別れの顔
- リュウ・アーチャーシリーズ (19)
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全1件 1~1 1/1ページ
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押し寄せる睡魔に半ば勝ち、半ば負けながらの読書だったため、ほとんどストーリーを把握しないまま読み進んでいったにも拘らず、最後の章でバタバタ、と不明だったピースが嵌め込まれ、全体像が浮かび上がる所が凄い。 | ||||
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ロスマクドナルドの前期の作品「運命」は傑作だと思います。しかし、「別れの顔」は「運命」の焼き直しではないかという気がしてなりません。プロットは「運命」よりもはるかに複雑であり、かつ、隙がありません。しかし、読後感がどうもすっきりしません。その理由は、主役と言うべき家族のあり様が不自然だからです。とは言え、とても優れた、面白い作品だと思います。 | ||||
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ロスマク円熟期の69年作。南カリフォルニアの探偵アーチャーが遭遇する事件はいつもと同じくおぞましく哀しい。アーチャーはよく「質問者」といわれ、人間と出来事で出来たジグソウパズルのピースを拾い集めひとつにしてゆく(しかしそれは完成図を誰も見たくはないパズルなのだ)。各々のピースはお互いに隣り合っていることを知らない。これを知った時、新たな悲劇が生まれる。 ロスマクはミステリを扱っているが、この「ミステリ」とは誰がどんな動機で犯罪を犯したかだけではなく、誰が誰であるかという関係性が重要。そしてあとがきに書かれているように、それは死んだ人でもありうる。またあとがきには登場人物の多くは生きている死者とも書かれているが、過去の「幽霊」あるいは「過去という幽霊」が生者の影で息づいている。アーチャーは事件を解決するのではなく、結果的に終わるべきものを終わらせ、時の流れに句点を打つ。いや残される生者には読点なのか知れないが。 多くの嘘を聞かされてアーチャーがたどり着くのは現代人の悲劇ともいうべきもので、探偵小説ではあるがその筆致は普遍的な文学といってよい。とはいえそのプロットは緻密で、最終章に至って怒涛の展開が繰り広げられる。人の業というか罪というか、あらゆる人が悲しみを背負っていて、降ろすことがない。そんな本を読んでたのしいかと言われそうだが、その読後感は充実している。 なぜか。ロスマクの描く中年老人たちは病み疲れているが、ロスマクの、アーチャーの若者へ向ける眼差しは優しい。多くの悲劇を見てきたアーチャーだからこその、若者に過去の亡霊を断ち切って欲しいという老いた探偵からの眼差しをほんのりと感じるのだ。 最後に。異論はあるだろうけれど、円熟期のロスマクの小説はこの国の横溝正史を思わせると思うのだが。人間関係こそが最重要である点・過去がすべての始まりである点。血縁と恩讐。 69年著、77年ハヤカワ文庫HM8-5 菊池光=訳 335頁 ISBN-10 : 4150705054 ISBN-13 : 978-4150705053 | ||||
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呪いでもかけられたように崩壊していく家族の物語をその登場人物のなかに精神病患者を配して描く鉄板ストーリー。今回の人間関係の複雑さはずごい。そのひとつひとつを必殺質問人アーチャーが解いていくわけだが、そのときのアーチャーのスタンスがまるで世の中の悲しみを一身に背負っているように感じさせられるってのがこの小説のキモでしょう。文句なしに面白い。 | ||||
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私立探偵リュウ・アーチャーはと弁護士からの依頼で、盗まれた「函」の捜索を引き受ける。盗難にあった家族には訳ありの事情があるようで、内密に解決しなければならない様子だった。調査を進めるうち、内部の人物が犯行の手引きを行った形跡があり、アーチャーはその家の息子に嫌疑をかける。しかしアーチャーは調査を進めるうち、息子と諍いを起こした男の屍体を発見してしまい…。 本書は、1969年に発表された原題“The Goodbye Look”の邦訳です。また、アーチャー・シリーズはミステリ翻訳家兼評論家である小鷹 信光によれば、アーチャー・シリーズの黄金期は『ウィチャリー家の女』(1961)『縞模様の霊柩車』(1962)『さむけ』(1964)あたりであって、それ以後は「マンネリズム」に堕していると言います。 本書もまたマンネリズム期の作品と言えます。マンネリズムは「型にはまったようなこと」を意味します。たしかに二転三転するプロット、親子関係の歪み、詩的なレトリックやアフォリズムなど、すべて過去の焼き直しと言えるかもしれません。しかし、マンネリズムの語源であるマニエラが「様式」を意味することを考えれば、本書をふくめたシリーズ後期は「様式化」されているとも言い換えられます。黄金期に結実した要素がより洗練されています。 それは本書でも同じです。『さむけ』に代表されるような乾いたストイシズムはありませんが、エンターテイメントとしてかなり「読みやすい」仕上がりになっていると思います。たしかにロス・マクドナルドならではオリジナリティは黄金期の作品に軍配が上がりますが、アーチャー・シリーズになじみのない読者には後期の作品のほうがおもしろいと思います。とくに主人公アーチャーが人間として「枯れて」きて、いい意味で人間臭さを感じさるので、感情移入もしやすいキャラクターになっています。 本書を読めば、本書の書評において『明日に向かって撃て』の脚本家ウィリアム・ゴールドウィンに「完璧な年代記作家」と言わしめた、社会の観察者としての著者の眼が衰えていないことがうかがえます。 | ||||
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