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複製症候群
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複製症候群の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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突如、空から降ってきたカベに囲まれてしまった高校生の主人公ら。カベに触れると、その人のコピー人間が作られてしまう。 閉鎖された空間の中、誰がコピーで誰がオリジナルかも分からない。テンポよいストーリーにぐいぐいと引き込まれてゆく。 一人、また一人と仲間が死んで行く設定は、さながらハリウッドのSF映画のよう。 危機的状況におかれた仲間がどんどん錯乱して行く様子も映画的といえるだろうか。 しかし一番ひっかかったのは、カベに触れるとできあがるコピー人間を「クローン人間」と呼んでいるところだ。 クローン人間が話題になったころ、SFの世界で多くの小説家や映画監督がクローンについて扱ったが、 そのほとんどが本書のように「クローン=コピー人間」とするものであった。 突如として自分と同じ姿形、記憶まで共有するそっくり人間の登場という設定は、なるほど恐ろしくて魅力的だし それらを主題にして描かれる物語は、自分のアイデンティティを揺るがされて、衝撃的だ。本書も例外ではない。 しかしながら、当然クローン人間とは本来そんなものではない。一卵性の双子と同じである。 本書のごとく大人のままクローンが出てくるわけではないし、双子といえども身体的にほくろだのアザだの細かな部分の違いはたくさんあって、外見とてそっくりそのままということはない。 ましてや記憶を共有することなどありえない。 本書のクローン人間たちは、外見もそっくり同じで、記憶も継承している。そして自分のことを「オリジナル」だと思い込んでいる。 現実に自分のクローンを作ろうと思えば、それは双子の兄弟を赤ちゃんから育てるのと同じことなのだから、 これを持って「クローン人間」と呼ぶのは多いに抵抗がある。 クローンにあまりSFちっくな解釈を加えて、それをうのみにして倫理とする考え方は誤っているし(「クローンはコピーを作る事だから倫理的に許されない!など) この本に限らず多くのSF小説やSF映画が、この誤解に基づく偏見の一端を担っていると思う。 そういった意味であまり素直に読む事はできなかった。 単純に、クローンとは関係のないところで「オリジナル対コピー」という話で十分だと思う。 フィクションとノンフィクションの境は明瞭にしてこそ、真にSF風な架空の世界を楽しむことができるのだ。 作者の姿勢も問われていると思う。 | ||||
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