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神学校の死



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【この小説が収録されている参考書籍】
神学校の死 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

神学校の死の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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(8pt)

ダルグリッシュ警視長、フォーリン・ラブ

2001年に発表されたダルグリッシュ警視シリーズの第11作。サフォーク州の人里離れた海岸沿いに建つ神学校を舞台にした殺人事件をきっかけに、限られた人物間の歴史的かつ複雑な関係を紐解いて真犯人に到達するという、徹頭徹尾、P.D.ジェイムズ・ワールド全開の本格ミステリー。英国国教会の歴史と現状を背景にした物語なので、読み通すには少し骨が折れるが、その労苦に十分に応えてくれる読み応えたっぷりの大作だ。
海沿いの崖の下で砂に埋もれた神学生の死体が発見され事故死として処理されたが、死因に疑問を持った神学生の父親がロンドン警視庁に乗り込み、非公式の捜査を依頼する。その神学校で何度も少年時代の夏休みを過ごしたことがあり、ちょうど休暇でサフォーク州を訪問する予定だったダルグリッシュ警視長が捜査を担当することになり、神父、神学生、関係者らの聞き込みを開始した。ところがその翌日、神学校に付属する教会内で殺人事件が発生し、ケイト、ピアースの両警部、ロビンズ部長刑事らおなじみのメンバーが呼び寄せられて事件を捜査することになった。
教会内で殺された人物は神学校の閉校を画策している国教会の大物(大執事)で、当然ながら神学校関係者からは憎まれており、殺害の動機を持つ人物は何人もいた。さらに、学生の事故死、大執事の殺人で学校が閉鎖されれば、莫大な学校の財産を誰が受け継ぐかを巡って様々な憶測が渦巻いていた。物的証拠が乏しい中、ダルグリッシュとチームの面々は関係者のささやかな証言を基に複雑なジグソーパズルを組み立て、ついに真犯人と動機を解明する。
P.D.ジェイムズ、81歳時の作品とあって「このシリーズがまだまだ続いていくのかどうかがファンの関心を集めている」と訳者の解説に書かれているが、その後も新作が発表されてきたのは、ご存じの通り。なんせ、ダルグリッシュが恋に落ち、高校生のようなぎこちない告白をするという、続きを読まないではいられないシーンで本作を終わらせているのが、作者の決意を示す何よりの証拠だろう。

iisan
927253Y1

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