■スポンサードリンク
掏摸
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
掏摸の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全144件 1~20 1/8ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何冊か著者の本を読んでるけど、列とR帝国は自分の思考の結構深いところに入った気がする、いろんな経験をする時にどことなく思い出す、最初は奇天烈だと思った考えもすごくらあたり前のように思える、もっとこの著者の考えを知りたい | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
正直、すらすら一日で読めましたが、 全体的に面白くない。 深い話のようで浅い話だと思う。 もっとたくさん面白い本はありますので、 この本を読む必要は無いと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私のような知多人には、石川とか新美とかなじみ深い名前が出てくるだけで嬉しいのです。それゆえ、若干甘めの採点になるのですが、少なくともこの作家が人生の無意味性から目をそらしていないところは、素晴らしいのではないでしょうか。「えっ、不条理の話を今頃?しかも、それ木崎が説明しちゃう?」なんて、私は思いもしませんでした。なんとか塔の話で深みを出そうとしている努力も、私は大いに評価したいです!それでぎりぎり、スケベなスリがスリまくるだけの話にならずにすんでます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公はスリという悪に染まりながら、親の命令でスリをする子を助けるなど善も兼ね備えており、そこには、少なからず自分の正義を持っていることを感じた。 社会レールに乗って無反応で生きている自分こそ悪ではないかと、考えされた一冊であった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
売春と万引きで生計を立てる、母子の姿が、読後も印象に強い。 母親の「化粧すれば結構マシだから。一万でいいから」という言葉で客引きをする場面に、この世界の暗黒を思い見る。 子供の方は、母親の彼氏からDVを受けたり、万引きを強制されたりと、支配から逃れられない。 この子供の存在は、残酷な運命の中で生きる主人公の写し鏡として描かれ、最後は、主人公の手によって救いの手が差し伸べられる。 その一筋の光は、作者の願いが込められた、もうひとつの物語として、小説世界を力強く支えていた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
社会的には犯罪を犯しているのだけど、その犯罪者にも『善』があり、愛情が有って欲しい夢のような願いは普通の生活者にもあります。 やむを得ずそのような人生になった人に対して共感を持つのは、自分も似たものだからかな〜と思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
初めて中村文則氏の作品を読みました。 いやあ、面白かった!ノワール、犯罪小説系ですが、熱中してしまい、半日で読了。 ・・・ その中でも書きぶりが印象的でした。 非常に静かな、それでいて犯罪の起こる熱感が筆致に表われており、引き込まれました。ハードボイルドというほど劇がかってもいないし、純文学というほど流麗な表現というわけでもないと思います。本当に冷静に、熱さが伝わってくる書きぶりに非常に好感を持ちました。 ・・・ 内容ももちろん良かったです。 『掏摸』というだけあって、タイトル通りの作品。お金持ちからしかすらないスリグループ。しかし、蛇の道は蛇で、いつの間にかとある黒幕の下で働くことに。その神がかった絶対者の下でしのいで生きるスリの命運を描きます。 ・・・ ということで中村氏の作品を初めて読みました。 筆致がなんというか好きです。印象を例えると「アクアリウム」「夜」「バー」みたいな感じです。 本作、犯罪ものが好きな方、夜の街が好きな方、それでも美しい言葉遣いが好きな方などには楽しんでいただけると思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私にはあまり刺さらなかった。 作中、神は分かった上で、弱者を痛めつけることに快感を感じているかのような記述があり、 ハッとさせられた。 ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟で、無神論者のイワンは、神がいるのなら、なぜ、 幼児虐待のようなことが現実に起こるのかと言っていたが、上記のような考え方もあるのかと 感心した。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
普段、ホラー小説しか読みませんが、この作家さんにふと興味を抱いて読んでみました。 こういうの、純文学というのでしょうか? どうせ地味でつまらない話だろう・・・・とか思っていたら、誤解でした。 エンターテインメントの犯罪小説として、実にスリリング(掏摸だけに)。 寄る辺なき者たちの、グルーミーなドラマとしても味わい深い。 いやぁ、面白いじゃないっすか、これ。 ただ、文章には引っかかる所がいくつか。 例えば、おおむね「財布」と表記しているのに、「サイフ」となっている箇所があったり。 木崎の自称に、「俺」と「私」が混じっているのもおかしい。 あとがきの「物語としては完全に完結している」というのも、なかなかの悪文でしょう。 純文学って、もっと文章が磨き抜かれているものと思っていました。 ちょっとガッカリ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
