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掏摸
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掏摸の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全89件 1~20 1/5ページ
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何冊か著者の本を読んでるけど、列とR帝国は自分の思考の結構深いところに入った気がする、いろんな経験をする時にどことなく思い出す、最初は奇天烈だと思った考えもすごくらあたり前のように思える、もっとこの著者の考えを知りたい | ||||
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私のような知多人には、石川とか新美とかなじみ深い名前が出てくるだけで嬉しいのです。それゆえ、若干甘めの採点になるのですが、少なくともこの作家が人生の無意味性から目をそらしていないところは、素晴らしいのではないでしょうか。「えっ、不条理の話を今頃?しかも、それ木崎が説明しちゃう?」なんて、私は思いもしませんでした。なんとか塔の話で深みを出そうとしている努力も、私は大いに評価したいです!それでぎりぎり、スケベなスリがスリまくるだけの話にならずにすんでます。 | ||||
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主人公はスリという悪に染まりながら、親の命令でスリをする子を助けるなど善も兼ね備えており、そこには、少なからず自分の正義を持っていることを感じた。 社会レールに乗って無反応で生きている自分こそ悪ではないかと、考えされた一冊であった。 | ||||
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売春と万引きで生計を立てる、母子の姿が、読後も印象に強い。 母親の「化粧すれば結構マシだから。一万でいいから」という言葉で客引きをする場面に、この世界の暗黒を思い見る。 子供の方は、母親の彼氏からDVを受けたり、万引きを強制されたりと、支配から逃れられない。 この子供の存在は、残酷な運命の中で生きる主人公の写し鏡として描かれ、最後は、主人公の手によって救いの手が差し伸べられる。 その一筋の光は、作者の願いが込められた、もうひとつの物語として、小説世界を力強く支えていた。 | ||||
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社会的には犯罪を犯しているのだけど、その犯罪者にも『善』があり、愛情が有って欲しい夢のような願いは普通の生活者にもあります。 やむを得ずそのような人生になった人に対して共感を持つのは、自分も似たものだからかな〜と思います。 | ||||
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初めて中村文則氏の作品を読みました。 いやあ、面白かった!ノワール、犯罪小説系ですが、熱中してしまい、半日で読了。 ・・・ その中でも書きぶりが印象的でした。 非常に静かな、それでいて犯罪の起こる熱感が筆致に表われており、引き込まれました。ハードボイルドというほど劇がかってもいないし、純文学というほど流麗な表現というわけでもないと思います。本当に冷静に、熱さが伝わってくる書きぶりに非常に好感を持ちました。 ・・・ 内容ももちろん良かったです。 『掏摸』というだけあって、タイトル通りの作品。お金持ちからしかすらないスリグループ。しかし、蛇の道は蛇で、いつの間にかとある黒幕の下で働くことに。その神がかった絶対者の下でしのいで生きるスリの命運を描きます。 ・・・ ということで中村氏の作品を初めて読みました。 筆致がなんというか好きです。印象を例えると「アクアリウム」「夜」「バー」みたいな感じです。 本作、犯罪ものが好きな方、夜の街が好きな方、それでも美しい言葉遣いが好きな方などには楽しんでいただけると思います。 | ||||
