■スポンサードリンク


解錠師



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

解錠師の評価: 7.80/10点 レビュー 5件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.80pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

解錠師の感想

1人の若い解錠師の半生を綴った物語。
ハラハラさせる場面があるが、心に残ったのは恋人アメリアとのシーン、そして、アメリアを思う主人公の心の内の描写でした。
アメリアが主人公の人生に変化と希望をもたらし、そして、この小説自体を名作に押しあげたと思います。

松千代
5ZZMYCZT
No.1:6人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

犯罪小説であり、青春小説でもあり

8歳のときに遭遇した凄惨な事件のトラウマでしゃべれなくなった(耳は聞こえる)少年・マイクル。しかし、彼には特異な才能があった。記憶を元に絵を描くことと錠を開けること。その才能に導かれるまま、彼の人生は通常の世界から逸れて行く・・・。
物語は、現在服役中のマイクルが、逮捕されるまでの解錠師としての日々と解錠師になるきっかけとなった高校生の日々を交互に回想して語られていく。ふたつの時間を行き来する構成だが、それぞれのストーリーは時間軸に沿って展開されるので混乱することはない。というか、非常に読みやすい構成といえる。
本作の成功の秘訣は、なんといっても主人公の設定のユニークさにある。最初から最後までひと言も発しないこと、解錠(金庫破り)のプロであること、しかも17、18歳であることが融合して、犯罪小説でありながら純粋な恋愛小説、青春小説としても成立している。一人語りの物語ながら、ストーリー展開がスピーディーで、しかも多彩なエピソードが取り入れられているため、最後まで物語がだれることがない。金庫破り小説のスリリングさ、マイノリティーの視点からの皮肉なユーモア、一目ぼれした恋人に捧げる純情のほろ苦さなど、さまざまな味わいを楽しむことが出来る。MWA最優秀長編賞、CWAスティールダガー賞を受賞したというのもうなずける快作だ。
余談だが、本作はヤングアダルト世代に読ませたい本として全米図書館協会が選ぶアレックス賞を受賞しているという。しゃべれないことによる疎外感、個性を伸ばすことで得られる達成感、恋人との純愛など、多くの若者に共感されるテーマを持っているという評価であろうが、こういう犯罪小説にも賞を与えるアメリカ社会の懐の深さを物語るエピソードだと感じた。
スティーブ・ハミルトンは今回、初めて出会った作家であるが、これまでに翻訳されている3作品もぜひ読んでみたい。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!