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愚行録
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愚行録の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全104件 81~100 5/6ページ
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偶然、書店で見つけて先入観なしに読み進めたが、面白くてどんどん引き込まれる感じで読み終えた。一見無関係な二つの話が交互に進んでいくが、これが何処で繋がるのだろうかとドキドキしながら読んだ。この本はミステリーの謎解きと言うより現実の事件のルポルタージュのような面白さがある。また早稲田、慶応などの実在の大学のOBの話が妙にリアリティが感じられて興味深かった。 | ||||
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一家四人が殺害された事件を巡ってインタビュー形式の書き振りでストーリーが展開されていく。話が半分ほど進むとこの話はどんな結果となるのか、一体何を「愚行」と言っているのか、などと疑問が湧きどんどんのめり込んでいった。 殺害された奥さんの評価はどんどん下がり、その正体が善人から悪人へと変貌する中で、最後に納得のいく結論に達するといった内容。登場人物は嫉妬や虚栄心など人間の性が露わに表現されており程度の差があるがそれぞれ「愚行」を演じていた。 書き振りが斬新であったのに加え、後半部分の犯人の衝撃的な告白もあって一気に最後まで読み終え、放心状態になった。 ミステリーファンには強くお薦めしたい傑作。 | ||||
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貫井徳郎氏のストーリーが好きだ。 事実が淡々と積み上げられて、あたかも精密な機械じかけを見るかのように、それは必然の結末へと一気に流れ込む。 文章に妙な色気はなく、硬質でシャープ。常に計算しつくされた論理はほころびひとつない。 おそらくだから、インタビューを受ける人々のこの不愉快なおしゃべりもすべて、構築された必然なのだろう。 わかっていながらも本当に、おべんちゃらだったり自己陶酔、自己憐憫に他者攻撃のオンパレードには正直へこむ。 そうして挟み込まれたモノローグ・・ 最後の衝撃は慟哭ほどではないけれど、じわじわと積み上げられた悪意が最後に一気に落ちてくる。 腹に力をいれて読め。でないと悪意に吹き飛ばされるぞ。 | ||||
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最近、動機付けが脆弱だったり、ラストまで読んでも「何故?」とすっきりしないミステリーが多いが、この本もそういう感じ。 途中までははらはら…少しずつ剥がされて行く完璧な夫婦の姿。 これ、最後はどうするんだろう、誰が犯人なんだろうって、すっごく気になっていたのに、 なんだ、と肩透かしされた気分でした。8割くらいまではもう100点満点の面白さでしたが ミステリーとしてずっと心に残るかというと残らない作品だと思う。 | ||||
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閑静な住宅街で起こった一家四人惨殺事件の被害者夫婦について。 インタビュー形式で真相に迫る物語。 一区切りずつ語り手が変わっていくので。 語り手と被害者の関わりや印象などそれぞれ違っており謎めいた雰囲気を醸し出している。 | ||||
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恩田陸さんの「ユージニア」で、 こういう、インタビュー形式で事件の全貌が分かる…みたいなのに出会いました。 ルポライターに対して、被害者の関係者が余談を挟みながら、 被害者がどういう人だったのかが分かってくるのですが、 こういう「書き方」の作品は圧倒的に少ないので、違和感がありますが、 そのうちだんだんと、読者が「ルポライター」になったような感覚になります。 だから、すごく近くに感じます。 読了後、後味が悪いです。 生まれた環境による悪のスパイラルと、何でもかんでも他人のせいにしちゃう… 成人なんだから、自分の尻拭いは自分でやれ!と思うんだけど、 やっぱり、一度掛け違えたボタンは、最後の最後まで、 その人の人生を狂わせることになってしまったようだ。 どんなに憧れるような存在(「いい人」)でも、 殺されたり、悪の部分が出て来るんだなぁと思う。 人間、やっぱり、きれいなこととそうでないところってあるんだろうなぁ。 この事件は、ほとんど逆恨みだしなぁ。 殺されちゃったから、真意は分からないけど、田向夫人って、 どういうつもりだったんだろうか。 本当にいい人だったのか、計算をして貶めたのか… 一家惨殺だから、実際に起こった世田谷の事件に絡みそうなことだと想像していましたが、 …果たしてどうなんでしょう(現実の事件は、早い解決を望んでいますが:2009年現在)。 貫井作品は、慟哭からのファンで、単に推理だけをして楽しむのではなく、 後味が悪いので、出会わなければこんな嫌な気持ちになったりしないのかもしれないけれど、 事件の裏には、人間本来の醜悪な部分がある…みたいなのも、考えさせられるので、 本当に楽しめます。 …最高に後味が悪いので、★4つ…です。 | ||||
