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白い雌ライオン
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白い雌ライオンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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刑事ヴァランダー・シリーズ3作目。黒人への権力移行期の南アフリカ共和国を舞台に、ネルソン=マンデラを暗殺し、一気に騒擾を起こそうとする企みと、暗殺のためのメンバーが「訓練中」のスウェーデンで起こすいくつかの(あるものは偶発的な)事件を交互に描き出す。それも、入れ替わり立ち替わり視点が変わる複雑な構成。 登場人物の中では、アフリカの大地に根ざした感じの殺し屋ヴィクトール=マバシャのキャラクター設定が(殺し屋なのに)魅力的。2作目でも思ったけれどヴァランダーってあんまり法律を守らないな。 マンデラの功績や人間的な魅力を語る人は多いけれど、白人から黒人への権力の移行という、一歩間違えればクーデタや内戦にまで結びつきかねなかった偉業をマンデラと共に成し遂げたデクラークも偉大な政治家だったのだなといまにして思う。 | ||||
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リガの後に、南アフリカ新世界に飛び込むとは、何と無謀な男なのだろうか?刑事小説の枠を大胆に飛び越えた凄い長編であった。マンデラが描いた人間革命は、21世紀においても実現どころか、大混乱をきたしている。 | ||||
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前作、『リガの犬たち』でヴァランダーがラトビアで活躍したため、今回は南アかと思いきや、スウェーデンで起こる事件と南アで進む陰謀は相互に関りをもっているが、互いに独立して別の視点で進む。 その関りがいつどう絡み合うのかも見どころだが、一つ一つの細かなエピソードが魅力的だ。 冒頭の何の関係もなさそうな殺人から、南アの政治的権謀術数、ボーア人とアフリカ、KGB、黒人の暗殺者たち、ヴァランダーシリーズの読みごたえともいえる家族のエピソード、主人公の冴えない愛しむべき必死さや周囲の人間たちのそれぞれの思考や思惑が重層的に語られて、立場によって、人種や環境、人間によって変わるものの見え方や生き方を考えさせられる。 南アの歴史、人種差別政策とそれにより作られたアフリカの人々の在り方が本書のひとつの軸である。 「恥辱感」という言葉が印象に残った。 人種差別的な人間ではないものの、受動的に人種差別政治の継続を目指す体制に協力してきた、自身も荷担してきた、そしてこの黙認こそが、そのような人間がこれからも受動的であることを、暗黙の感謝を捧げていることを計算に入れて、人種差別を絶対的に肯定し、人を殺し血の雨を降らすような計画が進められているのだという、登場人物の恥辱感である。 この、自らが最悪の不利益を被らねばよいという受動的な黙認は、社会のあらゆるところに存在し、人間としての尊厳を奪われる存在をつくりあげ、場合によっては魂や命を奪う大きな力のひとつになる。奪われた側は奪い返そうとし、負の連鎖は続く。争いの裏には能動的には関わらない多数の黙認が存在する。そして黙認は優勢なほうへ常に傾くのだ。 この「黙認」に対し本書ではいくつかの受動的な荷担からの個人的な抵抗が描かれている。 人の尊厳を踏みにじる行為、不当な殺人への怒り、弱いものへの迫害の拒否、囲われた身からの諜報活動。生命や生活を犠牲にしてもせずにいられない行動 これらはいずれも思想の為の戦いではない。 人として荷担できない、それをすれば命が危ういとわかっていても、しなければ己が人として壊れてしまうという感情からなされるものだ。 そうしないと人として生きていくことができなくなる。 良心と呼ぶにはもっと能動的な、魂の根源的な動き。 そして、そんな感情などなく残酷になれる人間たちもいるのだという冷徹な表現は、お前はどうなのかと問いかけてくるようでもある。 服従することに耐えてきた人間はそれが一つの生き方になってしまう、あきらめが心に忍び入れば意識がなくなりゆっくりと死んで降伏が完全なものになる、と繰り返し、「あきらめ、無力感を植え付け受動的に黙認させようとする力」に言及しながら、人間はそのようにしては本当には生きられないのだ、そして他者の尊厳を無視し支配して生きようとすればその人間の中には最後は何もないのだということをひとりひとりの行動と生きざまの中から訴えてくる作者の強いメッセージが感じられる。 長い作品だがボリュームにふさわしい力の入った一作で、ヴァランダーシリーズの中でもベストに入るものだと思います。 | ||||
