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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数738件
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前作の密室を開けないまま推理を展開する「扉は閉ざされたまま」に続く、特殊なシーンを描いた倒叙式ミステリ。
今作は、社長を殺そうと企む梶間。梶間に殺されたい社長。前作に続く超頭脳の探偵役の碓氷優佳。計3名による頭脳戦です。 目的を見ると『被害者+加害者 vs 探偵』と、被害者と加害者の意志が協力している所が斬新でした。 冒頭の著者の言葉にある通り、 「事件が起きるまで」を丁寧に書かれた、他であまり類を見ない作品で、 事件が起きなくてもミステリとして楽しむ事ができるという事と、 究極の探偵を描くことに成功している1作とも思えました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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奇術師の集まる客船ウコン号で起こる奇妙な連続殺人事件。
著者自身が奇術師なのもあり、奇術の情景が良く描かれたミステリです。 また、言葉遊びを用いて回文を散りばめているのが面白いです。 これは、とても泡坂作品らしい作品だと感じました。 背景はちょっと重めな話を扱ってたのですが、 呑んだくれのダメ奇術師と若くて美人の弟子のコンビや 回文遊びなどが相まってユーモアな作品に仕上がっていると思います。 見出しを簡単に抜き出すだけでも 期待を抱き、危険劇、どこまで真(まこと) と言った具合に回文尽くしです。 奇術と回文を巧く用いた作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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一時期本屋さんでたくさん並んでました。
読み終わった感想としては凄いのを平積みにしたなと感服です。 多くの人々に嫌な気分を味あわせるであろうこの文体は凄いです。 この点が好みと言うと変に思われそうですが、 こう描ける筆力は本当にすごいと思います。 ミステリの感じはあくまで活用した程度で、この点で期待すると違う印象を持ちます。 途中まで好みに合わずでしたが、最後の章あたりで作者のやりたい事が感じられて、 なるほどと思った次第です。 また、巧くドグラ・マグラを取り入れたか意識している作品だと思いました。 両方の作品を読んだ方は何の事か感じるかと思います。 個人的には第8章で終わらせたら 色々と物議を醸して面白いかなと思ったりしましたが、 それはそれで難しい作品になっちゃいますね。 陰鬱な情景に目が行きがちですが、構成もよく出来ている作品だと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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絵画の世界や過去の世界の住人に精神が乗り移り、その世界で事件に遭遇する。
不思議な世界の短編集です。 なんともいえない特殊な設定を、硬質に感じる文章で描かれていて少し苦手でした。 ただ、序盤を乗り越え、作風に慣れた頃に挟まれた表題の「ゴーレムの檻」。 これは面白かったです。 檻の内側と外側の空間を反転させると謎の言葉を残して消失した 密室トリックとその動機が斬新でした。 短編集最後に収録された、現代版「ゴーレムの檻」の太陽殿のイシスも 物語の作りが巧い。 序盤、慣れが必要でしたが独特の雰囲気が面白い作品でした。 |
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人の心。心理状況を正しくも悪くも
深読みもできる想像力が長けている作家さんだと今回は強く思いました。 人が接触した時に交わされる心模様を 明るく爽やかに描くのとは逆で、 ミステリの謎で分からない心理状況である不安さを巧く活用して 毎回違った心の物語を作っている気がします。 著者の作品は読み終わって、楽しかった、気分が晴れる。 とは違った複雑な気分を持ってしまうのですが、 それぞれどういう言葉で区別したらいいか分からないような、 毎回違った物語が魅力的だと思いました。 |
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とりあえず、"殺人事件"を付けてみました。
と言わんばかりの、サラリーマンを対象にした娯楽小説。 主人公は30歳。上司と後輩に挟まれた位置にいるサラリーマン。 アクセク会社の為に一生懸命に働き、休みたいのに休むのが怖い。 仕事の苦悩、家庭での奥さんとのすれ違い。 そんな心境を共感する読者がターゲットだと思います。 一応、登場する人々の場である会社で殺人事件が発生し、 ちゃんと推理をして犯人を導く内容はあるのですが、 ミステリーの要素は少なめです。 なんというか、飲み屋で聞きそうな愚痴、共感してほしい悩みなどが たくさん吐き出されている本でした。 以下、本編とは関係ない雑文です。 ネタばれでもなく、あえてミステリとしてこの本を深読みしてみると、 サラリーマンの苦悩の果てに発生する事件の真犯人は"会社"であるとも感じます。 本文中にも出てきますが、「会社に殺される。」という比喩の活用で、 意外な犯人=会社という構造が面白いと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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目張りされた密室、敷き詰められたラベンダー、充満する花の香り。
