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ロートレック荘事件
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ロートレック荘事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全135件 121~135 7/7ページ
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筒井氏によるこの作品は、ミステリーとしてカテゴライズされる。 しかしながら、この場合は懐疑的な姿勢より文学を耽読するような姿勢で臨まれることを推奨する。 総てを理解した後、再び最初から最後まで懐疑的に読むことは非常に有意味な作業だが、まずは素直にゆっくりと読み進めてほしい。 私は当初、本作をミステリーを読む姿勢で臨んだのだが、真相が明らかになるにつれてトリックや謎についてはどうでもよくなってしまった。 心情の機微がひしひしと伝わってくるのだ。特に、典子と二人きりで語りあうシーンは作中最も秀逸なシーンであり切なさに心が痛む。総てを了解した後では一層…… 一字一句がトリックでもあり、文学でもある。この素晴らしさを読んで感じてほしい。 | ||||
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確かに凄いかもしれないが、面白くはないよね、これ あぁ、筒井さん頑張ったんだな、書くの大変だったろうな、とは思うが、それ以上の感想はなかったです。 いちいち読み返して一文一文チェックして「おぉ!確かに矛盾してない!」って楽しむんですかね? まぁでも皆さん感動してらっしゃるようなので僕が変なだけかもしれませんね | ||||
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「おれ、筒井康隆がミステリを書いてやろうではないか」という衒いが鈍い輝きを帯びて文章から伝わってくる。「おれがやるからには、普通のものを書いてはつまらない」との声が聞こえてくるような、まあ奇を衒ったトリックを仕掛ける。しかしながら、叙述トリック自体は古くからよくある手法で、さして新しいものではない。この作品に価値を与えるならば、SF畑の人がここまで完成されたミステリを仕上げてしまった(しかも真っ直ぐにミステリの設定で)という点にあるだろう。照れ衒い嘲笑がそこかしこから窺い知れる(そこが筒井の一番の魅力でもあるのだが)。作品を作者から切り離してみれば至って凡庸、取り立てて称揚するほどのことは無い。だが、筒井康隆に帰着して考えれば、その懐の深さに舌を巻いてしまうのも、また事実である。 | ||||
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ロートレック(その作品のいくつかは本書にカラーで収められている)は,13歳のときに左の大腿骨を,14歳の時に右の大腿骨をそれぞれ骨折したために脚の発育が停止し,成人した時の身長は140センチに過ぎなかった,という。酒に溺れ,36歳で死んだ。 重樹も,8歳のころ滑り台から落ちて,下半身の成長が止まり,車椅子生活を余儀なくされた。その重樹が,友人らとともに招かれた通称「ロートレック荘」で,美女が次々と殺される・・・。 初読時と再読時とでまったく違うストーリーが見えてくる(だからメタ・ミステリーか),騙され方が気持ちいい作品であった。是非一読(と再読)を勧めたい。 | ||||
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読んでいるあいだ中ずっと、モヤモヤを感じていた。 すべてを読み終えてもまだこの感覚は続いた。 理解できないわけではないが、スッキリとしないのだ。 更に解説まで読んで初めて「とんでもない事を読み落としていたのではないか」と気付き、最初から読み返す羽目となった。 不明瞭な点を確認するために作品を読み返すのは珍しい事ではない。 大抵はパラパラとページをめくり、ストーリーを思い出しながら重要な点を深く掘り下げて読む。 ところがこの作品では、一言一句たりとも疎かにできないのだ。 細心の注意を払いながら読み返していくと、出るわ出るわ、随所に散りばめられた筒井氏のトリック。 最初に読んだ時は、まったく気付かなかったのに... こうして読んで気付くのは、気が遠くなるほどの推敲を繰り返し、最初から最後まで一句たりとも矛盾の無いストーリーを創り上げた筒井氏の執念深さである。 