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森に眠る魚
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森に眠る魚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.87pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全77件 41~60 3/4ページ
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登場人物が皆、何かを我慢して生活しているのに幸せだと思い込もうとしている。そして、真の友人になれたと思った誰かによって違うことに気付かされ、少しずつ壊れ始める。日常に隠れた怖さがあって、一気に読んでしまいました。そして、登場人物のすべてが自分と重なってしまい、少し苦しかった。今ある日常を、目の前にいる子供を大切にしようと思えた本でした。 | ||||
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私も幼稚園と小学校に通う子供がいますが、まさにいろんな種類のママ友との関係が本の中に出てきます。 その人、その人のバックグラウンドは誰にも分かりませんから、本当にいろんな考えのママがいるんだなあと 考えさせられます。 とても楽しめる一冊で2,3日で一気に読みきりました。 | ||||
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ドラマ「名前を亡くした女神」の原作としても知られている作品です。 子供を持つ身として小説とは思えない、現代で子育て中の母親としての苦しみを痛いほど感じます。 母親としては、子供のため、自身を日常に埋没させ、自身を社会に表現するには、子供や夫の社会的立場しかないのかもしれません。 子育て中の母親は子供のためにも必死ですが、夫の無理解、周囲の一方的な育児批判など、様々な試練が襲い掛かるものです。 女性は子供を産んだから、母親になるけれど、その成長は、周囲が支えてゆくもの。それが希薄な現代では、母親の心理的な負担は増す一方です。そして、社会的に活躍していた女性も、結婚、出産を機に家庭にはいらざるをえなくなり、自身を犠牲にせざるをえない立場を痛いほど味わっています。 現代女性の生き様としての、その痛いほどの苦しみが、心を突き刺すほどに伝わってきます。 本書を読んで、「愚かな母親達だ」と切り捨てるのは容易いでしょうが、その前にちょっとだけ、「どうして彼女たちはそういった結末にならざるを得なかったのか?」と考えてみてください。。。それぞれの立場で。 救いのない最後かも知れませんが、それでも子育ては終わらない、そして日常は続いてゆく。。。といったラストに母としての生き様の行方に光を感じた作品です。 育児中であるなしを問わず、全年齢層に読んで頂きたい作品です。 | ||||
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私は上の子の幼稚園でママグループになり、一緒に買い物行ったりして、 最初は楽しかったけど、だんだん陰口&噂話が多くなって嫌になり、 仕事みつけて下の子は保育園に入れました。 (そのことも悪くいう人もいたなあ、遠回しに。) というわけで、この本のママたちの「女」描写、あるある、と思いました。 夫の収入や実家の裕福さ、子どもの優劣で格付けられる (誰が言うわけでなくても自分自身の中で格付けしてしまう・・・)専業主婦ワールド! 自分だけの努力で、すぐにどうにかできるもんじゃないだけに、私はきつかったなあ。 八日目の蝉もそうだけど、男の人の存在感がうすかった。 まあ、そうして、女の世界を際立たせてるんでしょうね。うまい。 | ||||
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子供はいないけれど主婦なので理解はできます。主婦同士の人間関係の難しさ。 やはりグループではなく1対1でつきあうのがよいと思う。 特に繭子がかおり(金持)に娘のおさがりを貰う場面は読んでいて ほのぼのする。 ひさびさに面白い本を読んだ。おすすめです。 | ||||