吉村達也のシリーズ作品はお手軽でさっと読める推理作品が多く、これもその1冊です。 本自体に香料インクでラベンダーの香りを入れている仕掛けもあり、 "香り"が特徴的な作品で使い方も巧いです。 元々短編だった事もあり、短めでさらっと読める作品にしては、 犯人を特定する方法や、敷き詰められたラベンダーの目的の意外性もあり、なかなか面白かったです。 特に本書で特徴的な香りの使い方が見事です。 あまり類を見ない臭覚を巧く活用した作品の1つだと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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トリックメーカーの著者が仕掛けた連続する不可能状況+密室劇。
ドアの開かなくなった事故車から出てきたのは、無傷の男性と内臓を取り出された女性。 事故の直前にすれ違ったドライバーは2人は生きていた事を証言する。 この不可能状況から一気に魅了されました。 その後も関係者の屋敷で起こる怪奇現象や新たな密室。 前作の武家屋敷の殺人を読んだ時の楽しさ同様、 1冊の中にいくつもの仕掛けを施した贅沢な作品でした。 ただ、トリックの奇抜さはとても楽しかったのですが、 「そうだったんだ!」と驚かされたわけではなく、 「そんなことがあったんだ…」と傍観者の気分での読了でした。 何となく思うところですが、 読者が探偵と刑事達から離れた位置で情報を零れ見ている距離感があり、 気持ちが事件に深く介入してなかった気がします。 なので真相を聞いても驚けなかったかな……と。 とは言え、第1の事件の真相のインパクトは強烈だったのは確かなので、 少し残念な読了でした。 それにしても著者からは本格やトリックに対する愛情が強く感じられ今後も読んでみたい作家さんになりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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感想が難しい…。
内容とは関係ない感じた事の感想です。 本格ミステリ大賞作品ですが、 私にはその本格やミステリの印象よりも、 自分の中にある心の闇のようなものを浮き出された感覚を受けた作品でした。 ミステリの雰囲気で多くを語らず何が起きているか分からないまま話が進むのですが、 要所要所に出てくる単語から連想するイメージに後ろめたさや悪い事を勝手に想像してしまいました。 その連想する思考を持っているから、変な方向に勝手に振り回されて 怖がったり疑ったりしたわけで、 純粋な気持ちで作品を俯瞰して見るとなんでもないようにも思えたりと、 なんと言いますか、心理を操られた気持ちでした。 好みの面で点数は低いですが、こういう作品が書けるのは凄く、 他の作品にも惹かれる気持ちになりました。 |
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麻耶雄嵩氏の作品はたびたび、探偵の存在を問いかけるテーマが隠されていると感じます。
ミステリに探偵は必要ですか?と言ったニュアンスです。 本作での貴族探偵は"探偵"でありながら推理をしません。 推理して一同に伝えるなんて労働は貴族のする事ではないので信頼する優秀な使用人に任せる。と言ったキャラでした。 推理を放棄(断念?)するという要素の問い掛けは過去作でもありましたが、 今作では貴族という特徴を生かして変わった探偵を作りだしていたのが特徴的で面白いと感じました。 短編集に収まっている各話のタイトルも ワルツ王のヨハンシュトラウス2世の曲名からとられており、 貴族である優雅な雰囲気を引き出していると思います。 シュトラウス2世は個人的に好きな作曲家なので 物語にどう絡んでくるのかと淡い期待を抱きましたが、 そこはあまり関係が感じられませんでした。 貴族の扱いについても探偵の存在に活用されている傾向で、 事件の謎にはあまり関与してなかったのが個人的に残念でした。 貴族ならではの舞台や仕掛けが絡んできたらと、期待していた次第です。 物語の中では、こうもりが巧い仕掛けだと思いますが、 ロジカルに解決するのが目立つ加速度円舞曲が一番好みでした。 |
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驚いたと言う声を良く聞いていたのでどんな仕掛けの本かと思いましたが、
