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幽霊の2/3
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幽霊の2/3の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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登場人物も少数で、その繋がりも良く分かり、読みやすい小説であった。但し、これというトリック小説でもないし、事件の動機も、何故にと思わせるもので、読み終わって残念な感じはないが、もう一度読み返したいとも思わない。 | ||||
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酷評するレビューもあるがそんなに悪くない。 それは期待値が高すぎるからだろう。 本作はいわゆる正統派のミステリーでメタな仕掛けは一切ない。 丁寧に書かれているし、読者にもフェアだろう。 謎は二つ。 幽霊(ゴースト)って何? 事件の犯人は? 私は前者は当てたが後者は外した。 流し読みなのでそんなもんだろう。 前者については作者が執拗にヒントを出してくれているので、 概ねの人は当てられるんじゃないかと思う。 解説によれば前者が本作の眼目とのことなので 私は読者としては及第点なのだろう。 暇つぶしにはもってこいよ。 ただ復刊リクエストナンバー1になった理由はよくわからなかった。 | ||||
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読者の予想を巧みにミスリードさせるマクロイ一流の手際を味わうべき作品であり、その意味ではタイトルに利かせたエスプリの愉しさはネタばれの危険性を孕む諸刃の剣。 出版業界を舞台にしたビブリオ・ミステリとして、その題材が単なる風俗描写に陥ることなくプロットの展開と不可分な点が素晴らしく、生涯に渡ってパターン化を避けた斬新な作品を産み出し続けた作者の面目躍如。 そしてマクロイの最大の美質である心理描写の精妙さが後半の謎解きの展開に充分な説得力とカタルシスをもたらしている極めてスマートなフーダニット。 | ||||
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本書は、1956年に発表され、1962年に邦訳されたものの、その後長らく絶版となっていた作品を、復刊リクエストに応え、新訳で2009年に刊行されたものとのこと。 「幻の傑作」という広告に偽りはないと感じました。 復刊リクエストが多かったのも、大いに頷けます。 本作品は、作品紹介のとおり、「出版社社長宅でのパーティの席上、人気作家が余興のゲーム【幽霊の2/3】の最中、毒物を飲んで絶命してしまう」という事件を扱ったもので、誰が(フー・ダニット)、どんな方法で(ハウ・ダニット)毒殺したのか、という謎が提示されます。 ところが、しばらく読んでいくと、その謎に加え、もう一つの魅力的な謎が提示されます。 これにより、本作品は1930年代頃のいわゆる本格ミステリの黄金時代に書かれた作品とは一線を画するものとなっています。 そして、最後に明かされる真相−−この部分は残念ながら、発表から50年以上経過して復刊されるほどのネタですから、同様の発想の作品が後の作家により書かれているように思われ、そうした作品に接している現代の読者にとっては、「全く予想外」という驚きまでには至らないのではないでしょうか。 しかし、本作品が「傑作」であるのは、その真相によって、この【幽霊の2/3】という奇妙な題名のもう一つの意味が明らかになり、それが容易に忘れることのない、強烈な印象を残すものとなっているためであると感じました。 本格ミステリをある程度読んでいる方には、大いにオススメします。 | ||||
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ずらっと肯定的なレビューが並んでるのには驚きました。ヒマとカネをもてあましているのなら、それほど悪い本ではないかもしれませんが、わたしは、正直、「ちょっと時間がもったいなかったなぁ」と思いました。良いところは、人物描写に生彩がある、訳がこなれてて読みやすい、このくらいです。ちょっと帯とか解説とかあおり過ぎです。肝心のトリックというかアイディアは、そんなに大したことなくて、これで300ページも読ますなよ、という感じです。短篇で十分です。動機は説得力がないし、謎解きは淡白。主人公が精神科医という設定で、プロファイリングみたいなことでもするのかなと思いきや、なんだか素人くさいまわりくどい全くリアリティのない捜査ぶりで、ちっともキャラが立ってない。 現代の読者はジェフリー・ディーヴァーやトマス・ハリスをすでに読んでる人も多い筈なのに、ホントにこんなので納得できるの?と不審ですらあります。 レビューを読む人は、どちらかというと、これから買う本読む本について、「そうそう面白かったョ」と誰かに言ってほしい人が多いと思うので、あまり参考にしてもらえないかもしれませんが、本当に「これ買ったら(読んだら)面白いかな」という判断材料にレビューを読む人には「まあそんなにおススメしない」と言っておきたいと思います。 | ||||
