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本格推理8 悪夢の創造者たち



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【この小説が収録されている参考書籍】
本格推理〈8〉悪夢の創造者たち (光文社文庫)

本格推理8 悪夢の創造者たちの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

ちょっと上向き

全12作。その出来映えにかなり明暗が分かれたアンソロジーか。
以前までは全体の内、1,2作ぐらいの割合でこちらを唸らせる作品が見られた程度だったが、今回は4作が秀作だった。
それは黒田研二氏の『そして誰もいなくなった・・・・・・のか』、小波涼氏の『少年、あるいはD坂の密室』、剣持鷹士氏の『おしゃべりな死体』、そして林泰広氏の『二隻の船』である。

まず黒田氏は現在新進気鋭の本格ミステリ作家として活躍しており、このクリスティの名作をオマージュにした短編もその片鱗を見事に見せている。約30~50枚程度の枚数で連続殺人事件を描き、しかもそれに効果的なオチをつけているあたり、小説巧者の萌芽が早くも見られる。最後のオチはこちらでも判ったが、判った上でも楽しめる一編だ。
次の小波氏の作品はまずその文章の上手さに驚く。現在彼は作家としてデビューしてないのだろうか?また他の作品とは一線を画した、犯人が捕まらなく、その後の展開をほのめかす余韻あるラストも秀逸。

剣持氏は既に短編集を出しているプロの作家であるが、約10年近く経った今も次作は出ていない。彼は非常にゲームに徹した書き方をする類い稀な筆巧者。まさに本格ミステリのゲームマスターといった感じである。最後の解決の文章に減点のカウントダウンをつけるといった趣向とそれを実現させる文章力に脱帽。

最後の林氏は私の好きな本格ミステリである、トリックやロジック以外の心に響く何かを備えた作品でタイトルに殺害方法と登場人物同士の関係のメタファーを盛り込み、末尾を飾るに相応しい内容となっている。

こうして見ると秀作ばかりで7ツ星というのはいささか厳しすぎるように思われるが、それ以外はやはりどれも似た設定の繰り返しで、食傷気味である。これだけの数の本格を読まされるのだから読者を飽きさせない舞台設定というのがインパクトとして非常に重要な要素となる。
まあ、素人にそこまで求めるのは酷かもしれないが、やはり金を出して買う商品であるからには損をさせてはいけないという見地からもこの考え方は妥当だと考える。
でもレベルアップしてきたのは間違いない。次回に期待。

Tetchy
WHOKS60S

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