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六の宮の姫君



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【この小説が収録されている参考書籍】
六の宮の姫君 (創元推理文庫)

六の宮の姫君の評価: 3.94/5点 レビュー 33件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.94pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全33件 21~33 2/2ページ
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No.13:
(4pt)

菊池寛が読みたくなる。

円紫師匠と私が出てくるシリーズの4作目。今回の謎解きは芥川龍之介作「六の宮の姫君」をめぐる「玉突き」「キャッチボール」という発言から始まった。
 少ないヒントから芥川の友人菊池の作品や手紙、はたまた同時期の作家たちの言葉を次々読んでは核心に迫っていく。途中、自分は一体何を読んでいるのか判らなくなるほど、文学の話が続く。これはもう、芥川、菊池のファン、文学ファンには面白くてたまらない一冊。
 ただ作家の作品を読むだけでなく、その時代の作家同士の繋がりや全集の編集者による違いなどなど。文学の別の楽しみも教えてくれる一冊だと思う。
六の宮の姫君 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:六の宮の姫君 (創元推理文庫)より
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No.12:
(5pt)

すばらしい、書誌学ミステリ

 芥川龍之介が自作『六の宮の姫君』をさして「あれは玉突きだね・・・いや、というよりはキャッチボールだ」と表現した言葉の謎を巡るミステリーです。 どういう経緯で生まれた作品なのか、誰とのキャッチボールだったのか、「私」がその謎を追って、奔走します。
 恥ずかしながら、芥川の作品というのをきちんと読んだことがありませんでした。だから、彼の生い立ちやらバックグラウンド、自殺に至る経緯なども全く知りませんでした。それでも、全く退屈せずに作品全体を楽しめました。これはひとえに、作者に筆力によるものでしょう。知らない人間でもこれだけ楽しめるのですから、芥川に慣れ親しんでいる方なら、なおさらおもしろいでしょうね。
 人が死ぬわけでもなく、犯罪者が出てくるわけでもない、だけど立派なミステリー。基本的には、古本屋や図書館で古い本やら雑誌やらを調べる、これだけの行為の中からこんなにすばらしい「推理」を組み立て、一つの作品に仕上げてしまう、北村薫という人はすごい人だと改めて思いました。こんな”知的な”ミステリー、なかなか今の日本になかなかないでしょう。
 これを読んだおかげで、芥川のみならず、菊池寛など、同時代の作家の作品も手当り次第に読んでみたくなりました。
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No.11:
(4pt)

文学の向こう側を覗く

芥川龍之介の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞の謎に迫るミステリー。
というと、「ダヴィンチコード」のような謎解きを想像しますが、本書は、そうした派手な展開とは無縁です。しかし、面白くない訳ではありません。むしろ、非常に面白い!知的好奇心をくすぐられます。
謎解きに使われるのは、図書館に行けば見つけられそうな本ばかり。そこにちりばめられたヒントから、近代文学の巨匠たちの心理に迫っていくのは、純粋な学問的な興味をそそります。
本来学術的な論文になるような内容を、独特の透き通るような文体でエンターテイメントに仕上げてしまう、北村さんの筆力に脱帽です。
血なまぐさい殺人事件や、鮮やかなトリックもいいですが、本書を読めば日常の中にミステリーの種はいっぱいあることが分かります。
ミステリーの枠を拡げる作品。近代文学に興味がある方はもちろん、基礎知識が中学校の教科書程度でも十分楽しめます。おすすめ。
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No.10:
(5pt)

思わず読みたくなる読書案内

 「誰もが毎日、何かを失い、何かを得ては生きて行く」第一作目では大学一年だった「私」も卒業を控えこの作品では、卒論にてこずり始める。彼女が卒論で取り上げるのは「芥川龍之介」そんな彼女はバイト先で芥川龍之介が「六の宮の姫君」という作品について述べた不思議な言葉の謎に心を奪われる。「知りたい」という気持ちが研究の、そして学問の第一歩なのだと改めて思う。本来、卒業研究とはこういうものなのだろう。芥川、という偉大な作家に対して、そして彼が残した作品に対して作者の愛情が存分に伝わってくる。勿論、作者の愛情は主人公「私」にも向けられる。一歩ずつゆっくりと大人になる彼女は、様々なことを受け止め自分の中で確実に消化し、経験として蓄積していく。自分のペースで確実に歩む彼女は周囲の人々だけではなく、様々な本から多くのことを吸収していく。彼女が読書している様子を読んでいるとその作品にまで手を伸ばしたくなる。この作品は良質の読書案内でもあるのだ。
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No.9:
(4pt)

芥川を知ると更におもしろさが増します

「六の宮の姫君」は終始「芥川龍之介」がメインなので1度読んだときは、ハッキリ言って難しくて面白いとは思えませんでした。最近「朝霧」が出て面白かったので再度「六の宮の姫君」に挑戦。偶然ですが、最近「芥川」の本を何冊か読み、後書き等で芥川の人生なんかも読んでいたので、「六の宮の姫君」を面白く読むことが出来ました。「芥川龍之介」に興味を持って読むと楽しめると思います。この本が幻で終わった北村薫氏の卒論というのがビックリでした。
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No.8:
(5pt)

文学部必読書!

