もう耐えられない―画家の矢沢辰生は、異常なほど嫉妬深い妻の暴力に苦悩していた。ときには死の恐怖すら感じるほどだった。

女性限定の25日間ヨーロッパ・ツアー旅行「ローズ・ツア」が企画された。

会社員の青年・梅木隆介はある夜、夫婦と名乗るヒッチハイクの男女を車に乗せた。

大和大学助教授の稲木は、バーのマダム啓子との情事の帰途、入試問題草案を紛失した。

小さな出版社を経営する紺野美也子は、ベストセラーをねらって大流行作家に近づき、その魅力で書下ろし小説を依頼する。

大屋圭造は三流経済誌の記者。企業の提灯記事を書いては広告料を取る「トリ屋」である。

日本列島を北から南へ連続して起った6つの変死事件――奇妙な新婚旅行の男の変死と花嫁の失踪。

銀行員安田信吾は行金五百万円を持ってキャバレーのホステスと共に逃走した。取引先の隠し預金を裏付ける極秘メモが決め手だ。

東京近郊に広大な敷地と白亜の近代校舎をもつ私立女子大学・若葉学園。

東都相互銀行の若手常務、野心家の夫塩川弘治との結婚生活に心満たされぬ信子は、独身助教授浅野を知る。

水尾市の市会議員である鐘崎義介は酒造会社と市政に批判的な新聞社を経営するやり手。

選挙に出馬する義弟の不透明な資金三千万円を持ち逃げした木谷省吾。

会社更生法という大企業優先の悪法を逆手にとり、擬装倒産で私腹を肥やす弱電器機の大手メーカー、イコマ電気社長。

前衛水墨画の旗手として、一躍脚光を浴びた久井ふみ子は、ライバル滝村可寿子を蹴落とし、画壇の頂点を目指す。

貧しく孤独な生い立ち、失意の青春時代、そして作家としてデビューするまでの苦闘の日々を、切々と告白した心うつ魂の記録。

昭和23年1月26日、帝国銀行椎名町支店に東京都の腕章をした男が現れ、占領軍の命令で赤痢の予防薬を飲むよう告げると、行員らに毒物を飲ませ、現金と小切手を奪い逃走する事件が発生した。

ミステリには「清張以前」と「清張以後」があるー。巨匠の凄みを凝縮した初期の傑作８編。

欲望渦巻く文壇で闘う女性を描いた、巨匠・松本清張による傑作ロマン長編! 井沢恵子は姑との不和が原因で夫と離婚した。

エリートコースの販売課長が社員旅行の晩に行方不明となり、惨殺死体で発見された。

九州落ちして印刷屋に勤めた笹井は、計画遂行のため主人の妻滋子を籠絡し、さらに2号の藤子を誘惑。

設計士の板垣貞夫は地元の有志から、石見銀山跡を観光地にしたいと、設計の構想、工費の見積もりの依頼を受ける。

夫を裏切り、妻を捨てた不倫の愛の逃避行―広漠たる砂漠に死を求めて彷徨う女と男の愛の無常を描く長篇。

昭和初期の小倉。私鉄職員の“わたし”三輪は、陶器会社に勤める仲間、秋島、久間とともに詩を愛好していた。

不動産ブローカーの粕谷為三は、すし屋で元愛人の霜井登代子と再会する。

遠沢加須子は、夫の遺した中部光学というレンズ製造会社を諏訪で経営している。

若い芸術家の憧れの的である美貌の人妻・竜崎亜矢子。彼女は夫・重隆との愛なき結婚に苦しむ“名家の囚人”であった。

戦後日本で起きた怪事件の数々。その背後には、当時日本を占領していた米国・GHQが陰謀の限りを尽くし暗躍する姿があった。

新聞社の文化部で各界の著名人たちと交流し、活躍していた姉信子に憧れていた妹の笠原祥子。

北海道の北浦市市長春田は、陳情上京中に失踪、数日後に武蔵野林で絞死体となって発見される。

神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。

戦前から戦後にかけて、豪華な指輪が次々と持ち主を変えながら数奇な運命をたどる。

「あれの処理はまかせるよ」──言い遺して次期首相候補の秘書が死んだ。

古美術商『草美堂』の主人・高尾庄平は62歳。商売は順調で30歳も年下の野村和子を愛人にしていた。

新進の考古学者・江村宗三は、元兄嫁の西田美奈子と十四年ぶりに再会し、情事を重ねていた。

雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ―。

救援物資の横流し、麻薬の密輸から殺人事件まで、“神の名”のもとに行われた恐るべき犯罪の数々。

芦村節子は旅で訪れた奈良・唐招提寺の芳名帳に、外交官だった叔父・野上顕一郎の筆跡を見た。

深夜、東京の閑静な住宅街に一台のトラックが突っ込んだ。やがて起きる二つの殺人事件。

軽井沢で殺された外国婦人はマレーシアの密林に消えたタイ・シルク王の妹だった。熱帯蝶の標本が二つの事件を結ぶ。

浦島・羽衣伝説をめぐる取材旅行の先々で起る奇径な事件。民俗説話や古代史と今日的犯罪を結びつけた長篇推理。

新進の考古学者・高須通子は、石造物の調査のために訪れた奈良で、殺傷事件に巻きこまれた海津信六を助ける。

あと43分で日本が滅亡する！

白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。

数百作におよぶ松本清張の短編の中から、 ミステリ界の旗手二人が各々のベストを厳選! 二人をして「文句のつけようがない」と 唸【うな】らせた傑作ミステリや、 人間への鋭い洞察が深い余韻を残す名作、 編者のセンスが光る意外な逸品など、 大作家の魅力を存分に味わ

悪徳岡っ引・梅三郎の罠にかかって、“破牢”の重罪を負った甲州無宿の源次。

霧のロンドン―。テムズ川にかかる橋に、イタリア最大の銀行頭取が吊るされた。

殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。

二十年近く地道にある省の役人を勤めてきた川島留吉は、ふとしたきっかけで役人仲間と麻雀を始める。

日本史教科書編纂の分野で名を馳せる島地章吾助教授は、学会で変わり身の早さと女癖の悪さで名を知られていた。