きのうの世界
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さて、前半から読まれている皆様、お疲れ様です。後半はもう少し読みやすいと思います。 何しろ事件の全貌が見えてきてますからね。 街に隠された歴史とそれを取り巻く人間たち。すこしずつ詳らかになる謎。ここにきてやはり恩田氏の技巧が唸るというものでしょう。 ・・・ 町の建築に代々携わる謎の建築企業新村グループとそれを統括する老女志津。 その秘密に気づきつつある高校生の和音。 偶然にも和音と同様、亡くなった吾郎の死に不振なものを感じる高校生修平。 こうした人間関係が絡まりつつも物語を展開させます。 ・・・ そして何より印象的なのは吾郎の死、ではないでしょうか。 魂が肉体から離れるとどうなるか。自分の肉体が腑抜けになっている状態が見える。同時に肉体では感覚が失われる。 これはもう、あたかも臨死体験をしたかのような書きぶり。 更には、自我・私、という気持ちが薄れ世界と一体化してゆくという。 なんか・・・死ぬときに本当にこうだったら、死ぬことって多分全然怖くないんだろうな、と思いました。吾郎が、ちょっぴり寂しいけど、みたいな発言をしていたのですが、そこがまたリアルでしたね。 ・・・ ということで恩田氏の新聞連載小説でした。 下巻はどんどん読みやすくなると思います。死を意識しちゃっている方とかには最後の最後はとても印象深い終わり方だったと思います。 えも言われぬ読後感でした。 | ||||
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恩田氏独特のクロスオーバー的作品だった気がします。 殺人事件、地方史伝奇風味添え、そして最終的に死者のエンディングスピーチ。みたいな。 ・・・ 前半部分はやや入り込めなかったです。 まるで催眠術師に語られるかの如く「あなたはふとそこで気づきます。何かがおかしいと」、という感じの自分の行為を第三者に説明してもらうかのような描写はすこし取っつきづらかった。 また視点が頻繁に切り替わるのは、思考の一貫性をやや妨げるきらいはありました。ただしあとがきで本作が新聞連載であることを知り合点がいきました。 ・・・ 謎の殺人事件も、とにかく前半はモヤモヤしますが、何とか頑張って頂きたく。後半はもう少し視界が晴れてきます。なかなか面白くなりますよ。 ただ言ってしまうと、やはり恩田ファン向けの作品かなあと思います。 | ||||
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ミステリーと思って読んだのが愚かだったのか これほど読後に虚無感が残る作品は初めて | ||||
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この作ではのどかで小さな街の秘密が語られるが、物語に厚みがあって面白い。 下巻中盤までの焚き火のシーンは下手なホラーより怖く、こんなのも書けるのだと感心もする。 その場面も後から見るとモヤモヤ感が残るのは否めないが、謎解きも見事で、のどかで小さな街を突然スケールの大きいパニックの舞台に変えてしまうのは作者の真骨頂だ。 ただ、他の方も言う通り伏線の回収が不十分で、本来の主人公かと思われた「あなた」がどこかへ消失してしまったり、謎解きに名乗りを上げる他の登場人物達も中途半端で不可解な気はした。 元が連載小説らしいので原稿の都合でこうなってしまったのか? そういうことに目をつぶれれば(そういう大らかさを持って読めれば)、物語としてはちゃんと終わってるので、安心して最後まで読んみてほしい。 なお、表に出ないエピソードだが、特殊能力者の苦悩というのはどこまで本当なのか分からないが、凡人の私には興味深い内容だった。 | ||||
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いかにも恩田さんらしい不思議な物語でした。恩田さん作品は読んでいるとその世界に入り込んでしまい、もうどこにも行きたくなくなってしまいます。 ある地方都市にふらっとひとりの男がやってきて住みつきます。人当たりがよくいかにも善人だけど、印象が薄く記憶に残らない顔。そんな男が意外にも殺人事件の被害者になり、しかも犯人はいつまでたってもみつからないまま。しかも彼は東京で失踪していた人物だということがわかってきます。会社の上司の送別会に普通に出席し、翌日無断欠勤してそのまま消息を絶ってしまった、そして家族が誰もいないという人物。 ”あなた”とここでは二人称で書かれる人間が、この町に事件の真相を調べにやってきます。この人物が出会う様々な町の人々。彼らはみんな何かを隠しているように思える。物語は時に過去にさかのぼり、男が生きていた頃に戻って昔のエピソードが展開します。 何のためにあるのかわからない不思議な3つの塔。男が亡くなっていたのは係争地になったこともある隣の市の飛び地の丘。その丘を監視していたらしい元学校教師の老人。大昔から土地の水路を管理してきた職能集団の一族・・などなど謎めいた要素がいっぱいです。いつもの不穏で不可思議な雰囲気がどんどん増していくのがとてもいいです。 ただ、残念なことに、ラストが納得がいきませんでした(今回はしっかりオチがありますが)。恩田さん作品では人は死にますが、本当に悪どい人間はあまり出てきません。たとえば「訪問者」でもそうでしたが、振り返ってみれば結局みんな善人だった?ということが多く、恐ろしげな雰囲気の盛り上がりが半端ではないため、そこがなんだか肩透かしになってしまうことがよくあります。この作品もそうでした。最後までものすごく惹きつけられたのに、真相がわかるいちばん最後の1章「水無月橋の殺人事件」だけが納得いきませんでした。 町の秘密も恐ろしいものではなく、”あなた”と称された主人公とも言える人物も、陰謀が裏にあったかのようにハラハラさせておきながら、あんなにあっさり消えてしまうなんて。殺された男の弟さんはどうなったのか?このあたりも中途半端でちょっと残念でした。最後の章に至るまでは文句なしに星5つなんですが。なので上巻が星5つ、下巻は星4つにしました。 | ||||
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