ブルー・ハンマー
- リュウ・アーチャーシリーズ (19)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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ロス・マクドナルドの遺作とされる本作はごく一般に駄作だと云われるが、私にしてみれば物語の焦点が常にぶれず、物語の軸が常に明確であったせいか点数的には高いものとなった。また盗まれた絵画を追うという従来の失踪人捜しとは経路の違う展開が新鮮だったことも物語に魅力を感じた一助になっている。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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1通の書き置きを残し、25年前に姿を消した幻の画家、リチャード、チャントリー。彼の作とされる絵が盗まれ、アーチャーは、それを取戻すよう依頼を受けた。だが、画家が失踪当時住んでいた家に今も暮らす夫人は、問題の絵はチャントリーのものではないと言う。夫人が否定した絵が、何故チャントリーの作品と言われているのか?それとも、彼は今もどこかで絵を描きつづけているのか?事件を追い続けるアーチャーの前にやがて浮かび上がってきたのは、過去の殺人事件と画家をめぐる錯綜した人間関係だった。 | ||||
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ロス・マクドナルドのファンの中では、『さむけ』『ウィチャリー家の女』を推す方が多いが、探偵シリーズ最後の作品となった『プルー・ハンマー』には描写力と人間観察のエッセンスのすべてが詰まっている。彼がフロイトを読み込んで得た人間心理の奥へ奥へと突き進む筆の鋭さは、二転三転のどんでん返しに十分な必然性を与えている。だがそれが最後となった。 この作品を先に読むと『ウィチャリー家の女』の前半は退屈でもある。マクドナルドが推理小説論でチャンドラーを批判的にとらえて越えようとした物語の意図はここに実現されているだろう。一読をお勧めしたい。 | ||||
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ある富豪の家から一枚の絵が盗まれた。それは25年前に消息を絶った幻の画家チャントリーの作品だった。私立探偵リュー・アーチャーは富豪の依頼で盗まれた絵を探すことになった。怪しい人物は娘のボーイフレンドであるフレッドという青年。美術専攻の学生である彼が絵を持ち去った可能性が高い。さっそくフレッドの実家を訪ねるアーチャー。彼の家庭は複雑な環境で、母親は看護婦として働き父親は極度のアルコール中毒の為に家に幽閉されている状態であった。そんな時フレッドが富豪の娘と二人で車で駆け落ちしたという情報が入る。アーチャーは二人を連れ戻しに向かいフレッドと会うことに成功したが、盗んだチャントリーの絵は自宅に置いていたが他の何者かに盗られたと言う。そして街では殺人事件が二件連続して起こった。いずれもチャントリーの絵を知る関係者が何者かに殺されたのだった。さらにアーチャーと仲良くなった新聞記者の女性ベティが、事件を追いかけている途中で行方不明になってしまう。彼女の安否を気遣ったアーチャーは、事件解明へと全力を注ぐ。 私立探偵リュー・アーチャーのラスト・ランとなった作品。シリーズは18作品。最後になったこの作品の特色として50歳代であるアーチャーが若い女性と結ばれるという場面がある。この意外で新しい展開に、アーチャーの人間性の魅力がより身近に感じられた。途中で消息が消えてしまった彼女を最後まで心配するアーチャーの姿。正義感というよりも彼の持つ優しさという面が強調されたからかもしれない。 最後の最後まで複雑な家系による悲劇を描き切った作家ロス・マクドナルド。今作のトリックも見事であった。ハードボイルド作品であるが、意表を突いたプロットの手腕はミステリー作家として資質充分であったと思う。さらに彼こそがミステリーを文学の域まで高めたとやはり思う。 | ||||
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ロス・マクドナルドと言えば、「さむけ」か「ウィチャリー家の女」が代表作とされていますが、僕はこの遺作が一番好きです。孤独な探偵リュウ・アーチャーの恋愛が描かれるところが魅力的だし、錯綜する謎の複雑さでも群を抜いていると思います。正体を隠して暮らす人とというのはロス・マクドナルドの作品に散々出尽くしたアイディアですが、それでも飽きさせないのはさすが。 | ||||
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