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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数745件
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日本推理作家協会賞を受賞していた先入観から
推理物を期待してしまったのが間違えだと読後に感じました。 女三代にわたる歴史絵巻を見た印象です。 現代編の瞳子が感じたように、その時代に存在しなかったにも関わらず、 戦後からの高度経済成長やバブルの世の中を まるで体験したように情景が浮かぶ物語でした 万葉の時代設定がなんとなく平安時代というか 大昔の物語の非現実世界を漂っていた感覚で読んでました。 (なんとなく竹取物語のかぐや姫と万葉集を連想していたからだと思う。) そんな中、要所要所で1970年、1980年代とリアルな時事も描かれた事によって、 本当にあった激動の日本の物語なんだなと年号によって意識が現実に引き戻される 不思議な体験を得ました。 この作品はミステリを意識して読まないで、 この物語を単純に楽しむのが良いと思います。 その時代毎の人々の思考、世代が変わった時のずれなど、 色々と印象的でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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著者の本は初めてです。
短編集だからという訳ではないですが、 何か強烈なものを受けたという感覚が得られませんでした ただ、なんと言うかSF、ホラー、ミステリと 多種多様な小説を描いている方なだけあり、不思議な世界観を味わいました。 死後150万年前の死体に関する「更新世の殺人」については、 設定が「星を継ぐもの」を思い出し、SFかな?と思いきや、 ジャンルがバカミスなのもあり、そのまま脱力。 「遺体の代弁者」はSFホラーを感じさせる 記憶を移植した話で、これは設定含めて好みでした。 |
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好みの小説で満足です。
記憶を持ったまま10ヶ月前の自分へ戻れる。 前半はそんなことが本当に可能なのか?と、選ばれたゲスト達が疑心暗鬼にかられます。 ただ、疑いつつも実際に体験したいという人間の心理・欲望が見えるのが面白いです。 恋愛にしても競馬でのお金儲けにしても、物ではなく、 物理的には存在しない情報や経験の重要性を再認識しました。 カオス理論のお話が途中にでますが、 初期動作が変わればどんどん未来が変化していく。 そして何がきっかけか分からないまま、ゲスト達が次々と怪死を遂げていく。 この不安要素の作りが巧くミステリの謎となっています。 この手の小説での既視感はあるものの、 それが変に裏切らない安定した面白さで、結末に至ってもこれは好みでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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あだ名で呼び合う犯人たち、
トランプのくじ引きで決めた四重交換殺人、 計画の齟齬により2転3転する構成など。 ミステリの読み所が豊富。 4人ものは、登場人物に頭を悩ませないで済むので、 巻き起こる事件のパズルに集中できるのがとても好みです。 ただ、何故だろう・・・。 舞台は巧妙で、驚きの要素が多く凄い作品だと感じているのに、 何かがパっとせず、印象的ではないのが勿体無く感じました。 感情的ではないからか、淡々と理論的な為なのか、文体なのかわかりませんが、 真相が明かされても衝撃が弱かったです。 (もっと凄い作品となりそうな勿体無さを感じてしまいました) 交換殺人、トランプ、などなど、 扱う道具の活用が非常に巧いと感じた本格モノ。 久々に著者の本を読みましたが、とても面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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囁きシリーズや館シリーズで感じていた
著者の雰囲気を十分に堪能できた作品でした。 ただ、いろんなランキングなどに取り上げられた事が 私には余計な期待を持ってしまい、本格物ではなかった印象が、 物足りなさを感じてしまいました。 そんな事を考えた時に、ふと十角館の当時の事を思い出しました。 私は十角館でミステリの小説にハマった口ですが、 その頃、身の回りにいた私よりも年配で乱歩や横溝、 黄金期の海外ミステリを多く読まれていた読者の方が 十角館をあまり好んでいなかった状況がありました。 この時の感覚がそのまま10年単位でスライドしたんだと思いました。 今の若い世代がどういう物が好みかを研究把握され、 それらの事を巧くミステリに取り入れ昇華している。 そんな事を感じました。 アニメやコミックなど複数のメディア展開など、 これを機にミステリが好きな世代が増えればよいなと思う所と、 デビューから20年経った状況で同じ事をやってのける著者の偉大さを感じた気がしました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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自衛隊内の監視が厳しい一室に盗聴器が仕掛けられていた。どうやって?目的は?