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先入観なく読み始めたもので、いったいどこへ落ちるのか楽しみでした。 登場人物が、シンクロしながら事件が起きるのか・・・? いや、違う! これは、小学校お受験を中心に、それにかかわる女たちの心の葛藤の話なのだ。 子育ての方には滅入ってしまう内容のような気がする。 小学受験、これを逃したら次は中学受験・・・なかなか終わらない他人との比較。 女たちは、子を育てることによって、第二の人生を歩みはじめるのだ!!! かなり楽しめました。 | ||||
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肌触りの良い作品ではありません。特に、子育て中のお母さん(お父さん)にとって、キツいところもある話です。 育児、ママ友、お受験、実家や夫との関係・・・ ごくごく当たり前に、目の前に常にある、その日常の延長にある問題。 私が小学生の子を持つ親だからか、「ある、ある」「わかる、わかる」がぎっしり。 しかし、その「ある、ある」が、共通点を見出した喜びというよりは、隠しておきたい自分を晒されているような、 そんな、どろりとした湿度と重さと冷たさがつきまとう。 「あぁ、私だけじゃなかった!よかった!」という内容ではないだけに。 育児本は沢山出ているし、誰しも1冊は読むのであろうが、わが子や自分にぴったり合うマニュアルなどない。 みな、手探りで、日々の「育児の本番」をこなしていく。 それぞれの育児の理想と現実。 そして、周りの家庭の理想と現実。 その「自己」と「他者」の細胞壁のようなものが、徐々に決壊し、交わったり、反発したり・・・ そうするうちに、もとの細胞とは違う個になっていくのだが、 そこに至る痛みが生々しい。 そういう、まるで妖怪人間ベムのオープニングのような図を想像しながら読んだ。 人と違うこと、 よその家庭とは考えが違うことを気にしないで生きていくことの難しさ。 特に、日本ではそれが顕著なように思う。 人は人、と本当に自分が割り切って生活するには、 覚悟や根性や自信が必要なのだ。 確たる自分を持ってさえいれば、この作品のような痛いことにはならないのであろう。 しかし、しっかりしていると思える人でも、やはり周りに影響されたり、 無理をしていたりするワケで、 その無理はほころびとなり、傷となり、他者をも傷つける。 何にも揺るがない信念や、確たる自分があれば、 誰かに振り回されたり、 誰かに影響を受けたりしないのであろうか。 自分に自信を持って生きていくことの難しさは、 そのまま子どもに伝播するのではなかろうか? あなたはあなたのままで、とか、 個性を重視して、と言う側の母が既に、 それを壊しているのではないだろうか? そしてその延長には、虐待や無理心中、自殺もあるのだ。 隠しておきたい、森に眠る魚を抉り出された私は、 そんなことを考えさせられた。 | ||||
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学生時代でも社会に出てからでも、1度でも「女性グループってめんどくさい!」と実際に経験したことがある人にとっては、 興味深く読める内容だと思います。本書はさらにママ友という特殊な関係であることから内に秘めたドロドロ感がすごいです。 5人の登場人物ですが、この人のここが自分と似てる、身近なあの人とこの人のここが似てる・・なんて思いながら読みました。 個人的には容子が一番苦手なタイプかなぁ。何も知らないふりして偶然を装って瞳の前に現われる所とか怖っ!と思っちゃいました。 角田光代さんの本は長編の方がよりおもしろいと思います。 | ||||
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本質的なテーマは、「対岸の彼女」と同じだったように感じる。 「私」は「私」、「人」は「人」と割り切れると自負していても やっぱり周りが気になり、誰かを分かりたいと思う反面、 そのうちに自分のことを分かって欲しいという気持ちも強くなってしまう。 学生時代のスクールカーストにおける人付き合いから何も成長できず 大人になっても同じままであることにはとても共感した。 中盤以降に、個性が薄れ読んでいて誰が誰だか分からなくなる描写は リアリティーがあって良かった。 ドラマの「名前をなくした〜」はテーマが被るならともかく 設定までもが同じような気がする。 | ||||