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新聞の書評欄で取り上げられてて高評価だったのと書名にひかれて購入しました。 語り口に引っ張られて一気読みしました。 登場人物が魅力的で、題名の意味するところが明らかになり テンション上がりました。 | ||||
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Helen MaCloyの『Two-Thirds of a Ghost』(1956年)の翻訳。 1962年に同じ創元推理文庫から守屋陽一訳で出ていたが、長らく絶版のままで、幻の名作とされてきた一冊。今回、新訳として待望の復活である。 ベイジル・ウィリング博士もの。 タイトルの「幽霊の2/3」というのは、そういう遊びが英米圏にあるらしい。本書は、それにひっかけたプロットで、「ああ、なるほど」とうなずかされる結末であった。 いま読むと、やや底の割れてしまった感があるが、それでも良くできたストーリーで、充分に満足できるレベルにあると思う。 | ||||
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内容より、タイトルがいい。うまいものをつけるものだと思う。 ストーリに関しては、ほかの方を参考にして頂くとしてこの作品の見所は、出版業界を舞台にした殺人事件をテーマにしており、いうなら「本作り関することに生じる謎を本という形式で描く」といった具合でなかなか興味深い。裏を返すと、映像化するとこの味はでない。あくまで書物として鑑賞すべき作品。この作品の魅力は大部分がこれにある。あくまでマニア好みの作品。長らく絶版であったのもうなずける。この辺に関心が持てない人には肩すかしの感もあるだろう。純粋にミステリとしての要素にだけに注目するとたいしたことはない・・・・と思う人もいるだろう。では、なぜこの作品の評判が高かったのか?要するにこの作品を褒めるひとの大半がプロであれアマチィアであれ本に関わるひとであったと想像する。そういうひとには興味深い内容なのだ。 登場人物の配置、捻りを効かした展開とプロットがよくできているので、読み物しても飽きさせずいい。が、復刊No.1という肩書きに期待しすぎると少々拍子抜けする。当時は斬新であったろうミステリとしての仕掛けも現代の読者にはありきたりの予想範囲内と感じる可能性が大であるから。現代ミステリのレベルでいうなら、標準作といったところ。仮に日本の現代作家の名義で今出版されたとしたら、傑作、名作と持ち上げられることはないだろう。べつにこの作品がつまらない訳ではない。面白いと個人的には思う。ただ、この作品の不幸は、復刊No.1という肩書きが一人歩きしてしまったことにあるだろう。 最近、感じるのは真に読者の需要があるような作品は、必ず「復刊」されるということ。文庫にうん千円、うん万円もだしてネットオークションで購入するのは、ばかげているというところ。図書館で探してもいいし、その手のサークルにはいってかりてもいい。それがだめなら、20年ぐらいは地道にまつこと、まず間違いなく復刊する。まあ、そんなに焦ってもしょうがない。作品の出来がいいものでも、絶版になるということは、マニア好みということ。あなたが読んでも面白いと思うかは別。そのことに一喜一憂するより、人生にはしなくてはならないこと、すべきこと、したらいいことがたくさんあるという気がしてならない。 | ||||
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オリジナルは1956年リリース。ヘレン・マクロイ(1904-93)の15番目の長編にあたる。1962年に守屋陽一氏の訳で邦訳されたが長く絶版。オークション市場では10万円という途方もない値段で売買されていた『幻の名作』である。今回復刊リクエストで第一位となり、めでたく新訳で再刊された(2009年8月28日初版)。ぼくが手に取っているのは既に4版であり、ファンの熱望ぶりを感じる。 まずプロットが非常にすばらしい。斬新だということが読み進んでいって初めて分かる。故に最初はなんとなく退屈なのだが、最後に向かって益々謎が深まり、驚きの結末となる。このあたりが人気の秘密なのだろう。作者ヘレン・マクロイは夫もブレット・ハリデイという有名なハードボイルド作家だが、物書きとその周辺にあつまる者たちにやはり詳しく、そのあたりの素材の扱いがこの作品をより光らせていると思う。 ここに登場するベイジル・ウィリング博士は精神科医だ。フロイトの引用や強迫観念に対する詳細な解説は相当にその手の研究を勉強した上で書いているのを感じる。それがこの作品を他にないものにしていると思える。実に現代的な作品でミステリー好きは必読である。 | ||||