大きな起伏なく淡々と進むストーリーで殺人も起こらないのですが、 状況推理で全貌を解けていく流れはミステリを感じました。 謎解きも然る事ながら、普段見慣れない航空自衛官内の内情がとても面白く読めました。 読後、著者の事をwikiで見たら航空自衛隊の方だったのですね。 階級の事や業務内容について、特に空の監視である対空レーダーについては、 普段なにも見えない空でも電磁波が飛び交い、 敵からの妨害電波を監視して国民を守っている自衛隊の業務があるのだと。認識しました。 こんな感想だと固いお国のお話に思われそうですが、 中身は軽妙でユーモアが溢れおり、とても読みやすかったです。 意外な真相や裏切られた嫌な気持ちもなく、爽やかな読後も良い感じでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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科学捜査にて犯人を追いつめていく1作目とは違い、
殺し屋からターゲットを守る展開は、期待していた勢いと異なるものでした。 犯人も目的も提示されている状態なので、何かを無性に知りたい。といった欲求が生まれず、 読書スピードが文庫下巻中盤まで失速気味でした。 が、 終盤の真相にかけては怒涛の展開で唸ります。 1作目で得た印象との比較での気持ちなだけで、作品単体ではとても素晴らしい作品でした。 ライムとダンサーの対決がシリーズ最終決戦のような意気込みだと感じたり、 ライムとアメリアの関係など、もっと後半で出しても良さそうなネタを2作目でやってしまうんだ。 と贅沢な印象を受けました。 この刊行後に3作目以降のシリーズ化を行う事が決まった模様なので、 シリーズを念頭になかった本作では、やり残す事がないように事件も人間模様も濃密に描いたんだと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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デスゲームモノ。
著者の過去3作読んできているので傾向を踏まえての読書ですが、 これはダメでした。 緊張感が無かったりキャラが記号だったり、 そういうのは今まで通りなので全然問題ないのですが、 今回は楽しみ要素のゲームの内容にまったく魅力がありませんでした。 ゲームにしても、相手を自由に動かせる超能力者がいたり、 麻薬常習犯なので発言の内容は嘘か本当か自分でもわからない。 など、謎を考えても無駄であり、ルールが破綻してます。 過去作からルールが破綻していると言われているから、 今回は穴を隠す事なく全面的に崩壊させた投げやり感でした。 |
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ハイジャック中に起きた謎の殺人事件。
飛行機内の閉鎖空間で何が起きたのか? と、証拠検証や推理、 議論していく展開はとても面白く読めました。 ですが、ハイジャックやこの特殊な空間は 物語の為の舞台設定で必要なのはわかるのですが、 空間内の雰囲気にとても違和感がありました。 200名以上の人質がいる中の緊迫感はなく、 腕に抱いている赤ん坊は最初から動作なし。 (ぐずって泣いたり、暴れたりしないのかな?) 純粋に謎解きを楽しめるように、パニック状況を極力省き、 ハイジャック中と言うことを忘れない程度に イベントを挟む苦労を感じてしまいました。 読んでいて楽しいのですが、 臨場感のない奇妙な違和感には馴染めませんでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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デス・ゲーム系の小説。好みです。
「二つの箱のどちらかを開ければ上階への扉は開かれる。」 アイテムを得るか死を迎えるか。 いつもながら面白いアイディアなのですが、 もっと良くなりそうな期待を受けつつも、もどかしく終わります。 前作までの傾向と同じで、 死のゲームなのにあまり緊張感がなく、主人公の思考が肌に合わないのは、 あえてやっている設定なのかなと思いました。 予想外な展開はあまり生まれず、 淡々とゲームを進行している印象を受けました。 毎度いろいろと不満をこぼしてしまうのですが、 それだけ扱うネタが好きなので、ついつい読みたくなる不思議な作家さんです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ネット世界で知り合った面々が、役を演じながら架空遊戯を行うアイディアが良いです。