これほどまでに計算し尽くされた完成度の高い作品を、私は他に思い浮かべることができない。 翻訳して海外に紹介されても、必ずやこのトリックは絶賛されることであろう。 私は常々筒井氏を天才だと思っていたが、その天才のレベルの高さを再認識させられた。 多作の著者にあっても、屈指の傑作であると言いたい。 また、巻末の解説についても書き加えたい。 解説と言えば、作品そっちのけで自分の知識ばかりひけらかそうとする鬱陶しい物が多いが、この解説は素晴らしい。 トリックに気付くための鍵を示しながら、決して必要以上の謎解きをしない。 必要最少限をわきまえた節度ある解説に好感を覚えた。 この解説が無ければ、あれほどまで仔細に読み返さなかったであろうし、仔細に読み返さなければ、この作品の本当の価値を見出せなかったであろう。 蛇足ではあるが、いわゆる「差別用語」が多用されている点については、後の「断筆宣言」の背景を理解していただければ、著者の意図を読み取ることができると思われる。 | ||||
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世界に類のない超絶ミステリである。冒頭の3ページで、主人公2人の過去の因縁を語っているが、私はここで庄司薫氏の初期のある短編を思い浮かべていた。その作品(勿論ミステリではない)は一人称で書かれているのだが、奇数章と偶数章とで一人称の主体が異なるのだ。私は、本作はこの手法を応用して読者を欺く(安易な)シロモロだと予想していた。勿論、犯人は2人のうちいずれかである。 4ページから現代の描写に移るが、その記述形式から私の予想は確信へと変って行った。ところが、読み進めるうち、それでは辻褄が合わない事象が出てくるのである。「おかしい、私の考え方に間違いはない筈なのに」と思って更に読んでも一向に矛盾は解決しない。「おかしい、おかしい」と心の中で叫んでも事実は変わらず、途中から作者の導くままに着いて行くしかなくなった。 そして結末に至って明かされる作者の超絶の技巧。作者の構想は、私の予想の2枚も、3枚も上を行っていたのだ。ミステリを読み始めて早40年強。これ程驚いたのは初めてだ。再読して、作者が細部の記述の隅々まで如何に気を配って書いていたかが分かり、感嘆の念を新たにした。 この作品の実現を可能にしたのは、勿論アイデアの素晴らしさもさる事なるが、筒井氏の作家としての力量の高さに依るところも大きいと思う。日本が世界に誇り得る超絶ミステリである。 | ||||
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本書が刊行された当時(1990年)は前人未踏のトリックなどといわれたものだ。 この映像不可能というトリックはいまではさほど目新しくもないのだろうが、当時はなかなか楽しんだ憶えがある。 このトリックは、まったくのアンフェアである。だが、筒井康隆がこういうトリックでミステリーを書いたというところにぼくは一種の快感を感じてしまうのだ。あの「アクロイド殺し」もおよびでないのだ。 真相を知ってから読み返すと、さらに楽しい。ものは書きようである。ほんと舌を巻いてしまった。まさしく綱渡り。「皇帝のかぎ煙草入れ」も真っ青。 古典的な舞台であまりにもオーソドックスな事件が描かれているだけのこの作品は、おそろしく挑戦的なアンチミステリなのだ。 でも、本書はトリックだけのミステリではない。ラストに到って犯人の痛みを感じやりきれない思いを味わった。本職でない分野なのに筒井康隆大健闘なのではないだろうか。彼のミステリでは、有名な「富豪刑事」の前例があるが、トリックの大胆さでは本書の比ではない。 なかなかの野心作ではないだろうか。 | ||||
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ハッキリ言って、ロートレックという画家に関して、その伝記映画『赤い風車』のストーリーを事前に知っておく程度の予備知識が必要。その程度の知識を読者は持っている事を前提にして、読者をミスリードするべく丁寧に書かれている。知識の無い人がウッカリ読むと、つまらなく感じる場合もあるので要注意。 | ||||