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出版社社長の邸宅で開かれたパーティーで、人気作家エイモスが毒殺される。 パーティーに出席した者たちの大半が、エイモスの著作の恩恵 を受けており、彼を殺害して得をするような人物は見当たらない。 たまたまパーティーに出席していた精神科医ベイジル・ウィリング博士は、 謎の多い被害者エイモスについて調査することになるのだが、その過程 で、エイモスの意外な“過去”に直面し……。 “人気作家エイモス”という存在に仕掛けられた二重のギミックが秀逸な本作。 物語の段階ごとに事件の構図をがらりと書き換える決定的な データを出すタイミングも絶妙で、読者に、先を読まさせません (特に動機の隠蔽とそれが更なる犯罪を生み出す展開が巧妙)。 とはいえ、解決の前にベイジルがほぼ答え同然といえる犯人の 条件を列挙しているのはいかにも不体裁ですし、毒殺トリックが、 ××の借用というのもマイナスだとは思います。ただ、本作の場合、 そうしたフーダニットやハウダニットが主眼ではないので、あまり 気になりません。 また、本作は、出版業界の裏事情を描いた内幕ものでもあるため、 随所に作者の底意地の悪い皮肉や諷刺が横溢しており、思わず 笑わされてしまいます。 そしてなんといっても『幽霊の2/3』というタイトルが秀逸。本作を読み 終えると、このタイトルが、決してこけおどしではないことが判ります。 | ||||
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「ひとりで歩く女」に衝撃を受け、他の作品を探す中でその未訳作品 の多さに落胆したものですが、このタイトルが書店に平積みされていた のを目にしたことで再び衝撃。 このように期待に胸を膨らませて読む場合、経験上7割方、失望の方 が大きいのですが、本作は3割の方です。 内容は、出版業界での内輪のパーティーで毒殺事件が起き、居合わせた 精神科医のウィリング博士が謎を解いてゆくというミステリー。 ちなみに、謎解きの本格というよりも、記憶喪失の被害者がなぜ殺さ れる必要があったか、"WHY"に重きをおいたサスペンスミステリーです。 そしてやっぱり、「幽霊の2/3」(原題:TWO-THIRDS OF A GHOST)という 趣のあるタイトルが、作品のカリスマ化に一役買っていますね。 | ||||
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日本の本格ものは英米作品の影響を受けながら発達してきました。その中核部分にぴったりはまるのがこの作品です。 メイントリックに至る説明はいささか書き足らず、犯人特定は(日本人にはとくに)難しいのですが、フェアな伏線があちこちにばらまかれているため、背景となるプロットは論理的かつ容易に看破できるでしょう。「毒チョコ」他のアントニー・バークリー作品を思わせる、探偵小説を含んだ商業文学・文学批評や探偵小説家としての自己韜晦を交え、なかなかハイブロウな笑いも楽しめます。 | ||||
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「暗い鏡の中に」の印象が強く、題名から本作も幽界物かと思ったら、本格的なパズラー。中心となる人物は気鋭の流行作家エイモス。エイモスは過去のアル中体験と悪妻のヴィーラと言う2つの弱点を持つが、ヴィーラはハリウッド女優へ転進した。エイモスのエージェントのガスとメグ夫妻。エイモスを見い出した出版社社長のトニーとフィリッパ夫妻。彼等はエイモスを取り巻くファミリーのようだが、フィリッパはエイモスと関係を持っている。レプトンと言う老練の批評家はエイモスに好意的な書評を書き続けるが、彼に会ったフィリッパはその知性に魅かれる。そして、ハリウッドを追われたヴィーラが戻って来る事になり、一同大慌てするが、まずトニーの家でパーティーを開く事にする。 しかし当日、強欲なヴィーラのためにエイモスは泥酔し、しかもパーティーの席にエイモスを酷評する批評家エイヴァリーが偶々現われたため、座は白ける。この事態収拾のため「幽霊の2/3」と言うゲームを行なうが、その最中エイモスは毒死してしまう...。探偵役を務めるのはパーティーに居合わせた精神科医のウィリング博士。早速、エイモスと言うのは偽名で、6年前の交通事故以前の記憶を失っており、その過去は不明である事が判明する。事件の背景が拡がったかに見えたが...。結末で明かされる真相は容易に予想出来るチープなものだし、犯人特定の決め手となる物理的証拠も弱い。作品自体にミステリ特有の緊迫感が感じられないのも大きな瑕疵。 出版界を舞台にした作品では往々にして業界の内輪話が頻出する。本作もその例に漏れずムダな描写が多い。もっとパズラーとしての組み立てに注力すべきだったろう。「復刻リクエストNo.1」の名が泣く出来。 | ||||