人物も匿名。それぞれの発言も本心の言葉なのか、役を演じているセリフなのか分からない。 この先どんな展開になるのか読めない魅力があります。 また、見慣れた古典的なミステリを感じさせつつも、 描かれる情景は現代的で文章も読みやすい為、 これからミステリを読む人には薦めやすい本だとも思いました。 個人的な好みとしては、閉じ込められたクローズド・サークルで 場面展開や他者が介入する街中の移動などを無くし、 制限された空間での架空遊戯が見たかったかなと思う所です。 ただ、そう言った限定した空間の殺伐とした雰囲気と本書は違う位置にあり、 爽やかで綺麗にまとまった作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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音を色として認識する共感覚の扱いが巧く、
不思議な新しさを感じたミステリでした。 相手の声色で心理状況はもちろん、犯人までわかると述べる探偵。 この探偵の能力が嘘なのか本物なのかの疑心を交えて話は進行しつつ、 当の探偵は犯人が分かっているから証拠集めに専念して行動する。 倒叙ミステリのようで、そうではないユニークな進行でした。 本書を手に取った時はライトノベルで良く見られる、 設定とキャラ立ちが強い小説かと思いました。 ですが読み終わってみると、細かな伏線が多く散りばめられたミステリとも感じ、 特殊能力系のミステリの逸脱した雰囲気に負けない真相もインパクト大で、 なかなか面白い小説でした。 肌に合わなかった点としては、 無能な助手としてヘイスティングズ扱いを受けている山紫郎の行動や思考が 最後まで好みに合わず不快でした。 引き立て役なのか、その分他の人物が魅力的でした。 コテコテの本格ミステリと違って、 特殊能力で解決していく内容は好みが分かれそうですが、 私には個性的な作品で面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリーではなかったのですが、
ホラー文学と言いますか、不思議な魅力を味わえたのが良かった作品です。 内容は総じて不気味で「ぼっけえきょうてぇ」然り、 文章表現される岡山の方言が怪談の雰囲気を一層醸し出していました。 女郎が客に対して話しかける独り語りの構成ですが、 これもある種、怖いものに触れて 身動き取れなくなっている変な緊張感を味わえる不思議な仕掛けを感じます。 映像化された作品でもあり、 そちらはグロい表現を強調したものになっている模様です。 ただ、この文章の独特の雰囲気は小説ならではの魅力であり、 映像では違った所を制作陣の好みも相まって惹きだす結果になったのだと感じました。 表題作は40P台の短い小説ですが、 長編のごとく、とても濃いものを読んだ気持ちになりました。 |
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邪馬台国はどこですか?に続く2作目。
本書はアトランティス、ストーンヘンジ、ピラミッドの謎である、 あれは何なのか?なぜ存在するのか?などを新解釈していく小説です。 前作より評判が劣りますが、私はこちらの方が好みでした。 ピラミッドについて1990年以前は奴隷が作っていたものと解釈されていましたが、 現代の研究では、きちんとした雇用と専門の技術者でつくられている事がわかっている。など、 歴史の解釈は現実的に変化しています。 本書で掲げる珍説は、前作以上に「これは無いだろう」と感じるのですが、 頭の片隅では、「でも…もしかしたらアリかも」。と、その発想に惹かれるものがありました。 世界の七不思議を日本らしく解釈している珍説でまとめてあり、、 特にストーンヘンジの解釈については、とても素晴らしく思いました。 面白い小説です。 |
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