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普段、ホラー小説しか読みませんが、この作家さんにふと興味を抱いて読んでみました。 こういうの、純文学というのでしょうか? どうせ地味でつまらない話だろう・・・・とか思っていたら、誤解でした。 エンターテインメントの犯罪小説として、実にスリリング(掏摸だけに)。 寄る辺なき者たちの、グルーミーなドラマとしても味わい深い。 いやぁ、面白いじゃないっすか、これ。 ただ、文章には引っかかる所がいくつか。 例えば、おおむね「財布」と表記しているのに、「サイフ」となっている箇所があったり。 木崎の自称に、「俺」と「私」が混じっているのもおかしい。 あとがきの「物語としては完全に完結している」というのも、なかなかの悪文でしょう。 純文学って、もっと文章が磨き抜かれているものと思っていました。 ちょっとガッカリ。 | ||||
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日々、何かしら読んでる人生ですが、この本の1行目からワクワクな時間が流れ出しました。 時間的に少しずつしか読み進められない日常の中でワクワクドキドキ&スリルに没入できるここ3日は幸せでした。本好きなため、ちょっとした事が気になったりして鼻につく文章はなかなか読み進められず途中下車する事もあるのですが、この「掏摸」は違う。 物語は暗い状況で救いがどこにあるのか無意識に私も読みながら探していました。 でも、この中村さんの文章が、内容は暗いのに素直で、嫌味がないのです。 カッコつけてないというか… 洗練されてる?とかとも違う。 なんか温かさのような、温度が伝わってくる文章な気がします。 中村文則さんの素の感性が暗い小説の世界で相反して反射してるような。 不思議な感じです。 とにかく用心深い自分が、何かを先取りしようとせずに素直に小説の世界を楽しめた、それがとても嬉しいです。 中村文則さん、続編の「王国」読ませていただきます。 | ||||
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大学生時代は哲学書も読みましたが、難解な文章の内容を繙こうと努力するのは、自分の場合せいぜい40代まででした。60代半ばの今は「難しくなければ純文学ではない」と主張する作品は願い下げです。 詰まるところ小説の価値は「一気に最後まで読みたくなるかどうか」で決まるのだと思います。その点においてこの作品は五つ星でした。同時に読んだ芥川賞受賞作の「土の中の子供」よりも遥かに解りやすく、他のレビュアーもおっしゃる通り娯楽性も強い。一言で言うと面白い作品です。 ただ一点、文庫化の際に著者が自ら書いた寸評の中で、続編の「王国」に触れているのが残念でした。これは誰の目にも「売らんかな」と映る商行為でしょう。芥川賞作家は清貧であるべしとは言いませんが、充分に売れる作品を書ける人なのですから、その必要は無かったと思います。 | ||||
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『掏摸』は、中村文則さんの代表作です。主人公「僕」はスリの天才なのですが、スリという題材がセコい感じがして初めのうちは私は乗り気になれませんでした。しかし読めば読むほどスリという題材が絶妙に活かされていると思えてきて、スリという着眼点がとても良い小説だったなと思いました(手のひら返し)。 スリは他人から財産を奪うことができます。「僕」は天才スリ師なので、かなりの大金を盗むこともできます。スリ師たちは非合法に財産を奪うことによって、法律の下で適正に流通する貨幣や物品の流れを撹乱する存在だと思います。法律の支配下では、法律という法則=運命に従って貨幣や物品が流通しますが、スリはその法則=運命を変える連中でしょう。この小説は「運命と戦う」ことがテーマになっているので、貨幣や物品の運命を変えるスリが主人公になっているのは、よく出来た設定だなあと感動しました。 この小説の後半では、木崎という黒幕が登場します。木崎は他人の運命を自分の思い通りにコントロールできる、強大な悪役です。「僕」の運命も木崎にコントロールされます。木崎は全知全能の神のように「僕」を支配しますが、支配されている「僕」からすれば理不尽極まりないオチが待ち構えています。しかし「僕」はこの小説のラストで、コイン投げをします。おそらくこのコイン投げは、運命=必然性に支配された世界に、誤差=偶然性を生み出す行為なのだと思います。 ちなみにこの小説には「塔」が度々登場するのですが、この塔が何の象徴なのかが私にはよくわかりませんでした。他の人の考察を漁っても「塔がよくわからなかった」という意見が多く、「塔は運命の象徴」というご意見がありましたがこれも私には何となくしっくり来ませんでしたね。ともかく、面白い小説でした。 | ||||