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通好みの米国技巧派女流本格ミステリー作家マクロイ女史の中期を代表する傑作で1962年に邦訳されてから長らく絶版状態が続き老推理ファンの間で語り継がれて来た幻の名作が実に47年の時を経て遂に新訳刊行されました!昨年の「ライノクス殺人事件」に続いて、まさかまさかの刊行のニュースに驚きぶっ魂げまして、本当に東京創元社様の努力には頭が下がります。正直古書で入手しようとしたら(もし見つかったとして)、ウン万円はするでしょうし相当の覚悟が無い限り生きている内には読めないだろうなと思っていただけに未だに信じられないような気がしています。老推理ファンとしましては「ああ、生きていて良かった!」と感涙にむせぶ想いであります。 さて、興奮を静めて長年題名だけで想像も出来なかった内容を紹介します。出版社社長宅で開かれたパーティーの席上、人気作家エイモス・コットルがクイズ・ゲーム「幽霊の2/3」をしている最中に毒殺されてしまう。偶然招かれていた精神科医のベイジル・ウイリング博士が被害者の妻の女優・エージェント夫妻、出版社社長夫妻、被害者に好意的な文芸批評家と逆の立場を取る同業者達から事情を聞き捜査を進める内に意外な事実が浮かび上がって来る。 本書は出版業界を舞台にした本にまつわるミステリーで、業界の裏事情が詳しく描かれていて非常に興味深いです。推理の部分としてはウイリング博士の専門知識が活かされる死者の秘密で更に話を錯綜させ、暗示的な手掛かりを随所に散りばめて、著者のあからさまで大胆な企みを秘めた真相を暴き出します。最後まで読み終えた今幻の名作の全貌を味わえた満足感にたっぷりと浸っています。神秘性が薄れるのは少し寂しい気もしますが、やはり多くのファンに読まれ愛されるのが一番良い事でしょう。年内に刊行予定のもう一冊の幻の名作サスペンス「殺す者と殺される者」からも大きな喜びが得られる事を期待しています。 | ||||
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《文庫創刊50周年記念復刊リクエスト第1位》の文句に惹かれ読んでみました。題名の『幽霊の2/3』の意味もわからず、半信半疑。著者のヘレン・マクロイも初めて。なるほど、びっくり、なっとく。伏線が張り巡らされ、医学の知識も得ました。ヘレン・マクロイ恐るべし。 | ||||
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これはなかなか良かった。本格ミステリとしては、ちょっとメインのトリックが弱いのだが、それを補ってあまりある大きな謎があるから素晴らしい。どういうことかと説明すると、これから読む方の興を削ぐことになるので、詳しくは書けないのだが解説で杉江氏も言っておられるように本書の第七章のラストで探偵役のウィリング博士が発する問いかけで天地がひっくり返ることになるのだ。これは、すれっからしのミステリ読みでも少なからず驚くことだろう。なるほど、本書はそういう風に進んでいくのかと膝を叩くことになる。ここまで読んだ読者はメインの殺人トリックや、犯人は誰かなどというミステリよりここで提示される謎に大きく引きつけられることになるのだ。 もうひとつ言及しておきたいのは、先ほどから殺人のトリックや犯人探しに重きをおくミステリではないと力説していると誤解されては困るのだが、本来のミステリとしてのその部分も素晴らしくスマートに展開されているのだ。それは、何気なく進行する話のところどころに無理なく隠されている伏線や、それを回収するウィリング博士の手際のよさにあらわれているといえるだろう。読み終えてみれば、小振りな印象を与えるミステリではあるが、なかなかどうして巧緻で企みに満ちた作品だといえるのではないだろうか。 う〜ん、また悩ましい作家に出会ってしまったぞ。 | ||||
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ヘレン・マクロイの長編ミステリを読むのは、名作のほまれ高いお気に入りの作品『暗い鏡の中に』(1950)に続いて、本書(1956)が二冊目。以前から本書のタイトルが気になっていたのと、本作品について次のように紹介されている文章を見て、それで興味が湧いて読んでみました。 <伏線の張りかたといい、ウィリング博士の推理の冴えといい、みごとな出来ばえのビブリオ・ミステリになっている。表題も秀逸。> 森 英俊の『世界ミステリ作家事典 本格派篇』(国書刊行会)より 1950年代半ば、アメリカの出版業界を舞台に、内輪のパーティーで起きたベストセラー作家の毒殺事件。死んだ人気作家エイモス・コットルが得る印税収入など、彼の利害やら作品の書評やらをめぐって対立する関係者たち。パーティーの出席者のひとりであるベイジル・ウィリング博士が事件を調べていくなか、やがて、ある人物にまつわる不可解な謎が浮かび上がってきます。 本書で何より引きつけられたのは、この、ある人物の正体が話の途中てがらりと変わり、俄然謎めいてくる展開。そして、彼の正体に、本来はゲームの呼び名である“幽霊の三分の二”をひっかけて、タイトルにダブルあるいはトリプル・ミーニング的な含みを持たせているところ。まぎれもない本格ミステリである本作品の味わいで、とりわけ気が利いていて美味しく感じたのは、その部分でした。 駒月雅子の訳文は、癖のない平易なもの。読みやすかったです。 本文庫の帯の裏を見ると、2009年冬刊行予定として、同じ作者の『殺す者と殺される者』(1957)務台夏子訳 と記されています。先の森 英俊のミステリ作家事典によれば、こちらの作品は、<主人公は身におぼえのない敵意にさらされる。(中略)もっとも意外な犯人のヴァリエーションがかなり巧妙に用いられて>いるサスペンス系の作品とのこと。楽しみです。 | ||||
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