日々、何かしら読んでる人生ですが、この本の1行目からワクワクな時間が流れ出しました。 時間的に少しずつしか読み進められない日常の中でワクワクドキドキ&スリルに没入できるここ3日は幸せでした。本好きなため、ちょっとした事が気になったりして鼻につく文章はなかなか読み進められず途中下車する事もあるのですが、この「掏摸」は違う。 物語は暗い状況で救いがどこにあるのか無意識に私も読みながら探していました。 でも、この中村さんの文章が、内容は暗いのに素直で、嫌味がないのです。 カッコつけてないというか… 洗練されてる?とかとも違う。 なんか温かさのような、温度が伝わってくる文章な気がします。 中村文則さんの素の感性が暗い小説の世界で相反して反射してるような。 不思議な感じです。 とにかく用心深い自分が、何かを先取りしようとせずに素直に小説の世界を楽しめた、それがとても嬉しいです。 中村文則さん、続編の「王国」読ませていただきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大学生時代は哲学書も読みましたが、難解な文章の内容を繙こうと努力するのは、自分の場合せいぜい40代まででした。60代半ばの今は「難しくなければ純文学ではない」と主張する作品は願い下げです。 詰まるところ小説の価値は「一気に最後まで読みたくなるかどうか」で決まるのだと思います。その点においてこの作品は五つ星でした。同時に読んだ芥川賞受賞作の「土の中の子供」よりも遥かに解りやすく、他のレビュアーもおっしゃる通り娯楽性も強い。一言で言うと面白い作品です。 ただ一点、文庫化の際に著者が自ら書いた寸評の中で、続編の「王国」に触れているのが残念でした。これは誰の目にも「売らんかな」と映る商行為でしょう。芥川賞作家は清貧であるべしとは言いませんが、充分に売れる作品を書ける人なのですから、その必要は無かったと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『掏摸』は、中村文則さんの代表作です。主人公「僕」はスリの天才なのですが、スリという題材がセコい感じがして初めのうちは私は乗り気になれませんでした。しかし読めば読むほどスリという題材が絶妙に活かされていると思えてきて、スリという着眼点がとても良い小説だったなと思いました(手のひら返し)。 スリは他人から財産を奪うことができます。「僕」は天才スリ師なので、かなりの大金を盗むこともできます。スリ師たちは非合法に財産を奪うことによって、法律の下で適正に流通する貨幣や物品の流れを撹乱する存在だと思います。法律の支配下では、法律という法則=運命に従って貨幣や物品が流通しますが、スリはその法則=運命を変える連中でしょう。この小説は「運命と戦う」ことがテーマになっているので、貨幣や物品の運命を変えるスリが主人公になっているのは、よく出来た設定だなあと感動しました。 この小説の後半では、木崎という黒幕が登場します。木崎は他人の運命を自分の思い通りにコントロールできる、強大な悪役です。「僕」の運命も木崎にコントロールされます。木崎は全知全能の神のように「僕」を支配しますが、支配されている「僕」からすれば理不尽極まりないオチが待ち構えています。しかし「僕」はこの小説のラストで、コイン投げをします。おそらくこのコイン投げは、運命=必然性に支配された世界に、誤差=偶然性を生み出す行為なのだと思います。 ちなみにこの小説には「塔」が度々登場するのですが、この塔が何の象徴なのかが私にはよくわかりませんでした。他の人の考察を漁っても「塔がよくわからなかった」という意見が多く、「塔は運命の象徴」というご意見がありましたがこれも私には何となくしっくり来ませんでしたね。ともかく、面白い小説でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
終始暗いトーンの小説。人間業とは思えない、巧妙なスリのテクニックが車内や路上で延々と描写される冒頭がこの小説のムードを支配している。常民の世界とは真裏の、暗闇に潜む犯罪集団の暗躍がこの物語の世界。ヤクザや暴力団のものとは違う、もっと裏側にうごめく男達が支配する社会がこの小説の舞台である。子供が一人、そしてその母親がいるが、表情が見えない。黒いベールをかぶっているかのようである。この子供との交流に一抹の明るさのようなものが見えるが、母親との暮らしは澱んで見える。母親には男がいて、母子に暴力を振るう。子供は学校へも行かず、いつも同じ服を着ていて食事もままならない。この子供への一抹の同情が主人公の唯一の感情の吐露である。母親との金を仲立ちにしての情交シーンは場末のアパートでの陰鬱なものだ。暗黒社会の掟のなかで取り引きされる賭けに挑む主人公の最後の行動は、緊迫した描写であるがカタルシスをもたらすわけではない。 戦後イタリアのネオリアリズム映画のようでもあり、フランスのギャング映画のようでもある。ロベール・ブレッソンの映画に『スリ』というのがあったが、イタリアを舞台にしたフランス映画だった。 大江健三郎賞を取ったということだが、大江健三郎の初期作品にムードは似ている。これは芥川賞作家が書いたノワール小説だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
中村文則さんらしい、これからも続いていく、という終わり方が個人的には大好きです | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
