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(短編集)
空中ブランコ
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空中ブランコの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.39pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全318件 181~200 10/16ページ
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特別な悪人も出て来なければ過激な性描写、バイオレンスシーンも無い。中学生くらいから安心して読める作品です。 ヤクザもお医者さんもプロ野球選手も、みんなそれぞれ弱い所を持つ愛すべき人達。この本は、自分に対して、自信をなくしかけている人たちへの応援歌。 真ん中の「義父のヅラ」で大笑いして、最後の「女流作家」で不意にポロポロッと涙がこぼれる。2004年上半期の直木賞受賞作です。 | ||||
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第一弾『イン・ザ・プール』同様、患者それぞれの話が短編として5つ収められていますが、こちらのほうが患者達が例えば「サーカスの団員」「やくざ」「作家」などと、特殊な世界にいる人達ばかりです。 しかしこの伊良部先生、患者達と向きあう時にその患者と同じものを見聞きし味わおうとする傾向があるのですが、そんな特殊な世界にも足を踏み込むのですね。 その大胆不敵、奇想天外な振る舞いは、『イン・ザ・プール』で真夜中のプールに忍び込もうとしたことが、まだ「抑え目な行動だった」と思えてしまうほどです。 そのパワーに圧倒されるとともに、患者達にもこの先生に向き合うだけのパワーが必要だろうなとも思えてきます。 でも最終的に患者達の症状がどうなるかは別として、患者達やその周囲の人々がこの「伊良部先生」に悪い印象を持たなくなっているんですね。 ただし意図的に「患者達の治療の一環」としてやっているとは到底思えず、単に先生自身が好奇心の赴くまま、あれをやりこれをやったことが、結果として患者達の気持ちを軽くすることに結びついているように思います。まさにこれが「天性」というものなのでしょう。 こちらは直木賞受賞作ですが、患者達がそれぞれの症例と向き合う際に、それまでの生き方(例えば「女流作家」では、「売れるものを書くのか、それとも売れないけど書きたいものを書くのか」というジレンマなど)を省みる様子がより深く描かれているように思いました。 | ||||
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伊良部総合病院の神経科医である伊良部一郎を主人公とする人気シリーズ第2弾。神経科医を軸に組み立てた作風はとても斬新で、表題作の「空中ブランコ」を含む計5本の作品はいずれも面白く(個人的には、特に「ハリネズミ」と「義父のヅラ」が実に印象的であった)、思い切り笑わせてくれるものもあれば、思わずホッとするものなど、味わいに富んだ作品ばかりである。本当に一気に読ませる内容・文体であり、文句なしの「星5つ」の著書である。 神経科医を主役とした作風それ自体に最初は違和感を抱く読者もいるかもしれないが、軽快な話の展開構成に自然と本書の魅力に惹きこまれるのではないか(「趣向」が合わないと感じる読者もいるから、本書の評価は割れるだろう)。誰もが神経的・精神的な「病」を抱えているといっても過言ではないこの現代社会において、本書に登場する奇抜な思考・言動を惜しみなく披露する伊良部医師は、一服の「清涼剤」的な存在感を十二分に醸し出している。あまりの荒唐無稽さに、患者のほうが「自分こそ医者ではないか」と思わせるくらいだ。こんな医者がいるとは思えないが、どこかにいてほしい類いの医者だ。治療していないようで実際のところは治療している。とにかくこの医師は「ただもの」ではない。白衣の名刺に付けられた「医学博士・伊良部一郎」の「医学博士」の隣に、「人間博士」と付け足したい気分である。 本書のメッセージは、やはり「(とくに)心の病を治すのは自分である」ということになろうか。伊良部はそれを大胆な言動を通じて遠回しに患者に気付かせているのだ。なお「人間の宝物は言葉」であり、「その言葉を扱う仕事に就いたことを、自分は誇りに思おう」(281頁)という最後の作品「女流作家」における女性作家の言葉は、まさに作者自身のそれであろう。伊良部病院の神経科が「地下1階」にある理由も私には理解できた。伊良部医師の今後の活躍が楽しみだ。 | ||||