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中村文則さんらしい、これからも続いていく、という終わり方が個人的には大好きです | ||||
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スリを生業とする青年を主人公とした犯罪小説。 久々に東京に戻った西村のスリのシーンに始まり、西村の師匠のような存在であり姿を消している石川との記憶や、スーパーマーケットで偶然出会った万引きをする母と息子との出来事を描く。そのあと話は、西村が一度は東京を離れ、石川が姿を消すに至った、過去にある組織から請け負った危険な仕事についての回想に移る。仕事を依頼したのは組織を支配する木崎という男であり、石川は彼を恐れていた。 犯罪をテーマに暗い色調ではありますが、西村のダークヒーローとしての側面や、スリの技術をいかして行われるRPG的な要素、人との触れ合いに、絶大な力を誇る組織のボスの存在など、構成要素に読者を楽しませるためのサービス精神の豊富さを感じます。作中である意味もっとも重要な人物である黒幕の木崎については、闇社会から政治・経済にまで影響を及ぼすほどの絶大な力をもつ人物として描こうとしますが、饒舌な彼が物語る内容や、影響力のわりには一介のスリに過ぎない西村たちの前にしばしば容易に姿を現す点など、チープに感じてしまう部分が少なくありません。このような木崎の描写や、西村がたびたび回想する恋人との過去など、暗さや重さを演出している箇所は、不自然でうまく馴染んでいないように思えます。 本質的には娯楽作品でありながら、そこに重厚さを与えようとして適切な効果をあげられていない印象です。 | ||||
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中村文則さんの本です。この作家さんは、初めてですね。 主人公のスリが、ひょんなことから虐待を受けているらしい子供と知り合いになり、その技を伝授しつつ、事件に巻きこまれる、という話でした。 話自体は、単純なのですが、スリをする主人公の、ピカレスクぶりが、よく描かれているというか、 「悪」という行為に対する思索が、なかなか面白いものがあります。 主人公の、いろいろな見方が面白いですね。 この人の、他の作品も読みたい、と感じさせる作品でした。 | ||||
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掏摸として生きる孤独な男を描いたミステリ。 主人公は掏摸の腕は一級だけど、仲間の身の安全を気に病んだり、万引き少年を助けたり、世間から隔絶しながらもまだ生への執着があったり、心の底は普通の感覚をもった犯罪者だ。だから、どうにか生き延びてほしいと願いながら最後まで一気に読んだ。 印象的だったのは、木崎という闇組織のトップらしき謎の男が「世界は理不尽に溢れている。世界中で、生まれてすぐ飢えて死ぬ子供が大勢いるだろ。大地の上でバタバタと。そういうことだよ」と言い、さらにラスト近くで「人生は不可解だ。いいか、よく聞け。そもそも、俺は一体何だったのか。お前は運命を信じるか? お前の運命は、俺が握っていたのか、それとも、俺に握られることが、お前の運命だったのか。だが、そもそも、それは同じことだと思わんか?」と、主人公に対して、世の(むごい))摂理を語るところ。この人物が名作文学『罪と罰』を語るのも興味深かった。 細部で納得いかなかったのは、別れた恋人(人妻)の自殺の経緯を詳しく知っていたこと。遺書が見つからなかったことなど、どうしてそこまで元恋人の立場の主人公が知っているのかと不自然な気がした。それと、上記の木崎が指示を出すとき、やたらと細かい情報を加えたこと。これは、なんとなく読者向けの説明では?と思ってしまった。また、大臣とか政治家がいろいろ妙な組織と癒着しているような話がほのめかされていたけれど、そのへんも最終的にどういう繋がりだったかは明らかにならないままだった。こういう不明瞭な扱い方だと、なんとなく日本の政治への不信感を煽るだけになるのでは?と思う。なんというか、むず痒さの残る読後感だった。 設定も展開も面白いので、そこが残念。 | ||||
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これは本当に面白かった。いや・・面白い以外にどういえば良いのか言葉が巧く出てこない。鳥肌が立った。何と言っても木崎の絶対悪的存在感が凄まじく、それに抗うたった一人の掏摸が、自分には本当に切ない、生きてくれと念じずにいられない人間だった。中村作品は、いつもぼんやり感じる人生の謎的なものに触れられる感覚があって、そこが好きだなと思う。兄妹編があるようなのでそちらも読みたい。 | ||||