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4日に届きました。 商品も良好でした。 ありがとうございました。 | ||||
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スウェーデンの田舎町で、不動産業の女性が殺され・・・というお話。 今回も単なる殺人事件かと思ったら、国家を跨ぐ謀略が発覚し・・・というスケールの大きい警察小説でした。 あんまり深く書くとネタバレになるので書けませんが、南アとロシアとスウェーデンの思惑が交錯する国際謀略小説風の作品でした。 南アとロシアですが、ソ連の時代に金本位制で裏取引があったそうで、そういう時代の過去で繋がっていたのが、これが書かれた90年代にも波及していたのかなぁとか思いました。 色々な警察小説の所で書いている気がしますが、最近のこのジャンルは毎回巨大な謀略にいきつかないといけないみたいで、大変そうだなとかとも思います。本作もページ数も700ページを超える大作になっております。 著者の方はもう亡くなったそうで、心よりお悔やみを申し上げます。ありがとうございます。今後の作品も楽しみます。 スケールの大きい警察小説の傑作。是非ご一読を。 | ||||
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またまた楽しかった。冗長だし、どこかで見たり読んだスパイ小説のようだ。 しかし、ヴァランダーの虐められっぷり、ブチ切れぶりが堪らなく魅力的だ。 | ||||
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ヴァランダー刑事シリーズの第三弾だが、警察小説の枠を大きく越えた異色大作。北欧ミステリでは謎解きよりも、当時の社会問題、家族問題を映し出す事が多いが、本作のテーマはずばりアパルトヘイト。まず、ヴァランダーの所轄地区イースタで婦人の失踪・殺害事件が起きるという発端だが、動機・遺留品・関係人物とも謎が多い。 章が変って、舞台が南アフリカへと移り、ここで南アフリカの内情(ここが作者の一番書きたかった所だと思う)、アパルトヘイトを維持しようと画策する情報省の幹部、その幹部に指名を受けた暗殺者(何と訓練のためスウェーデンに派遣される)の事などが子細に語られる。この章を読むと、前章の謎が全部解けてしまうが、上述した通り、謎解きよりも、アパルトヘイトそのものを書きたかった事が分かる。そして、この暗殺者を訓練するのが元KGB諜報員(冷静に考えると、スウェーデンとロシアは国境を接しているのだから、作者としては警鐘の意味かも知れない。作者の願いはスウェーデンが平和を保つ事)というのだから、ここからは警察小説の枠を離れてエスピオナージの味がある。また、中盤から、ヴァランダーは法を犯してまでも、この元KGB諜報員と一対一で闘うというサスペンス小説の味も盛り込んでいる(流石にチョット警察小説の枠をはみ出し過ぎていると思うが、スウェーデン側では他に書く事が無かったのかも知れない)。 題名の「白い雌ライオン」とは、予測出来ずに何時襲って来るか分らない跳躍力を持ったメスのライオンの由だが、これは勿論、新しく胎動する南アフリカを創ろうとする南アフリカでの非支配者の潜在力のメタファーだろう。私は特に、南アフリカでのある母子にこの力を感じた。長いだけではなく、読み応え充分の力作である。 | ||||
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刑事ヴァランダーシリーズは毎回社会派の重厚なテーマを扱っているが、冷戦崩壊直後の激動し混迷する世界情勢が作家のインスピレーションの源泉となっているのだろう。 今回はスウェーデンから遠く離れた南アフリカのアパルトヘイトがモチーフで、時あたかもネルソン・マンデラがロベン監獄島から30年ぶりに釈放され、デクラーク大統領とマンデラの協力でアパルトヘイト政策の大転換がなされていたときである。マンデラは後に大統領になるが、この小説は白人至上主義者によるマンデラ暗殺計画がスウェーデンの片田舎を舞台に展開され、ソ連崩壊により失業した元KGBも一枚かんで、地元警察を翻弄するという意表を突くストーリーとなっている。 並行して、南アでの陰謀首謀者たちとそれを阻止しようとする緊迫した物語も展開するが、こちらはアパルトヘイト政策の不条理と残酷さがあらためて実感される話となっている。 主人公のヴァランダーは相変わらず刑事らしからぬ単独行動とルール違反がひどく、この回ではほとんど人格的危機にまで陥っているが、それでも懲戒処分になっていないのが不思議である。スウェーデンの警察がルーズというわけではなく(テレビドラマの「Bridge」などを見ると職務倫理違反には厳しい)、小説のドラマツルギーとしてあえてそのような主人公とストーリー展開にしているのだろうが、ディテールのリアリティにこだわる人は不満を感じるかもしれない。 (追記) つい数日前にニュージーランドで白人至上主義者によるモスク銃撃事件が起き、多数の死者が出た。 移民問題や人種差別問題といったこのシリーズの扱う社会的テーマは全く色褪せておらず、問題が深化していると感じる。 | ||||
