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八日目の蝉
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八日目の蝉の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全425件 361~380 19/22ページ
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NHKテレビドラマ放送をきっかけにそして主役の壇れいさんのファンということもありこの小説を読みました。 誘拐を肯定出来ないにもかかわらず読み進むうちに希和子と薫の生活が少しでも長く続くことを願う自分が いました。戸籍なく健康保険証もなく日本で生活していくのはかなり困難です。そのような制度に守られて 平穏に暮らしている事をありがたく思いました。しかし外界から閉ざされてはいるものの、しがらみを捨てて 生きていくエンジェルホームに(固定観念にしばられている自分に悩む私は)惹かれるものもありました。 逃亡中のワンシーンですが老婆の家に居候させてもらっている時に米や味噌を購入する場面があります。私には 印象的なシーンで自分の視野が広がった気持ちになりました。米や味噌を買う事は明日からの平和な生活が 待っているからと表現されていました。その事に希和子は強い願望をみせています。あたりまえのように平穏な 毎日が繰り返されスーパーマーケットで食品を買う日常がこんなにも気高いことに表現される文章にはじめて 出会いました。その後、薫が3歳まで続く生活も温度感や臭いがしてくると思うリアリティに満ちていました。 社会保障のない状況で、けれども恵まれた出会いの中で深い愛情をそそいで子育てしていく姿に私にないものを持つ 希和子を感じました。そしてさらに周囲に感謝する自分でありたいと忘れ物を取りにいくように小説を読む事が 出来ました。 | ||||
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本を読みながら 涙を流してしまったのは 重松清さんの『流星ワゴン』以来。 帰宅途中の電車の中で 「これは大変なことになる」 頭の中に感涙ランプが点灯。 自宅について ラストまで一気に読みきり 涙を流しながらおもわず、 拍手をしてしまいました。 ここは映画館じゃないんですどね(苦笑) NHKのドラマキッカケで 読み始めたのですが、 ドラマは原作と多少内容を変える様子。 ラストをどうするのか、 キャストをどのようにするのか、 とても楽しみが膨らんできてしまいました。 秀逸な原作に負けない ドラマになることを期待しています!! | ||||
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これほどまで親子の描写、特に、薫の心情を描けた作家がいただろうか。 特にフェリー乗り場での希和子と薫が警察官によって引き裂かれる場面。 胸がぐ〜っと締め付けられる思いをしました。 でもこんな風に読めるのは、自分に子供ができたからじゃないかな? とも思います。 薫の一つ一つの言葉、行動が目に浮かびます。 とてもかわいらしい薫の笑顔が目に浮かびます。 もし私が独身であったら、こんなにも感情移入できなかったのではないか。 そう思い、子供の『いる』『いない』で(全く差別的な感情はありません)、読後の感想が変わってくるだろう小説だと思いました。 | ||||
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この小説は、日野OL不倫放火殺人事件という実際にあった事件ですよね(wikiに記事があります)。不倫相手の妻が女主人公に浴びせた言葉、人物の年齢や経歴、性格などの設定や人物関係など、そっくりそのままなのです。それを公表せずに、自分の創作であるようにするのは、作家の態度として如何なものかと思います。 | ||||
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ずいぶん前に読みました。 その時の衝撃はレビューも書けないほどでした。 まるで自分の人生を角田さんが見ていたのかと思うほど、恵理菜は私でした。 もちろん誘拐などではありませんが、私も4歳の時、家族と思っていた人達から引き離され、実の両親だという人達の家に連れてこられました。穏やかで優しくて、笑いの絶えない家で、末っ子として家族みんなから甘やかされて暮らしていた私は、人間関係の難しい、怒鳴りあいや罵り合いや陰口の絶えない家で暮らすことになりました。180度変わってしまった環境と、なにより親という存在が別人に変わってしまったことの混乱は、自身が親となり、思春期の子供たちと向き合う今になっても障害となっています。恵理菜が思い描く種子島の思い出は、私が今でも思い描く幸せだった頃の薄の海と同じものです。 でももし、あの幸せだった記憶がなければ、今、こんなに苦しく無かったのかもしれない。今、優しい夫がいて、かわいい子供達がいて、幸せを十分自覚しているのに、あの頃の混乱が止まずに私の中にあるのです。 希和子を主人公と読む人もいるでしょう。 私にとって薫としてではない、恵理菜が主人公でした。そして恵理菜の何もかもがまるで自分の姿でした。今度ドラマ化されるそうです。みようかどうしようか、少し考えています。 | ||||
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妻に勧められ読みましたが大変おもしろかったです。 浮気ができなくなります。 | ||||
