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(短編集)
遠きに目ありて
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遠きに目ありての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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Very nice | ||||
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脳性麻痺の少年が名探偵という設定の本格推理小説の連作短篇集。 一作ごとに腕によりをかけた本格推理位小説でこういう推理小説を読む楽しみに溢れた傑作ぞろいでとても面白かったというのが、まず第一印象でした。 次に安楽椅子探偵に障害を持つ少年に設定したのも、なかなか奇抜な着想に思えました。あとがきや解説によると、まず仁木悦子氏の作品に登場するキャラクターを発展させた物だそうですが、それでもここまで存在感のあるキャラクターにした功績は天藤氏の力量による物でしょう。 そして、全作を通して一番印象に残ったのが、主人公が自由に行動できる様になっていない日本社会に対する批判が展開されている所でした。今でこそバリアフリー等と盛んに言われますが、この短篇集が書かれた頃はまだこういう事を指摘する人の方が珍しかったと思うので、その障がい者に対する暖かい視線や尖鋭性に感銘を受けました。ディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズの先駆とも言えると思うので、そういう意味でも貴重な連作だと思います。 著者の推理小説家としての力量と弱者に対する暖かい眼差しを感じさせる傑作短篇集。是非ご一読を。 | ||||
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「多すぎる証人」は目撃証言がいかに当てにならないかを 逆手にとった小品。 「宙を飛ぶ死」は不可能犯罪を扱っているが一人三役に 少し無理があると思うし、いくらなんでもバレるだろう。 「出口のない街」は第五の出口の発見云々よりも (密室どうこうよりも)惑乱と叙述のトリックが冴えている。 「見えない白い手」は「××が×××とか×××××とか 呼んでいた?」(p.242-3)の伏線がヤバい。 これでは先が読めてしまう。 「完全な不在」は個人的にもっとも気に入っている。 アリバイが要となる筋立てだが、その立証方法がきわめて ユニークな佳編である。 以上の事件を脳性マヒの少年が解き明かす。 彼はひじょうに頭が良い。 しかし重度の障害者であることと頭脳明晰であることは きっちりとわけて考えなければならないと思う。 障害者なのに頭が良い、ではなく、障害者かつ頭が良いのだ。 | ||||
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皆さんに読んでもらいたい一作です。 読むほどに味わいが深まります。 | ||||
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本作は、主人公の探偵役が身体障害者である、ということで注目された。 しかし、注目すべきは、そのミステリとしての完成度の高さである。 もともと連載が、ミステリ専門誌、いや探偵小説専門誌の「幻影城」ということもあり、著者もかなりミステリ度の高さには気を使ったと思う。 本連作における謎の提出、伏線の張り方とその収束、そして解決に至るロジックは、実にみごとである。 本格ミステリのお手本ともいえる。 だからこそ、なぜ著者が主人公をこのような設定にしたのか、ということに疑問がある。 この主人公でなくても、純然たるミステリとして勝負できたのではないか。 探偵役が身体障害者ということで、社会的なテーゼのある作品、というレッテルが張られることになってしまった。 良くも悪くも、以後、本作品集はそのフィルターの掛かった状態でしか、評価されないことになってしまった。 これは、ミステリファンとしては、大変残念なことである。 もっと、純然たるミステリとして、本作は一般に評価されるべき作品である。 しかし、それをじゃましているのが、本作のこの設定なのだ。 | ||||
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確かにあっと驚くような傑作はないかもしれませんが、毎回よくこれほどの水準をたもてるものだなーと驚かされる内容の連作短編集です。 現在ではあたりまえになってしまった科学的、専門知識をちりばめたミステリーではなく、古典的な安楽椅子フー・ダニットのスタイルで書かれているので、どなたもリラックスして楽しめるでしょう。 難しすぎも生々しすぎもせず、こういう家族的な雰囲気をたたえた質の高いミステリーというのは、あまりにもせちからく暗い当節、望むべくもないのかも知れません。 子供を使った大人向けミステリーというのは、実際には書くとなると相当大変だと思うのですが、これは難しいタイプの内容を見事に生かしきった佳品といえるのではないでしょうか。個人的には第2話と5話がよく出来ていると思います。 これを読んで気に入ったという方には、ぜひとも筆者一世一代の傑作“大誘拐”にお進みください。 | ||||
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◆「多すぎる証人」 ▼あらすじ とある団地で殺人事件が起きた。 たまたま、ママさんバレーのメンバーが犯人らしき人物を目撃したのだが、 全員の証言がそれぞれ微妙に食い違っていて……。 ▼感想 探偵役は脳性マヒの十四歳くらいの少年・岩井信一。 知り合いの刑事から事件の話を聞いた彼が、カナタイプで 答えを書くという〈安楽椅子探偵もの〉です。 証言が食い違ったのはなぜなのか? そして、被害者の男が死の直前、ママさんバレーに参加していた 妻に子どもを頼むといった意味の言葉を遺したのはなぜなのか? 信一は、食い違う発言を照らし合わせ、そこに法則性が あることを見抜き、犯人特定の論理を導き出します。 物語の結末は、時代劇の人情裁きを彷彿させ、普通なら陳腐に感じる ところですが、障害を持つ信一が探偵役を務めていることで重みと 説得力を与えています。 良識ある大人が子どもに向ける温かな眼差し。 そして、上質なユーモアに包んで提示される社会的な問題意識。 ニヒリズムやシニシズムに淫しがちな日本人には珍しい、成熟した作風です。 | ||||
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脳性麻痺の少年を主人公にした安楽車椅子探偵物の短編連作集。私は本来、ミステリにこうした主人公を登用するのには抵抗があるのだが、本作に限っては作者の優しい眼差しを感じる。私の記憶違いかもしれないが、この時期、天藤夫妻は実際に障害を抱えた少年の世話をしていたのではないか(夫妻ではなく知人かもしれない)。 本作の各編は天藤氏らしいアイデアに溢れたものなのだが、そのアイデアは読者を楽しませると同時に、その少年への応援歌ともなっているのである。作風も、いつもの明るさは控えめに抑えられ、時にペーソスと哀感を滲ませる。 個人的には、作者の数ある佳品の中でも特に心惹かれる一作。 | ||||
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