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ミステリー・アリーナ



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ミステリー・アリーナの評価: 6.54/10点 レビュー 13件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.54pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:5人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ミステリー・アリーナの感想

これは読み手は選ぶと思いますが斬新な作品かと。
それにしてもこの作者は変わった作品を描く人ですね。
まぁ作者名を知らずに読んだら「麻耶雄嵩」と断言したとは思いますが・・・

問題編にて小出しに情報が与えられ、交互に登場する解決編で、我こそはのミステリマニア達が早押し形式による推理合戦を行うというもの。
題材は、嵐の館での密室殺人という典型的なグローズドサークル。
賞金をゲットできるのは最初に正解した人のみという事で、まだまだ物語も序盤、事件の全容も明らかにされていない段階であるにも関わらず、どんどん推理が披露されていく。
マニア達が、これまでの経験から、これから起こるだろう事を推測し予想を披露していくのですが、ほぼほぼ叙述トリックの打破が主眼に置かれます。
様々な解決が提示される多重解決ものになりますが、驚くべきは、その数がなんと15パターンにまで及び、そこには「ハサミ」「葉桜」「人形館」などなど、ミステリ好きならみんながよく知る、あんな事そんな事が、てんこ盛りなのです。
情報量が増える度に、新しい推理が展開されるのですが、当然、以前に提示された情報に対しても辻褄が合っている必要があります。
15種類といっても、15回の連鎖が必要な訳で、これは半端な労力ではないでしょう。
よく考えたもんだと感動すらおぼえます。

満点にしなかったのはラストの収束のさせ方ですかね。
臓器移植云々をどうこう言うレビュアーの方もいて、私もそれには否定はしないのですが、
ついでなんでいっその事、「樺山桃太郎は不可謬ですので、僕の結論も当然無謬です」と鮎さんよろしくブラックで押し通して欲しかった。

梁山泊
MTNH2G0O
No.1:5人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

多重解決もので名を刻む作品

とんでもない作品が出てきましたね。傑作です。

TV番組に集められたミステリ読みのプロ達が、早押し形式で事件の真相を言い当てる。
この仕組みが非常に効果的で、こんな事を思いつく作家の創造の凄さを感じました。

構成は、
問題編⇒早押し(回答編)⇒問題継続⇒早押し(回答編)⇒問題継続……
となっています。

問題編ではクローズド・サークルの舞台で殺人事件が起き、登場人物や手がかりが徐々に明かされる中、早押しで途中まで提示された手がかり+想像力で推理を組み立てます。ミステリ読みのプロ達の回答はどれも唸らされるものばかり。
些細な文章やエピソードから驚くべき想像力で事件の推理を組み立てるのですが、それが非常に面白い。間違えでもアリだと思わせる納得の推理。読者が想像しそうなミステリのお約束の回答をことごとく潰していく様も見事です。

問題編と回答編が進む中、新たな手掛かりで過去の文章やエピソードの内容が様変わりするのも面白く、何が正しくて、何が間違いだったのか、混迷してきます。細かい出来事がもれなく手がかりになっている作り。本書の全編が問題編でかつ推理パートでもある。ミステリ好きならワクワクする事、間違いなしです。楽しい読書でした。

また本書は、ミステリ読みならどこかで目にしている『後期クイーン的問題』も含まれています。全ての手がかりが保証されていない中での真相が真の解決とはならない。この問題を、クイズ形式+ミステリ読みのプロ(探偵役)の組み合わせで作品にしているのも見どころです。

多重解決ものは目まぐるしい推理に後半疲れてしまう傾向なので、好みが分かれがちなのですが、本書はこれでもかってぐらい要素を盛り込んでいるので、疲れはするけど面白さが勝り、記憶に残る作品となりました。
こんなにもの多重解決の整合性を保ちつつ遊び心が満載な作品を作れるのが凄まじい。
著者の作品は、作品に対して何かしらテーマを盛り込み特化させているのが本当に素晴らしいです。今後の作品も楽しみです。

▼以下、ネタバレ感想

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egut
T4OQ1KM0

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