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匣の中の失楽
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匣の中の失楽の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全34件 1~20 1/2ページ
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最近黒死館殺人事件を読んで面白かったんで、虚無への供物を飛ばして、奇書と言う人もいるらしい本作を読んでみた。読んだ感想としては、奇書といわれるほどではない、オーソドックスなミステリーだと思った。一気に読んでしまうくらい面白かったが、さすがに半世紀近くも経つと出てくるペダンチックな知識も随分色褪せてしまって、ミステリーとしては古臭い平凡な内容に思えた。個人的には黒死館の方が魔術とか音楽とか古典といったクラシックでオカルトな知識をふんだんに使ってるから、それがかえって時代を経ても色褪せない面白さになってると思う。本作の方は量子力学とか初歩の現代科学の知識で同じことをしようとしてるから、半世紀たってしまうとかえって、登場人物達が無意味に古臭い知識をひけらかす浅はかな人になってしまって、その部分は話も冗長で読んでてつまらなかった。しかしその浅はかさも、登場人物たちの調子にのった大学生らしさの演出になってるから意味はあると思う。 しかし読んだ当初はそういう印象が強かったが、第五章の真相説明が明らかにフェイクなんで、本当の真相は何かを考えていたが、そうして作者が仕掛けた叙述トリックに気づくほどじわじわ面白さが増してきた。たとえば、第一章までが〇〇〇が作者の実名小説「いかにして密室はつくられたか」で、第三章で起きた事件で〇〇〇が死んだから、✕✕✕が第二章から続きを書いたものが本作だと自分は読み取った。つまりワトソン捜しのワトソン(叙述者)は✕✕✕。他にも第四章で窓の側で倉野が死んでいたのならそんなはずがないことを、△△△△は証言している、等。他にも読み返しているといろいろ発見があって、それを発見するたびに違う真相が見えてきて飽きがない。今でも色褪せない名作だと思う。 | ||||
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本書を読むなら講談社版ではなく、双葉文庫版を薦める。 本編の後に100ページ以上の付録があり、読後の余韻に浸りながら、より深く鑑賞できるからだ。 付録には ・作者と綾辻行人との対談 ・作品論集 ・作者の創作ノート が含まれる。 特に作品ノートは必見! | ||||
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まず、古本とはいえこの金額はありがたい限りという作品。大手チェーン店ではなかなか見る事が出来ずオンラインストアでも在庫なし。 また利用させて頂きたい。 | ||||
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作中作『いかにして密室はつくられたか』の存在で奇数章と偶数章、どちらが、現実でどちらが虚構なのか、読者は判別することが難しくなる。 ミステリーとして明らかに奇数章の方が、整合性が取れていて、納得のいく解決も用意されている。と、なると偶数章こそ出来の悪い創作であり、奇数章こそ現実なのだと、結論づけたくなる。 しかし、その明らかさが逆に引っ掛かる。作品のキーワードのひとつが「さかしま」であることを考慮すると、ミステリー小説として出来が良いからこそ、奇数章の方がまさに創作、虚構なのではないかと勘繰ってしまう。 作品のもう一つのキーワードは「不連続線」である。この小説を不連続なものにしているのは言わずもがな作中作「密室はいかにしてつくられたか」である。 根戸の独白によると密室とは膜を張ることによって、自他を分けた人間そのものであり、実のところは誰しもが密室の中で生きており、「匣の中の失落」を味わい続けているのだ、となる。 「不連続線を越える」という言葉も出てくる。それは自分という密室の中から外へ出ることだろうと推測できる。 不連続線を越えることを目指し、それに成功した者は本小説において誰であっただろうか。 死によって現実、虚構合わせたすべての出来事を操った、のかもしれない曳野。あるいは「匣の中の失落」すべてを創作として捉え直した場合の、作者ナイルズこの2人だろう。 曳野=ナイルズ。そう捉えることもできる。濃霧で辺りを覆われた場面である、冒頭と末尾の文が同一であることはそれを示唆しているともいえる。 個人という密室から抜け出して霧の世界へと滲み出し、漂っていったのは、はたして誰で、あるいは何で、あったのか? | ||||
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何か懐かしい香りを感じながら長い読書の旅を終えました。それはこれまでずっと親しんできたミステリ小説のそこかしこから匂い立ったものです。多くの作者がこの書に影響を受けたことを知りました。そしてこの書もまた。 もっと早く読んでおくべきでした。 | ||||
