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掏摸
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掏摸の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全144件 81~100 5/8ページ
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掏摸や万引きのテクニックにリアリティがある。 しかし、そこを褒めたって何にもならないのはわかっている。 中村さんの作品を読むのは3作目だ。 銃、悪意の手記ときて、掏摸を読んだ。 前の二作品のような胸を打たれるなにか、は存在しなかった。なぜか。 犯罪者にも格差がある、というようなことが書かれていた。 善良な犯罪者である掏摸の主人公が、木崎という男に目をつけられ、翻弄されるのだが、この、木崎のような圧倒的な強者による悪を書きたかったのかな?と想像した。 しかし、圧倒的な強者による悪は、わりと読んだことがある。 エンタテインメント作品にはよく出てくるタイプの悪者だ。似たような話を他にも読んだことがあると思った。 そして、そちらの作品の方が、大変よく できていた。 塔のくだりが、他のエンタテインメント作品と一線を引くポイントなのかもしれないが、正直よくわからなかった。 主人公にとっての塔が一体なにを現しているのか、想像するのが難しかった。 それにしても、中村さんの書く主人公は、犯罪を犯しながらも善良であるのが面白いなと思う。 | ||||
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私が初めて中村文則作品に出会ったのが、この作品でした。 単行本で出版されたときに読んだのが最初です。 初めて読んだ時、よくできた物語だなと感心しました。 特に構成が素晴らしいと思いました。 主人公が掏摸というのも面白かったし、主人公が見ていた「塔」の存在が興味深かったし、それを作者も実際に見ていたというのはなかなか凄い感性だなと思いました。 しかし、作者の力量に感心しながらも、追って他の作品を読んでみることは、その時はなぜかしませんでした。 最近になって、気になる何人かの役者さんや芸人の方が、わりと中村さんの作品に影響を受けているということを知り、 そんなに影響力があるならちょっと他の作品も読んでみようとデビュー作から読んでいくことにしました。 すると、デビューから芥川賞をとる初期のあたりは、ずいぶんと作風が違うように感じました。 話の巧さというよりも、書かなければならないという強い迫力を感じ、ちょっと震えました。 そして「何もかも憂鬱な夜に」を読んで、ものすごく感動しました。正直、救われました。 小説を読んで、“救われる”という感覚を得たのは、それが初めてでした。 最新作の「教団X」や「あなたが消えた夜に」も読みましたが、そうやって古いものから新しいものまで辿って読んでみると、 この「掏摸」はひとつの分岐点だったのかなと思わされました。 ある種のエンターテイメント性が「掏摸」あたりからは加わったような気がします。 映像化しやすいというか。綾野剛さんも確か、白黒からカラーになった印象を受けたそうです。 たぶん、中村さんがこの作品を書くまでは、技術的なことよりも、書きたい想いの方が強かったのかな、と勝手に推測しました。 求めてくれる人、わってくれる人にさえ届けばいいと、一般向けとまでは考えていなかったのかもしれません。 でもこの作品からは、少し作品と距離を取りながら、構成とか展開とか技術的なことも考慮して、誰もが楽しめるような作品を作ろうとしているように思います。 それでも、彼がずっと描き続けてきた自分のテーマはしっかり作品の基礎に置いて、訴えるメッセージ性は損なわれていません。 「掏摸」が文庫化されていたことを知り、今回何年かぶりに再読してみましたが、もし最初にこの作品よりも前の作品を先に読んでいたら、はじめから中毒的に追っかけていたのかなと感じました。 この作品は洗練されており、そのためかそれ以前の切迫感のような息苦しさはありませんでした。 その後の作品も、同じように作品と作者にはほどよい距離感があり、職業作家としてひとつステップアップしているのかなと思いました。 でも個人的には、初期作品の切迫感がけっこう好きなんですがね。 (2017.9.17追記) 「R帝国」のサイン会で中村文則さんに直接お会いすることができました。 中村さんの小説に救われたと、なんとか感謝の気持ちを伝えることができました。 自然と涙が溢れてしまい、ちょっと恥ずかしかったけれど、中村さんはとても気さくに優しくさらりと気遣ってくれました。 中村さんにいただいた「言葉」、大切にします。一生の宝物です。 | ||||