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素晴らしい小説でした。中盤からは仕事を休んで、一気読みしました(笑)。生活も、価値観も、生まれ育った環境も全く違うそれぞれのキャラクターの5人の中に共通してあるのは羨望、猜疑心、嫉妬。まるで心の中を覗き見られているような気持ちになりつつ「わかる、その気持ち!!」「あるよねあるよね、そういうもやもやした感情!!」なんて1ページ1ページ激しく共感。正直なところ、私は「何か人よりもぬきんでた才能や容姿があったら…」とか「家が生まれつき裕福だったら…」などと考えることがあります。いい生活している人に憧れつつも羨望や嫉妬を感じたりもします(笑)。仲間なのに、私抜きで遊んでる友達を見れば嫌な気持ちになり、え。なんで私に声をかけてくれないの?私何か気に障ること言ったかな…ってさかのぼってねちねち考えたりします。友人が悩んでいると言えば一緒に考え、悩みに沿ったアドバイスをしながらも、所詮他人事、という気持ちは常にどこかにありますし、楽しそうな勝ち組の友人の話を聞かされ、素直に喜んだことは1回もありません。私はこの本を読む何年も前、そういった自分の負の感情に気付き嫌悪感をもったことがありましたが、ある一定の年齢を超えてからこちら「それが私という人間なのかな」と諦観のようなものもあったので、楽しく読み切ることができました。いつも中心でいたい。みっともない思いはしたくない。出し抜かれたくない。男を取られたくない。雑誌に出てくるような生活がしたい。年を取りたくない。上記のような感情は男女関係なく誰だって1度は感じたことがあるでしょう。ちなみに私は何かしらいつも感じていますよ。「悲しいね」と言う人もいるかもしれませんが、いいんですよ、それで。誰もが持ちうる健全な感情ではないのでしょうか。(もちろんあまりに激しすぎてある一線を越えてしまってはいけないのでしょうが;;)逆に、私の場合は負の感情のない人を心配してしまいます(笑)。そんなこんなで長くなりましたが、そんな俗に言う悲しい感情をもってしまった時にこそ、自分をもっと深く知る意味で、そして他人をもっと深く理解する意味で、読んで欲しい一冊です。 | ||||
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他の角田光代作品同様に誰もが見たくない、見ないようにという物から目をそらす事なく見据える角田光代の真剣さ真面目さが伺えました。 ある種の誰でも経験がある後ろめたさと恐いもの見たさにぐいぐい引きつけられあっという間に読み進み、そのうち自分でも気づかない自分自身の中に眠る本性みたいなものに向き合わざる得ない状況にたたされます。 でも本作を読み終わって感じた事は現代の格差社会の恐ろしさ。 本作のテーマになっているお受験。 すべては格差社会の勝ち組になろうとするがゆえの努力。 日本人はほとんどが中産階級で平和に暮らしていると信じているがこの話を読むとそんなのは幻想に過ぎず、明らかに格差が存在する事を認めざるを得ない状況に落ち入ります。 本作の中には出てくる5人の主人公の母親達はそれぞれが異なった環境の異なった階級に属しています。 いわゆる育ちが違うってことです。 その自分が育ったのと同様の環境の中にいる分には気づかない事を全く別の階級どうしが育児を通して知り合いになり友達になり行動をともにする事によりいやでもその違いに気づかされてしまうのです。 育ちのいいもの(都会育ちの勝ち組)は育ちの悪い物の趣味(センス)には共有できないと悟り、彼らの卑しさに気づき辟易し、貧乏とまでも行かず郊外や田舎の裕福でない家庭と環境で育ったものには自分の中にあるゆがんだ劣等感とどんなにのぞんでも身につける事の出来ない違い、勝ち組の中にあるあきらかな優越感に気づいてしまう。 それに実感をともなって気づかされてしまう事がこの話の本当の恐ろしさでしょう。 両者は相容れず格差は開いていくばかり。物語はそれに気づいたものたちが自分の領域を死守する為の行動の醜さを余す事なく伝えていきます。 昨日までキレイごとでなっていたこの世界が実はそうではなっかたと気づき足もとがぐらつく感じ・・・。 自分は周りに影響されないと思っても知らず知らずのうちに比較している。 そしてだれもが人より有利にたちたいというところで欲望が生まれ悲劇が生まれる。 社会的格差というのは今に始まった事ではないのはたしかですが昔は それぞれが立場をわきまえ身の丈にあった分相応の暮らしにそれなりに満足していた様な気がします。 それが現代では雑誌やテレビでセレブがモテハヤされちょっとがんばれば自分にも同じ様な暮らしが手に入る錯覚をおこすような情報が氾濫し、それに輪をかけるようにクレジットカード会社やローン会社によって安易お金が手に入り、その自分の物でないお金があたかも自分の物のように錯覚をおこしてしまう様な仕組みにあふれている。 この小説はそんな現代の情報社会と格差社会の生む恐怖と闇を個人の目線からリアルに書ききった一作だと思います。 | ||||
