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(短編集)
影踏み
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影踏みの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.77pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全84件 41~60 3/5ページ
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D県警シリーズ、F県警シリーズなど、組織としての警察を活写し、異色の警察小説をものした横山秀夫さん。『影踏み』は、”ノビ師”といわれる侵入盗(つまり泥棒)が主役の連作短編集である。1話完結で全7話が収録されているが、全話で長編小説の流れを形成しており、読み応えのある作品になっている。 人間の本質を抉っていく横山節は、これまでの作品と同様だ。ただ、泥棒という追われるものを主役に据えているためか、切迫感をともなった重苦しさと切なさが全編を通して漂っている。 物語は、真壁修一、通称ノビカベが出所するシーンから始まる。 <<修兄ィ、おめでとさん! えーと、まずはご保護司さんのとこ?>> 真壁には、聞こえる双子の弟 啓二の声。しかし、啓二は、この世にいない。母親が、身を持ち崩した啓二に悲観し、無理心中してしまったのだ。真壁は、啓二の声とともに、元の世界へ舞い戻っていく。 なぜ弁護士を目指していた真壁が泥棒になったのか、なぜ啓二は荒んだ人生を歩むようになったのか、そして、なぜ死んだ啓二の声が中耳に響くのかが、読み進めていくうちに明らかになってくる。これらが、一話毎のテーマとなって、物語に深みを増していくようだ。 横山秀夫さんの短編のキレの良さが、遺憾なく発揮されている作品になっている。 ■消息 真壁は、逮捕された時から、違和感を持ち続けていた。侵入した家の女が、隣で寝ている夫への殺意を放散していたのだ。女が寝ていなかったと確信している真壁は、真相を知るべく、その女の行方を探し始める ・・・ 自身の逮捕された状況を知ろうと、恋人 久子の自転車にまたがり、調査を進める真壁。真壁の洞察力、啓二の記憶力によって、たどり着いた真実には、逃げ場のない悲しさだけが残る。 ■刻印 幼なじみの刑事 吉川が死んだ。吉川殺害の疑いをもたれた真壁は、吉川の愛人周辺に探りを入れていく ・・・ 「消息」の顛末が語られる作品である。一旦関わりを持つと放って置くことができない、真壁の正義感があらわされている。 その他、「抱擁」、「業火」、「使徒」、「遺言」、「行方」 | ||||
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横山先生の作品をはじめて読みましたが、そこまで面白くはないと思いました。私に文章や内容の咀嚼力が無いのかもしれませんが、淡々と続くただの文章の連続でたいして盛り上がりも感じず、落とされたかんもなく、といった感じでした。 何をもってこの作品が評価されているか私のレベルではまだ、わからないのでしょう。 | ||||
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流石に横山作品は面白くて読みごたえがある。どうなるのであろうかと言うストーリー展開にワクワクした。 | ||||
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ミステリとしてそこまで評価できる作品ではないが、人情物として読むなら中々面白い一作 ただ最後に明かされるのが真相とも呼べない代物なのと、それを脳内弟が語っちゃうってのがいまいち どうせなら自分で調べて結果を知るとかの方が良かったと思う | ||||
