコテのミステリーです。


▼以下、ネタバレ感想

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梁山泊
MTNH2G0O
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

殉教カテリナ車輪の感想

イコロジー(図像解釈学)とイコノグラフィー(図像学)を使って絵画に秘められている真実に迫る。そんな手法が新鮮で面白かった。わずか数年の製作期間に絵を描き自殺した地方の名もなき画家。東条寺桂という人物の足跡を追う美術館の
学芸員の様子が雰囲気ある文章で書かれていてこの部分がとても良い。彼、東条寺桂の心情にはとても共感できる。無骨な男の心情が素直にこちらの胸に沁みる。発見した彼の手記からクリスマス・イブの夜に起きた惨劇の様子が明らかになる
展開だけれど、後半の一転したミステリとしての部分は先にさりげなく張られた伏線なども有効に作用して中々考えられている。ふたつの密室殺人はトリックとしては古典作品からの流用だけれど、刑事たちの密室談義や一見正解のような解釈を
見せた後、さらに東条寺桂と従兄の河野との推理をみせるのだが・・・。これらすべてを覆す真実が最後の最後に明らかになる展開は良く考えられており、手記を使ったトリックはよくあるパターンとは云えこの場合有効で上手く犯人を隠すことになっている。しかし、ミステリ部分よりも自分は彼、東条寺桂の無骨な生き方に感情移入してしまい何だかやるせない気分になってしまった。前半と後半がまるで違う雰囲気で手記を紐解くところから俄然ミステリになる構成が面白かった。

ニコラス刑事
25MT9OHA
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

いくつもの仕掛けを独特な美術の世界で包んだ傑作

作者自ら描いた絵を挿入しミステリに絡ませた独自の作品作りに感銘を受けました。
美術の先生という事もあり図像学による絵画を読み解く話はとても面白いです。
絵の見方・楽しさに触れた気がします。

他の作品を先に読んでからこのデビュー作を読みましたが、
作中に流れる独特の雰囲気や若い女性の印象は作者の持ち味だと感じました。

今作で扱われる題材は複合的で、かつマニアック。
人におすすめし辛い難しさがありますが、
いくつもの仕掛けを独特な美術の世界で包んだ本書はとても贅沢な作品だと思いました。

仕掛けの感想はネタバレで。

▼以下、ネタバレ感想

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egut
T4OQ1KM0

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