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猟人日記
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【この小説が収録されている参考書籍】
猟人日記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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「大いなる幻影」と「猟人日経」の2作品を収録。 「大いなる幻影」は、女性しか住めないアパートで起こる事件。女だけの舞台というだけでもドロドロしそうなのに、新興宗教のオカルト性も加わりさらに面白く(怖く)なる。真相が明らかになると、緻密な犯罪計画に舌を巻く。 「猟人日記」は、妻とはセックスできなくなった男が別居をし、女性を餌食にしていく物語。餌食にした女性が次々と殺害され、容疑者としてその男は逮捕され、死刑判決まで受ける。しかし犯人は男ではない。犯人は途中で予想できるのだが、事件の背景が暗くて怖い。 | ||||
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この作品は第50回(1963年/昭和38年下半期)直木賞候補にノミネートされている。しかし受賞したのは安藤鶴夫の「巷談本牧亭」と和田芳恵の「塵の中」の2作で戸川は逃した。ほとんど問題にされなかったようだが、そのときの選考委員だった松本清張は丁寧な評言を載せている「文章的には最初の部分がいい。但し、犯人を隠しすぎたために、人物の性格が全然出てこない。」「意外性もなければいけないし、性格もはっきりと持たせなければならないところに普通の小説と違う推理小説の困難さがある。しかし、これを両立させるのが推理作家の宿命である。」と。これは松本から戸川への励ましである、松本は戸川の才能を買っていたのだ。 この作品は当時ベストセラーとなって話題になり、翌年には日活で映画化されている(戸川はそれにも出演)。戸川はその後流行作家としてだけでなく、タレント・コメンテーターとしてテレビに出続けていたので戸川自身は有名人だったが、2016年に85歳で亡くなった。 | ||||
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「大いなる幻影」を読みました。1962年の第八回 江戸川乱歩賞の受賞作で、佐賀潜の「華やかな死体」と同時受賞。この回は、候補作が凄くて、中井英夫の「虚無への供物」や天藤真の「陽気な容疑者たち」、谷達郎の「道楽のすすめ」、内田正「山の唄」です。日本推理作家協会のホームページに、第八回 乱歩賞の、江戸川乱歩の選評が載っているのが、時代を感じます。 | ||||
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こんなにつまらない本を読んだのは久しぶりだった。早速売りに出します。 | ||||
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映画版をみてから原作を読んだのですが 意外に文学的香気漂う読みやすい作品でした 映画では俳優の容姿や片言が胡散臭く 「美しい妻」も凄みがありすぎましたが 原作では男は元コーラス部長の秀才 (だから「流浪の民」をバスで朗々と歌える ふつう「埴生の宿」とか「カチューシャ」でしょう) 日常生活はほぼ英語で日本語はたまにしか使わない人で 彫の深さは、中谷昇さん鹿賀武史さん(テレビ化のとき)レベルではなく 岡田真澄仲代達也草刈正雄阿部寛さんくらいじゃないと。 十朱幸代さんが演じた弁護士助手は原作では男性で 元カノが男の獲物の一人で現在はシングルマザーになっているので 複雑な気持ちになったりしていました 小説版では男は悩み深く心優しさもあり悪い奴という感じはなく むしろ、かわいそう不運薄幸 ボッコボッコに潰されて そういうところはさすがに戸川先生ですね 「大いなる幻影」はどこにもないジュエリーのような傑作でしたが 「猟人日記」もけっこうその下に並ぶ佳作だと思いました | ||||
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鼻の横の小豆大のホクロと膣痙攣とRHマイナスの血液型の三題噺で描いた(んじゃないのかと思える)ミステリー。古い作品なので細かいトリックは今では通用しないのは仕方ないが、はるか遠くに住んでいる××が、いくら手助けする者がいたとはいえ、他人の居室に自在に侵入するのは不自然。全体的に作りものめいている。強いて言えば、女性作家ならではの遠慮ないエロさが読みどころか。 文章が稚拙で、失笑を隠せない。古い作品を復刊するくらいなので傑作のはずだと我慢して読んだ。ミステリーマニアが、こういう作品があったと知るために資料として読むのならいいけれど、今のミステリーは確実に進歩しているなと実感させる遺物であった。本作は、トリックにオリジナリティがあるということなのか。発表から50年経った今、どういう価値があるのかわからないが、つまらなかった。 | ||||
