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きのうの世界
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きのうの世界の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全38件 21~38 2/2ページ
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主軸は「ひとりの男の死」なのだが、章ごとに語る人物が違う。そのひとつひとつを組み合わせると、 作品全体の流れがあざやかに浮かび上がっていく。そういうストーリー展開が絶妙で、どんどん作品の 中に引きずり込まれるような感じで読んでいった。死体となって発見された男。その男が調べていた こととは?一見ミステリーのようだ。だが、ミステリーとして読むと、疑問や不満を感じる人が少な からずいるのではないだろうか。 結末にも意外性はない。いや、この作品全体に「意外性」などというものは存在しないのだ。だが、 意外性がないのに意外性があるように思わせるところに作者のすごさがある。この作品は、「不思議な 恩田ワールドをじっくりと味わう。」そういう純粋な気持ちで読むほうが楽しめると思う。私個人と しては、とても好きな作品だった。 | ||||
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この人の小説は謎解き目的で読むとだめだったんですね。しりすぼみもいいところ。読み終わってご都合主義のたたみ方と、たたみもしない謎が残って欲求不満で本を投げたくなりました。 | ||||
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恩田陸さん得意のパラレル感が味わえます。 いつも、はぐらかされて終わってしまう話が多い中、 この作品は、起承転結してますね。 なんで、どのように死んだのか、はっきりしていて、すっきりします。 いつもの考えさせるようなラストではありません。 願うなら、本作に出てくる男のように死にたいものです。 | ||||
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恩田陸の超絶的な「かたり」の技巧が炸裂している作品です。ミステリー、ホラー、ファンタジーといったあらゆるジャンルの要素を鏤めつつ、あらゆるジャンル小説として中途半端です。でも、この作品は、そもそもどんなジャンル小説でもないように感じました。読み方はいろいろあるし、結果としてこの作品を気に入る人もそうでない人もいると思いますが、ぼくは星5つつけます。ぼくはこの小説を視点に関する技巧を凝らし、物語世界を俯瞰する視点とは何なのかについて思いを凝らした物語として読みました。というか、読み終えてそう感じ入りました。目次を見ても、この小説にとって視点が重要であることが明示されていると思います。 この小説の冒頭は二人称という珍しい視点ではじまります。しかも、中心となる「あなた」が知り得ないこともどんどん語られ、二人称としての整合性が簡単に破られていきます。違和感のある描写の行間に登場人物を「あなた」と呼ぶ「語り手」の存在が暗示されているようにぼくは感じました。 19章と3つの「幕間」からなる物語は、変幻自在に視点を変えていきます。物語としてのクライマックス、今日と昨日を隔絶するある大掛かりな出来事が描かれたあと、短い2章を添えて、物語は締めくくられます。この2章では、主にある一人の人物について語られますが、それぞれの章で視点が切り替わります。そして、最後の1ページで、さらに語りの視点が異様なものに変容します。最後の1ページに現れたこの視点こそが、冒頭である人物を「あなた」と呼んだ語り手の視点なのだろうと、ぼくは解釈しました。そうした異形の視点の存在そのものが、この物語を象徴しています。「これ」を「このように」書こうとする着想が凄まじいし、すばらしいと思います。 | ||||
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本当に、恩田陸って、文章力というか、描写力というか、物語の吸引力はすごいと思う。 多くの方が書いてる通り、これできっちり結末で落とし前をつけてくれたら、頭一つ抜けた存在になるだろう。けどこれだけ何冊も、結末ボヤかしたり、後は想像してね…だったり、SFチックな最後にしたりするのは、本人が敢えてしてるんでしょうね。現実的な結末を、書こうとはしてないのかな、と思う。「推理小説」を読んでるんだ!という思い込みを捨てて今作を読むと、十二分に楽しめるし、立派に着地してると思う。恩田陸が書こうとしているものと、私が彼女に求めるもの、それが違うんだな、うん。それに結末は抜きにしても、彼のような人は現実にいそう。 | ||||
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最初からとにかく謎・謎・謎!!! しっかり読んでいるんだけど、うまくこの世界観に入り込めなくって、 置いていかれてるような不安感は最初から最後までありました。 けど、このどうしようもない不安感と不安定さが恩田陸の得意とするところ。 まったく関連性のないようなパズルのピースを不安いっぱいではめ込んでいくようなそんな心地のする作品でした。 が・・・。町で起きた殺人事件の謎をひも解いていくお話だったはずが、 意外な方向に転がっていってしまい、最終的に「とんでも系」な結末が待っていた・・・ さすがにこの結末は想像してませんでした。 ・・・・てか、500ページ近くも読んできたのにあまりの突拍子のなさに脱力。 長いわりにはすっきりとしないモヤモヤの残る作品でした | ||||
