小さな出版社を経営する紺野美也子は、ベストセラーをねらって大流行作家に近づき、その魅力で書下ろし小説を依頼する。

大屋圭造は三流経済誌の記者。企業の提灯記事を書いては広告料を取る「トリ屋」である。

大和大学助教授の稲木は、バーのマダム啓子との情事の帰途、入試問題草案を紛失した。

軽井沢で殺された外国婦人はマレーシアの密林に消えたタイ・シルク王の妹だった。熱帯蝶の標本が二つの事件を結ぶ。

戦後、一代で財閥を築いた鉄鋼王・菅沼丑平の死をきっかけに暴かれていく、政財界を巻き込んだ巨額の不正。

松山地検庁舎の怪火で事務官が焼死、事故として処理された。

女性限定の25日間ヨーロッパ・ツアー旅行「ローズ・ツア」が企画された。

設計士の板垣貞夫は地元の有志から、石見銀山跡を観光地にしたいと、設計の構想、工費の見積もりの依頼を受ける。

「あれの処理はまかせるよ」──言い遺して次期首相候補の秘書が死んだ。

新聞社の文化部で各界の著名人たちと交流し、活躍していた姉信子に憧れていた妹の笠原祥子。

新進の考古学者・高須通子は、石造物の調査のために訪れた奈良で、殺傷事件に巻きこまれた海津信六を助ける。

日本列島を北から南へ連続して起った6つの変死事件――奇妙な新婚旅行の男の変死と花嫁の失踪。

高速料金所の職員、井川正治郎は高級車の運転席に元愛人の和子の姿を見た。

古美術商『草美堂』の主人・高尾庄平は62歳。商売は順調で30歳も年下の野村和子を愛人にしていた。

九州落ちして印刷屋に勤めた笹井は、計画遂行のため主人の妻滋子を籠絡し、さらに2号の藤子を誘惑。

もう耐えられない―画家の矢沢辰生は、異常なほど嫉妬深い妻の暴力に苦悩していた。ときには死の恐怖すら感じるほどだった。

ヨーロッパへの深い関心を示す重厚なサスペンス二作。

選挙に出馬する義弟の不透明な資金三千万円を持ち逃げした木谷省吾。

雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ―。

夫を裏切り、妻を捨てた不倫の愛の逃避行―広漠たる砂漠に死を求めて彷徨う女と男の愛の無常を描く長篇。

霧のロンドン―。テムズ川にかかる橋に、イタリア最大の銀行頭取が吊るされた。

会社員の青年・梅木隆介はある夜、夫婦と名乗るヒッチハイクの男女を車に乗せた。

殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。

昭和初期の小倉。私鉄職員の“わたし”三輪は、陶器会社に勤める仲間、秋島、久間とともに詩を愛好していた。

不動産ブローカーの粕谷為三は、すし屋で元愛人の霜井登代子と再会する。

過去の徴兵検査で第二乙種不合格、そして三十二歳となった今、兵隊にとられることはないと確信していた山尾に、召集令状が届く。

神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。

北海道の北浦市市長春田は、陳情上京中に失踪、数日後に武蔵野林で絞死体となって発見される。

貧しく孤独な生い立ち、失意の青春時代、そして作家としてデビューするまでの苦闘の日々を、切々と告白した心うつ魂の記録。

芦村節子は旅で訪れた奈良・唐招提寺の芳名帳に、外交官だった叔父・野上顕一郎の筆跡を見た。

水尾市の市会議員である鐘崎義介は酒造会社と市政に批判的な新聞社を経営するやり手。

古代史の造詣を巧みに駆使した表題作「火神被殺」、「神の里事件」。

銀行員安田信吾は行金五百万円を持ってキャバレーのホステスと共に逃走した。取引先の隠し預金を裏付ける極秘メモが決め手だ。

東京近郊に広大な敷地と白亜の近代校舎をもつ私立女子大学・若葉学園。

会社更生法という大企業優先の悪法を逆手にとり、擬装倒産で私腹を肥やす弱電器機の大手メーカー、イコマ電気社長。

銀座で洋装店を経営する美しい叔母は、倉田麻佐子の自慢だった。

救援物資の横流し、麻薬の密輸から殺人事件まで、“神の名”のもとに行われた恐るべき犯罪の数々。

新進の考古学者・江村宗三は、元兄嫁の西田美奈子と十四年ぶりに再会し、情事を重ねていた。

昭和8年。東京近郊の梅広町にある「月辰会研究所」から出てきたところを尋問された若い女官が自殺した。

悪徳岡っ引・梅三郎の罠にかかって、“破牢”の重罪を負った甲州無宿の源次。

日航定期便福岡行き「もく星」号墜落事故の原因究明にあたる中浜宗介らは、事故報告書の「事故の原因は、乗員全員死亡により確認は困難で、航空管制の不手際その他、何らかの間接原因に基づく操縦士の錯誤」という記述のうち、“何らかの間接原因”と“操縦士の錯誤”との因果

日本史教科書編纂の分野で名を馳せる島地章吾助教授は、学会で変わり身の早さと女癖の悪さで名を知られていた。

戦前から戦後にかけて、豪華な指輪が次々と持ち主を変えながら数奇な運命をたどる。

戦後日本で起きた怪事件の数々。その背後には、当時日本を占領していた米国・GHQが陰謀の限りを尽くし暗躍する姿があった。

白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。

昭和23年1月26日、帝国銀行椎名町支店に東京都の腕章をした男が現れ、占領軍の命令で赤痢の予防薬を飲むよう告げると、行員らに毒物を飲ませ、現金と小切手を奪い逃走する事件が発生した。

高速道路の非常駐車帯で独身OLが殺された。彼女は社長秘書という立場を利用して、競馬情報をサイドビジネスにしていたのだ。

大学で法制史を教える山根辰雄は、古書店で集めた本に、同じ蔵書印があることに気付く。

あと43分で日本が滅亡する！

前衛水墨画の旗手として、一躍脚光を浴びた久井ふみ子は、ライバル滝村可寿子を蹴落とし、画壇の頂点を目指す。