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中村作品の楽しみ方、読み方は幅ひろい。フランスの思想家ロラン・バルトが「作家の死」を著作 「テクストの快楽」(1973)に発表してから読者の解釈の幅が拡がり過ぎていると云われているくらい である。しかし、読者がどのように解釈しようが勝手といえば勝手である。本作品は「掏摸」に騙され てはいけない。掏摸のテクニック・ハウツウー本では決してない。「悪」の物語でもない。 本作品のキーワードらしきものをあげれば、「塔」「こども」「運命」であろうか。もちろん、作者に 共通する「神」や「愛」のテーマを含んでいる。 僕(西村)は立花や石川とともに高級テクニックをもつ掏摸グループのひとりである。富裕層を見抜き 金品を掏っている。石川から、「ある男」(木崎)(正体不明であるが闇世界で暗躍する怖いオジサン) の指揮する集団強盗の話を持ち掛けられ「ある男」のグループと僕のグループで実行する。 成功し各500万円の分配金をもらう。木崎に見込まれた僕は、三つの仕事を強制される。 実行し成功しないと付き合っている親子の命が危ない。 親子は不幸な母子である。何回もスーパーなどで子供に万引きを強要する母親。見かねた僕は、生活費 や買物代金を負担してやる。子供は僕に頼り切りキャチボールまでするような関係になる。しかし、母親と 相談し、子供の将来を考え児童擁護施設に入所させることにする。 子供に掏摸のテクニックを伝授したり、子供に理解不能な人間心理の複雑さを真面目に語る描写は面白い。 しかし、掏摸の物語でありながら子供に対する愛情や優しさをかなり重点的に描写している。 「塔」については、「神」とか「運命」と解釈できる。僕の決断、子供の頃の回想、木崎に殺されかけ ても「生きたい」希望の先に霞んで見えるのである。『あなたが消えた夜に』の「あなた」であり、吉髙 亮介の信じた「神と名付けた架空の存在」でもある。 人間の「運命」はどうしようもないのか。木崎が「運命のノート」と呼ぶ人間操縦法で僕は「悪」の世界で 翻弄されているのである。 「塔」は見ているだけで何も云わない「神」。「悪」の世界でしか生きられない僕の「運命」。せめて 施設に入った子供は「善」に向かって生きてもらいたい。僕が希望を託す「運命のノート」である。 「小さな者が一人でも滅びることはあなた方の天の父の御心ではない」(マタイ18章・14) 『掏摸』の表層に欺かれないように。中村作品はどれも深い。 | ||||
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とにかく読みにくい。 38頁で読むのを止めた。 この作家のは二度と読まない | ||||
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中村史則さんの小説を初めて読んだので、文面の表現等が慣れないと思いましたが だんだん引き込まれていきました。 でも全体的に支配されている事への圧迫感があり、(もちろんそれがこの話の醍醐味であると思いますが) 息苦しくなりました。 続けて王国も読んでみたいと思います。 全体的にはスッキリせずだったので★3にしました。 | ||||
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スリを生業とする主人公が、闇社会のボスである木崎に命令されて、仕事(もちろんスリをはじめとする犯罪行為)をするという話。 主人公が、闇社会で絶大な権力を握る悪の権化のような人物(木崎)に運命を操られたり、売春婦の子供で母に命じられてスリをしている男の子に優しい気持ちを抱いたりする設定は、いかにもありふれている。陳腐に過ぎると思う。 著者自身のあとがきによると、本書は未完で『王国』という続編があるようだが、評者は続編を読もうという気持ちにはなれなかった。 本来なら星1つだが、街の風景の描写が重苦しさを感じさせてリアリティがあるのと、スリのシーンにもリアリティがあるので、星1つ増やして星2つにさせていただく。 | ||||
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古本とは思えないほど綺麗な商品でした。とてもいい買い物ができたと思います。 | ||||
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なかなか面白い。どうせなら、スリリングなスリ場面にもっとページを割いて、闇の支配者(木崎)との真っ向勝負!に話しを絞ったらよかったと思う。 犯罪者が暗くトラウマを背負ってるなんてありきたりな設定、とくに要らない。 あと、文庫版は筆者による後書きがついているが、興醒め。 作家なら、後書きで語らず、作品で語るべきだし、 作品から読者が勝手に想像を膨らます余地がなくなるなんて、 読んで損した気分になる。 とはいえ、文章は端正だし(時々主語が分からなくなるが)ストーリー展開は無理がなく、 久しぶりに若い作家の小説を楽しめた。 他の作品も読んでみたい。 | ||||
