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掏摸
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掏摸の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全144件 121~140 7/8ページ
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中村文則「掏摸」を読了。ミステリの要素がたくさん含まれている文学作品です。なんといってもスピード感のある文体に読書のスピードも上がっていきます。また主人公のスタンスがなんといいますか、男にはしっくりくるのです。現金しか奪わない、すった財布はポストに入れる。不幸な子供に接するスタンス。また巨大な悪と対峙する姿勢。男なら物語の世界にはまることが出来ます。特に前半のスリのシーンは秀逸。凄いスピード感です。筆力を感じます。本作はミステリーの範疇に納まらない作品だからこその素晴らしさがあります。登場人物の背景すべてを語らないことや、答えを提示されていない疑問がたくさんあります。個人的には本作のスタンスで良いと思います。何故なら完全なミステリーではないから。そこに納得しないと本作の素晴らしさは見えてきません。 | ||||
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初めて読む著者だったが、前評判の良い作品だっただけに、読み進む内にその世界にどんどん引きこまれる。 続編のような形で『王国』も上梓されているので、そちらも読んでみたい。 | ||||
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男の悲哀感や厭世観が感じられないため、緊張感やスリルに欠ける印象。 女性の描き方、セックス描写は苦笑するほどステレオタイプ。 そして会話文にやたらと出てくる「…」がくどい。 風呂敷も畳まないし、読了後もなんだこれって感じでした。 鉄塔の意味づけもイマイチ。 大臣が暗殺されたり、殺し屋が出てきたりは伊坂幸太郎のゴールデンスランバーやグラスホッパーの設定と酷似。 設定は似ていても、比べようもないほど浅くて軽い小説でした。 軽くて読みやすいという点で☆2つかな。 | ||||
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中村文則氏の小説を読むのは今作で6作目ですが、この『掏摸』が最高傑作だと私は感じました。 読み手を巻き込むほどにスリリングなスリシーンの描写。 全てが謎の、ただただ絶大な権力を保持する木崎の常人離れした悪魔的思考。 映画一本分の時間で一気に読み上げるほどに文中にのめり込みました。 次作『王国』は、主人公の生業は違えど良く似た構図で、章数とページ数もほぼ同じなので今作を読んだ方はぜひ王国もオススメします。 | ||||
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思っていたより、波長が合いました。 ダメとわかっている穴にわざわざ落ちようと 自虐的な行動にでてしまう。 そんな悪夢を体験しているような気がしました。 自滅の快感は理解できます。 スリのテクニックの件も面白かったです。 夢中にさせてくれたので満点でした。 | ||||
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かなり暇な作品を選んでいた。 『銃』に比べて終始緊張感がない。買って損した。 大江作品に通じるものでないし、大江作品そのものもすでに古い。 グッバイ小説って感じになります。 大江健三郎は現代小説なるもののヒントを提示して欲しいです。 次回に期待しましょう〜 | ||||
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主人公のだめっぷりが嫌いな人は嫌いに なると思われる小説です。 スリというテーマは今までにないけど非常に 文学を感じました。 | ||||
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読み物としては楽しめたが、中村文則作品としては微妙な印象だ。 ここで描かれる悪人の像は定型的なものであり、そのことが影響して、物語全体の枠組みが、陳腐なものになってしまっているような印象を受けた。 | ||||
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エンディングと、悪を正当化していない点は好きです。 腕利きのスリが、巨悪な力に翻弄される話です。 主人公がスリを行う場面は緊迫感があってなかなかです。 特に、後半の見せ場のスリ・シーンはスピード感がありました。 スるときの手元のアップ、被害者の挙動、周囲の喧騒、 スリ師と被害者のツーショットのなどなど。 手品をいろんな角度から撮影しているカメラのようなイメージです。 しかし、全体としては私は物足りませんでした。 表紙や書き出しの文章イメージから、 アニメのデスノート的知能戦や、 展開が次から次へと変わるストーリーと期待しました。 一方で、話の展開がやや強引な気もしました。 主人公が自分の運命や言動を思い返すシーンは頻繁に出てきました。 これはスリの場面と、あえて対比させているのかな? でも抽象的(詩的?)な表現の出てくる部分が少し眠たくなりました。 主人公が物思いにふける後半の場面です。 登場人物のキャラクターが薄いので、イメージしにくかったです。 私は複雑な段取りのスリ場面もイメージしにくくかった。 ストーリーは別にしても、これは映画向きかなとも思いました。 でも実写にすると犯行場面の映像化が難しいかな。 SFや時代物でなく、現実世界の話ですが、 イマイチ、物語の世界観がふわっとしている印象でした。 | ||||