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横山さんの警察小説を読んで、ハマった一人です。 が、コレは泥棒視点からのお話。 いつもとは違って「捕まらないで」と、思わず思ってしまいました(笑 主人公は「ノビカベ」とあだ名される真壁。 この主人公が繰りなす7編の短編連作集です。 頭脳明晰で、将来を嘱望されていた真壁が 双子の弟を、母親の無理心中で亡くしてから一転、泥棒家業に。 その経緯には、正直共感までは出来ませんが。 「双子というものは、互いの影を踏み合うようにして生きているところがある」 …という下りは、言いえて妙だと感じました。 同じ顔を持つ複製のごとき人間が、この世に存在する。 タイトルが生きてます。 この弟が、真壁の中耳にいて 毎回のごとく兄弟で会話をしています。 ここの部分は、現実なのか真壁の作り出したものなのか… 最初は今までに無い横山設定だったので戸惑いましたが、 中盤からは違和感を感じなくなってきました。 そして何よりも面白いと思ったのは 裏家業での専門用語が色々と飛び出してきて。 それぞれの泥棒やスリなんかにも、あだ名があって コレが「成る程ね」と思えて、面白い。 泥棒にも、空き巣やノビ師(寝静まってる時に進入) など色々あるんだと、変に感心したり。 真壁は、泥棒するよりも どちらかと言えば 各出来事の謎を解くために、家などに進入するシーンが多く 「見つかりませんように」と心配しながら読んでました。 とにかく、異色の作品であることには間違い無しです。 真壁が泥棒家業を辞めて、久子と幸せになって欲しいな… と、素直にそう思えました。 | ||||
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横山さんの作品にしてはなんか焦点がぼけている感じがしました。多分連作短編集ということでひとつひとつの話を掘り下げていけなかったからでしょう。 | ||||
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死んだ弟がノビ師の兄の頭の中に棲みついているという ファンタジー要素が受け入れられなかった。 それに加え登場人物の魅力のなさ。 ノビ行為を繰り返す主人公。 なぜかべた惚れのヒロイン。 たいした理由もなしに殺される人々。 誰にも感情移入できません。 | ||||
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主人公が泥棒でありながら探偵役をつとめます。設定は異色ですが、他の短編と変わりない切れ味するどい短編ばかりです。死んだ双子の弟の魂(?)が主人公に住み着いているという設定が、寡黙な主人公を無理なくしゃべらせるなど・・効いています。全体の流れとはあまり関係のない「使徒」が気に入っています。 | ||||
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淡々と進む犯罪者目線の小説。 特に面白かった!という感想は無いです。 | ||||
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横山さんも有名なので一度読んでみようと思っていました。 ちょうど新刊が出ていたのでそれを。 長編だと思って読んでいたら、話がいろいろ入ってくるのであれ〜?と思っていたら、連作短編集というものだったようです。 主人公は同じなので長編と変わりないのですが(^^;) 主人公の真壁修一は頭もよく学歴もありながら双子の弟が元で一家は破滅に向かってしまい、それからは忍び込み(夜、人が寝静まった家に入る泥棒)として生活している。しかし逮捕され2年の刑期を終えたところから話が始まります。 話は修一の一人称ではあるんだけど、頭では双子の弟の声が響き、いつでも二人が会話しているように書かれています。 これが真壁の弟を失った事からの自責の念から作り出したもうひとりの自分(弟)なのか、それとも本当に弟の思いがのりうつっていたのかは分かりませんが、この物語の面白いところであるのかもしれません。 そして弟と共に愛した久子という女性の存在。 小説を読んでいると真壁は忍び込みを続けているんだけど、探偵のように思えてきます。 犯罪を犯して生活しているんだけど何か一本、筋が通っているような男臭い無骨な感じがミステリーでありながらハードボイルドのような面もあって。 最終的には弟は昇華されてゆくのですが、その後修一が真っ当な道に戻ったのかは、久子の元に戻ったのかは分かりませんが、これが転機になって新たな道を歩んでいったんだと思います。 | ||||
