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Tetchy さんのレビュー一覧

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レビュー数1426

全1426件 1161~1180 59/72ページ

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No.266:
(7pt)

睡魔を吹き飛ばす面白さ

押し寄せる睡魔に半ば勝ち、半ば負けながらの読書だったため、ほとんどストーリーを把握しないまま読み進んでいったにも拘らず、最後の章でバタバタ、と不明だったピースが嵌め込まれ、全体像が浮かび上がる所が凄い。
今回は終わってみれば実はサイコ・サスペンスでロス・マクドナルドの心理学への興趣が色濃く表れている。
また、最後の章の盲目の母の何気ない一幕で、無力だと思われていた存在が実は絶大なる支配力を持っていたという畏怖を表す所もまた印象深い。
別れの顔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-5)
ロス・マクドナルド別れの顔 についてのレビュー
No.265:
(5pt)

いいミステリなのに何か足らない。

よく出来た話だとは思う。

ただ結末は唐突な門切調で終わるような感じだ。確かにあれ以上書く事は蛇足になるんだろうが、もっと他の締め括り方があったのではなかろうか?

う~ん。

▼以下、ネタバレ感想
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死のひそむ家 (創元推理文庫)
ルース・レンデル死のひそむ家 についてのレビュー
No.264:
(7pt)

ウェクスフォードは他者からはこう映るのね。

ウェクスフォードを外側から描く、ウェクスフォード物の異色作でどちらかと云えばノン・シリーズに近い。しかし、ウェクスフォードが登場人物の目にどのように映っているのかが垣間見れて面白かった。これほど影響力の強い人物だとは思わなかった。
主人公の牧師、アーチェリーをして「あの男は神の権化」とまで云わしめるのは過剰なる賛辞だと思うが。結局、「事実」はなんら変わらなかった。ただ「真実」が無機質な人間2人を変えた。
レンデル物では珍しい、爽やかな読後感だ。
死が二人を別つまで ウェクスフォード警部シリーズ (創元推理文庫)
ルース・レンデル死が二人を別つまで についてのレビュー
No.263:
(7pt)

もう少し!

浅い、と思った。
ブラッドショーの苦悩、トム・マギーの苦渋、ドロシー・マギーの狂気、そのどれもが響かなかった。
最後の4ページで一気呵成に暴かれる真相に唖然とさせられたせいで、まだ頭の中が整理されていないのかもしれない。だが結末で憶えた戦慄は『象牙色の嘲笑』の方が上。
今回はドロシー・マギーの失踪に始まった人物相関が完全に遊離してしまったのが残念。マクドナルドは、ロイ・ブラッドショーをテリー・レノックスにしたかったのかもしれない。
さむけ (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-4)
ロス・マクドナルドさむけ についてのレビュー
No.262:
(7pt)

被害者は何を見て嘲笑う?

今回も彼は完膚なきまでに質問する。読んでいるこちらが当惑するほどに、個人の領域に立入る。そのあまりある執拗さは、終いには犯人が「なぜきみはおれを苦しめるのだ」と身震いさせられるくらいまでにもなる。
だがしかし、そこまで行いながらも彼の影は見えない。犯人は最後、足枷のように影を引き摺るのに、彼には影すら見えない。「質問者」である以上に「傍観者」である所以だ。
真相は戦慄を憶えた。しかし、未だに謎なのは、被害者は何を「嘲笑」っていたのだろうか?
象牙色の嘲笑〔新訳版〕(ハヤカワ・ミステリ文庫)
ロス・マクドナルド象牙色の嘲笑 についてのレビュー
No.261: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

あっちの方がよかった

日本推理小説史上に於いて名作と冠される本書は、しかし、上のような評価に納まった。迷路、隠し洞窟といった道具立ても胸踊らすほどではなかった。
『11枚のとらんぷ』よりは落ちる。そう、ショートショートを内包した、贅沢な一品、『11枚のとらんぷ』。この作品と比べるからこそ、七ツ星なんだろう。

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乱れからくり【新装版】 (創元推理文庫)
泡坂妻夫乱れからくり についてのレビュー
No.260:
(7pt)