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希和子の考えること、薫・恵理菜の考えることや体験してきた ことは、淡々と描写されているのですが、 家族や友人等とのかかわり方というのは、自分自身の体験や環境と 部分的に重なることも感じられてとても切ない気持ちがしました。 また、それでいて、自分や家族、その他の人々・環境を許容して いくようになる、あるいは許容せざるを得ないと気づいていく ところは、人の生命力・前向きなさわやかさを感じさせます。 こんな気持ちを持つのは小説の醍醐味でもありますし、 これからのいい糧にもなった気がします。 誘拐とか、宗教団体というのは仕掛けであって、 それ自体はこの小説の主題ではないのだと思いますが、 面白かったです。 | ||||
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不倫をしていた佐和子が、相手の家庭に産まれた赤ちゃんを 誘拐して逃亡生活を送る第一章と、誘拐された薫が成人した 20年後の第二章とに分かれています。 前編は、自分の子のように大切に薫を育てる佐和子の 切実な愛情に何度も泣かされ、重犯罪なのに、このまま 逃げおおせたらいいのに、と祈ってしまうくらいでした。 そんな感傷を断ち切るように、後編は狂わされた運命に苦しむ 薫の目線で描かれています。 本当の親の元に戻ったものの、とても幸せとは言えない 家庭になってしまい、家族全員がこんなはずじゃなかったのに、 ともがいている姿が痛々しい。 不器用に、それでもなんとか前に進んで行こうとする薫を 愛しく感じました。 普通の人なら知らずに済んだはずの薫の体験を、 普通の蝉なら見ることのない「八日目」になぞらえたタイトル。 「無駄な経験など何もない」なんて言うと綺麗ごとだけど、 きっといつか見えてくるものがあるのかな。あるといいな。 | ||||
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主人公が不倫相手の赤ん坊を連れ去り、 共に生活していく…。それだけを論点に するなら共感する人など少数なはず。 でも作品としてとても良かったです。 一気読みでしたし。それだけ文章もよかった ということだと思います。 やってはいけないことをやってしまった人を “お前が悪い”と言うことは簡単だし言い切る正義感も 大切。だけどその裏にはこんな物語があったとしたら… それが小説の醍醐味だと思います。 もう一回読んでみたいと思います。 | ||||
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子供のいる友人に、「子供がほしくなるような本を教えて」と頼んで勧められた本です。 期待して読み始め、先が気になり一気に読めましたが、最後まで登場人物の誰にも共感することができませんでした。 子供を育てるっていいもんだなと思えたらいいなと思って読んでみましたが、ムリでした。 ただ、希和子が薫に見せてやりたいと願ったものと、薫が生まれてくる子供に見せたいと思ったものが同じだったという点が、 「親子とは血のつながりではないのだ」という作者のメッセージだったと思います。 一番不可解だったのが、「新緑の頃に生まれる」と医師に言われただけで、ころっと考えを変え、出産を決意する薫です。 これにとどまらず、この本の登場人物は論理的に物事を考える力が欠如しすぎていると思うところがたくさんありました。そこが一番イライラしました。 薫の妹の真里菜ちゃんが一番マトモで、一番かわいそうだったと思います。でも、彼女のことは余り書かれていませんでした。 (追記)今、NHKでドラマ化されていますが、こちらはとてもおもしろくなっています。この長いストーリーをうまく短くしてあり、登場する女たちのそれぞれに共感できるところがあります。 | ||||
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幼い子どもを持つ親として、幼児誘拐という犯罪には、いかなる理由があろうとも、許せないという感情しかわいてきません。 また、子どもを誘拐された母親の描かれ方が浅く、納得できませんでした。 ラストも「なんだかなあ」と、釈然としません。 | ||||
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最後まで一気に読んでしまいました。 最初の主人公は彼の浮気相手であり、衝動で子供を誘拐してしまう、 なんだか登場する全ての人物が救いようのない暗い過去を持っているのですが、 その人物の主観になって読んでしまう。 意外と前向きなラストシーンは良かったと思います。 | ||||
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前半は情状酌量の余地ありありに書かれた 不倫相手の子を誘拐する女性の心情と逃亡劇。 後半はその女性によって人生を狂わされた子どもの 成長後の人生と心境。 正直これは、親に振り回された子ども(恵理菜と千草)が自分をどう処世していくかという部分がリアルに説得力をもって描かれていたら、小説としてもっと高みに昇ったのではないかと思います。 誘拐犯の女性は哀れは、1人称で描かれているし、男の被害者という面も強いので感情移入はしやすいです。エンターテイメントとして、純粋に面白いです。 でも、そんな女性に振り回された子どもである恵理菜の心情描写にいまひとつ凄みが感じられませんでした。 なんだかんだと自分を否定しながらも、自分や自分の身ごもった命を肯定する部分には人間のしぶとさを感じますけど、その鈍感さや自己本位な生命力がこの登場人物たちの背負った業のようにも感じられて、もっとちゃんとしろ、といいたくなる(笑) 社会の枠組み、倫理からは外れる人間が自己肯定する結末は、もう少し敏感に、繊細に描いてほしかったなという気がしました。 | ||||
