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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数738件
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ミステリ好きの心をくすぐる『館』『島』と言うシンプルなタイトル。
孤島に建築された六角形の館で起こる事件。 そして嵐の為のクローズド・サークル。 建築家や六角形の館など、 綾辻行人の十角館のオマージュ作品として感じ、 それが良い効果を持っていて好感的な作品です。 また、お決まりのミステリのガジェットは抑えつつ、 そこにテンポ良いユーモアを交えてあるので、 気軽にミステリの楽しい所を感じとれる本だと思いました。 トリックがとても分かりやすく提示されてますが、 それはそれで安心して読めますし、 館の存在理由が物語とちゃんと一体になって意味があるのが良かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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幻想的といいますか宗教的といいますか、
本編にもあります蝋燭の炎の揺らぎの様な、 輪郭が定まらない不思議な世界でした。 ミステリのわかりやすい要素を挙げるとしたら、 穹廬(テント)の中でおきた密室殺人ですが、 このトリックも本書の不思議な世界により意識がぼやけ、 大胆な仕掛けが見えなくなってました。 端的に述べられる文とそこから生み出される幻想とで 不思議な魅了を受けます。読後の余韻も不思議なものでした。 |
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表紙のイラストから軽いテイストを感じさせますが、
創元推理から出版で、鮎川哲也賞佳作がうなずける、中々良くできたミステリでした。 実の所、この表紙によって中に登場するキャラクター造形が頭の中で定着してしまい、 この表紙じゃなかったら別の画が浮かぶ気がします。 悪い言い方をしてしまうと文章での表現でキャラの個性が思い浮かび辛くて、 このセリフが誰のものなのか。男なのか女なのかイメージし辛い面がありました。 なので表紙のイメージと昔読んだ何かのマンガの記憶の画が浮かびながら読みました。 気になったのはそのぐらいで、 爽やかな青春小説として楽しめましたし、 トリックや動機についても読了後の気持ちはとても良いものでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ラストで覆る5つの物語が入った短編集です。
ミステリの醍醐味でもある最後に世界が変わる様が味わえるのは良かったです。 気軽に読みやすい『恋煩い』『嘘つき紳士』が好みでした。 『妖精の学校』については、調べてから色々考えさせられた話で深いなと思いました。 『終の童話』に至っては私の中での北山さんらしい一面が強く感じる作品でした。 物理の北山と言われてますが、こういった幻想や童話的な世界感の下地があるから現実的な物理ものが強調されるんだろうな。 そんな事を感じました。 |
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捻くれ感がとても強く感じてそこが良い意味で個性的に感じられた作品です。
ゾンビ映画の撮影をしようと廃墟に訪れた所、死体が発見されます。 通常ならここから事件発生でドタバタし始める所、この作品では、 騒いで警察来て事情聴取されても面倒だから、気にせず撮影しよう。 と、めんどくさい。他人と関わりたくないオーラ全開の思考展開が面白いです。 生きている価値がないと思う自分自身がゾンビであり、 実際に死んでる死体は注目されることで生を感じて羨ましい。など、 死体を通じて取り巻く、引きこもりの思考や行動が私には斬新で楽しめました。 死体消失の謎や動機にも唸りました。 不思議な面白さがある作品です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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圧巻のボリュームでした。
広範囲に情報量を散りばめておき、 それらがページを読むごとに絶妙に絡みあってきます。 読むごとに新しい発見があるので止め時が見つかりませんでした。 SF的な内容でもあるし、ミステリとしての面白さもある。 かと言えば人権、人種問題。戦争、核、サイバー脅威、科学などを使った 冒険物、アクション、などなど色々含まれています。 意外と凄いなと思うのが、専門的に話しつつも言葉が判り易く伝えられてますし、 登場人物が外人のカタカナ名であっても特長や名前が区別しやい事。 ストレスを感じさせない事が標準。というぐらい苦なく読ませる表現や文章作りは凄いです。 ネタバレなしで、 本書で一番巧く印象に残ったシーンは、 イエーガーたちが森の中でサル集団に出くわし、猟奇的な場面に出くわすシーンでした。 人間より知能の劣るものたちの争いを見つめる様、 ライフルで射殺し文明の差を表現する内容など。 2,3ページのシーンですが、本書全体をとても凝縮させて表現している1シーンだと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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仲間の汚名を明日までに解決できるのか?と、
タイムリミットがある内容ながら慌ただしい話になっていないのが印象的。 内容の展開は確かに早いのですが、重みのある会話。地道な捜査。 根強い仲間の協力を得る事で淡々と事件の概要を把握して行った為、 ずっしりと重みを感じる内容でした。 ただ、地味なので好みに合わないのが正直な所です。 警察小説ってどんな本?と聞かれればこの本が出るのも頷ける作品でした。 |
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第1話目『殺人現場では靴をお脱ぎください』を読んだ時の感想では、