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「シャンソン歌手で作家 戸川昌子さん死去」。2016年4月26日、その報をNHKのニュースで見たとき、僕は何とも言えないしみじみとした気持ちになった。今年は夏樹静子さんも亡くなっているし、ああもうこれであの世代の女流ミステリ作家はいよいよ誰も残っていないな、というような一抹の寂しさを覚えずにはいられなかったのだ。 僕はこれまでに戸川ミステリを3作品ほど読んでいる。何と言っても圧倒的に面白かったのは1962年の『大いなる幻影』。戸川昌子のデビュー作にして江戸川乱歩賞受賞作品だ。そして2作目として翌年に発表されたのが、本書『猟人日記』である。漁色家の男性が関係した女性が次々と殺され、アリバイを証明しようにも証明できず…というストーリー展開は、当時にしてなかなか刺激的だったのだろう、本書はベストセラーとなり、直木賞候補にもなっている。 しかし、それから半世紀以上。エンターテインメントの世界ではもっと刺激的な作品が山ほど登場しているし、それらに比べれば本書はまあ古き佳き時代のサイコサスペンスかな、というのが読了後の偽らざる感想ではある。だが、そういう筋立て的な部分とは別に、戸川昌子の筆には名状しがたい一種の凄味があり、これは現代でも比肩するものがない得難い味わいだと思う。乱暴で、剥き出しで、ときにサディスティックなのだけれど、どういうわけか、いいなあと思わせる文章なのである。 ところで、長らく廃刊になっていた本書が2015年になって復刊された背景には、最近“イヤミス”と呼ばれるジャンルが人気を得ていることが関係しているようだ。でも実際のところ、本書はそんなにイヤなミステリではない。僕の考えるイヤミスというのは、娯楽作品としてのカタルシスを全力で無視した、そして読者の感情を全力で害する作品(『ゴーン・ガール』みたいなの)である。しかし本書に関しては、インモラルな人々を描いてはいるが、読み終えてモヤッとするようなことはない。世界観は不健全でも、作品としてはとても健全だと思う。 | ||||
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現在では入手困難な著名作の復刻版という事で手に採ったのだが、期待外れの駄作だった。主人公は女を次々と漁っては、その獲物の様子を日記(「猟人日記」(谷崎流の美意識はない))に細かく綴るという異常性癖の社会的地位のある既婚男性。その獲物がこれまた次々と殺されるのだが、その犯行時には主人公は次の獲物と同衾していて自分のアリバイを証言出来ない。明らかに罠なのだが、主人公にはその黒幕の見当が全くつかないという設定。一見、面白そうな設定だが、トンだ茶番である。 プロローグの冒頭を読むと、シェークスピア「オセロ」が引用されるので、黒幕が誰かは読者にはすぐに分かってしまう。この引用は"あらずもがな"であろう。作者には気取りの意図があった様だが、私はこの時点で興醒めした。それでは、読者と主人公との情報量のギャップを利用した風刺劇かと思いきや、そうではなく、無味乾燥な法廷劇(人物造形が浅く、まるで人形劇を見ているかの様)なのである。その癖、"戸田尚子"という名前のシャンソン歌手を獲物(ちなみに、殺されない)として登場させるという遊びもしている。作者の意匠が皆目不明だが、とにかく「オセロ」の引用が致命的であろう。 「猟人日記」という表題(テーマ)と主人公のアブノーマルな性格とで、もっとスリリングかつ猟奇的な物語に仕上げられたのではないか(読者の期待もそこにあったと思う)。一方、法廷劇にするなら、スコット・トゥロー「推定無罪」くらいの緻密な全体構成・人物造形にして欲しかった所。何とも中途半端な作品だと思った。 | ||||
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繊細な心理ミステリの逸品として歴代乱歩賞受賞作の中でも屈指の名作『大いなる幻影』に続いて1963年に発表された戸川昌子の第二長編。 著者の後年の作品ではいささか過剰で露悪的にすら感じるエロティシズムの要素が本書ではウェルメイドなミステリとしての仕掛けの面白さと不可分に結びついている。 昭和三十年代当時の風俗への馴染みの薄さや辛辣な人間描写の為、万人受けする内容とは言い難く、トリックの一部には某大家の長編に類似する作例があるが、孤独な登場人物たちの心理が織り成す濃厚なドラマの果てに訪れる寂寞たる哀しみを湛えた読後感や巧みな構成の妙は、ミステリ作家として本格的に再評価されるべき戸川昌子の代表作と呼ぶに相応しい。 | ||||
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江戸川乱歩賞受賞から1年半あけた長編2作目です。 プレイボーイがハントするのは ちょっと寂しげな20代から30代の女性。 なんとなくこの辺の設定は太宰治作品のイメージがダブる。 しかし本作は探偵小説。 モノの見事に猟奇的な物語が展開します。 虚しさ・孤独。主要な登場人物に漂う空気は一様に暗く重い。 意外にサバサバしているのは 猟に遭った女性たちだったりする、 作者はそこで何が言いたいのか。 僕にはまだまだ人生経験が足りないのでわかりませんなぁ。 | ||||
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