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愚行録



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【この小説が収録されている参考書籍】
愚行録
愚行録 (創元推理文庫)

愚行録の評価: 3.60/5点 レビュー 104件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全104件 101~104 6/6ページ
No.4:
(5pt)

爽快なまでの読後感の悪さ

タイトルは言語矛盾しているかもしれませんが、凄惨な描写があるわけでもなく心理描写の重なりだけで、ここまで強烈な印象を読者に残す筆者の力に圧倒させられました。
↓の方で、主人公の夫婦はポジティブなだけ・・と書かれていた方がいますが、そのポジティブの方向先や手段のあまりの稚拙さにタイトルの「愚行」が現れているのではないでしょうか?現代は欲望に素直であること、それだけでよしとされるような価値観がいつのまにかしみこんでしまっているのですね。
しかしかくいう私も登場人物たちの愚かさや弱さを軽蔑しながら読み進めていくうちに、ふと過去や現在の自分にも同じような部分があった、またはあることに気がつき、冷や汗が流れることが何度もありました。
というわけで読後感は最悪です。しかし作者の筆力に気持ちいいように振り回される快感はここ最近ないほどのものです。
AERAの特集を「くだらない・・・」と思いながらもつい手にとって読んでしまうようなあなたには特におすすめ。
愚行録Amazon書評・レビュー:愚行録より
4488023878
No.3:
(4pt)

欲だけに支配される人間を覗いたみたいな、あと味の悪い作品

作品の構成から考えて、この本が下手ではないから★4にしたが
個人的には減らしたいのが本音だ。
育児放棄の新聞記事から始まるこの本は、インタビューと兄へ語る妹との二部構成で進む。読み進めるうちに育児放棄の事件とは違う一家惨殺事件のインタビューなのはまず分かる。が、兄に向けて語る妹は最後まで不明のままだ。
そのからくりは読み終わると分かるが、読後の印象は暗くなる。
『グロテスク』を連想させるけど、この本の方がもっと哀しい。
それは、男も女も姑息になっている本だからかもしれない。
愚行録Amazon書評・レビュー:愚行録より
4488023878
No.2:
(3pt)

愚行って・・・?

「愚行」て、たぶん作者は、殺された夫婦の生前の行いを指してるんでしょうね。でも、自分には、あまり実感わかなかったです。(夫婦は)適度にポジティブな人たちだな、としか思わない。殺された夫婦は、自らすすんで他人を害したりしていないわけですよ。自分たちが上目指すために、必要と思われることを合理的にしただけじゃあないかなあ。「悪意」はないんでしよう。他人に悪意向けてる暇があったら、自分たちの昇格のために使うでしょう。この種の人たちは。(たとえその結果、誰かが傷ついたとしても)あ、だから「愚行」になるのかなあ。むしろ「悪意」は、殺された側ではない、平穏な生活を送りながら夫婦を回想する人たちの中にあるわけで。 
そんな考え方をしてると、ラストに恐怖がどっと襲ってきます。自分ではポジティブに生きてるのに、知らぬところで傷ついてる人がいて、その悪意が噴出したとき、どういうことになるか・・・。心底震えました。こういう見方をする読者もいるってことで。
愚行録Amazon書評・レビュー:愚行録より
4488023878
No.1:
(4pt)

人間の嫌らしさ

都内で起きた一家惨殺事件。被害者である田向一家を襲ったものは何か? 一家と関わりのある人々のインタビューが彼ら、人間の肖像を作り上げていく…。
いやー…「最悪に不快な読後感を残す話を構想しました」とは、著者のHPにあるこの作品の紹介文だけど、読了後、本当にそんな感じになった。
この作品の構成は実にシンプル。被害者である田向夫妻と係わり合いのあった人々に対するインタビューと、兄に語りかける妹の独白が繰り返される形。『理由』(宮部みゆき著)とか、『Q&A』(恩田陸著)みたいな形を思い浮かべていただければ良いと思う。
作中で語られる田向一家は幸せを絵に描いたような一家。真面目で優しく、ハンサムな夫。美人で、おしとやか、気立ては良いが、決して他者を不愉快にさせることのない妻。そして2人の子供達。彼らを語る人々も、決して彼らの事を嫌っているわけではない。しかし、その一方で、彼らの嫌な一面、負の面も垣間見える。勿論、話の中心となるのは一家なのだが、そこには語り手の側が持つ、野次馬根性であり、はたまた、劣等感であり、妬みであり、憧れであり…というような「負の感情」も凝縮される。一家の嫌な面を見せつけられながら、同時に語り手の嫌な面も目の当たりにすることとなわけだ。これで嫌な気分にならないことがあろうか?
もう一つのパートで語られる妹の独白もこれまた嫌ーな感じだ。そこで語られるのは、愚かな両親のもとに生まれ、虐待を繰り返された兄妹。両親を蔑みながら語られる日々もまた凄くいやーな気持ちにさせられる。
この作品、ミステリ作品として考えた場合の驚きはそれほど無いと思う。読み終わって「納得!」とか、そういう感じではない。むしろ、「人間の負の面を描く」というのがこの作品の主題で、結末だとかは、それほど重要ではないのかも知れない。驚きを求めて呼んだ場合、ちょっと不満が残るかも…。
とにかく、今すぐ、嫌な気分になりた人にお勧め。って、そんな人がいるのかは不明だが。
愚行録Amazon書評・レビュー:愚行録より
4488023878

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