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犯人不明の一家皆殺し事件。その関係者6人へのインタビューを通して過去に連なる様々な愚行、心の歪みがあぶりだされていく。犯人や動機、トリックで驚かせるタイプの小説ではなく、論理的に真相を導き出していく謎解き小説でもない。ただひとつ、3人目の証言と4人目の証言の間に実に巧緻な小技がひとつ仕掛けられていて、私はこれにまんまと背負い投げをくらってしまった(お前がぼんやりなだけじゃ、とも言われそうだが)。うますぎるよなあ貫井さん。おかげで素材の重さがスポイルされてしまったとかいう批判もできるのだろうが、この創作姿勢は断固支持したい。 | ||||
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確かに後味が良くはないが、妙に納得してしまう内容ではあった。まず、慶応大学ってそういうところなのかという驚きと(一切縁がなかったもので)、善意に満ちた人が必ずしもいい人とは限らないというよくあるテーマを見事に描ききっていて、そのあたりは爽快感さえある。いろいろな意味で、人間をよく見ているなと思う。 一度はまると、後味の悪さがクセになる作家だ。 | ||||
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一家惨殺事件をめぐって、様々な関係者にインタビューする形で物語は進む。 殺された一家の経歴や表の顔と裏に隠された暗部を探り出してゆくが、 「綺麗で感じがいい妻とエリートの夫、かわいい子供」が実は…という展開は あまり目新しいところもない。インタビューの間に挟まれる、児童虐待を受けた 女性の告白と本筋のストーリーの関連も、驚きや意外性がなく、実際の事件とは、 こういうものかも知れないが、あまりにも拍子抜けで小説としてはどうか。 人の醜さをこれでもかというほど訴えかける数々のエピソードもただ空しさが 残るだけに思える。 | ||||
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貫井の作品のなかではイマイチかもしれないが、 やはりその完成度の高さには驚かされる。 都内で殺された一家四人。 取材するルポライターは、その真実に近づいていくが。。。 ルポライターはよく書けていて厚みがある。ラストもよかった! | ||||
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慟哭、修羅の終わりが、自分にとって新鮮だったので、期待して読み始めました。恩田陸のQ&Aにも似て、ぞくっとするようなところも有ったのですが、ちょっとこの作家にしては、展開や結末が雑で、途中の話はちょっとグダグダに過ぎるかも。私的にはQ&Aの方が、居心地の悪い読後感と不気味さに秀でているように思える。初めての手法なので、しょうがないのかも知れませんが。。 | ||||
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都内で幼い子供二人を含む一家4人が惨殺される。物盗りの犯行か、怨恨か。事件を追うルポライターに、友人たちが語ったこの家族の「真実」とは…。 様々な友人たちが一人称で語って聞かせる形式は、宮部みゆき「理由」、恩田陸「Q&A」「ユージニア」など話題作で幾度か目にしていますが、本書でもまだまだ有効に用いられていると感じます。 被害者たちの人生は友人たちのフィルターを通した途端に、「真実」と私たちが名づけるものからはどんどんと離れていく可能性があります。それがどれくらい離れているのかは、まさに死人に口なし。私たちが他者を「知る」というのは、実は「他者像をこしらえる」という作業と紙一重でしかない虚しさを感じます。 さらに言えば、彼らの来し方に散りばめられた愚行の数々、---ちょっとした意地悪や軽い嫉妬、利己的な恋愛感情や、苦笑するほどの執着心---そうしたものは私たちの人生にも大なり小なりこぼれ落ちているものです。誰の身にも覚えがあるそんな行為の数々は、歳月とともにやがて忘却や諦念にくるまれて記憶の引き出しにしまいこまれてしまうものでしょう。それが生きる上での大人の知恵であるともいえます。 しかしそんな行いの一つ一つが、ひとたび一家が惨殺されたことによって、この一家が万死に値するか否かを問うための材料へと、にわかに変貌を遂げてしまいます。 「あの人たちは何も悪いことをしていないのに…」。目を覆いたくなるような残虐事件の直後に、被害者を知る人たちがメディアのマイクに向かってこの言葉を口にすることがあります。この言葉に頷く私たちの心の裏には、一方で「殺されても仕方がないような行い」がこの世には確かにあるという共通認識が巣くっているのです。 そんな心を見透かすような結末に、うら寂しい思いを感じるのは私だけではないはずです。 | ||||
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こんなに醜い生き物かと思える。アラを探せばキリがなく長所も短所も紙一重。良いと言える人ほど、時に見せる何気ない一面がとても悪い印象にもなる。自分が観ている自分と他人が観ている自分がこんなに大きな隔たりがあるのだと改めて思わせてくれる。人の負の面が際立つ小説。 | ||||
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まず一言。 面白かったです! なかなか途中で止められず、一気に読み終えました。 今年に入って読んだ57冊目の本になりますが、いちばん印象に残りました。 変わった形式の作品ですが、本当に良くできています。 いろいろな人にインタビューしつつ進んでいく物語ですが、 それぞれの話にリアリティがあって、 恋愛小説と思って読んでも共感できる部分が多かったです。 実在する学校や企業名が出るのは大丈夫なのかしらとちょっと心配にはなりましたが、 そんなことはどうでもいいですね。 恵まれた環境ゆえにまわりからは素敵に見えた家族が惨殺されて、 関係者に話を聞いていくうちに、単純にかわいそうと思えた被害者が、 「もしかしたら殺されても仕方なかったかも」と次第に感じられていくことに、かなり怖さを覚えました。 もし殺されたのが自分だったら。 やっぱりこんなふうに色々言われてしまうんだろうなというのが、率直な感想です。 恩田陸の「ユージニア」にちょっと似た感じの作品ですが、 設定はもっと凝っているし、ラストもこちらの方が断然良かったです。 残り数ページになったときは、ちゃんと話が終わるのか焦りました。 わたしは最後の最後まで、本当に犯人が分からなかったです。 読み終わったときは、悲惨な内容のラストよりも、 そうだったか〜という、ナゾが解けたすっきり感の方が大きかったです。 | ||||