これはそこだけピックアップする1発ネタの本ではない印象でした。 個人的には多種多様な考え方や感情表現を感じる作品でした。 当たり前ですが、同じ人間でも様々な考え方や感情があります。 男と女、感情表現の高い人・低い人。正義と悪。日本人と外人。異性が好き、興味ない。など 多くの対比の要素を組み合わせた人々が登場します。 そんな人達の会話や考え方が面白く、読んでいて、あぁそんな考え方があるんだ。と感じました。 印象的なのがブータン人のドルジで、ブータン人は生まれ変わりを信じている。 なので輪廻転生の長い時の中で知り合えた人の幸せを願うし、 死を恐れないから活動も積極的になれる。こんな感覚はいいなぁ。と思います。 軽妙でいて深く心にひっかかる言葉を読んで楽しみましたが、 些細な事が現在と過去の何が起きたか先が気になる謎に絡んでくる作りも巧いです。 引っ越ししてきたばかりで状況が分からない椎名と共に、 読者の私は物語に翻弄された感じでした。 ペット殺しの嫌な感じや登場人物達の物語の結末に心沈むものがあったので 少し好みとは逸れて点数低いですが、作品は凄いと思ってます。 |
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ミステリともホラーともどっちつかずの不思議な内容。
学校の七不思議のように誰が始めたか分からない 不気味な伝承が本書ではサヨコと言う名で存在します。 子どもの頃は学校の七不思議など、怪談というものは友達との会話のネタでしたが、 結局なんだかわからないないまま卒業(成長)と共に忘れてしまっていました。 あの学校と言う空間の中で共有する恐怖というか、今考えると科学的でもない不思議な共有感覚です。 その子供心でのあの不思議な話は結局なんだったのか……。と一瞬思いつつ、 ま、いっか。そんな事もあったっけ。と、自然と他の事に夢中になり視点が向かなくなる。 こんな感覚を大人が触れるような物語だと感じました。 |
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この小説は、事件が起きて謎を解決するジャンルのミステリではありません。
勝つ為には後輩を犠牲に何だってすると噂されている エースへの疑心などがミステリの要素として存在しますが、 半分以上はロードレースを魅力的に知る物語でした。 が、これはこれで凄く面白かったです。 ロードレースの事をまったく知らないで読みました。 自転車で競走して1位を目指すぐらいの感覚でしたが、 実は個人競技ではなく、団体競技であって仲間をサポートしながらチームで戦うなんて事を初めて知りました。 エースをゴールへ導くために他のアシスト達が風を受け、他選手を誘導し、事故が起きたらタイヤを受け渡す。 そんな試合中の雰囲気や、選手たちの葛藤などに凄く引き込まれました。 結末は納得しかねるものでしたが十分楽しめました。 続編もある模様なので読んでみたいと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは良かった。好みな要素満載でした。
魔法の世界も本格物も私の好みの内容。 期待が膨らみながら読みましたが、それに応える面白さだったので大満足。 魔法の世界とはいえ、いきなり突拍子もない設定が飛び出す訳ではなく、 あくまで読者に納得できる世界観を提示した上での物語なので理不尽に感じる事はありません。 事件の主題は、操りの魔術によりソロンの領主を殺害した人物を見つけ出す事。 魔法が存在する世界であろうと、<走狗>(操られた人物の事)は彼である。また彼ではない。と、 理由をロジカルに導く様が本格物であることを感じました。 その他、 不死の青年の密室からの消失の謎や、 呪われたデーン人との戦いなど読ませ所もあり、 ファンタジーの物語と本格ミステリを巧く融合させた一冊だと感じました。 またこの様な魔法の世界観に沿った新たな物語を読みたいものです。(続編ではなく) 良作でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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好みのミステリとは違う分野でしたが、
馴染みのないカトリックの話など興味深く読み楽しめました。 新進気鋭の彫刻家、藤原道生が作成したレプリカのピエタの像が破壊されて落ち込む中、 マリア様のお導きによりレプリカではなく新たなピエタ像の制作を始める。 が、それから数日後、自宅で死んでいるのが発見された。 ピエタの像は何故破壊されたのか。また道生は殺されたのか。 それともピエタの像を作成する事の苦悩からの自殺なのか。事件の謎が発生する。 ミステリの事件の提示が行われたあとは、 ピエタの像やマリアについてのカトリック、プロテスタントの宗教感を感じる内容でした。 バチカンにてピエタ像を実際に見たこともあったので、 当時を思い出しながら本書に書かれている教養を興味深く読みました。 事件や登場する人々の行動や事象が論理的はなく超常的で、 マリアの啓示や奇跡であると感銘を受けながら解決していく様子は共感し辛く、 好みのミステリとは違うものでした。 クリスチャンの方が読むとまた違った感想を抱かれると思いました。 読み終わって思う所は、この本はマリアに対する新説を世に広める為の物語だという事でした。 作中の真理夫が語るように日本における信徒数は人口の0.35%の45万人とわずかですが その背後には世界約11億人の信徒のいるカトリック教会が控えている。 