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本格ミステリーだと思い込んで読むと、読後に脳内血管がぶち切れることとなります。というか、この作品を探偵が活躍してトリックを解明するミステリーと思い込むこと自体、読む前の段階で間違えています。ラグビーとサッカーを間違えるようなものです。この作品の特徴はミステリーの材料を利用して、ミステリー的な予定調和から意図的に逸脱することにあります。その逸脱の仕方は「日本SFの最大の功労者の一人」である筒井康隆らしいものです。つまり、ミステリー的な手法から如何に飛躍するか、ということに作者の視点が向いているわけです。ですから……「ワシはミステリーしか読まん!!!」という頑固で石頭の人は読むのを止めておきましょう。一方で「純文学だろうがSFだろうが歴史小説だろうがミステ!リーだろうがなんだって読むぜ!ようは面白きゃ何だっていいんだよ」という文化的雑食動物のあなた、この作品を読みなさい。そういう人はこの作品の面白さを理解できると思います。 | ||||
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世にミステリの名作と言われるものはたくさんあり、その中には、文学としても優れたものもありますが、通常、その文学性は、ミステリのトリックとは必ずしも関係ありません。ところが、この小説の場合、トリックと文学性が不可分に結びついており、そのことが読者に異様な感動を与えます。この作品のトリックを見抜けなかった人は、読み終えてから、なぜ自分はダマされたのだろうと考えてみてください。そのときあなたは、筒井氏の本当のオソロしさに気づくことでしょう。。。この作品が、いまいちポピュラーでないのは、その紹介のしにくさが一因と思われますが、個人的には、筒井氏の数多くの作品の中でも、十指に入る傑作ではないかと思っています。 | ||||
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概ねミステリとは最後に探偵が真相を説明する。それは「後説」と呼ばれ、明快に説明してみせなければならない(そうじゃないとテンポが悪くなる)ベストなのは後説すら必要としない真相そのものズバリを見せつけることだが、本書はその点で不満が残る。説明を要せずとも驚きで頭が真っ白になる作品もあるのだ。下記はその点で優れた作品である。衝撃的に、また鮮やかに真相を読者の前に突きつけ、頭の中を真っ白にしてくれる。未読の方は是非読み比べてみてほしい。ハサミ男(殊能将之)殺戮にいたる病(我孫子武丸)鴉(麻耶雄嵩) | ||||
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まだ読んでいない人、絶対読んで下さい。これは小説でしか表現できないおもしろさなんですね。映画や舞台にはできないんですよ。トリックを考えながら、ぞくぞくするような楽しみがありました。久々に「本」の面白さを心の底から味わった感じです。読むときは、真剣に、丁寧に読んで下さいね。そして最後にああっ!と驚いて下さい。 | ||||
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実は鉄道車内で本書に挿入されている複数のロートレックの絵を見る度にクスクス笑いする若い女性を目撃したことがあり、わたしにはなぜそれらの絵が彼女の笑いを呼んだのか未だに理解できないのですが、実はわたし自身がなぜか大笑いしてしまった或る表現に対しても他人はその笑いの理由が分からない(勿論、わたし自身にも分からない)という異常事態が発生していることからも本書は(その理由は全く不明ですが)いい小説なのだと思います。 | ||||
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筒井先生実験的な作品って感じがしました。トリックは言えませんがオチはちょっと悲しいですけど『あぁ、なるほど。こういう事ね』と思える一作です。 | ||||
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この小説はもちろんミステリーなのだが,ただのミステリーではなくて・・ ああ,やっぱりこの小説のレビューは無理だ. この本の面白さを是非多くの人に伝えたいのに,伝えた時点で面白く無くなってしまうのだ. とにかく,たくさんの人に自分で読んでほしい.そして私と同じショックを味わってほしい.世界がひっくり返って見えること請け合い.ヒントは,「メタ・ミステリー」という言葉.オビの惹句にこの言葉がちゃんと書いてあったにもかかわらず,トリックを見破れなかった. ついでに言うと,ロートレックの図版が付いているのもこの本のお得なところ.おすすめです. | ||||
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