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木崎が、倒れて死のうとする主人公に「お前は、これから面白くなる世界を見ることができない。−−−−−これからこの国は面白くなるぞ。-----略-----大きく変わる。劇的に!」と言うが、結局それを書くだけの力がこの作者にないことを証明しただけだ。 芥川受賞作家にしては筆力に乏しい。 すべてにおいて、がっかりさせられた。 | ||||
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神が持つ絶対的な二面性である「崇拝と畏怖」の内、畏怖の面を強調した「底知れぬ悪意」とそれに操られる「運命」をテーマにしたものらしい。作者はドストエフスキーを意識している様で、特に「悪」の持つ魅力に惹かれている印象を受ける。それにしては、矮小な内容。「白いキリスト」を登場させた方が作品が引き締まるのに、そうした工夫さえ無い。肝心のスリの場面も、巻末の参考資料を引き写しただけの様に映り、軽過ぎて作品の意匠と合っていないだろう。 帯に「天才スリ師vs究極の悪」とあって、仰々しいが、単に小悪党が大悪党に弄ばれたと言うだけの話であって、それ以上のものではない。一人称の「僕」と「自分」がブレたり、不自然な比喩が目立つ文体だったり、中国語会話の時、「***」で誤魔化したり(今時、どんな小説でも正確な中国語を記す)、冷徹なプロのスリ師である筈の主人公が少年に優しく接したり、作者個人の心象風景である("あとがき"より)幻影的塔を作中に用いたり、勝手放題である。本作を読むまでもなく、「運命」が他人の手に委ねられたり、他人の手に委ねられる事が「運命」であろう筈はない。 また例えば、佐江子に関する記述が異様に少ないのも奇異。省略や、曖昧に書いておいて後は読者の想像力に任せる事を文学的だと勘違いしている節がある。それこそ、ドストエフスキーなら、佐江子に関するだけでも本作全体の半分程度量の筆を割くだろう。主人公と木崎の対決部分が少な過ぎるのは言うまでもない。この分量では、序章と言うに相応しく、読み応えがない。あるいは、本作を習作のつもりで書いたのかも知れないが。文学作品にもエンターテインメントにもなっていない何とも中途半端な作品。 | ||||
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天才スリ師の西村は、かつて一度だけ一緒に仕事をした「最悪の男」と呼ばれる木崎と 再会する。木崎は、再び彼に仕事を強要する。与えられた三つの仕事を期日までに こなさなければ明日はない。天才スリ師の腕は、おのれ自身を救えるのだろうか・・・。 読んでいて、黒くドロドロしたものを感じる。登場する人物全てが救いのない環境に 置かれている。はい上がりたくてもはい上がれない。その絶望的な状況に、読んでいて 暗い気持ちになる。主人公と最悪の男木崎。仕事を強要する者される者。危うい関係は いったいどうなるのか?ラストまで一気に読ませる面白さはある。ただ、登場人物ひとり ひとりの描写が希薄なため、具体的なイメージがなかなか浮かんでこないのが残念だった。 ラストは余韻を残すものになっているが、こういうパターンは何度か見たことがあるので 斬新さは感じられなかった。作者の意図も分かりづらく、曖昧な印象を受ける作品だった。 | ||||
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本書の主人公は現代の日本にはそれ程いないと思われるプロの掏摸(スリ)だ。冒頭から仕事をする場面が描かれるが、スリの手法や実行者の心理状況などが緊迫感を持って描写され、一気に物語に引き込まれる。 主人公がどのような人間であるかは詳細には説明されないが、スーパーマーケットで万引きをしようとしていた子供を助けて、この子供と自分の過去を重ね合わせるところを見ると、不幸な生い立ちを背負っていることは想像がつく。この少年との交流は本書の中でも心引かれるエピソードだ。 ところが木崎という謎の男から仕事を命じられるところから、急速に運命が動き出す。主人公が苦労しながら仕事を遂行していく様は抜群に面白いが、最後の終わり方は個人的には釈然としない感じが残った。 | ||||
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どなたかも書いていますが、映像を読むような小説です。 それもずっと暗い夜のシーンのように(実際は昼間のシーンでも)錯覚して脳裏に 残るような...。 「木崎」は残酷な神のように描かれます。ただでさえ暗いトーンが彼の登場でそこだけ さらに闇が深く救いがなくなります。 いわゆるバイオレンスな犯罪小説のような派手さはありませんが、都会の裏街道を 生きる主人公の孤独がひしひしと伝わり、フィルムノワールを思わせます。 唯一の絆を感じた「石川」との思い出も、彼がもういないことを知ってるが故に 切なく、万引き母子との関わりも、孤独に生きる主人公がかすかなつながりを 他人に求めているようで胸を締め付けます。 そしてその想いがラストにかすかな光を見せてる...と思いたいです。 | ||||