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前作の『イン・ザ・プール』がとても面白かったので、第二弾のこれもすぐに読みました。 あいかわらす、強烈ですね。伊良部先生。今回の患者たちもバリエーション豊かです。プロ野球選手、女流作家、やくざなど。でも共通点があって、みんなそれぞれの世界でそれなりの地位にあって、頑張ってるってことですね。そういった人たちがだんだん社会的な位置づけの中で身動きが取れなくなり、そして心の病気になる。がんばってるから病気になる。そういった制約から、まったく囚われていない伊良部一郎と接することで、彼らはみんなよろいを脱いで、回復していくのですね。 連続ドラマ化希望作品です。主演はドランクドラゴンの塚地武雅で。 | ||||
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食わず嫌いという言葉がある。私は奥田英朗の小説を、ずっと「読まず嫌い」していた。読んでもいないから「嫌い」とまではいかないが、何冊もベストセラーになっているにもかかわらず、月に5、6冊は小説を読む私が、なぜか今まで読んでいなかったのだ。しかし、垣根涼介「君たちに明日はない」のレビューに、「今こういうシチュエーションを書かせたら一番うまいのは奥田英朗」という意味のことを複数の方が書いていて、確かめてみたくなった。表題作「空中ブランコ」、サーカスというのは珍しいけどありがちな持って行き方だな、と思っていたら、「義父のヅラ」、笑い転げた。でも笑いながら、どこか真剣に読んでいる自分がいた。この「破壊願望」、私にもないか?そして最後の女性作家の話。気持よく大泣きした。全体にサクッと読める軽妙な話ではあるけれども、所々書き込まれる人情の機微、人間の姿に、真実があると思う。生活テンポの忙しい現在、重い小説は売れないかも知れない。けれども軽いだけの小説もまた売れはしないのだ。さすが、売れているだけのことはある。 | ||||
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実は、何となく買ったままにしてありました(汗) 読み始めると、読みやすい文体に引き込まれて最後まで読んでしまい、読み終わった時にはすごくスッキリした気分になっていました。 爆笑はしなかったけど、クスッと笑って明るい気分になれます。 一章ずつ完結型になっている点がちょこっと読むのにもいいので、普通の状態でももちろんですが、落ち込んだりテンションの低い時に読もうと思いました。 もっと早く読んでおけばよかったです^^; 前作「イン・ザ・プール」も買います。 | ||||
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前作「イン・ザ・プール」に続き、とっても楽しくいっきに読んだ。 いい加減で、自分勝手でわがままで、がきっぽくて、見た目は気持ち悪く(たぶん)、 病院で働く医師としてはかなり不適格。 しかし、患者は最終的に悩みを解決(?)。 計算された神業的な治療なのか?まぐれの治療なのか、はたまた、 あまりにも超人的な伊良部の発言・行動に患者が自分自身を客観的にみることができたせいなのか? まぁ、結果オーライなのでよいのだろうが、 ぶっとんだ伊良部のお話はとっても痛快。 | ||||
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直木賞受賞作品です。 主人公はジャンプがうまくいかないサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、強迫症に駆られる精神科医など様々です。 何気なく借りた本ですが、読んでいて久しぶりに楽しいと感じました。 どの主人公も変わっていてとても際立っていますが、それを感じさせないくらい精神科医の伊良部が破天荒です。 暗い気持ちになったり、悶々として家にいるとか思い通りにならなくて歯がゆいことなどいっぱいあると思います。年齢を重ねれば尚更で、世間体を気にして行動できなくてストレスが溜まることが増えてくると思います。でも、そんなことでくよくよしているのがこの伊良部を見ていると、馬鹿らしく思えてきます。思わず声に出して笑ってしまいます。読んでいて気持ちがいいです。 精神科医の伊良部に看護師のマユミの姿が脳裏に想像できます。 楽しい本です。 | ||||