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新聞の連載で読んでいましたが、どうしても好きになれませんでした。 物語の中に一貫して流れている作者のメッセージというか、 そういうものが不快にしか思えなくて。 登場人物も、魅力を感じられる(または感情移入できる)人がいなかった。 一番の被害者は、夫に浮気をされ、産んだ子供を誘拐され 手はかかるけど、一番愛らしい時期を、その浮気相手に奪われてしまった妻かな、 と思う程度。 子育てと真剣に向き合った経験がある人なら、 とにかく、こんな悲惨な話は無い!と感じるのではないか?と思うのですが・・・。 タイトルと物語とのつながりも、いまひとつピンと来なくて。 絶賛するレビューが多い中、申し訳ないけど、素直な感想が☆一つです。 | ||||
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自分が実母の立場であったなら・・・ 希和子を許せるはずはありません。 不倫をした希和子を最も傷つけることのできる 言葉を選んで、罵倒することでしょう。 夫のことも責めるけど、 女性は浮気をしたパートナーよりも 浮気相手を憎む生き物だそうですから。 でもその部分には目を瞑らないと 希和子の薫を想う母性に感情移入できません。 大学生になった薫の苦悩も、 希和子が原因(父親が最も悪い)なのですが、 薫は希和子から本当に愛されていたことを 希和子の「この子は・・・」というセリフを 思い出すことによって理解します。 単調な毎日の中で、一番大事な「目に見える」愛情。 薫の人生が幸せなものでありますように。 | ||||
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この物語は、実在の日野OL不倫放火殺人事件を思い出させる。 不倫の果てに妊娠、そして中絶。不倫相手の幼い子どもに執着する点までは、上記の事件をモデルにしているのだとほぼ確信する。 しかし、その先は違う。 犯人と子どもの結びつき、逃亡生活の結末、子どもが産みの親の元に帰されたその後。 野々宮希和子は乳児誘拐という許されない罪を犯したけれど、一生懸命に育てた。 子どもを愛していた。 そんな人間こそ、幸せであればいいのに。 居場所が知られることなく一生、薫と過ごせたらいいのに。 人間の弱さ、世の中の奇妙な仕組み、残酷な社会、そして愛情が紡ぎだす未来への糸が生まれる瞬間。 そんなものが垣間見れる一冊。 角田光代の書く恋愛は、甘さよりも苦さを感じる。そしてなぜかリアル。 文章の方は少し描写が過剰な気がしなくもない。言葉を尽くしすぎている。 しかしこの構成とストーリーを作り上げた点を高く評価したい。 森に眠る魚もだが、実在の事件を扱っているけれど、角田光代は登場人物を狂気で塗り潰すことは出来ないのだろう。 心の傷から入り込む深い闇に侵されてしまった犯人、だけれど小さな光、気付こうと思わなければ認識し得ない救いの手を、忘れない。 | ||||
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が登場します。題材になっている不倫の末に本妻の子供を誘拐するという主人公の行為は、 現在二人の子供を持つ私にとっては当然凶弾すべきことがらであるのに、逃亡という 非日常的な生活において希和子が薫に対してみせる細やかな愛情は、普段子供と 接している私にとっては後ろめたいほど感動的でした。 逃亡のルートで出てくる女性は、すべていろんな状況での母親です。私のいる状況は そのどれにもあてはまらないほど一般的ですが、登場人物皆が希和子の学生時代の 友人を除き、その日常一般的な母親であるのが叶わない女性ばかりです。 最終近くの「薫。待って、薫」という独白には、力が抜けるように涙が出ました。 普段わずらわしいとすら思っていた自分の小さい子供たちに対する接し方が、 ほんの少し変わったような気がします。 | ||||
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本屋で「店長お勧めの一冊」になっていてとても気になっていたところ アマゾンで発見!即購入しました。 スタートからラストまで一気に読んでしまいました。 一つの事件から発展し、垣間見る幾つもの人生に自分を重ね、 切なくなったり、悲しくなったり・・・。 とても面白く、考えさせられる一冊でした。 | ||||
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不倫相手との子供を堕胎した女が、その男の赤ん坊を誘拐する。 赤ん坊に対する強く切ない母性と追われる身となった自分たちの未来に対する不安が、 後戻りのできないギリギリの逃亡生活の中で激しく複雑に入り交ざる。 逃亡生活の果てに二人が歩んでいく未来が 美しく奥ゆかしい情景の中で、感性豊かに描かれている。 思わず笑顔にさせられるけど儚くて切ない。強い愛情と弱い心。 不幸な人生の中に垣間見える小さくて大きな幸せ。 素晴らしいです。 心に感動が満ちていくような切なくて優しい小説。 | ||||
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10回ほど読み返しました。 愚かな女性の行いを通して、愛情という曖昧な概念を鋭く描写していますね。人から人へと繰り返されること、離れていても思い続けること、憎しみを包み込む大きな力があること、憎悪と相反しないこと、才能であり、技術でもあること、それのみでは人を育てられないこと・・・諸々。 許せないけれど、間違ったことをしているけれど、主人公がエンジェルホームを抜け出す時に「これから私があなたに全部あげる これまで奪ってきたものを返してあげる」と心の中で繰り返すシーンに心を動かされました。 ラストすばらしかったです。言葉でどう言い表せばよいか解らないほどに。 女性同士の複雑な人間関係、不完全な家族、ダメ女の友情、生きる事への肯定観、角田小説のテーマの全てが、網羅されていると思います。 希和子と薫の「八日目」の先が、生きていてよかったと思える日々であるよう祈ります。 | ||||
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