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重いなぁ、 暗いなぁ、が読後に出てきた最初の言葉。 幼稚園、小学校、 お受験にかかわる お母さん5人を中心に 話は展開されていきます。 過食症、 依存癖、 強迫観念症など 現代の荒波に揉まれて 生きていくうえでは避けて通れない心身症の数々。 自分の子供が 合格でも、不合格でも そこに幸せは待っておらず、あるのは、 人生はまだ続いていくという現実だけ。 良書ですが、 精神的にやられますね。ご注意を。 | ||||
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今から三十年以上前の話だが、ワタシは本小説の舞台と見られる護国寺周辺の中高に六年間通っていた。谷底のような音羽通りを挟んだ両側には、しもた屋やモルタルのアパートなども多かったのだが、急速に再開発されマンションばかりになってしまったのはいつ頃からだろう。都心に近く伝統ある文教地区の分譲マンション・・となればそこに寄り集まってくる新住民の中身も知れようというものだ。 そもそも、じいやにばあや、ねえやに書生まで扶養しているような大店の、深窓のご令嬢じゃああるまいし、持ち家と行ってもマンションの、ハイカラ長屋をローンで買うような私たち「庶民」が「お受験」などしゃらくさい。華族様の末裔の、門構えから家まで百間も歩かなくちゃたどり着かないような大邸宅にお住まいならば、「お受験」などしなくとも、学校の方から寄ってくることは請け合いだ。 もっとも、この小説のモデルとなった事件のあったころ、底なしの不景気と言われながらもまだ、昭和の残滓、庶民の上昇志向というものが健在だったのだろう。公立学校の給食費も踏み倒すのが珍しくない今から考えると、十五年も前「お受験」で浮かれていた時代はそれはそれでバブリーだったのかもしれない。 「豊かさ」というのは、ただ単に収入や貯蓄が多いということだけでなく、「地縁・血縁」といったいざというときに頼りになる「ご縁」の多さも重要なのだが、いわゆる「ママ友」のご縁は全く当てにならないという現実を痛々しくも執拗にあぶり出してくれる小説だ。 迷わず☆五つ進呈 | ||||
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いくつになっても、女って自分が一番かわいいお姫様。 他人の幸せを妬み、出し抜かれまいと神経を張り詰め、 笑顔の裏で「自分だけが幸せになれる作戦」を立てている。 そんな女同士の嫉妬がリアルに読み取れます。 その嫉妬の裏返しというか、なんでそう妬んだり 勝手に傷付いたり、ヒス起こしちゃうのか、 女の心の暗い部分まで覗かせてくれる作品だと思います。 最後に、少しだけ、暗い心の部分を明るくしてくれますが、 自分の痛いところを探られたモヤモヤ感は残ります。 | ||||
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妻一人、子どもなしの中年男性です。嫁さんは読後に一言、「女性って、こういうものよ。」 こ、怖い・・・ 題材はかつて世間を騒がせた事件。でも、この小説を読むと、それが決して特別な出来事ではないのだな、と感じます。 男性、女性で単純に割り切れるものではないのでしょうね。 でも、女性って、こんな風に、見えたり、話してたりする表と、その裏にある心の内にギャップがあるのか、と驚愕。 さらに、女性どうしの関係の、複雑なこと。 女性は優しく、か弱い存在だと信じたい方にはお薦めできません。 でも、会社でもプライベートでも、女性が複数集まるような場との関わりを持っている男性には、ある意味、非常に参考になると思います。 男女の違いをことさら強調したいわけではありません。もしこのレビューで不快に思われたらごめんなさい。 でも、女性って、怖い。。。 以前、唯川恵さんの小説を読んだときも、「怖い」と思いました。それを会社の女性に言ったら、「男の人が読んじゃダメよ」と一蹴されました。 角田さんの小説は、もっと日常に近い、ありふれた生活が舞台なのに、登場人物の心の中には嵐が吹き荒び、それが読者の気持ちをもざわつかせる静かだけど強烈な迫力がありますね。 | ||||