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『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』のいわゆる三大奇書は、ミステリファンのみならず本好きならぜひ挑んでみたい高峰である。僕としては先の2冊はけっこうキツかったけれど、『虚無への供物』は面白かった。そこで第四の奇書と呼ばれる本書『匣(はこ)の中の失楽』にも挑戦してみることにした。 一言でいえば、メタ過ぎてアンチになっている、という類のミステリである。先達の三作の中では『虚無への供物』の作風に近いので、それなりに面白く読むことはできた。が、中盤あたりで、ははあんこういうパターンか、と趣向が読めるので、正直ダレてしまうところがあるのも否めない。 物語とは関係ないけれど、僕にはひとつ心に残るくだりがあった。それは、登場人物のひとりが寝る前に一服する場面。「横たわっている筈の軀が、硬直した恰好のまま、奈落の底にもんどりうって失墜してゆく。(中略)ほんの二、三分の我慢なのだが、やはりたまらない時間だった」(P318)などと描写が秀逸である。僕も就寝前の煙草という悪癖がやめられないので、この感覚はよくわかる。 と、どうでもいい感想を書いているようだが、少しでも具体的・本質的なことを書くと、どどっとネタバレに傾斜してしまいそうである。それにしても、作者がこれを20歳そこそこで書き上げたのはすごい。ノベルス版の刊行にあたってかなり修正もされているようだが、とにかくこの仕事量には頭が下がる。ある意味、若さという情熱の所産かもしれない。 | ||||
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友人の薦めでこの本に出逢ってから早四半世紀が経過したが、その妖しい魔術のような魅力は未だに僕を捉えて放さない。章ごとに入れ替わる作中作のワナに絡めとられた己にはっと気づいた時には、もはや中断することもできず、そのままずるずるとさらなる深みへと嵌まりこんで行ってしまう。密室の謎をはじめ様々に散りばめられた雑学的知識の数々にも心地よく魅了される。一度読み始めると長丁場になるので、纏まった時間が取れるときに腰を据えて読みたい一冊。 | ||||
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作中作を鍵に虚実を行き来するという展開から難しくて読みづらい本というイメージを勝手にもっていたのですが、読みやすい文章です。 暗合、作中作、推理合戦といった要素も楽しくじっくり楽しんで読むことができました。 ぼんやり作中人物の推理や作品について考えたり、他の読者の考察や感想を読んだりするのを楽しみました。 世評通りの傑作だと思います。 他の方のレビューにもありますが、解説やおまけが充実しているので購入するならノベルスよりこちらが良いと思います。 | ||||
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以前ノベルスで読んで手放してしまったので新装版ということもあり文庫を買いました。 以下この文庫新装版の付録です。 ・匳(こばこ)の中の失楽というサイドストーリー(短編) ・竹本健治氏本人による新装版あとがき ・講談社文庫初版に収められていた松山俊太郎氏の解説 ・乾くるみ氏による解説 中でも松山俊太郎氏の解説は凄いの一言。 内容に関して今更どうこう言うつもりはありません。 これだけの付録があって文庫のコンパクトさで読めてしまいます。 ノベルスより高い? ファンならこれ一択ですね。 | ||||
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「虚無への供物」「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」に並び称される「匣の中の失楽」の新装版。 双葉文庫版が手元にありますが、 新装版の刊行ということで(再度)購入いたしました。 新装版販売という、名作が朽ちることなく紡がれている喜びを噛み締めています。 文庫という形式を考慮すると、些か高価な気もしなくはありませんが、 文庫形式でサイドストーリーも収めていることを鑑みると、 費用対効果・作品評価のどちらをとっても、文句なしの☆5評価とさせていただきます。 | ||||
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正確には、”いなくなりかけた”。 『ウロボロスの偽証』でガッカリした経験を踏まえてなお、読んでおくべきっぽい?と感じて手にしました。 読み進めていく内に、他の方のレビューの内容を思い出し、さんざん理屈をこねくり回したあげく、 「実は何も起きてなかった」って話なのか?とか思ったり、 章が変わるごとに、”今までのが小説(作中作)の話で”と、次々煙に巻かれる中で、 結局ウロボロスと同じなのか?と心配したりしました。 中盤では、悉く外れる推理合戦にも、そろそろ飽きたなぁ~って風になっちゃったし。 それでも”過剰な苦痛”を覚えることなく読み進められたのは、 程良く切り替わる章立てが上手かったからでしょうか。 ”現実にはこんなのあり得ない!”って真相が語られますが、一応の決着はつけられますし、 (有耶無耶にされるんんじゃないかと気が気じゃなかった) こりゃ考えすぎと思う様な符合の数々にも、プロットの練り込みが感じられます。 この辺がウロボロスと一線を画す点。 一見”連続殺人”なんだけど、それぞれ犯人が違ってて、ドミノ倒しの様に起こった事件だった ・・・という小説って無いかな~と漠然と考えていたのですが、それがこれだった(この辺がばれ)。 | ||||
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傑作ではあるが、小説の中の小説の解決がなく、なんかすっきりしないのです。 | ||||