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やっと読み終わり、フーと一息ついた。文庫本だが700頁の長編。 スウェーデン警察小説・ヴェランダー警部シリーズの第3作。初作「殺人者の顔」のレビューで、この作家と、 主人公ヴェランダーについて少々コメントした。更に付け加えることもなさそうである。 第二作品「リガの犬たち」は読みかけたが、その後どこかへ紛失してしまった。 さて本作。物語は、不動産ブローカー業を営むごく普通の主婦が行方不明となり、イースタ署が捜査を開始する。南部スウェーデンの小警察署で処理可能とおもわれたこの事件の背後に、南アフリカからの殺し屋、それをサポートする元KGB職員の存在が明らかとなってくる。そして事は南ァの政治指導者デクラーク大統領と黒人指導者ネルソン・マンデラの暗殺をたくらむボーア人極右グループの政治的陰謀に連なって行く・・・ ボーア人の祖先は、1860年代オランダを脱出したユグノー教徒。南アの資源・政治経済・法的支配を握った。J・コンラッドの作品「闇の奥」(映画「地獄の黙示録」の原作)では、西欧が、未開で野蛮な地を拓き、文明化するとのお題目を掲げながら、コンゴ原住民を奴隷にし象牙を搾取する偽善的な姿が描かれている。(インディアンを駆逐、アフリカ黒人奴隷を大量導入した米仏キリスト教徒の末裔、土着民を駆逐した豪州も然り) 著者はアフリカ事情に詳しく、南アからのテロリストの心情にも分け入りズールー族の「聖霊」とかタイトルともなっている「白い雌ライオン」に言及しているがこのメタフォもどうもよく解らない。最初に殺害された夫人がメソジスト派教徒であることがたびたび出てくるがこれが小説上何を意味するのか不明。 小説が発表されたのが1993年。ネルソン・マンデラの釈放でアパルトヘイト政策撤廃運動がピークを迎えていた頃であり、これに瓦解したソ連邦とKGB職員の大量失職を絡めて小説の骨格とした。その頃に読めば一層の緊迫感があったろう。ストリーも大した破綻もなく、個々の記述も丁寧だからとうとう最後まで付き合ってしまった。ただ物語が長大なためさて何が核心なのかぼやけた印象が残る。 | ||||
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いや~長かった、けど面白かった。 普段、身近ではない北欧、ロシア、アフリカの雰囲気に少し触れられた気がして 新鮮でした。デンマークなどは小舟で簡単に密入国できてしう位置なのですね。 成熟した福祉国家で人権意識も高いといったイメージのスウェーデンですが、 入国審査の甘さや意識の低い公務員の存在など負の側面も伝わってきました。 主人公は相変わらずで思わず応援したくなりました。 星一つマイナスは、これだけの分量なのに結構重要なこと(出国審査やファックス 受診など)が”職員のミス”でかたずけられてしまっていること、KGBの腕利きや プロの殺し屋相手に、単身での解決にこだわり過ぎたり、自宅や親族の住まいから避難 しないことなどに少しイライラしたためです。 しかし、細かなツッコミどころはあっても魅力的な作品であり、主人公です。 | ||||
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スウェーデンと南アフリカが舞台のとっても長い物語です。 「殺人者の顔」を読んでからというもの、特に気に入ったわけでもないのに このシリーズは欠かさず読んでいます。 でも、「白い雌ライオン」は面白かった~! この本は何年も前に買って、そのまんま本棚に置きっぱなしだったのですが、 最近ようやく読み始め、一気に読破してしまいました。 ストーリーも良いけど、登場人物も皆一癖あって魅力的。 故郷に帰りたくて刑事に頼ろうとする殺し屋や、黒人大嫌いなのに黒人を囲ってる白人主義者などなど。 ヴァランダーは相変わらずめちゃくちゃだし。 「次どうなるんだろ?」ってこんなにハラハラした本は久しぶりかも。 | ||||