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他のレビューでも書かれていますが、導入〜中盤までは上手い。不思議な街を舞台に、謎の失踪を遂げた一見平凡な人物、彼を追って街に現れる『よそ者』。ぐいぐいと引き込まれていきます。しかし、中盤を過ぎるとM町の秘密は(ヒントから)粗方予想した通りのものだっり、本筋に食い込んできそうな『よそ者』は殆んど絡まず。秘密を知る女性は、思わせ振りなだけ。最初に提示された、失踪やら云々も、偶然に偶然が重なった結果…。あまりにもご都合主義が過ぎます。登場人物も、他の作品と似たり寄ったり。もっと広げた風呂敷を畳むのが上手ければ…。 | ||||
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ある町で男が殺された。彼は町の人間ではなく、さらに一年前に失踪していた。なぜ?どうして…恩田さんらしい設定で楽しめました。こういう話はほかの人が書くとただのホラーになってしまうかもしれませんが、恩田さんの筆力のなせる業なのでしょうね。最後の章は作中のある場面を踏まえて読むと別の真相があるのかと思ってしまいます。ただ真相は1つではなく自分で納得する真相がそれぞれ無数にあるような気がしました。 | ||||
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どうしてこう、恩田作品の入りは良くできているんでしょうか。 ごくごく平凡な男が突然失踪して殺されて・・ ぐいぐい人を惹きつける展開でした。 この男が持つ特技についての細かいエピソードなどは 「なるほどね」と思わせてくれるのですが、 やはり後半に行くにつれ、??の連続で。 殺人事件の話じゃなかったの? これって、テーマは? 誰を主役にして進めてきたお話だったの?? と、色々疑問点ばかり膨らみ、消化不良になってしまいました。 いつもこんな感想ばかり持つのに、 何故恩田陸を読んでしまうのか。 ほとほと自分に愛想が尽きた感じです。 | ||||
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水路と塔のある町で、一人の男が死んだ。 徐々に明らかにされてゆく住民の関係や町の謎。 文体からじわじわとにじみ出す、静かだけれど、どこか不安にさせる町の空気が、心地よかった。 怒涛のようなラストの展開は、恩田ファン以外にはちょっとハードルが高いかも・・・。 | ||||
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秘密を抱えた街、 謎めいた来訪者、 不可解な事件。 魅力的な装置や巧みな心理描写は万全、 半ば以上はそれだけで読み進めることができるが、 終盤になるとその回収をSFで放棄している。 半ばまで楽しめたので「面白くなかった」とは言えないが 読み終わって満足とは言い難い。 ユージニアでは解消されない謎の余韻が うまく奏功していたがこれはいかんでしょう。 力のある、好きな作家なので 「雰囲気」だけで書いて放り出す癖をなんとかしてほしい。 | ||||
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とある町の橋の上で命を落とした「市川吾郎」。彼の死の謎を解明するのがこの物語。 町は不思議な雰囲気に包まれ、町自体が謎に包まれている。 死の真相はなかなか解明できない。 全体を包む不安な感じは、よく知る恩田陸の世界。 これは決して嫌いではない。 全体を俯瞰で見て、語る目線が次々変わるのはよくある手法なのだが なんだか今回は少々登場人物に入り込めないというか 何ともいえない違和感を感じるのだ。 読んでいる自分も俯瞰で見過ぎて夢中になれないような感じ。 後半は徐々に雰囲気も変わり、ストーリーに入っていけるのだが 500ページ近いボリュームなので前半はちょっと苦しかった。 謎は「おお!」と驚くモノ。 しかし死の真相はミステリー好きを満足させるかどうかは疑問。 | ||||
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この作品は、水路と3つの塔が印象的なM町を訪れてそこで生活し始めた市川吾郎という男が何の目的でこの町を訪れ、そして殺されてしまったのかという謎をメインに話が展開していく。 内容はこの町に住んでいる人物の事件のかかわりや「あなた」と呼ばれる人間が市川吾郎が東京から突然失踪し、M町で殺されてしまった理由を調べにやってくる描写が描かれ、次第にこの町の本当の姿や事件の真相が明らかになっていく。 私は話の中盤辺りまでは、非常に楽しく読めたが、終盤に明らかになるM町の秘密が明らかになったところからつまらなく感じ出してしまった。M町の秘密はそれほど衝撃な内容ではなかった。 そして一番がっかりしたのは、市川吾郎という人物が殺された水無月橋の殺人事件の真相があまりにも現実離れし過ぎていたことである。この作品は中盤までは現実的な話だったが、終盤からSF、ファンタジー色がかなり濃くなりリアリティが無くなる。したがって推理小説を期待して読む人には絶対にお勧めできない。かなり結末がいい加減なので、ミステリ好きは必ずと言っていいほど、読んでがっかりするだろう。 個人的意見としては、恩田陸ファン以外の人はあまり楽しめないのではないかと思う。 | ||||