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どちらが本筋かしばらくわからない作中作で、不連続線を表現しているのかと感じました…全体的な雰囲気として『虚無への供物』に対する意識はビンビン来ます…が、『虚無への供物』の方が混沌としているが、美しいと思います。 4大奇書と評される作品かは、人それぞれでしょうが、自分としては、『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』の3大奇書とは並べたくないと思います。 しかし、若干22歳で書き上げたと言われれば驚きしかありません。 作中で作中作を書いてる少年は15歳ですから、どんな頭の15歳やねんってのが一番の感想です。 若干22歳で書き上げた点、読書を惑わす作中作の点では、星5にしたいですが、『虚無への供物』へのオマージュと言われれば、『虚無への供物』の妖しい美しさを差し引いて、星3.5かな〜 | ||||
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なにが現実なのか、なにがフィクションなのかわからなくなる不思議な感覚。 読み終わってから(悪い意味ではなく)もやっとした気持ちがのこります。 | ||||
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難解だが読み切ったときの充実感は、何者にも代え難いものでした。迷宮に入った自分が自分でないようなそんな心にゆさぶりを書ける作品でした。長編なので読み耽る時間が欲しいとおもいました。 | ||||
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私はほとんどミステリーは読まないで生きてきた。故に他の作品とは比較出来ない。しかし、この作品はスゴイと思う。 何が現実で何が作中小説なのか?章が変わる度にヤラレた〜と思わされてしまった。作者はかなりの博学です。文章の格調も高い。 異次元世界のさらに異次元に連れて行かれました。 | ||||
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大雑把に内容を書くと ・事件が起きた ・登場人物たちが推理した ・誰が(犯人)、何で(動機)、どうやって(トリック)やったかが解る (大雑把過ぎですね) そして読んだあとにふと思う。「何が起きたんだ?」と。 ごく稀に犯人や動機、トリックを説明しないまま終わる作品はあるが、どんな事件が起きたかが解らない推理小説はないと思う。(「虚無への供物」でも少なくとも事件の内容はわかりました) 読み直すほど、どんな事件が起きたのか解らなくなる。 これは読まないと説明できない感覚。 | ||||
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海外でも評価されているという日本の推理小説と聞き、すぐに欲しくなり注文しました。迅速に届いて本も新品同様で満足! | ||||
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>出版社/著者からの内容紹介 >探偵小説狂の仲間うちで黒魔術師と綽名されていた曳間が殺害された。 >しかも友人のナイルズが現在進行形で書いている実名小説が予言した通りに……。 >弱冠22歳の青年が書いたこの処女作は伝説の名著となった。 >巻末には綾辻行人との対談、また秘蔵の創作ノートも同時収録。 >--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。 この紹介は双葉文庫版のものです 講談社文庫版のものではありませんので、うっかり注文なさいませんように 講談社文庫版の松山俊太郎氏の解説も「ものすごい」ので、テキスト的には貴重ですから、古書ででもぜひお手元に! 作品自体は5点満点です 初出の幻影城ハードカバー版が出てすぐに読んで、この講談社文庫版を2回読みました 次は双葉文庫版で読もうと思います 何度読んでも「くらくら」する傑作です | ||||
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本書は竹本健治の処女作であり、おそらく現在のところ最高傑作であろう。 本格ミステリにチャレンジして、一応ミステリとしての形をなしている。 ミステリ好きによるミステリ好きのための作品といえる。 もちろん「幻影城」連載作品だから、当然であろう。 「黒死館」や「虚無」を彷彿とさせるようなペダントリィが満載だが、それもけして難解なものばかりではない。 難解なのは本書の構成であり、どこに真実が有るのかに、読者はとまどうわけである。 著者の目的はこの読者を迷わせるところにあり、本来ならもっときれいに着地するはずだったのであろう。 それがこのような形になった背景はもちろんあるのだろうが、それも含めて著者の意図を読み解くことが、本書の最大の面白さであろう。 ストーリーの表面上の解決がつく分、ミステリとしてのストーリーの厚みはそれほどない。 しかし、それを補ってあまりある先達へのチャレンジ精神という、若さだけが持ち得る熱気が満ちあふれている。 私の初読は作中人物たちと同年配のときであり、連載をリアルタイムで読んだのち、幻影城刊行のハードカバーを熱病に罹ったような気分で読んだことを覚えている。 講談社文庫版は何度か読み直し、その年代ごとに感じるものがある。 特に現在は、登場する若者達すべてに対して、とても暖かい目で見ることができる分、各人の心理的な動きに対する著者の配慮を楽しむことができた。 さまざまな年代の人に読んでほしい作品であるが、特に作中人物たちと同年配の若者達には、ぜひ一度この迷宮に立ち入ってほしいと思う。 ただし、著者の意図した真実は、作中人物と同じように霧の中を彷徨っているのである。 | ||||
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