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ヘニング・マンケルの<ヴァランダー警部>シリーズ第3弾。文庫にして701ページ。質・量ともに前二作を凌駕する大作である。’04年、「このミステリーがすごい!」海外編第15位にランクインしている。 ストーリーは、スウェーデン南部の田舎町イースタで不動産業者の女性が物件を下見に行って迷ったところ、いきなり男に射殺されるところから始まる。帰宅しない妻の失踪届がその夫から出され、ヴァランダー警部らイースタ署が捜索を始める。ところが捜索現場の近くの空き家が突然爆発炎上し、焼け跡から、黒人の指と南アフリカ製と思われる銃、ロシア製の通信装置が発見される。謎をはらんだふたつの事件。しかしそれは、この壮大な物語の序章にすぎなかった。やがて、スウェーデン、ロシア、南アフリカという三点をつなぐ事件の驚くべき背景が浮かびあがってくる。 読みどころは、空き巣に入られては慌て、80才の父親が30も年が離れた女性と結婚すると言いだして困惑する人間味あふれるヴァランダーその人が、警察官としての職務を逸脱して、ズールー族の殺し屋と心の交流をもち彼を匿ったり、娘を誘拐され、単身元KGBの諜報工作員と死闘を演じたりするところである。 冒頭こそ謎めいた失踪事件を捜査してゆく警察小説としての展開を中心にしながらも、次第に国際的なスケールの謀略をめぐる冒険活劇へと趣を変えてゆく本書は、警察捜査小説の枠をはるかに超えた、南アフリカの人種差別問題をテーマとした、最後の最後まで予断を許さないダイナミックな政治的陰謀小説である。 | ||||
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"クルト・ヴァランダー"シリーズ第三作。 推理小説としては200Pで崩壊! スウェーデンの田舎刑事がKGB工作員や 南アフリカの一殺2500万円の殺し屋と戦う謀略小説になりますw 中盤の盛り上がりに、これはああなるな! ともの凄くワクワクしたのだが、 それをやったら『リガの犬たち』 と同じパターンと揶揄されるのを避けたのか、 期待通りの展開にならなくて残念だった。 南アフリカ共和国での描写が無駄に過ぎると思う。 国際的視野のモチーフで、 男女の愛でも人種差別の壁は突き崩せないというテーマは良かったが、 小説としてのワクワク感が足りないのが欠点。 文学としては、ズールー系アフリカ黒人の描写に拍手するべきだろう。 エンタメより純文学の好きな人が高評価する作品だね。 クルト・ヴァランダーの同僚刑事のトラウマまで語られて、 無駄な描写が多すぎると思うが、 スウェーデンとロシアと南アが絡む小説なんて、 ヘニング・マンケル にしか書けないだろう。 オンリーワンの作家としてヘニング・マンケル は高評価します。 プロットや描写はヘタクソだが、 主人公が魅力的なのはいい。 世界的視野に覚醒している主人公は、 国内法を破ることが多々あるが、 不法行為をする時は、警官としての権力を頼らずに、 秘密裏に個人として行うのがかっちょええ! 公私の区別がついている素晴しい男である。 駄目息子、駄目夫、駄目親父、駄目警官の主人公が、 世界を救うという夢のある話である。 書き方が悪いだけで、 ヘニング・マンケル が書きたいと思っていることは応援したくなります。 | ||||
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ヴァランダー・シリーズの三作目。そろそろヴァランダー刑事の魅力に取り憑かれてきた。離婚し一人暮らしをしているこの中年刑事はときにユーモア溢れる言葉で笑わせてくれる。 時代の変化についていけなくて悩んでいる彼は、現代の中年男性と重なってくる。良くも悪くも現代人そっくりである。 今回は南アフリカの人種差別を下敷きに事件が起こっていく。 ヴァランダーを含め他の刑事たちも前作と変わらない雰囲気を出している。 一作目から読んでいる人は、そろそろ一人一人の性格が分かってくるのでとても おもしろいのではないか。 とにかく一度手にとってみてはどうかと思う。 | ||||
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スウェーデンの田舎刑事、クルト・ヴァランダーのシリーズ3作目。抱えた失踪事件が、南アフリカのマンデラ暗殺計画に遠くつながることが次第にわかり、ダイ・ハードさながらの活躍を見せるヴァランダーですが、相変わらず冴えない中年刑事に変わりはありません。自分のアパートには泥棒が入るし、ジャンクフードばかり食べてるし、前作で出会った女性に未練たっぷりだし。イースター警察の面々も相変わらずいい味を出しています。 | ||||
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