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透明な季節
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【この小説が収録されている参考書籍】
透明な季節の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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基本的に私は推理小説だとかミステリーというものを好まない。謎やトリックのために殺人、いや殺人と言うリアリティまであるだろうか、あればあったで露悪的で不快だが、血のりの飛ぶ空疎な人形劇を見せられているようで。というと人形劇を譏っているようだが、要するに人間ではなくマネキンが動いているような空々しい感想しか持てないということ。数年前古書店で本書の文庫を見かけ。毒々しいというか昔の看板絵のようなカバーイラストに逆に興味を惹かれ頁を繰ってみた。トリックはあるが、私はそこには全く関心がない。人が活き活きと生息していた。そして太平洋戦争末期の時代の空気がくきやかに描かれていた。騒然とした情勢のなか、事件でさらに騒然するなかに、瑞々しく透明感のある青春が営まれてあって。ささやかな出会いと別れ。哀しみ、さりながら爽やかさ。著者は、推理小説の宿命的な壁として、謎やトリックに力をおけば人間が死んでゆくし、人間に力をいれれば謎やトリックが死んでゆく、そのどちらも生かしたものを目ざしたのこと。そしてまた、戦争に巻き込まれ知られずに亡くなっていった数多の人を思い出してもらう縁になれば、という思いもあるとか。私は謎やトリックは後から付いてくるものであって、まずは人がありきと信じて疑わない。人が生きていて、その時代が表れていて。推理小説という形をとった、痛切な青春小説の傑作です。 | ||||
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30年以上前に購入して愛読していました、舞台も比較的自宅から近く 今は当時の面影も薄くなりつつありますが、たまに根津神社に立ち寄る 度にこの小説を思い出します。 タイトル通り透明感のある後味そしてあの時代は生まれていないので 判りませんが何となく日本が終末に向かう静謐感が感じられます。 何故か作者その他の作品ともに絶版ですが電子書籍で読めるのはありがたいです。 ちなみにこの小説は昔テレビドラマ化されています。 確か2時間のサスペンス劇場枠でしたがなかなか力作でした。 主演は芦川誠・中野良子・ポケゴリは泉谷しげる(適役)など。 | ||||
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これ程、思春期の恋心が鮮明に描かれた作品は他にないでしょう「推理形式ではあるが、ある意味、戦時ー末期の 青春の真実も捉えた、日本文学でみても*かけがえのない成果と言っても過言ではないでしょうー 是非、若い世代の方々に、読んで頂きたい傑作で超お薦めの一冊だと思います」 | ||||
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Very nice | ||||
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レビューはどちらも別々に書いていますので、控えます。まず、この本の利点は、選評が詳しく書いてある点と、解説の良さとエッセイがきちんと書かれている点です。一つ難点は、文庫本なのに分厚くて読み辛いことこの上なしです。この本の製作者はたぶん自分で本は読まない方なので、この本の最大の欠点が理解できないのでしよう。これだは、傑作であつても読む気がうせます。 | ||||
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推理小説の形を借りた,戦争末期の青春です。中学生の少年が年上の女姓への慕情を生き生きと描ききったもので、この時代を少年の目線で見事に描いています。少し荒い感じの文体ですが、むしろこの場合はテーマにうまくあっています。推理性は弱いですが、まさに、タイトルの道理ー透明な季節です。 | ||||
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『透明な季節』 少年が大人になる過程の中で、たまたま殺人事件に出逢いました、という物語ですね。ミステリとしては、事件解決のくだりが納得できないので、ビルディングスストーリーとみるべきなんでしょうか。すべてが終わったときでも、ちゃんと大人になりました、というようには見えませんが。 『時をきざむ潮』 閉ざされた世界での殺人捜査ということで、一種の孤島ミステリなんでしょうか。ラストは、モダンホラーの趣です。面白い。解説にある藤本さんのエキセントリックな人生も興味ありますねぇ。 | ||||
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えっと…これは「ミステリ小説」なのか? ミステリというよりも、戦時下の東京を舞台とした青春小説、という趣が強いように感じる。 まずこの作品、中心となるのは、少年・高志の日々である。ポケゴリが殺された、という事件からスタートするものの、そこに絡んで描かれるのは、犯人探しや謎解きではなくて、ポケゴリがきてからの日々であったり、その非日常の状態となった高志の周囲であったりする。そして、中盤からは、そのポケゴリの妻である薫に対するほのかな恋心であったり、悪化して行く戦争という事情であったりする。事件は、それを表現するためのアクセントに過ぎないのではないか? 本作を語る上で、やはり外せないのは戦時下である、ということだと思う。諸田少尉という存在自体が、戦争の賜物であるし、高志が見る様々なところに戦争の影が見て取れる。そんな中で、大人の汚さを知り、また、知っている人々が目の前から消えて行く様、寂しさが描かれて行く。事件の真相も戦争あってのものと言えるし。戦時下、という時代設定が巧く生きている。著者である梶氏自身が、戦時中に少年期を過ごした人物だけに、私小説的な要素もあるのかもしれない。 ただ、「ミステリ」として見た場合には弱さを感じざるを得ない。ここまでにも書いたように、物語の中心は高志の成長であり、事件はオマケに過ぎない。終盤、ちゃんと真相は明かされるものの、やや唐突感はぬぐえない。そもそも、主人公・高志が推理したり、謎を解いたわけでもない。その意味で、ミステリとしてのカタルシスは無い。 この作品、ミステリ作品と言うよりも戦時下という時代を舞台にした、時代小説・青春小説として捉えた方が良いのかもしれない。 | ||||
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えっと…これは「ミステリ小説」なのか? ミステリというよりも、戦時下の東京を舞台とした青春小説、という趣が強いように感じる。 まずこの作品、中心となるのは、少年・高志の日々である。ポケゴリが殺された、という事件からスタートするものの、そこに絡んで描かれるのは、犯人探しや謎解きではなくて、ポケゴリがきてからの日々であったり、その非日常の状態となった高志の周囲であったりする。そして、中盤からは、そのポケゴリの妻である薫に対するほのかな恋心であったり、悪化して行く戦争という事情であったりする。事件は、それを表現するためのアクセントに過ぎないのではないか? 本作を語る上で、やはり外せないのは戦時下である、ということだと思う。諸田少尉という存在自体が、戦争の賜物であるし、高志が見る様々なところに戦争の影が見て取れる。そんな中で、大人の汚さを知り、また、知っている人々が目の前から消えて行く様、寂しさが描かれて行く。事件の真相も戦争あってのものと言えるし。戦時下、という時代設定が巧く生きている。著者である梶氏自身が、戦時中に少年期を過ごした人物だけに、私小説的な要素もあるのかもしれない。 ただ、「ミステリ」として見た場合には弱さを感じざるを得ない。ここまでにも書いたように、物語の中心は高志の成長であり、事件はオマケに過ぎない。終盤、ちゃんと真相は明かされるものの、やや唐突感はぬぐえない。そもそも、主人公・高志が推理したり、謎を解いたわけでもない。その意味で、ミステリとしてのカタルシスは無い。 この作品、ミステリ作品と言うよりも戦時下という時代を舞台にした、時代小説・青春小説として捉えた方が良いのかもしれない。 | ||||
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