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死刑囚



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【この小説が収録されている参考書籍】
死刑囚 (RHブックス・プラス)
死刑囚 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死刑囚の評価: 7.00/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(8pt)

死刑は正義なのか?

スウェーデンのジャーナリストと服役囚支援者という異色コンビによる「エーヴェルト・グレーンス警部」シリーズの第3作。日本では2011年に刊行され絶版になっていたのが2018年に再文庫化された作品である。グレーンス警部のチームによる捜査より死刑制度に焦点を当てた社会派ミステリーである。
スウェーデンで暮らすカナダ国籍の男が暴力事件で逮捕された。ところが捜査を進めると、ジョン・シュワルツと名乗るこの男のパスポートは偽造されたものだった。しかも、6年前にオハイオ州の獄中で死んだアメリカ人死刑囚であることを示す証拠が出てきた。もし、死を偽装して逃走した死刑囚であれば、アメリカ政府は引き渡しを要求し、死刑を実行するだろう。だが、EUの一国であるスウェーデンは死刑を廃止しており、死刑制度がある国への死刑囚の送還は禁止されている。とは言え、アメリカと良好な関係を維持したいスウェーデン政府は、引き渡しを拒めるだろうか? 死刑制度に反対のグレーンス警部たちは、あの手この手で送還を阻止しようとするのだが・・・。
事件捜査自体は単純で、グレーンス警部らは捜査より政治的な駆け引きに奮闘する。一方、ジョン・シュワルツの地元、オハイオ州の田舎町では被害者の父親を筆頭に死刑の実行を求める声が高まり、ジョンの引き渡しと死刑の実行は当然のことと思われている。このアメリカとスウェーデンの意識の違いが、物語を面白くしている。死刑制度が当然と捉えられている日本では、アメリカに近い世論が形成されるのだろうが、そこに小石を投げ入れるぐらいの波紋は起こしそうな問題提起を含んだ作品である。
警察小説としても合格点レベルに達しているし、シリーズ作品ならではのメンバーたちの様々な変化も興味深い。シリーズ愛好者には必読。社会派ミステリーファンにもオススメだ。

iisan
927253Y1
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

感想

ルースルンド・ヘルストレムの2人の作品で邦訳されているものは3冊とも読みました。
いずれも秀作ですが、娯楽ミステリーと思って読むとちょっと雰囲気が違うかもしれません。
死刑制度に対する問いかけであり、死刑制度もひとつの暴力だと定義することにはすごく意味があると思います。犯罪に対して厳罰化を進めることではなんら犯罪が減っていかないことは、アメリカを見ているとそのとおりだと思います。
被害者の遺族の行き場のない怒りや悲しみは、加害者が合法的に殺されることで本当に多少なりとも救いを見出せるのか?本当にそれしかないのかを考えさせられます。
辛い過去を葬りスウェーデンの地で密かに生きていたジョンですが、些細なことで暴力を使ってしまう衝動を抑えることができなかったことで、破滅の道をたどることになってしまうのです。
メインキャストである3人の警察官と1人の検察官。4人ともが死刑に対して明確に『反対』と言えることにヨーロッパの成熟した社会が感じられる反面、日本に比べて犯罪の割合が多いのも事実で、どちらがいいとはなかなか比較できないと思いました。

▼以下、ネタバレ感想

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たこやき
VQDQXTP1

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