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顔に降りかかる雨
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顔に降りかかる雨の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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鋭い人間観察は、桐野さんの作品の特徴だと思う。 人の悪意から目を背けず、果敢に描写し、事件を終局まで運ぶ手腕は、脱帽。 主人公ミロの、弱さ、頼りなさにハラハラさせられながらも、彼女なりの人間に対する観察眼を頼りに事件の答えを探す。そこに、幸福が待っていないとしても。 その頼りないが理知的なところ、力強いパワーに魅力を感じた。(だから、ダークのやさくれっぷりは同一人物と思えないくらいビックリした。別作品として読めばいいのかもしれないが) 人としてリアルな探偵だと思う。 結末の暴露の動機も、どうにも人間らしい。 | ||||
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この作品は、1993年のものなので、もうすでに、“今”と言うには古いかもしれない。 ミステリーはあまり読まないのだが、新聞連載で、『メタボラ』に夢中になって この作者が好きになり、デビュー作を手に取った。 江戸川乱歩賞である。最近の、いわゆる純文学系の受賞作品の質に大きな?を 感じていた時、これを読んで、ああ、これなら受賞も納得出来るなあ、と 非常にホッとしたのが、第一の感想。 簡潔な文体の中に、ハッとするような、作者の洞察力や感覚の鋭さが感じられたからである。 そして、実は、先に書いた、失望は、昨今の受賞作の中に、 そういった、うならせるような作者独自の、かつ、普遍的な“真実”と呼べるものが、 非常に足りないことが原因だったのだ、 と気付いた。 小説を読むという行為の、大きな楽しみであったはずの、 そういう知的な満足は与えられず、 ただ、ドラッグとか暴力とか、精神の病とか、 徒に刺激を煽ることが、何か、センセーショナルと勘違いされているような・・・。 もちろん、本作は、倒錯趣味や極道など、裏の世界を描いている。 しかし、それは、ミステリーの王道であり、面白いのは、そういう設定の中で、 深い人間観察や、社会批判の精神が、きっちりと書かれ、 しかも、それが作者の、書く、ということへの動機となっているように感じられる点である。 きっと、作者は、自分をミステリー作家、とか レッテルを貼られるのは好まないかもしれない。 そして、純文学よりは、エンタメの方が、 本来、小説が読者に与えるべきものを盛り込むには、 適しているのかもしれない。 小説とは、どんなジャンルにせよ、 楽しませる=エンターテインメント でなければいけない、ということだろう。 今は、○○、というジャンルは必要ないのかもしれない。 それにしても、いわゆる純文学、というものは、 もう死に体になってしまったのだろうか・・・。 | ||||
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桐野さんは前に「OUT」を読んだのですが、最後が気に入らなかった。 途中が面白かっただけに、それが残念だったのですが、今回はどうでしょう・・・ このシリーズはなんとなく知っていたのですが、読むまで主人公の「村野ミロ」は女子大生だと思っていたら、32歳の未亡人だった。 何と勘違いしていたのか(-_-;) そのミロの親友が、恋人のお金1億円と共に姿を消したことから物語が始まります。 姿を消す前にミロの家に電話をかけていた事から(ミロは出なかったのだけど)親友の恋人・成瀬に共犯と疑われ成瀬と共に親友を探すことになるのです。 私は最初に読み始めたとき、一番疑わしいのは成瀬だと思ったのですが、ミロと共に行動するようになり成瀬の人となりが分かるようになり、成瀬が犯人じゃないのかも・・・と思うようになりました。 なんとなくミロと成瀬は似たもの同士なんですね。 そして親友を探すうち、その親友の考えや行動が分かってきて、自分が見てたのはほんの一部だったと分かるし、親友の周りの人々の闇みたいなのも見えて・・・そんな寂しさや親友に対しての同情心みたいなのも感じました。 そういう意味ではミロも成瀬も立ち位置が似てるというのでしょうか。 まぁこの小説だけじゃなくて誰にでもそういうのはあると思うんですけど、それは知りたくないというか、知らせたくもないというか・・・。 そんなミロと成瀬の共感部分がだんだん大きくなってきて、探偵モノのミステリー小説なんだけど恋愛モノと言ってもいいかもという部分もありました。 最後はすんなり終ると思ったら・・・があるんだけど、やっぱりなんともいえない寂しさがありました。 しかし、この小説ではセクシャルな単語がいっぱい出てきます。 これってどういう意味だろう?と思うのもたくさんあって(なんとなく分かるんだけど)ネットで調べたらモザイク写真がいっぱい出てきました(^^;) やっぱりそうか・・・みたいな。 【死体写真愛好家】なるものの存在が、こんな前からあったなんて・・・と。 少し前に小学校の先生がそういう写真をネットで流していたことが話題になりましたし、本当にそういう人がいるんだなと。 やはり事実は小説より奇なり(-_-;) なんか先月の自分もそういうのと対面したのもあって、なんともいえない気持ちになりました。 ミロもそんな気持ちでそういう写真を見たんだろうな、と。 | ||||
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江戸川乱歩賞受賞作。 犯人は最初からなんとなく分かるのだけど、そこに至るまでのスケールの大きさが醍醐味。 ドイツの社会情勢まで巻き込みつつも、一個人の欲望やカルト的な趣味、快楽主義的な生き方も丁寧に描き、雑多な日本社会が浮き彫りになる。 登場人物それぞれに癖があって、結局、いい人なんて一人も出てこないあたりも良い。特に不倫された美人妻の、気づく人しか気づかない嫌な女な感じが、これは、女にしか描けないかも。と思った。 | ||||