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読んでいて漂ってくる脱力感、意味不明な気だるさが常に恩田氏の著作には付きまとう。けれど、この感覚が著者の特徴であり、ファンである読者にとっては快感なのだと思う。この心地良さを求めて、また読んでしまった。 今回はかなりの長編だった。次回作も長編だとうれしくなる。 | ||||
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冒頭の第一章から、かなり特徴がある。ある町の風景を、通常の小説のように鳥瞰図のように客観的に説明するのではなく、訪れた人物の目線を追う形で語る。これが、個人的には非常に読みづらかった。もちろん、この部分は物語の重要な部分なので、しっかりと読まなければならないのだが、ここで、なんだか、不思議な感覚に襲われる。更に、語り手がどんどん変わり、しかも、超常現象的なテーマも含まれ、物語はどんどん拡散してゆくような印象を与える。いわゆる「殺人」「謎解き」というつくりではなく、謎は舞台となる町の存在自体へと拡大してゆく。 後半、一気にすべてが展開し、最後にすべてが明らかになるが、謎解きの部分はスッキリと腑に落ちる、という感じではなく、読んだあとの爽快感もない。事件が終わったあとに、何が残るのかというと、何も残っていないようにも感じられる。 作者の引き出しの多さがよくわかる。ただ、よくできてはいるけれど、好き嫌いが分かれる作品ではある。 | ||||
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500ページ近い長い話を一気に読まされた.その点では大変な迫力である.しかし,では何を読まされたのか ? この話の主人公は人間ではなく,M という名の町なのだ.この町には恐ろしい秘密が隠されていて,それが何でどう働くのか,が話のテーマなのだ.異常な才能を持った東京の会社員はこの町の秘密を見抜いたらしいが,どう働くかを見ることなく死体になってしまう.この会社員がこの町でなぜ殺されたのかを調べに東京からきた あなた (二人称) はどう働くかを見たがそこで寿命が尽き,生きて東京に帰ることはない.以上の二人を含め,多数の人物が登場するが,作者は誰にも同情的でなく,従って読者として感情移入の対象になる人がない.ひたすら荒唐無稽な舞台装置を嘆賞するだけ.だから何を読んだのか納得が行かないのだ,と思う.ファンタジーとしても,人間の働きかけを拒むファンタジーは何とも空しいものだ,と言わざるを得ない. | ||||
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上司の送別会の日を境に謎の失踪をした1人の男性。その男性が、行方知れずのままに1年を過ぎて死体で発見された。彼に何があったのか!?☆この本、恩田さんらしい独特の不思議な世界観が見事に表現されていて好きでした。水路が張りめぐらされた町の謎。ホラーめいていてなんとも言えない不気味さを醸し出しながらお話は続いて行きます。☆知られてはいけない町の謎と1人の男性の失踪事件が、うまく絡み合っています。☆秘密を隠すために殺されたのか?とか考えて行くと幾人かの殺害の動機を持った人物が浮き上がって来ますが…。まさかのラストだったのでびっくりしました!! | ||||
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恩田陸久々の長編ミステリ。 全19章、500ページ近くと、氏の作品群の中でも 最長編に近い一冊、ゆっくり腰を据えて読んでください。 ストーリーに関しては他のレビュアーの方が的確なレビューを書いてくれているので、そちらを参考にしてください。 突然失踪した男、その死体、閉じられた田舎の町、謎の塔。 これぞミステリーといわんばかりのキーワード、作者らしいです。 ネタバレではありませんが、本作の特徴として、作品の大部分が珍しい「二人称」で構成されています。氏としては代表的なものは「象と耳鳴り」の「往復書簡」くらいじゃないかなぁ。 具体的には二人称の章、三人称に章を交互に繰り返し、謎に追いかけます。 二人称で「あなたは」と話しかけられている間は、その話しかけられている人物は、物語後半になるまで明かされません。 まるで自分が探偵として物語に参加しているようでした。 登場人物が出揃う後半からは一転、諸処の人物が入り乱れ、三人称のみで加速度的に謎に迫ります。 「禁じられた楽園」のような雰囲気もありましたが、SFやファンタジー要素はなく、なるほどきのうの世界、久々の純粋(?)なミステリーです。 ちなみにちゃんと着地しているので、近年の氏の作品に閉口している方も、 一見の価値はあるはずです。傑作でした。 タイトルにも拝借した洋題もオシャレで、なるほどと思わされる。 映像化はムリそうですが、そのタイトルでもいいですね。 ところで本作は新聞紙上で一年半ほど連載されていたそうだが、 紙上で追いかけられた読者はいるのだろうかと思ってしまった。 それくらい、時間軸も飛ぶ上に、長いので… 「例えば、印刷したチラシならば躊躇することなく丸めて捨てられる。しかし、これが肉筆の手紙だったらどうだろう?(中略)肉筆で書かれたものを捨てることには抵抗がある。それはきっと、書いた文字もその人の一部だからだ。」 本文265ページより | ||||
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