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反社会的な行為である掏摸を生業とする男。 悪を超越した悪と表現される木崎と関わり、あるいは 関わる事が運命でありそれに抗おうとする。 木崎の姿は恐ろしいというよりは無機質で超人的に感じた。 言葉の上では感情を持っているようだが行動からはそれが感じられない。 それが余計に恐ろしさを引立たせているのだろう。理不尽の権化。 社会の繋がりから外れた登場人物達はそれでも繋がりを完全には断ち切る ことはできずそれ故に窮地に追い込まれた。木崎の言う通り、 運命が最初から握られていたのか、あるいは握られる事が運命だったのか。 謎が謎のまま残されているものが多く(もちろん意図的に)そのため評価は 分かれるだろうが個人的には十分に楽しめた。本書の結末の続きを勝手に 想像したが続編にて裏切られる事を期待したい。 | ||||
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中村さんの大ファンです。ドキドキしながら読みました。木崎の極悪ぶりと、心優しい悪党の僕の対峙にドキドキさせられました。裏社会のことを少しでも知っている人が読んだら相当怖いと思いますが、その極悪ぶりは突き抜けて、想像できない領域にあったため、リアルに怖がることができなかったのが少し残念な点でもありますが、幸せなことでもありました。「土の中の子供」や「銃」のような、心の闇を映し出すような描写はあまりないけれど、行間に豊かな切ない流れがあって、物語はハードボイルドに進んでいき、本を読む楽しさを堪能しました。最後もとても良かったです。映画で観てみたい作品です。 | ||||
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小説はシナリオではないので、登場人物が、長々と語り出してもそれは『アリ』。だって漱石の『こころ』だって、後半、延々と遺書が続く。だから木崎の語る寓話も映像化する時には不自然になるだろうが小説だから『あり』。この小説で作者が描きたかったのは感情移入できない絶対悪の存在ではないか。最近印象的な絶対悪と言えば『ダークナイト』のジョーカー。ジョーカーはバットマンと自分は同じカードの裏表と思っている。正義の味方ったってよ俺とおなじだろ?と思っている。ジョーカーは自分が悪だと言う自覚があるが、木崎はその自覚はない。力がある自分がより力を得ていくために道徳や法律を、無視しているだけ。木崎は人間をコマとしか思っていない。その傲慢さ、底意地の悪さを今演じられるのは吉田鋼太郎氏しかいないだろう。 | ||||
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大江健三郎賞を受賞し、英訳が米紙ウォールストリートジャーナルの年間ベスト10小説に選ばれたということで期待して読みましたが、少々期待はずれに終わりました。 著者の文体には独特のリズムがあり、ある意味強引に読者を惹きつけるものですが、私には生硬な感触で馴染めませんでした。 また、登場人物の描き分けも平板で未熟な印象を受けました。ストーリー展開もやや雑な印象を受けました。 主人公のスリは、虐待され万引きを強要される幼い少年に同情し保護施設に入所させようと努力するのですが、犯罪者集団の非情なルールの中で悪戦苦闘します。しかし、なぜそこまで少年に肩入れするのかは描かれておらず、また結果的に少年がどうなったのかも不明のまま結末を迎えます。スリという特殊な職業については大変興味深く読みましたが、全体としてやや物足りない印象でした。 | ||||
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きれいな状態の本を安価でよむことができありがとうございました。年金暮らしには ありがたいことです。 | ||||
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この本の主役を綾野さんのようなイメージの人を想像して読み進めたからか、始終かっこよかった。途中で出てくる女性の場面さえなければ最高だったんですが・・・。それだけです。中村さんの回りくどい文章が最後まで読めたのはこの小説だけ。 | ||||