〇 この作者の作風がよく現れた作品だと思う。ひとつは、作り話なんだからそれで良いだろうと言わんばかりの荒唐無稽な設定(確かにそれで良いと思う)。ひとつは、よく言えば硬質な、わるく言えば粗削りでぶっきらぼうな文体(それが持ち味であることも事実だ)。 〇 小説に何を求めるかは人によって異なり、小説に何を込めるかは作者によって異なるだろう。この作品は、エンターテインメントとしては十分に面白いと思う。何か深い思想や思索を求めれば不満は残るだろうけれども。それから、登場人物によって説明されるスリの手口は面白い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分一人いきがってる甘々な男の物語と思えば・・・ 突っ込みどころが多すぎる。 愚かな男を描きたかったのなら分かるが、 にじみ出るのは「かっこいい男を描きたい」という著者の意識のみ。 くだらないな~という感想しか残りませんでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
スリを生業とする青年を主人公とした犯罪小説。 久々に東京に戻った西村のスリのシーンに始まり、西村の師匠のような存在であり姿を消している石川との記憶や、スーパーマーケットで偶然出会った万引きをする母と息子との出来事を描く。そのあと話は、西村が一度は東京を離れ、石川が姿を消すに至った、過去にある組織から請け負った危険な仕事についての回想に移る。仕事を依頼したのは組織を支配する木崎という男であり、石川は彼を恐れていた。 犯罪をテーマに暗い色調ではありますが、西村のダークヒーローとしての側面や、スリの技術をいかして行われるRPG的な要素、人との触れ合いに、絶大な力を誇る組織のボスの存在など、構成要素に読者を楽しませるためのサービス精神の豊富さを感じます。作中である意味もっとも重要な人物である黒幕の木崎については、闇社会から政治・経済にまで影響を及ぼすほどの絶大な力をもつ人物として描こうとしますが、饒舌な彼が物語る内容や、影響力のわりには一介のスリに過ぎない西村たちの前にしばしば容易に姿を現す点など、チープに感じてしまう部分が少なくありません。このような木崎の描写や、西村がたびたび回想する恋人との過去など、暗さや重さを演出している箇所は、不自然でうまく馴染んでいないように思えます。 本質的には娯楽作品でありながら、そこに重厚さを与えようとして適切な効果をあげられていない印象です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
中村文則さんの本です。この作家さんは、初めてですね。 主人公のスリが、ひょんなことから虐待を受けているらしい子供と知り合いになり、その技を伝授しつつ、事件に巻きこまれる、という話でした。 話自体は、単純なのですが、スリをする主人公の、ピカレスクぶりが、よく描かれているというか、 「悪」という行為に対する思索が、なかなか面白いものがあります。 主人公の、いろいろな見方が面白いですね。 この人の、他の作品も読みたい、と感じさせる作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
はじめて読んだ中村文則氏の作品でした。 大江健三郎賞受賞とのことですが、いわゆる純文学っぽいところはなく、読みやすい作品でした。この作品のあとで「王国」も読みましたが、中村ワールドの陰影が少し理解できたような感じです。ソーシャルディスタンシングの時代、スリ師も仕事がやりにくくなっているのでは…。 海外配送でしたが、迅速に配達され、助かりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
掏摸として生きる孤独な男を描いたミステリ。 主人公は掏摸の腕は一級だけど、仲間の身の安全を気に病んだり、万引き少年を助けたり、世間から隔絶しながらもまだ生への執着があったり、心の底は普通の感覚をもった犯罪者だ。だから、どうにか生き延びてほしいと願いながら最後まで一気に読んだ。 印象的だったのは、木崎という闇組織のトップらしき謎の男が「世界は理不尽に溢れている。世界中で、生まれてすぐ飢えて死ぬ子供が大勢いるだろ。大地の上でバタバタと。そういうことだよ」と言い、さらにラスト近くで「人生は不可解だ。いいか、よく聞け。そもそも、俺は一体何だったのか。お前は運命を信じるか? お前の運命は、俺が握っていたのか、それとも、俺に握られることが、お前の運命だったのか。だが、そもそも、それは同じことだと思わんか?」と、主人公に対して、世の(むごい))摂理を語るところ。この人物が名作文学『罪と罰』を語るのも興味深かった。 細部で納得いかなかったのは、別れた恋人(人妻)の自殺の経緯を詳しく知っていたこと。遺書が見つからなかったことなど、どうしてそこまで元恋人の立場の主人公が知っているのかと不自然な気がした。それと、上記の木崎が指示を出すとき、やたらと細かい情報を加えたこと。これは、なんとなく読者向けの説明では?と思ってしまった。また、大臣とか政治家がいろいろ妙な組織と癒着しているような話がほのめかされていたけれど、そのへんも最終的にどういう繋がりだったかは明らかにならないままだった。こういう不明瞭な扱い方だと、なんとなく日本の政治への不信感を煽るだけになるのでは?と思う。なんというか、むず痒さの残る読後感だった。 設定も展開も面白いので、そこが残念。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!