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「伊良部シリーズ」第二作。増々快調で文句無しに楽しめる。患者の奇矯度は初作より控えめだが、作品の構成は更に巧みになっている。天真爛漫な伊良部とニヒリスト&サディストのマユミのコンビの対照の妙も相変わらず。その対照的な二人が共に注射魔と言う設定も愉快。マユミさん、相変わらずイイ味出してます。 タイトル作「空中ブランコ」は読んでいて思わず声を出して笑ってしまった。奇想天外な設定と小刻みなギャグの連発の中、ストーリー展開は起伏に富んでいて良く練られている。快作と言って良い。「ハリネズミ」はヤクザを特別視しない二人の言動とヤクザの反応が哄笑を誘う。純粋無垢と虚無感の二段責め。「義父のヅラ」は伊良部の"性格は既得権"という言葉が光る。作者も東京都の地図上を捜し回ったかと思うとニンマリする。最後の一行が全体を締めている構成も見事。「ホットコーナー」は私のような野球ファンにとっては題材が身近過ぎてインパクトに欠ける。だが、昔やった草野球を思い出させて郷愁を誘う作品。「女流作家」は普通の業界人には怖くてとても書けない作品。シャレにならない内容なのだが、それを平気で書いてしまう辺り、作者の性格は伊良部並みか ? 最後にマユミが発するセリフが泣かせるが、マユミが普通のセリフを言うのは初めてではないか。無理を承知で書けば、マユミが描いたというイラストを挿絵として挟んでくれたら最高だったのだが...。 何が正気で何が異常か分からない伊良部ワールド全開の、笑いと安らぎに満ちた傑作短編集。 | ||||
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「イン・ザ・プール」の続編。 なので、期待し過ぎた分、物足りなさが残るかも・・・。 しかし、今回、伊良部先生は登場回数が控えめなので、 結構、内容は充実してたような気がします。 こんな精神科医いらっしゃいませんか? 私も癒されたいですわ〜(笑) | ||||
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読んでください。笑い声がとても迷惑です。 精神病になったら、伊良部先生に診てもらいたいです。最近なんだか鬱だという方、ぜひ一読を! ちなみに僕のイメージでは、伊良部先生は三谷幸喜かな?どうですかね? | ||||
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文庫化されたので買って読みました。 伊良部医師がほんとおもしろく、おもわず読みながらにやけてしまう。 電車の中で読むとき注意! 短編が5本収められているが、最後の女流作家が異質。 あの伊良部一郎が大人しくなるマジメな場面がある。 作者のまわりに実際のモデルがいるのでは・・? と勝手に思ってしまった。 個人的には「義父のヅラ」が好き。 面白い短編が読みたければ、この本は間違いなし。 ☆5つ。 | ||||
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04年04月刊行の単行本を文庫化した作品でシリーズの2作目. 5編を収録した短編集は,第131回直木賞受賞作でもあります. サーカス団員やヤクザなど,特別な職業の人が抱える悩みを, 主人公の精神科医がトンデモなやり方で片づけていくのですが, それは治療というより,絡まった糸をほどいているような感じで, それにより患者自らが気づき,自分を取り戻す姿が印象に残ります. また,職業は違えど,どれもが自分たちに思いあたるものばかりで, 読んでいると,チクリと胸をつつかれたように感じることがあるはず. ほかにも,作家を題材とした編では,アンチテーゼとは大げさなものの, 実際に起こりえてるであろうことに思えて,それまでとは違った気分に…. ただ,基本的にはどの編もワンパターンで流れ,ハッピエンドとなるため, 1作目から読んでいる人には,少しばかりマンネリに感じるかもしれません. とはいえ,主人公の言動や患者たちとのやり取りは楽しませてくれますし, それでいて,ハッとさせられるような指摘にはたびたびドキリとすることも. 有名な賞の受賞作ですが,片ひじはらず気軽に読める1冊ではないでしょうか. | ||||
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落ち込んでるときに読んで、癒されました。 奥田さんの作品の中では一番好きかも。 | ||||
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患者の悩みや障害(病気)を突拍子も無い思考で治癒させてしまうノーベル賞ものの医師! 余り病気をしない方は伊良部先生のキャラが面白く楽しく読めると思います。 一方、話に出てくる一部の障害を経験している方は現代医学では治療が難しい心身障害を 伊良部療法で治してもらいたいと思ってしまうでしょう。 小説の中にも真実ありって感じでした。 ユーモア溢れる伊良部っち、クールなマユミちゃんに治療され、今までの概念が吹き飛んで しまう患者達との話は超一級の笑いです。 思わず笑ってしまいますので電車の中ではご注意を! | ||||