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読んだとき 『テロリストのパラソル』に似ているなあと。 いやいや 『八月のマルクス』のほうかなあとも。 どちらも乱歩賞受賞作なんだけれど。 よくよく考えてみると 受賞はこっちのほうが先。 作品各位に影響被影響はないだろうけれど なんとなくほっとした。 見事にハードボイルド。 深くはないけれど 強い女の弱さもまたきちんと描かれていて。 もちろん真相についても二転三転。 十二分に楽しめた作品。 | ||||
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有名な方なので、名前だけは知ってましたが、つい最近「グロテスク」を読んだだけです。もっと最初の方からと思い、読みました。 これは、読者が女性か男性か、何歳ぐらいであるか?ということで、読後の感想がかなり違ってくる物語だと思います。 割と、白黒はっきりしている物語や、どうだ!というほどのどんでん返しも好きだし、サクサクと進む物語が好きなので、途中、主人公のミロの心理描写が特に、たるいな、と思う部分もありましたが、読み終えたら、この作家さんには必要だったのだなと思いました。 最初、なんでミロが巻き込まれなくてはならない事件かわからなかったけど、後で思うと、なるほど・・・事件とはこれだったのか?と。 自分の世界を持っておられる作者、ですね。 「グロテスク」を読んだ時も好きか嫌いかはわからなかったけど、やっぱりこの作品もそうです。好きか嫌いかわからない。でも、忘れない。そういうのが創れる方ってのは、素晴らしい才能があるのでは? 話が面白いだけじゃなく、雰囲気がすごくある作品ですね。 続編も読んでみます。 | ||||
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有名な方なので、名前だけは知ってましたが、つい最近「グロテスク」を読んだだけです。もっと最初の方からと思い、読みました。 これは、読者が女性か男性か、何歳ぐらいであるか?ということで、読後の感想がかなり違ってくる物語だと思います。 割と、白黒はっきりしている物語や、どうだ!というほどのどんでん返しも好きだし、サクサクと進む物語が好きなので、途中、主人公のミロの心理描写が特に、たるいな、と思う部分もありましたが、読み終えたら、この作家さんには必要だったのだなと思いました。 最初、なんでミロが巻き込まれなくてはならない事件かわからなかったけど、後で思うと、なるほど・・・事件とはこれだったのか?と。 自分の世界を持っておられる作者、ですね。 「グロテスク」を読んだ時も好きか嫌いかはわからなかったけど、やっぱりこの作品もそうです。好きか嫌いかわからない。でも、忘れない。そういうのが創れる方ってのは、素晴らしい才能があるのでは? 話が面白いだけじゃなく、雰囲気がすごくある作品ですね。 続編も読んでみます。 | ||||
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この作品は、女探偵「村野ミロ」シリーズの第1作にして、第39回江戸川乱歩賞受賞作である。この作品を読んだのは、続編にあたる「天使に見捨てられた夜」、「ローズガーデン」の読後だったので、書評で云われているほどセンセーショナルな感じは受けなかった。突飛な展開で強引に話を進めるやり方のような荒い部分が文章に見られるものの、暗い過去を背負いながらも表面は猛々しく生きるミロの人物造形は既に完成しており、充分魅力的である。そして、桐野夏生の力づよい作品の原点は、ここにあるのだとあらためて実感した。 | ||||
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単純に読んでおもしろい作品。次の展開が気になって一気に最後まで読み終えた。ハードボイルドだとかスリルとサスペンスだとかの枠に無理に押し込もうとすると,登場人物の人物描写,事件の発生から結末に至る過程,本作品の中で主要な部分を占める「ネオナチ」との関連性,ミロの父親の家業である「調査屋」と裏社会との関連など,すべてのことが今ひとつ踏み込みが甘いという感じはぬぐえない。ただ,著者らしい事件を通して登場する男と女の間に流れる微妙な心のやりとり,著者が好みそうないい男の成瀬とちんぴら桐島との対比,主人公ミロの女性像とかはいかにも著者らしい描き方でおもしろい。この作品は一話完結ではなく,「村野ミロ」が父親の家業である調査屋を継がざるを得ない,継ぐにふさわしい人間だということを社会に認知させるための作品であり,今後,このミロが解決する複雑怪奇な事件がどのような作品として出版されるかが期待される。 | ||||
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この作品がハードボイルド作品なのかそうでないのか分かりません。その辺の線引きはなくなって今やボーダレスなんじゃないでしょうか?と、個人的には思いますけどこの作品に関しては読み始めたらあっという間に読んでしまいました。テンポは良かったと思います。話の内容に不満があったとかっていうんじゃなく、もっと長編を読みたい雑誌を読むようにあっとう間によめちゃったので。。。感情的な描写に走らず、氏の独特なタッチでこれからも頑張ってほしいです。OUT読み始めました!! | ||||
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ハードボイルドだとは思わずに、推理小説として読みました。主人公の”弱さ”がまた魅力の一つなのか、およそ探偵としては一人立ちできていない。怪しい裏社会をさぐり事件の真相に辿り着きますが、『水の眠り灰の夢』が東京オリンピックの頃の記者の泥臭さがよく描けていておもしろかっただけに、この作品は少し物足りなかった気がします。ミロの人間性をもう少し深く描けていたらおもしろいのかも。次に期待します。 | ||||
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決して気持ちのよい設定ではないのに、どんどんその気持ち悪さに引き寄せられる。かといって、内容の奇異さだけで読ませているのでは決してない。この一作で著者の力量が覗える。 | ||||
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