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横山氏の作品を読むのは、本作が初めてでした。 他作家の探偵ものや刑事ものの作品は、これまでにもいくつか読んだ事がありますが、 それらと比べても頭一つ抜き出ている感じがしました。 読者を引き込む描写やストーリーはもちろん素晴らしいのですが、なによりも主人公の設定が秀逸だったと思います。 一見ファンタジーちっくに捉えてしまいそうになる弟の存在。 実はこれ、ちゃんとした裏づけをもって創られたかなりリアルな存在だったんですね。 ・拭いきれない過去の事件 ・兄弟の葛藤・・・嫉妬 ・一卵性双生児 ネタバレは控えたいので、直接的な表現は避けますが、 心理学を学んでいる方やそういったミステリー小説を多く読んでいる方にはピンとくるかもしれませんね。 物語を追うだけでも面白いですが、そういった部分を深読みしていくと面白さは倍以上になると思います。 真壁の孤独な物語。 多くの人に読んでほしい作品です。 | ||||
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7編からなる連作短篇集。 横山秀夫の作品としては異色の作品だと思ふ。 といふのも、ひとつには、この短篇集は犯罪者の視點で書かれてゐるといふこと。 また、もうひとつ、主人公が異常な状況に置かれてゐるといふこと。 異常な状況とは、どういふことか。 じつは主人公・眞壁修一の内部に、雙子の弟・啓二がゐて、二人は修一の意識の中で會話するのだ。 啓二はかつて盜みに手を染め、絶望感に捉はれた母に無理心中を企てられて燒死してゐる。 そして、修一と啓二はかつて同じ女性を愛してゐた。 その啓二がいま修一のこころに住んでゐる、さういふ設定なのである。 かういふ、超現實的な状況設定は、ほかの横山秀夫作品には見られない。 タイトルの「影踏み」とは、作中での文章に、 「雙子といふものは、互ひの影を踏み合ふやうにして生きてゐるところがある。」 といふ箇所があることから、この異常な状況を表はしてゐることがわかる。 ミステリーとしても十分樂しめるが、人によつては、この異常な設定を受け容れにくいかもしれない。 私もじつはそのひとりだ。 中途半端なのだ。 かういふ設定で書くのであれば、もつとその異常さを掘り下げて書いて欲しい。 兄と弟の葛藤そのものを描くことが、それだけで重厚な作品になつただらうと思ふのだ。 | ||||
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横山氏の作品は好きです。しかし、このハードボイルドはどうでしょうか。横山氏は実験的に書いたのでしょうが、コソ泥がハードボイルドのヒーローなど、なれっこないのです。主人公の個性にはもう少し工夫をしていただきたかったと思います。 | ||||
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横山秀夫の警察小説の面白さは、警察官を彼らもやはり一個の社会人(会社人か!?)として描き、 会社社会にありがちのごく当たり前のイジメ、そねみ、お追従、女性差別等がある生活を送る、ごく 普通の人達の日常があるんだ、と言う事を教えてくれたとこではないかしら。 小説、それもサスペンス推理ものとしてのできはもちろんの事、それと共に、ある種の情報小説とし て私には意味が大きかった。 今回のこの作品は、一転警察の活動対象である泥棒と言うアウトローを扱ったものになったが、それ は要は紙の表と裏。ある意味これまでの横山作品と、別段違和感なく読み進む事ができた。 そして何より、やはり情報小説として、多くの泥棒業界(?)用語と彼らの日常を伺い知る事ができ て実に興味深かった。 もちろん双子の弟や、焼死した両親の問題など、謎解きやドラマはきちんと配されて、サスペンスも 期待どおりなかなか深いところがあり、これも十分読者は満足するだろう。 でもしつこいようですが、いやぁ、泥棒社会の日常が、面白いですよぉ。 | ||||
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今回の主人公は少々変わっている。深夜、寝静まった家に侵入する手口を専門とする「ノビ師」の真壁が主人公。ノビ師の手口、人間関係から浮かび上がる人間ドラマ、人間模様、打算、虚飾が7編の連作短編集になっている。真壁の人物設定そのものがストーリーの中核をなしている。 相変わらずの横山節を堪能。休みの日、1日で読了した。『抱擁』が秀逸か。 | ||||