ロマンティシズムある佳作

古き良き時代の冒険活劇を匂わせ、また主人公を活発で美しい女性に設定したことで、その万能さもあざとく映らず、快い。それは自分に女性崇拝の精神が宿っていることに起因するのかもしれないが…。
採点は微妙だ。元来ならば五ツ星クラスだが、新訳版であったがための読みやすさ、さらに上記にある理由、それと二世紀を隔てて各国から信じ難い遺言を便りに再開するという展開が私の胸を打った。そういった理由で七ツ星とさせていただく。
綱渡りのドロテ (創元推理文庫)
モーリス・ルブラン綱渡りのドロテ についてのレビュー
No.259:
(7pt)

邦題がイケてません。

タイトルは全然意味を成してないよ。原題『屠殺場に向かう狼』の方が最後に明かされる謎を髣髴させる点で断然勝っている。

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運命のチェスボード ウェクスフォード警部シリーズ 創元推理文庫
ルース・レンデル運命のチェスボード についてのレビュー
No.258:
(7pt)

連続殺人鬼物として異色なのだが。

連続殺人鬼の登場をメインの殺人事件の単なる小道具として扱う辺り、やはり大作家の構成力は只ならぬものがあるなと感心したが、終わってみれば犯人は予想外だったけど、動機としては単純なもの。いや寧ろ深くまで語られなかったため、抽象的であり浅薄だ。
今回、読んでいて気付いたのはアダム・ダルグリッシュという存在を作者は暗鬱な日常性から解放する導き手に想定しているのではないかということ。悲劇が繙かれた後、関係者それぞれに変化が扉を叩いた。
策謀と欲望〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
P・D・ジェイムズ策謀と欲望 についてのレビュー
No.257:
(10pt)

余韻が深く、そして哀しい。

愛に飢えた人々が家族という一番小さな、そして身近な社会集団を形成した時、こんなにも哀しい事件が起こるのか。
愛されるという事を欲望という形で求めるが故、視える物も視えなくなり、無我夢中に貪欲なまでに模索し、踠く。一番手に入れたかった父親の愛を形として求めたがため、実感できなかった娘。その事実を何もかも無くしてしまった最後に告げられる残酷な結末。
終わり間際に真相通告人として太陽のような娘を選んだ作者の意図は何だったのだろうか?
縞模様の霊柩車 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-2)
ロス・マクドナルド縞模様の霊柩車 についてのレビュー
No.256:
(7pt)

この胸に残るのは何なのか。

歪んだ愛情が織成す悲劇、いや正直な気持ちを押し殺したゆえの反動と云った方が正解か。
現象はあまりにも単純。2人の男と1人の女の死。犯人はしかも1人。しかし、その1人を炙り出すための炎は関係者各々の魂を苦く焦がし、また探偵自身も自らを焦がす。だが、あくまで彼は傍観者の立場を貫く。だから慮る事もせず、また望むのであれば自害の手助けをもする。
現時点では7点だが、我が胸に徐々に立ち上る感慨は治まりそうにない。
ウィチャリー家の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-1)
ロス・マクドナルドウィチャリー家の女 についてのレビュー
No.255:
(7pt)

ちょっと仮説が足りない。

一般読者向けを意識した島田初のトラヴェル・ミステリという事で、『占星術殺人事件』から始まる御手洗シリ-ズとは趣を変えて、現実味を過分に加えた、比較的地味なシリーズ、所謂吉敷シリーズであるが、千鶴子の列車での存在を幽霊として仕立て上げるような、幻想性を加えることも忘れない所が面白い。

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寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁 (光文社文庫)
島田荘司寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁 についてのレビュー
No.254:
(7pt)

地味だが嫌いではない。

『眩暈』、『アトポス』、そして『異邦の騎士』と、所謂島田流「本格ミステリ」が御伽噺めいた幻想性を前面に打ち出しているのに対し、この吉敷シリーズは市井の犯罪を描く贅肉を削ぎ落とした「本格推理小説」。
この軽さがタイミング的に合っていて一服の清涼剤になった。

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確率2/2の死 (光文社文庫)
島田荘司確率2/2の死 についてのレビュー
No.253:
(8pt)

いつもにも増してエピソード満載

全971ページ中753ページで漸く御手洗が登場するという、今までにも増して焦らしに焦らされ、本統に整然と解決するのだろうかと、シリーズ中最もハラハラさせられた。
膨大なるエピソードの山が全て結末に活かされているのは流石!!

