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ウィンター・ビート



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【この小説が収録されている参考書籍】
ウィンター・ビート (ハヤカワ・ミステリ文庫)))

ウィンター・ビートの評価: 8.50/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.50pt

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(9pt)

ウィンター・ビートの感想

ヴィクの14作目を読む前に、同じ作者のエッセイである『沈黙の時代に書くということ』、そして堤未果さんの『貧困大国アメリカ』をよみました。
自由の国と言われ世界でもっとも大国であるこの国が、とてつもなく貧しい国であるということを切々と訴えています。人の命までも商売にしてしまうような事はどう考えても正しいとは思えません。

史上最低と言われたブッシュが始めたイラク戦争の犠牲者であり、所属していた隊の唯一の生き残りでPTSDのために以前のような快活さを失ってしまった若者が殺人の疑いをかけられ、逮捕されてしまい、息子の無実を信じる両親に依頼されて真相をつきとめる事になるのですが、その後ろにはまさに命を商売にするような巨大な会社が存在し、現実の話ではないかと思われるほどリアリティがあります。

ヴィクもすでに50歳間近という年齢で、今迄のように突っ走り周りを巻き込んでの大騒動に、自分は本当に正しいことをしているのかと思い悩む事も以前よりずっと深くなってきます。
シリーズ始めの頃にはなかったパソコンや通信機器を同じように使い、便利だと認める反面それに伴う弊害についてのヴィクの感覚には非常に共感できます。

結末もスッキリ爽やかとはいかず、これもまた現実の世界でも実際この通りなのだろうと思えるような終わり方で、癒されたい・・・と思う彼女の気持ちが切実なももだと感じてしまいます。
そんな中でも毎回協力してくれる友人や隣人に支えられてこれからも頑張って欲しいと思わずにはいられません。特に初期のころから物語とは直接関係ないのですが脇役出演してくれるダロウ・グレアムが最高に素敵ですね(彼は11作目では脇役ではないのですが)常連の依頼人であり、ヴィクの生活をある意味一番支えている人でもあり、さりげなく協力してくれたり、変わらぬ友情を持ち続けてくれるまっとうなお金持ちの社長。
現実の世界にもこういう良心的な人がいると信じたいです。

そしてやみくもに追従しようとしている我が国ですが、なんでも民営化しようとし軍事国家をと公の場で声高に主張する某政治家を見ていると、うすら寒い心地さえしてきます。


たこやき
VQDQXTP1

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