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視点を変えると物事はまったく別の側面を映す。ある意味、人の評価(価値?)も他者が作る多種多様な(勝手な)思いの交差する場所にしか存在しない。今作も、第三者がインタビューで細部を明らかにするほど、殺された夫婦の人となりは曖昧となっていく。 様々なパーツが最後に集約される構成と、現代的と言える犯人の動機もよくできているが、自分が興味深く読んだのは、この顔の見えない被害者の描写である。 そして本作で一番不気味なのは、更に顔の見えないインタビュアーであることは言うまでもない。(個人的には恩田?「Q&A」と近い現代的な不気味さを感じた。) | ||||
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誰しもが持っている、嫉妬をこれでもかと見せつける作品。 心当たりありまくりで、ホント、申し訳ない、ごめんなさいと、読んでるそばから懺悔したくなったりました。 読後感もばりばりに悪いです、でも、読む価値はあると思います。 | ||||
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恩田陸さんの「Q&A」のように、 インタビュー形式で構成されていて いろんな人の証言を元に様々な角度からの真実が見えてきます。 同じ人の話をしていても、 人によって見方・感じ方はまったく違っていて 人の本質の不透明さが興味深かったです。 しかもそのインタビューもだんだんエスカレートしてきて、 あとになればなるほど不快な話がでてきます。 出身地・学歴・育ち・・・ 人の価値をこんなことで評価するのはとにかく愚かの一言に尽きる。 この事件の根本にあるのは すべてこういった歪んだ羨望感や嫉妬。 そんな心の汚らわしさこそが「愚行」ならぬ「愚考」。 読んでて本当に嫌な気持ちになるけど、 著者の狙いはそこのはず。 本筋である一家惨殺事件。 冒頭に出てくる幼児虐待の小さな新聞記事。 合間に挟み込まれた女性が兄に語りかける独白。 この3点の関連性が最後の最後でキレイに合致した時は 不快ながらも爽快でした。 | ||||
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人々の善良さの裏にある悪意を、「藪の中」の手法で描く。 描写は宮部みゆきの「火車」や有吉佐和子の「開幕ベルは華やかに」を髣髴とさせる。新しい方法ではないが失敗ではない。 内容は桐野夏生の「グロテスク」を思い起こさせる。 ただし、女の悪意を描くことにかけて、所詮男の作家の筆ではかなうはずがない。 だから、貫井は女だけを描かず男のなかの悪意も描くことにしたのだと思う。 でもやはり桐野夏生には勝てていないなあ。 | ||||
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粗筋等は省かせて戴きますが、結局はこの様な事件は簡単に起こりうるという事。六人のインタービューは単なるそれぞれの主観から形成されたある夫妻の虚像に過ぎない。六人のインタービューが重要視されているわけではなく、要するに一人の人間に対し見る人間、見方が違えばそれぞれの解釈があるという事。決して他人から恨まれる事のない人間などいない。完璧な人間などはいない。他者が存在する限り。恨み、恨まれ、そんな悪循環の繰り返し。本当に我々人間は愚かだ。 | ||||
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宮部みゆきの直木賞受賞作『理由』を彷彿とさせるような、全編ルポライターの取材に応ずる6人の“証言談話”で進んでゆく。 モチーフとしているのは、どうやら数年前実際に都内でおきた未解決の‘一家惨殺事件’のようだ。 はじめのうちは「まさかあの人が」、「人の恨みを買うような人ではない」だったものが、そのうち「彼女にはああいう死に方がふさわしい」、「彼を殺したのがあの人でも不思議はない」というものが出てくる。 エリートビジネスマンの夫と美しいセレブ妻の仮面は、学生時代・独身時代のエピソードの数々が他人から語られることによって徐々に剥がされてゆくのである。 それらに、冒頭の“育児放棄による3歳女児衰弱死の新聞記事”と、合間に挟み込まれる“ある妹の、兄に呼びかける謎の独白”が加わる。この3件がどう絡んで、話がどの方向に向かってゆくのか・・・。そして最後の“独白”で怒涛の結末が・・・。 “インタビュー”と“独白”は、出来事が生理的に読者に伝わってくる臨場感に満ちたスタイルである。次第にエスカレートしてくる生々しい暴露内容に、私は読んでいて嫌悪感すら抱いた。 本書で著者は、語る方も語られる側も、あるいは誰しもが持っている、人間の奥底に隠された‘愚かな、’ 嫌らしい部分をじわりじわりと、実に効果的な表現手法を使ってあぶりだしている。 貫井徳郎は、ときどき、読後感がすっきりしない、こういうイヤ〜な感じの小説を書く。 | ||||
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