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直木賞受賞作。 インザプールの続編で、自分的には前作に増して楽しめました。 先が尖ったものが怖くてしょうがないヤクザに、義父のヅラを取りたくて取りたくて たまらない精神科医。 主人公の神経科医の伊良部はもちろん、 バカなことに神経に悩む患者たちがシュールで笑えるのです。 しかし、パロディーでは終わらず。 笑わせといて、最後温かい締めくくりがたまりません。 特に最後の話の「女流作家」は秀逸。 ラスト付近の言葉には心震わされました。 奥田さんもそう思いながら筆を執っているのかなぁって。 続編の町長選挙が早く読みたくなりました。 | ||||
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知人の社長から進められて、「イン・ザ・プール」と「空中ブランコ」を新幹線の中で読み始めて、笑い声を抑えることに苦労しました。後は、一気に2時間程度で読み切れる、それぞれ5部作のストーリーでした。奥田英朗氏の表現する、伊良部総合病院へ来る患者たちと、伊良部先生の人物描写とその会話のやり取りに、ただただ感心・爆笑するばかりでフィクションとわかりつつ是非あってみたい精神科医の先生です。「イン・ザ・プール」ほどのインパクトがないとの意見が多いのですが、「空中ブランコ」の方が、格段に構成も展開も洗練されています。まさに奥田?伊良部?ワールドにはまってしまいました。 | ||||
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精神科医伊良部が独自の方法で 様々な心の問題を抱える患者に (彼にとってはお客様、あるいは遊び相手か?) 対峙していき、笑いの中で問題を解決していく短編集第2弾。 いかにも「いるいる、こんな人」と 言いたくなるような苦しむ患者達の悩みの原因を 非常識な角度から叩き壊し、 解決に導く伊良部医師の姿を見て 心を癒されているのは ここに出てくる患者ではなくて 読んでいる私達のほうかも知れないと思った。 現代に生きる多くの人を悩ませているのは、 どうでもいい常識や、根拠なく作り上げられた現代風のスタイルや、 「空気を読め」といった流行り言葉なのだろう。 そんなものとは関係なく生きる 究極のKY伊良部医師の姿をうらやましく感じるのは 私だけではないと思う。 もちろん、自分が患者だったら 伊良部総合病院地下1階には決して行きたくないが。 | ||||
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あの伊良部が荒唐無稽に見えない。結構まともに見えて、自分は大丈夫か?と不安になった。 患者の職業が、オーソドックスな会社員以外のものである、という面では、患者はそこそこユニークかもしれないが、主訴や病状は決して荒唐無稽なものではない。 診断名が適切であるかどうかは別にして、全体を通じてなにか些細なことが気になって気になって気になって仕方がない、という点で患者の症状は共通している。 そして、いずれも、30代。責任ある立場になって相応のふるまいをしなくてはという気持ちが強くなっていたり、有能な後輩の出現にこれまでの自信を失いかかっている。 彼らはそろって、自分が中年であることを受容するときに、受容するために、心理的な動揺が引き起こされているのである。 そういった事態には、読者が現実を投影できるアクチュアリティがある。決して、荒唐無稽ではないのである。 したがって、主人公らの行動をそのまま模倣しちゃやっぱりまずいけど、なんとかなるさーというメッセージにリアリティは汲んでいいかも。 不謹慎な破壊力に大爆笑するよりも、なんとなくいい話になっている。ちょっと普通になっちゃったけれども、普通に面白い二冊目だった。 | ||||
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「女流作家」に出てくるマユミちゃんの意外な一面に驚かされた。 案外、直木賞受賞の決め手は、このマユミちゃんの以外な一面にあったのかもと思わされた。 当然、「インザプール」との比較になるが、 正直前作ほどの衝撃はない。 しかし、前作になかったハートウォーミングな結末が多いのがいい。 「ホットコーナー」なんて、ちょっと重松清ぽいし。 でも、一押しは「義父のヅラ」だろう。 ヅラという、ユーモア小説ではある意味禁じ手を使った小説であるが、 面白い上に、うまくまとめていて出色の出来だと思う。 「インザプール」もそうだが、この時期切羽詰っている 大学受験生が息抜きに読むのには最適だろう。 | ||||
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