信徒にとって、いままで信じてきたマリアを否定する行為はとても危険な行動です。 表だっては伝えられない内容を小説の形を借りて伝えたかったのだと思いました。 元々のマリアの啓示や奇跡の知識が自分になかったので、 そうだったのか。と新たな驚きにはならなかったのが残念です。 道生や真理夫の行動が歴史を参考に表現していて楽しめる所だと思うのですが、 自分自身、神学について知識が足りない為、理解がむずかしく感じる所が多かったです。 読後にyoutubeを見たりwikiを見直してみて理解した事もあるので、 ある程度の予備知識を持ってから読むと良い本だと思いました。 似た本として、映画にもなったダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』がありますが、 あれは信徒でなくても目に触れ、馴染みのあるモナリザや最後の審判の絵画を扱ったので 信徒でない読者でも入りやすかったのですが、 本作はマリアの啓示や奇跡を扱う為、 予備知識の頭で感じるか、経験がないと難しい本だと思いました。 |
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1作目、2作目の期待とは違う方向へ行ってしまった作品。
好みの問題もありますが、とても残念でした。 雑誌掲載における連作の時間の中で、 1、2作目読んだ人へ意外性を与える為にとられた方法としては、この選択肢はアリで、 やろうとしている仕掛けやテーマは好感です。 ですが、全体的に事件やトリックなどの説明箇所が煩雑で、 こういう人たちだから。こういう設定だから。と、 理論的ではなく場や感触でごまかしてしまっている印象をとても受けました。 1,2作目を読んだ人が前提の補足作りです。 先出しフォローみたいで面白い表現が、 P145付近のザンギャ君が 『ざけんな』 と言って 頭狂人が 『実はこの反応が見たかったんだよ。今回はこれがテーマだった。 人間というのは結局、自分の価値観に合ったものしか認めたがらない生き物なんだね。』 と言う所。 頭狂人の気持ちが作者の気持ちで、 本書はこういう実験的なものがテーマだったんじゃないかなと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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気付いたら新刊が楽しみになってしまった作者のこのシリーズ。
作者の本を読むのが初めての方は、 いきなり本書から読んでも肌に合わないだけになる恐れがあるので、 『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』などのバカミスのシリーズを先に読み、バカミスに心を開いておく準備が必要です 登場人物達に言わせている作者の想い。 ・ある種のバカミスを読むと元気がでる。 ・マニア向けで版が少なくても希少価値がでる。 ・文芸のなせる芸術。 などなど、 作品作りの想いが強く感じる、物語そっちの気の趣向の本です。 今回は趣向に凝り過ぎて物語に面白みがなかったのが正直な所です。 物語と仕掛けが密接していた三崎黒鳥館白鳥館の方が完成度は高い印象でした。 後半の事件の解決編を読んでいる最中でも今回は期待し過ぎたかな。 と低印象でしたが、最後良い意味で気持ちが吹っ飛びました。 いままでシリーズを読んできた人も翻弄する 三崎黒鳥館白鳥館、新世界崩壊の先を行ってしまった本書。 作者のバカミスにかける思いがここまで来ると感動的で、 歴史に残る作品作りっていいなと、不思議な心情になりました。 作者の走り続ける姿に拍手。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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リンカーン・ライムシリーズ1作目。
ジェットコースター・サスペンスの名にふさわしく、 目まぐるしく事件の発生と捜査劇が展開され、 文庫上下のボリュームもあっという間に読めました。 ライムは卓越した頭脳を持つ元科学捜査官であったが、 事故で脊椎不随になり、動くのは首から上と左手の薬指だけ。 ベッドの上で死にたいと尊厳死を求める日々である。 医師より念願の死を受けられる前日に 刑事より不可解な事件の調査協力を求められ、妥協で1日だけ協力する。 安楽椅子探偵物にもなりますが、 科学捜査や知識の提示方法のスピードと緊張感が面白く、 またそれに負けないぐらいスピーディーに猟奇的な連続殺人が発生するのが見ものでした。 推理小説における謎が提示されて読者と一緒に考える。と言うスタンスとは違い、 読者が知らない科学捜査や事件の現場を体験する構成となってます。 ここが結構徹底されて作られていると感じた所で、 読者に考える時間を与えない。科学捜査であっても、難しすぎる用語は控え思考を停止させない。 知的好奇心を刺激する捜査と事件を頻繁に発生させる。 作り方が巧い。ジェットコースター・サスペンス。なるほどって思いました。 とても面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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