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このタイトルは巧妙な罠だ。確かに主人公はスリであり、スる場面はたくさん出てくるが、本題は闇の勢力の暗躍を描いたダークな犯罪小説で、プロのスリが陰惨な犯罪に巻き込まれるという構図になっている。 日本の作家がこのての小説を書くと、リアリティがなくてバカバカしいと感じてしまうことが多い。本作は主人公をスリにしてその行動を描くことで、日本の現在というリアリティを浮き彫りすることに成功している。書き込みが不足気味で薄味だが、もう少しこってりと描き込めばエルロイやコーマック・マッカーシーに近い感じになるのではないか ・・・というのは褒めすぎだが、その可能性はあると感じる。正体不明の悪の化身・木崎が「ブラッドメリディアン」の魁偉で怪異な判事のイメージに近く、それが面白い。 ハードボイルドな犯罪小説としてそこそこの出来。しかし展開はかなり軽く、終わり方も中途半端、というか、たぶん意識的に続きが書けるように設定しているのではないか。主人公・僕の生い立ちや大人になってからの生活、犯罪歴などを明らかにしていないし、何より闇の勢力の実体が謎のまま残されている。第2部(復讐篇か)以降が予定されているのなら大いに楽しみ。 | ||||
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「スリ」についての描写は面白かったです。詳細で。 と思ったら参考文献が4冊載っていて、ああ、きっとこれから抜粋したんだな、とわかります。 それ以外の部分はあまりにも薄ぼんやりしています。 裏社会のことも、政治家が死ぬ理由も、木崎の目的も、そして主人公の人となりさえ、なにもかもぼんやりです。 作者はひとつの着想を得て、そこからいろんな取材をして物語に厚みをつける、というような作業をする方ではないんでしょうね。 そのひとつの着想だけで、あとは適当に頭のなかだけで肉付けをして、作品として仕上げているような感じがします。 なんだか出来の悪い卒業論文を読まされてみたい。 この内容で、「依頼を受けて5年もかかった」「でも書くべきものをかけた」というのだから驚きです。 中村さんの本を読むのはは3冊目くらいですが、もういいかな。 | ||||
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確かに見事な文章力で、一気に読まされました。人物造作とその描写、話の展開も見事と言えます。 ただ、作者自身が単行本のあとがきで、「押し付けるような明るさはいらない」・「全てが満たされているならば小説は必要ない」と書き、最後に「この小説のテーマ性はとても僕らしいと思った」と記していますが、はたして「この小説のテーマ」は一体なんなのかしら?と考え込んでしまいました。 単なるスリの描写だけではないでしょう。母親に万引きさせられる子供を通しての不条理劇でもないようですし、犯罪と闇を描くことによって出てくる「究極の悪」を片方のテーマとするならば、その体現ともいえるべき人物が小さ過ぎます。 反社会的な事象を描いた場合、桐野夏生の作品にも感じることですが、時として「ある現象をただ描写しただけ」になってしまいます。「書くために書く・描写のための描写」になってしまい、ともすると高村薫のように妙に深刻ぶった「ドストエフスキーもどき」のようなものになってしまいます。幸いに著者の文章力がそれを救っていますが・・・・・。本当にこの作品のテーマは何なのでしょうか? | ||||
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読み出したら面白くて一気に読んでしまいました。 ストーリー展開が巧みで無駄が無く、飽きさせません。 作者はスリの世界について研究したのでしょう。 その研究成果が小説に厚みを与えています。 細部を省いてしまったらこの小説の面白さは半減します。 同じ作者の「去年の冬、きみと別れ」も読みました。 こちらは殺人事件を題材としたやはり犯罪小説です。 殺人トリックの謎解きが読者を引きつけますが、 エンタメ系の推理物とは一線を画しています。 それは「スリ」にも言えることで、犯罪をモチーフとしながらも テーマは人間あるいは人生にあるので 陰影のある作品になっていると思われます。、 | ||||
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綾野剛さん推薦という帯につられ購入。私はブラックな匂いが漂ってる話好きなので、これ好きです。姉妹作読みたくてしょうがない。 | ||||
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「スリだ、やられた、金返せ」の心境。 犯罪実行時の描写や、典型的なコワモテ悪人、典型的裏社会、 不遇な子供、その母親とのセックス。 そういった文章刺激で気を紛らわせておいて、 じつはストーリーとしての物語性はゼロ。 まさに「ぶつかって関心をひいておいて、 そのすきに財布を盗む」やり方のまんま。 そしてスられた自分がいる。 スることでしか読者から金を奪えない 今の文学の凋落ぶりがよくわかった。 | ||||
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