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最初は登場人物の設定も忘れがちで、メモしながら読んだくらいでしたが、 中盤からは、見たくないものを見てしまうようにずるずる面白くなって、後はそのまま。 どの登場人物も、まるで隣の団地に居るかのように生々しい。 悪意や敵対心、後半は隠れがちになる幸せを感じる描写、どれもぞわっとします。 女特有の、一緒にトイレへ行こうと誘う粘っこさだったり、 それを敵対視して孤高を気取る寂しさだったり、具体的なエピソードは違えど、 女なら一度は経験したような悩み、違和感が目白押しでした。 最初とリンクした終わり方には、思わずぞくっとしました。 お互いを知らないまま、世界は続く。何度か出て来る、世界が終わるかもという妄想も面白かった。 誰かが死んでも失恋しても試験に落ちても、世界は続く。それが時に残酷であり救いでもある。 夏の陽炎のような、妄想のような、静かに進んで行くそれぞれの迷路のような人生。参りました。 登場人物5人の誰に共感するかと言えば、ほぼ全員で、逆に誰に共感できないかと言えば、それもほぼ全員なのだった。 読んだ人にしか解らないけれど、最後のページに写真館で撮影した様子が挿絵にでもなってたら、 ほんとに心臓が飛び出ると思う。想像しただけで超怖いです。 | ||||
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主人公の女性たちとまさに同世代、小学校と幼稚園の二人の男の子を育て中の私. リアルだったーー. お受験は全く眼中に無い私でも、このような現実はきっと存在するのだろうとうすら寒く感じました. 何しろ登場人物にそっくりな人が私の周りにもいる、いる、と共感. 角田光代さんに女性の不安定な心理を書かせたら、天下一品だわ. 「対岸の彼女」も面白かったし. 面白いと言うより同じ女性として、その心の動きにとても興味をもちます. 自分とタイプのにている人、にてない人どちらも気になります. 読後ややどんよりとした気持ちになりますが、女性(ママ達)特有の世界をかいま見るのも良いかもしれません. | ||||
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「対岸の彼女」「八日目の蝉」で角田光代は女性心理を描かせたら一流だと思ったが、 今回は本当に怖いくらい「この人には全部わかってる」と思わされた。 都心で子育て中の主婦たちがふとしたことで「仲良しグループ」になる。家も近く、親子 で行き来したり、話題のお店に繰り出したり。そんな新しい仲間ができた喜びにひたる彼女 たちだが、ある日女性ジャーナリストから「お受験」への考え方を取材されたことがきっかけ で関係に歪みが生じ始める。「自分達は無関係」と言っていたお受験の戦いになんのかんのと 理由づけして自ら巻き込まれて行く母親たち。疑心暗鬼になり静かに蝕まれていく心、家庭崩 壊の予感。母親たちのキャラクターも決してベタではないのだが「いるんだよな、こういう人」 と思わせる人物設定がちゃんとできており、うそ臭さが無い。 いま現在「ママ友」とのおつきあいに悩んでいる大勢の人たちに読んでもらいたい、と思った。 | ||||
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久しぶりに小説読みました。 年末の京都旅行に行く新幹線の駅で買った雑誌に書評が載っていて、「実在の事件をモチーフにした」というところに惹かれてジュンク堂京都店で購入。 10年ほど前に文京区で起こった「お受験殺人」と呼ばれた事件で、記憶している人も多いかと思います。 2歳の子供が行方不明になり、その後殺害された事件です。 犯人は子供ともその母親とも顔見知り。いわゆるママ友だったそうです。 本作に登場する5人の母の名前を覚えるのは大変ですが、この5人の心理描写が生々しく恐ろしい。目を背けたくなるようなリアルさもあります。ちょうど子供が生まれる頃に妻と読んだのですが、人間は怖いなと思いました。 | ||||
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主人公である専業主婦の女性5人ともが、性格がいいとは言えず、身近にいて決して友だちになりたいと思えるようなタイプではないのに、読んでいるうちに共感し、この人はどうなってしまうのだろうと気になり出します。タイプが違う5人の5人ともにこういう感情を持てるということじたいが凄いと思います。そして、実際にあった事件をもとにしているということで、この中のだれが殺人を犯すのだろうと邪推したりもしたのですが、だれでもないんですね。でも、5人ともが殺人を犯しても不思議はない。そこまで精神的に追い込まれていく。元を正せば、子供の小学校進学という、それだけのことで。まさかそんなはずは、と思っていても、読めば、もしかしたら自分も、と思ってしまいます。そういった怖さのある小説でした。 | ||||
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