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テーマはとてもよかった。 現代風で、調べてあった。 この路で、飯を食う背徳の後悔が、外道の排泄のごとく描かれ、 気が遠くなるほどの生への執着が描かれ、 恥と忸怩を嘆き、この世から抹消された者と生かされた者との取り返しのつかない落差を描いて欲しかった。 読み進めるスピードはつくが、 本当はもっともっと苦しい。逃げる場所さえない生命の職業は、操られるだけのスリ・・・・。 マフィアも捜査を誤る未公開株の不正譲渡などリアルもあるなら、 すり抜けるラッキーと二度とスリすらできず身元引受人などひとりもいない孤独の堆積がほしいと思った。 新宿、渋谷、山手線、、、、、、 いい題材だと思う。 最後は新宿の地下、大駐車場だろうか・・・・。 | ||||
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「絶対悪」とも言うべき男、「木崎」。 その「木崎」に翻弄され、追い詰められ、破滅に向ってゆく「僕」。 「木崎」の壊れ方、狂い方が心底恐ろしい。 「木崎」に運命を操られているのか。 「木崎」に操られるのが運命だったのか。 追い詰められてゆく「僕」の心理描写が生々しい。 「木崎」の恐ろしさが迫ってくる。 怖い話だった。 | ||||
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短い。あとがき含めて175ページ。厚手の紙で読者の「読んだ感」を充実させるためらしい。あざとい。小説自体はとてもいいんだけどね。 こういうあざとさには腹が立つ。あ、本書の内容には関係ないのでやめます。 内容としては、とてもよかった。「僕」とか、バカ母に万引きを強要される子どもか、悲しい人がいっぱい出てきて、読むのが辛かった。でも先を読みたかった。あっさり死んだ石川に、こんなにも心を通わせる「僕」がいることにに、小説の主眼があったと思う。人間同士って、時には仲間になる。…ってこと? やはり人は誰かとつながりたいんだってことか。 木崎というキャラクターが目立っているが、あの現実離れしたキャラクターは、魅力的ではある。それ故、この小説上のテーマを攪乱してしまった感がある。 木崎というキャラクターに、やたら感応してる読者がいるけど、危ないと思う。オゥムの時がそうだったよ。そんな人いないよ。みんな、小さい自分のまま、がんばっているんだよ。 | ||||
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主人公・「僕」がスリを働く状況や、闇社会の恐ろしい人間達、 虐待されている子どもとその母など、 個々にだけ注目した場合はとても良く描けていると思いました。 自分がいかに平々凡々に生きているかを思い知らされましたし、 その幸運をかみしめることもできました。 ただ、「僕」が何故この行為に興奮を覚えるかや、 何度も名前だけ登場する、仲間であったろう石川や、 恋人であった佐江子という人物の全体像がはっきりせず、 リアル感に掛けました。 ストーリー全体がベールに包まれた様に、 少しぼんやりした印象だったのが、残念でした。 | ||||
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雑誌で作者のインタビュー記事を読み購入しました。 インタビュー記事に「凶悪事件の犯人像を調べて行くと あまりにも浅く、チープ・・・・。 ・・・どんどん人間が短絡的になっているように感じます。 それに抵抗するものとしての活字があり、高度な言葉をもつ 文学が必要なんだと思う。」の言葉に集約されています。 神業的に芸術的に犯罪を重ねる男・木崎。 主人公に感情移入しようとしても、 ついついこの「最悪」の男に入り込んでしまいました。 作者の圧倒的なスケール感、リサーチ力で文章が動き出してくるようです。 こんなにも才能のある若手の作家が存在したことに感動しました。 | ||||
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悪とは?悪人とは?を追求した作品で、ひところの吉田修一風でもある。主人公のスリの青年は、ある時スーパーで母親に命じられるがまま、商品を万引きする少年と出会う。バレバレの万引き法ではなく、見つからないように教えつつも、また母親に命じられたら買い物ができるように、少年に自分のお金を渡す。実はこのスリの青年、それまでにヤバイ仕事をしたことがあり、かつての仲間は行方をくらましていたり、既にこの世にいない。そんな中、彼の運命を掌握しているという男が現れ、3つの仕事を要求する。できなければ、その母子や彼自身の命が危ない。 神はいるのか?と問いたくなるなか、青年の運命を握った男は「もし神がいるとしたら、この世界を最も味わっているのは神だ」と言う。だからこそ「世界は理不尽に溢れている 」のだとも。 本書には答えは書かれていない。この世に起きていることを凝縮させているから、答えもこの世にあることからめいめい、感じ取れということなのかもしれない。それとも神がいるなら、これらの答えを顕現という形で示してくれるのか? | ||||
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