■スポンサードリンク
匣の中の失楽
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
匣の中の失楽の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全34件 21~34 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
竹本の最高傑作にして、三大奇書に匹敵する作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
たぶん、今読むと荒さが目に付くかもしれないけれど、非常に面白く読んだ本。 作中作か?と思いきや、章ごとに鏡合わせのように照り返しあう、二つの世界。しかし、小説中の誰もそれは認識しない。この状況下で冷酷に続く殺人事件。 人攫いの隠形鬼、西洋甲冑の間、量子論から導く推測、すべてを覘くラプラスの悪魔、笑う西洋人形、将棋。 楽しい玩具だらけの世界は、脈絡なく急にけたけたと笑い出しそうな危なげな世界。それは、無邪気に不気味に輝く、闇の中に見つけた子供の瞳を思わせる世界。 この話すべてが、不気味で滑稽な人形劇なのではないか?そんな不安を掻き立てられるが、そんな推論も、作中に登場し、次々とすべてが不安に包まれていく…。 そして読了後、逆様(さかしま)の月が、乳白(ミルク)色の霧が、変電所が、超えられた不連続線が、いったい何だったのか、さまざまなイメージの奔流に頭を悩ませることになるだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
推理小説としてはあまり面白いとは言えない。だが読み終えた後でストーリーすら忘れてしまう本が多々ある中で、これは読み終えた後も何故か心に残る作品だ。 作中作が交互に織り込まれもはや何が物語の本筋で何が作中作なのか分からず読者は迷宮に迷い込む。この構成を得ただけでも本書の価値は高い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本作品は、筆者の20台前半の作品。新書版では、表現の手直しがあるとはいえ、若いエネルギーが十二分に発揮されている。小説中小説の手法をとり、読み手の頭を十分に混乱させながらも、最後まで読ませるのは、そのエネルギーゆえか。良くも悪くも、奇書のもうひとつである虚無への供物を十分に継承している。最後のページにいたってもなお、新たな展開のありそうな流れは、「推理小説=読後すっきり」という私の考えの浅はかなのを指摘しているのか、それとも、だから奇書なのか、単に詰まらん本だったのか、・・・それすらわからなくなる。もうすでに私は、作者の「密室」にとらわれているのか。お気楽には読めませんでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作者のデビュー作にして、代表作。「虚無への供物」へのオマージュとして書かれたと言われる。 大学生を中心とした若者グループの中で起こる連続殺人がテーマ。1章から事件が起こり、早速推理合戦が行なわれ興味を引くが、真骨頂は2章からだ。2章から、登場人物の一人による作中作が始まり、以下、現実、作中作が繰り返される。読者は(作中における)現実と虚構との区別が曖昧になり、まるで濃霧の中を彷徨っている気分になる。作中作でも推理合戦が行なわれ、それが現実の世界での事件解決の伏線になっていたりするので、読者はもう頭をウニ状態にして作者が導くままについて行くしかない。 「虚無への供物」を意識してか、上記の推理合戦の他、密室殺人、方角、占い、囲碁の3コウなど、多くの事象を利用して作品の充実を図っている。作者の情熱と技巧が爆発した傑作。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読んでいて、眩暈が起こったり頭がクラクラした経験は初めてでした。 この本はそんな不思議な感覚に襲われる本です。 1章毎に小説内の現実と、小説内の架空の世界を行ったり来たりして、現在、自分が読んでいる世界は果たして『現実』なのか『架空』なのか、それさえもあやふやになってしまいます。 その面妖な描写。 その様々で怪しげな各種知識。 その狂気なまでの発生する事件。 その事件に心躍らされ動き回る登場人物たち。 パラレルワールドとは言いましたが、実際にはそんな生温くそんな優しいものではありません。 ちょっとでも気を抜くと、竹本建治さんの作り出した混沌の世界に引きずり込まれそうになります。 若干20歳代前半の年齢で書かれたと言う事も驚愕に事実ですね。 自分では(当然と言えば当然ですが)想像も真似も出来ない所業だと思いました。 ただ少々難を言わせてもらうと、登場人物が多すぎて誰が誰だか良く解らなくなってしまいます。 それでも日本の4大奇書に含まれる作品だなと思います。 商品の評価を星5つにしましたが、本当は星6つくらいにしたい気分です。 分量自体はかなり多いです。 読まれる方は、多少なりとも覚悟してお読み下さい。 読まれるあなたに、新しい世界が広がることを願います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