1つの事柄から事件をひも解く執事の様が安楽椅子探偵として面白いと思いました。 短編ミステリとして謎の散りばめ方と解決の展開 そして、本書のキャラクターの個性の露出のバランスが良くできています。 短編集なので、謎の違いがあれどこのまま後半にも期待していたのですが、 面白かったのはこの1話目だけで、 あとは謎解き要素は薄く、キャラクターで引っ張っている印象を受けたのが正直残念な気持ちでした。 以下は、主に2話目以降について。 良く言えば軽妙なテンポとして読みやすくはありますが、 この作品ならではの個性が見えづらく、 また軽妙故にずっしとした深みが得られず印象に残らなかったのが正直な感想です。 読書をした人に印象に残る所は?と感想を尋ねると お嬢様に対する執事の態度やセリフの可笑しさがまず挙がり、 事件はなんだったか記憶に残りません。 印象に残るポイントがある時点で これはこれでとても凄い事ですが、私としては、 お嬢様と執事と言えばこの作品か?、富豪の刑事と言えばこの作品か? など、何かしらの要素をピックアップした時に他の作品が浮かんでしまうのでキャラ物としても個性が弱く感じられました。 この作品ならではの良さを見たかったです。 もっと良いシリーズになりそうな気がするのに、 なんだか勿体なく残念な気持ちになりました。 ※追記 後で知りましたが、2話目以降は1話目から2年後に掲載媒体を変えて世に出てました。 媒体に沿った作品作りだったのかもしれないですね。 |
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表紙やタイトルに惹かれて購入しました。
一見無意味だと思われる出来事が、 散りばめられた死神の殺人フラグというのが面白い発想でした。 このセリフが出たら死亡とか、にやりとする場面がいくつかあり、 頭を使わない娯楽小説として楽しめました。 語り手の陣内や探偵役の本宮を見ていると キャラ物としても活かせる路線を感じるのですが、 それ以外の登場人物、特に死神や編集長は個性的にしようとしているけど 話に絡む場面が少ないので活かし切れてない感じです。 松重が一番良く描かれていました。 作品として個性的な要素が出せるポイントが多そうなのに、 読後は特出した気持ちが残らない勿体無い作品だと思いました。 ミステリでよくある探偵がドミノ倒しのように 理論的に事件を解決する颯爽とした雰囲気を 死神のフラグの連鎖で描いて欲しかったなと個人的に思いました。 文章は読みやすいので次作に期待です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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独白する…を読んだ後にページ数が少ない短編集をさっと読んでみようと手に取りました。
ミステリではないのは分かっていた上での読書と感想ですが、 この良い意味で不快な表現力はやはり凄い。たまに読みたくなる変な中毒性を感じました。 |
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多重人格を扱ったサスペンスストーリーとして、
とても面白く読めました。 文庫版の帯には「騙された」と言った、 どんでん返しを期待させるキャッチコピーがあった模様ですが、 それに期待して本書を読むと読みたかった内容との違いに戸惑ってしまうと思います。 話は各登場人物たちが知り合った1人の女性が行方不明になる所から始まります。 それぞれの人たちと接している時の1人の女性の像が異なり、 女性と接した人たちの話を聞いていく中で、 同一人物なのか?もしかして多重人格者だったのか? なぜ多重人格になってしまったんだろう? と言った感じに謎が展開されます。 このストーリーの展開はとてもテンポが良くて判りやすく、 そして1つの殺人事件の謎とも絡まってきて中々面白かったです。 ちょっと残念だったのが、 文庫化するにあたって最終章のモノローグ4を封印します。と言った作者のコメント。 この一言は余計だと思いました。 正直あってもなくても伏線が効いてくる内容でなく、 余談みたいなものなので、 読者にあるなしを選ばせるのではなく、 作者が1つの作品としてどっちかに決めてしまったらよいと思いました。 帯のコピー然り、余計な文章が読者に意図しない印象を与えてしまい、 勿体無いと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリではなく、SFになると思いますが、
SFとも違う。単純なジャンル分けに収まらない作品だと感じます。 世の評判とあらすじを見てもさっぱり内容が判らず、 どんなものかと手に取り読みましたが、なるほど。。。これは凄くて表現できない。 近未来を舞台とした殺戮の物語。 虐殺を駆り立てる切っ掛けとなる虐殺の文法。言語とは何か?と言う この小説では見えやすい目的を軸に宗教観や生物、言語や思考を リアルなSFの世界感で包んで物語にした上で頭に入れられた感じです。 世界観に圧倒。凄いものを読んだ読了感です。面白かった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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作者自ら描いた絵を挿入しミステリに絡ませた独自の作品作りに感銘を受けました。
美術の先生という事もあり図像学による絵画を読み解く話はとても面白いです。 絵の見方・楽しさに触れた気がします。 他の作品を先に読んでからこのデビュー作を読みましたが、 作中に流れる独特の雰囲気や若い女性の印象は作者の持ち味だと感じました。 今作で扱われる題材は複合的で、かつマニアック。 人におすすめし辛い難しさがありますが、 いくつもの仕掛けを独特な美術の世界で包んだ本書はとても贅沢な作品だと思いました。 仕掛けの感想はネタバレで。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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謎解きの好みは低いので点数抑えました。
この作品の味わいどころは謎解きより、香菜里屋のバーでした。 ゆったりとした作品の雰囲気は香菜里屋の店の雰囲気を良く引き立てています。 落ち着いていて、文体にふんわりとして、謎は酔わない程度に触れる感じ。 料理もとても美味しそうです。 店に訪れるお客さん同様に、 解決の糸口になるマスターの一言をどこかで期待している自分が常にいました。 |
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袋とじミステリの元祖とも言える作品。
奇術師が仕掛ける大マジック。復讐を成し遂げ、殺人を犯し、自分も殺される。 と言ったキャッチコピーの結末が袋とじされている本です。 前半から唐突に始まる裁判模様から興味を惹きました。 無実を訴える被告人に対して、 現場に残された被害者と思われる血液や 焼却された骨の一部を突き付けられます。 古典的な雰囲気の中、何が起きたのか?事件の全貌を読み進める本です。 結末の真相における仕掛けは、とても物足りなく感じてしまいました。 当時は大トリックでも今では1つの構成として見慣れている為です。 ただ、ストーリーやサスペンスとしての面白さはしっかりしていて なかなかの傑作でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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