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主人公のスリ師がある親子と関わる中での心動いたりある男から規定される運命に抗っていく物語。登場人物みんな反社会的?中村文則さんのダークな世界観や非現実感に浸って一気に読める面白さ。『王国』も読みたい。 | ||||
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初めて手にした作家さん。天才スリ師の一生?を描いた作品。日本人好みの勧善懲悪を盛り込み、反社会的な主人公だけれど感情移入しながら読み進められた。文量も適度で惹き付けられながら読むことが出来た。究極の悪が謎に包まれたままなのはそれはそれでアリかも。主人公、最後どうなった?続編にも期待。 | ||||
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中村文則さんの本を何か読まなければと思い『掏摸』に決めてしまった。 『掏摸』というタイトルからもう半世紀も昔に観た映画の記憶が蘇ったからです。 このフランス映画は、ドキュメンタリー風なタッチで撮影されていた記憶です。 さて、中村文則さんの『掏摸』について評者の感想を書いてみましょう。 木崎という不思議な組織にいる人物に支配されてしまった「僕」(P48で西川と本名を知ることができた)の不条理な物語です。 まず木崎が饒舌に語る内容からシニカルで非情なインテリ男であることを読者は知ることになります。 木崎の所属する闇の組織がどのようなものなのか(?)木崎が知識人だけに訳のわからぬ恐怖がじわじわと染み込んできます。 「僕」の育った環境から、この木崎という男と「僕」には多少似たところがあるように思われてきたのは評者だけでしょうか。 一匹オオカミの掏摸でしかない「僕」は、逃げることも反抗することも出来ない。 スーパーで出会った万引き親子との交わり、行方が判らなくなった石川を思う不安。 母親が万引きを強いる息子へ盗みやスリのテクニックを教え、キャッチボールをするなどのエピソードなど上手く物語に挟んでいる。 この『掏摸』という小説は、プロットもデティールもよく練られ、まぁ、まぁの作品に仕上がっていると思います。 海外での評価、そして大江健三郎賞の受賞、なるほどと思いました。 評者は、もう何年も昔になりますが、F氏の『*****のパラソル』を読み終え、あまりにも面白くなかったので、その後このジャンルの日本の作家のものを読むのを止めていたのです。 が、中村文則さんの『掏摸』は、すくなくともF氏の作品を超えた作品として読ませてもらいました。 巻末の<参考文献>で『スリのテクノロジー』『スリ その技術と生活』『スリと万引き』そして評者が大昔観たロベール・ブレッソン監督の映画『スリ』も記していました。 本書の続編ともいえる『王国』と映画『掏摸』のDVDも入手するしかないか、と思いながら中村文則さんの『掏摸』を読み終えました。 | ||||
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"人影が見えた時、僕は痛みを感じながら、コインを投げた。血に染まったコインは日の光を隠し、あらゆる誤差を望むように、空中で黒く光った。"ファンとして知られる綾野剛氏が著者の初めの一冊として推す本書は登場人物それぞれの生きようとし続けているのがキラリと光る。 個人的には、旧約聖書を意図的に読んで【構図】として把握しようとしている著者の姿勢に、この作品には厚みと、そしてのちの教団Xにつながる流れを感じました。そして映像的なスリの描写も各所で緊張感をもたらしてくれて飽きなかった。 日常に緊張感を求める誰か、それでも生きようと足掻く誰かにオススメ。 | ||||
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掏摸の技術論が詳しく書かれているので、そこが珍しく思えた。巻末に参考文献が上がっていたので、その理由は納得できた上に、資料を駆使してリアルに記述する作家の力量も感じられた。 主人公の青年とそれを取り巻く状況、子供や組織とのやり取りなど、対比がうまく構成されていた。文章も読みやすくて楽しめました。 | ||||
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