眩暈を呼び起こす作品。 メタメタメタの連続であり、その幻想的パワーは伊達じゃない。 しかし、登場人物に魅力がイマイチであり、肝心の謎解きはあれれな感じ。 ドグラ・マグラには及ばないだろうか。21歳でこれを書いたのは凄まじいと素直に思いますけどね。 ただ、これなら舞城王太郎の九十九十九や麻耶ユタカの夏と冬のソナタ、小川勝己の眩暈を愛して夢を見よなどのほうが数段面白いと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ミステリー界の4大奇書のひとつであるらしい作品です。今までに見たことの無いようなタイプの本で、展開が複雑です。突っ込みどころがあるらしいですが、自分にはそれすらも分かりませんでした。物語の結論があるのかすらも分かりませんでしたが、なかなか楽しめました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なんとも評価の難しい本だ。突っ込み所は沢山あるし、結論から言ってしまえば、完成度は非常に低い。はっきりいって失敗作だ。しかし、これは単なる失敗作ではない。愛すべき失敗作である。この小説全体に仕掛けられた、実験的な構成(ネタバレになるので割合)、そして、脱線しまくりの、これでもかといわんばかりの推理合戦。確かに好き嫌いわかれる作品ではある。しかし、この脱線しがちなバカっぽい推理合戦を、楽しめるようになったら、あなたはひとまわり大きくなれるかも。ようするに、バカミスとして読むといいかもしれない。また、青春小説としてみても一級品であり、読み終わったあとの切なさは、そんじょそこらの恋愛小説なんかよりはるかに優る。一度、読んでおくべき作品といえよう。これを若干20代前半で書き上げた竹本健治は、やはり凄い才能を持っている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者若干21歳にしてトンデモない作品を書き上げたものである。同じく21歳の若さで処女作「翼ある闇」を書いた麻耶雄嵩とは格段の才能の違いを見せつける。現代物理や四柱推命の知識など、物語を逸脱してしまうウンチクの数々はそれだけでも面白いし、二転三転する推理合戦も読む者をして心地よい幻惑に誘い込む。何よりも素晴らしいのはその物語構造。これがポスト・モダンの現代にまさにピタッとはまる読後感を与えてくれる。日本の現代文学が混迷している現在、「ミステリー」という、文学界では「傍流」のジャンルからこのような作が出ていたとは皮肉である。ちなみにこの作へのオマージュである乾くるみの「匣の中」は遠くこの「聖典」には及ばない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
生涯ベスト1の作品。僕の読書生活のイデアで、今も本を読み続けているのは、もう一度この作品を読んだ時の体験を味わいたいからだと言っても過言ではないです(なんて書く時はたいてい言い過ぎてますが)。 ストーリーを説明するのは難しい(と言うか意味がない)作品で、大学のサークル内で起こった殺人事件を、サークルのメンバーが調査したり議論したりするという本格ミステリ的なストーリーですが、通常の意味でのミステリ的な解決には主眼はないです。この作品の凄さは全篇に満ちている空気感で、それは言葉で表すのは難しいけど、あえて言うなら現実崩壊感となるでしょうか。読み進めていくと僕たちが確固たると思っている「現実」が実はとても曖昧で、すぐにでも壊れてしまうものなんじゃないか、さらにはいや最初から「現実」なんてものは存在しないんじゃないかという風に感じられて、強烈な眩暈感があります。京極夏彦の作品から受ける感覚に少し近いんですが、京極夏彦があくまでロジカルに現実崩壊感を導き出すのに対して、竹本健治はその文章の力で、感覚的、生理的な部分で実崩壊感を突きつけてきます。この感覚は「竹本印」と言っていいくらいに独特で、かつ竹本作品には(濃い薄いはあっても)普遍的に存在するものだと思います。この感覚を味わったことで、ものすごく深いところで世界観が変ったように感じます(それが良いのかはまた別ですが)。 この眩暈感は体験しないとわからないので、未読の方はぜひ御一読を。またこの作品が気に入った人は他作品も読んでみてください。同じような匂いのある作品としては、京極夏彦「魍魎の匣」、津原泰水「ペニス」、山口雅也「奇偶」、グレッグ・イーガン「祈りの海」などがあります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まずこれを読んだあとで「虚無への供物」を読んだが、そもそも「虚無への供物」の系譜を引き得たとはっきりと言えるのはこの作品くらいではないか。この作品が多くの書き手たちの新たな系譜=標的となって、「アンチ=本格ミステリ」の水脈が生まれたことを今や誰も否定できない。作者の言葉に反して、「ウロボロスの偽書」もこの「破格な処女作」の「呪縛」を解き放てなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
中井英夫の『虚無への供物』(1964年)小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』(1935年)夢野久作の『ドグラ・マグラ』(1935年)…は埴谷雄高によって〝黒い水脈〟とされる日本探偵小説の嚆矢だ。その世紀の『三大奇書』の後裔として、この『匣の中の失楽』(1978年)は発表された。 その講談社版ではインド学研究者の松山俊太郎の解説が付された(これもスゴイけどw)…。 ところが!然るに! 今回の双葉文庫版では、な、なんと、「綾辻行人との対談、また秘蔵の創作ノートも同時収録」(100P超!)だそう…こりゃ買うでしょ!(≧∇≦)~~* | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者のデビュー作にして最高傑作の呼び声が高い。「虚無への供物」(中井英夫)の系譜をひく。であるからには当然、併せ読むべきである。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!