相変わらず、冒頭から惹き込むエピソードの面白さは無類で、思わず童心に帰って物語に浸ってしまった。


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アトポス (講談社文庫)
島田荘司アトポス についてのレビュー
No.252: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

気付いてしまいました。

大学2年から数十年ぶりに読み返した今回は、分析的な読み方を心掛けた甲斐もあって、数々の粗、都合の良さや強引さが目立った。

しかし、数十年経っても色褪せぬ内容と、抜群のリーダビリティは確かに存在した。
読者を愉しませんがための過ちと受取ろう。

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眩暈 (講談社文庫)
島田荘司眩暈 についてのレビュー
No.251:
(1pt)

なぜこの題名?

あまりにも題名から想起される内容とはかけ離れていて呆気に取られてしまった。未だにこんな題名をつけたのか判らない。
時代ミステリであるがため、当時の世俗背景を甦らすのに腐心しているようだが、前に読んだ『死の館の謎』同様、登場人物が全く活写されていない。『ビロードの悪魔』、『火刑法廷』以外、結局カーはノンシリーズを物に出来なかったようだ。

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血に飢えた悪鬼 (創元推理文庫)
No.250:
(1pt)

もう出涸らし状態です。

大味だ、あまりにも大味だ。作品の構築したトリックが単なる研究成果の発表会と化し、全くの自己満足となっている。
“老いてなお、最新の知識を導入し、斬新な試みに挑む”とでも云いたかったのだろうか?


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死の館の謎 (創元推理文庫)
ジョン・ディクスン・カー死の館の謎 についてのレビュー
No.249:
(4pt)

記憶力が試されます。

昔の作品ながらも、プロローグに趣向を持たせ、忘れた頃にあっといわせるような手法で持ってくるところは、なかなか。しかもプロローグが実は犯人のアリバイ崩しの重要な手掛かりになるとは、心憎いのだが、原文でないと意味を成さないのはアンフェア。
冒頭の登場人物表に載ってない人物のエピソードが物語の核になる所は、この前に読んだレンデルの『石の微笑』と全く同じなのは、単なる偶然か?しかし、睡魔は読書の天敵だなあ…。
完全殺人事件 (1958年) (新潮文庫)
クリストファー・ブッシュ完全殺人事件 についてのレビュー
No.248:
(7pt)

女の狂気は怖い

冒頭、登場人物表にも載っていない人物の失踪が案外しつこく語られていること自体に「?」マークが頭に浮かんでいたのだが、最終的にこれほど致命的に機能してくるとは。久々に「あっ」となっちゃいました。
今回は珍しく男の狂気じゃなく、女の狂える愛。故にいつもなら狂気がしんしんと降り積もっていくのに、男が正気に戻りかけた途端、突然の大破局が訪れた。
そう、フローラよ、貴女は結局、幸運の女神だったのか?
石の微笑 (角川文庫)
ルース・レンデル石の微笑 についてのレビュー
No.247:
(7pt)

失恋男にこの話はツラい!

おいおい、どうしてこうなるの?なぜこの作家はハッピーエンドがこうも嫌いなのだろうか?たまには素直に物語を収束させてもいいんじゃないの?
しかし、レオノーラはひどい!最低の悪女だな。
ガイは、つい最近までの俺を見てるようでとても痛ましかった。だからこそガイにはハッピーエンドを迎えて欲しかったのに。
しかし、レンデルは冗長すぎるぞ!丹念に心の動きを積み重ねていこうとしているのは判るがくどくど意気地の無い愚痴に付き合わされるのにはまいったぞ!
求婚する男 (角川文庫)
ルース・レンデル求婚する男 についてのレビュー