北村薫作品の中で一番好きな作品です!ミステリーとしての出来はもちろんのこと、芥川龍之介に焦点を当てながら進む物語は昭和文学史の理解も助け、楽しみながら勉強できます。文学部の人には必読です!円紫師匠の出番があんまりないのはちょっとさみしいですけどね。
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No.7:
(5pt)

真面目で想像力豊かな学生としての「私」

 「謎解き」が、ある説明されていない問題に対して、一定の手続きに乗っ取り、文脈を調べ、仮説を立てて証拠を集め、証拠と文脈を繋ぐ環を想像力を駆使して事実の一角に迫る事とすれば、この点でアカデミズムとミステリは非常に酷似している。 「六の宮の姫君」を通じて行われたという「キャッチ・ボール」という老大家からのヒント。「私」はこれを追う中で、文学史上対照的な軌跡を描いた芥川と菊池の互いにない、ベクトルの異なった鋭敏なものを深く尊敬し合う関係、そしてそれ故に離れていく互いの運命を浮き彫りにする。そして彼らの生きた大正・昭和初期という時代、文学がメディアの最先端として躍動力を持った時代を、稠密な文体の中に哀惜を孕んだ対象への愛情を載せつつ見事に描き出した。 文学部の真面目な学生の卒業論文が持てる稠密さと、「私」という若き女性主人公の役割が持てる瑞々しく繊細な感性に載せた筆致が見事に融合している。エンターテイメントとしても、「六の宮の姫君」解釈の一例としても、大正・昭和文学史に対する一見解としても、他ジャンルである文学部の専門的な研究スタイルの一手法を追体験できるという意味でも、多層的に豊かに楽しめる逸作だと思う。
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No.6:
(4pt)

こんなミステリーもありなのだ。

卒論を『芥川』に決めている私は、バイト先で老作家・田崎先生から芥川が『六の宮の姫君』について「あれは玉突きだね。……いや、と言うよりはキャッチボールだ」と語った言葉を聞きその謎を追う。それは興味深い芥川論になっていく。私は、円紫さんの助言によりキャッチボールの相手を志賀直哉・谷崎潤一郎・佐藤春夫・菊池寛としぼりこみ推論を重ねていく。その過程が面白く読み応えがある。そしてそれは、最後に芥川の死につながる。そこで、おっ、やっぱミステリー!と思わされる。また、作者が調べ読み込んだ資料を如何に用い、『六の宮の姫君』を構成したかを推理して読めば二重の面白さが味わえる。
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No.5:
(5pt)

ビッグな卒論!

大学四年の主人公が卒論を書きながら、その謎解きをしていきます。周囲の人物には、出版社の編集の人や小説家も出てきます。卒論のテーマにからむ謎を解くまでの過程が面白い。図書館で、友人とのおしゃべりで。些細なことから解かれていきます。謎解きは芥川と菊池の交流とその友情がキーワードであり、書誌的なものだけではない、その裏の人間の機微をすくい取った名編だと思いました。情報や資料の調べ方、卒論への姿勢も身につきますよ。しかし筆者の博学とその活用ぶり、暖かいハートには尊敬!
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No.4:
(5pt)

芥川と友人たちの心の交流を覗き見したような・・・

円紫さんと「私」シリーズでは、円紫さんが「私」の「日常に隠れた謎」を会話の中から解き明かして行きます。そのスタイル上、会話の中だけで謎の提示から謎解きまで終わってしまうことも多く、そのアクロバティックな謎解きもシリーズの魅力です。そんななか、今回の作品はいろんな点で異色であるといえます。まず謎解きを円紫さんではなく主人公「私」がしていること。謎を日常の中にではなく、芥川龍之介という大作家の作品においたこと。いつもの軽やかさはありませんが、実在の作家の名文や名言が随所にあらわれるため読み応えありです。また謎解きを「私」にさせたことによって、読者の視点からは芥川や友人たちの作品(またその文章)自体に謎解きをさせた形になり、謎解きに説得力が含まれていると思います。さらに謎解き以外の楽しみとして、芥川と友人たちとのこころの交流が垣間見れるような記述もふんだんに盛り込まれていること。かなり感情移入してしまい、つい涙してしまう場面もありました。おすすめです。ぜひ多くの方に読んでほしいと思います。
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No.3:
(4pt)

難しかった・・・

「私」と円紫師匠シリーズの中でも一番難しかったです。円紫師匠も出番が少なく最初読んだ時は?事件は??と思ったくらい。こういう風に芋づる式に読書がすすんでいく人を「活字中毒」というんだろうな、と思いました。
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No.2:
(4pt)

六尺棒

大学時代にこの本にめぐり合っていれば、私の卒論ももう少しは野望に満ちたものになっていたかもしれない。(努力不足で結果的には単なる作文に終わっていたとしても)図書館はどう効果的に使うべきか、ヒントがこの本の名から隠されている。もう一つ発見があった。ここで紹介された落語「六尺棒」だ。私は珍しくこの落語をあらかじめ知っていた。ところが、私のもっていたイメージと円紫がやった噺とは、人物像も季節も180度違うのだ。落語は噺家によってこうも違う噺になりうるのか、再認識したしだいです。
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No.1:
(5pt)

北村薫の真骨頂

"円紫さんと私"シリーズの中でも一際異彩を放つ本書。 難解で一般的には受け入れられにくいだろうが、これまでの日常ミステリ+偉大な文豪の作品を題材として取り上げる著者の着目点に感服。"私"様著者も卒論で芥川を取り上げられたのでは?この本自体が卒論としても通用するのではないか?
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