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面白くないかといわれれば、面白いと答える。 しかし、何か違う。 従来の横山秀夫ものから緊迫感や緊張感を除いたものにハードボイルドの味付けをしたのが、本書と言えよう。 横山秀夫作品の緊迫感が好きだという方にはあまりおすすめできない。逆にハードボイルドものが好きな方にはおすすめである。 気になったのは、帯の惹句。 「かってこれほどせつない」は貴志祐介の「青の炎」ですでに使われており、そちらのほうがぴったりくると思う。 | ||||
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横山秀夫氏による連作短編集。 「ノビカベ」の異名をとる泥棒、真壁修一の出所後の一年を7つの物語で描く。 主人公「ノビカベ」こと真壁は、2年前刑務所に入るきっかけとも言える事件に疑問を抱き、出所後調査を始める。 その双子の弟である啓二は、19歳で母親の無理心中によりこの世を去るが、真壁の中耳に宿りこの世に留まっていた。 中耳を通して真壁と会話することができる啓二は、飛び抜けた記憶力も活かし、時に真壁の「仕事」をサポートし、時に真壁そのものを支える。 そしてかつて双子の兄弟は久子を巡り争った仲でもある。 中耳を通して真壁に語りかける啓二の言葉遣いが、双子の主人公のそれとは対照的に子供っぽく愛嬌があってよかった。 また、「ノビ師」である真壁の侵入シーンが細かく描かれており臨場感溢れる。 プライド高く、生き様にどこか不器用さを感じる、孤高の泥棒。 元(?)恋人である久子との距離のとり方にもそれが伺える。 犯罪者であることは間違いないが、素直にかっこいいと思った。 また、7つの短編を連ねるという手法が絶妙にマッチしている。 一作一作が歯切れよく完結し、短編ミステリーとしても充分楽しめた。 | ||||
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短編としても長編としても十分に楽しめる相変わらずレベルの高い作品です。 主人公「真壁修一」はノビ師と呼ばれる所謂忍び込みのプロ。 母による無理心中で双子の弟が19歳で亡くなってから、修一の人生が変わっていきます。 敢えて難を言えば、修一が何故犯罪を止められないのかが、もう少し明確になると、より爽やかな読後感になったと思います。 チョッと、欲張りすぎでしょうか? 何故か横山秀夫作品に対しては、要求が高くなってしまいます。 | ||||
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これは1人のバカな男の物語である。だが男は決して愚かではない。 そんな男が自分に振りかかる火の粉を怯まず懸命に振り払う姿が7話の連作短編にじっくりと描かれている。 自分のため、好きな女のため楽に器用に生きればいいのに そう生きるのに十分な能力を持っているのにと、読中何度も思わされる。 しかし男はそうしない、何故か?バカだからである。 死んだ家族を、好きな女を想い、男はあえて痛ましい程不器用に生きているように見える。 その男は“ノビ師”と呼ばれる職業泥棒をしている。 したがって、これまでの横山作品と違い、追う側ではなく追われる側の話になっている。 その所為か読後の印象は、他の作品に比べ爽快感は少ないと思う。 その分、他の作品よりハードボイルド感は出ていて、それが何とも言えない味わいを醸し出し 一味違った魅力になっていると思う。 | ||||
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2005年版このミス47位 深夜寝静まった民家を襲い現金を盗み出す「ノビ師」。本作品は、長編の形をとっているが、内容的には「ノビカベ」こと真壁修一を主人公とした連作短編集である。司法試験を目指していた15年前、空き巣の常習犯となった双子の弟・啓二を道連れに母親が自宅に放火し焼死した。この日を境に、修一の意識に啓二が棲むようになり、修一は弟を奪った母親への当てつけとしてノビ師となる。 ノビ師の仕事を手伝いながらも何とか久子と修一の仲を修復させようとする啓二、そして、修一を待ち続ける久子、本作品は、「弟啓二と母親の関係」「幼なじみの久子との関係」、の二つを軸に、6つのエピソードが展開され、作品の最後に大きな秘密が明らかにされる。 作者のこれまでの作品のなかで、ハードボイルド色が強い本作だが、それぞれのエピソードが作品の他の作品同様、よく練り込まれている。私にとって 年の「クライマーズハイ(作者の作品)」以来の徹夜本となった。 | ||||
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