ウランバーナの森



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初公開日(参考)1997年08月
分類

長編小説

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新装版 ウランバーナの森 (講談社文庫)

2017年07月14日 新装版 ウランバーナの森 (講談社文庫)

一九七九年、軽井沢。世界を熱狂させたポップスター・ジョンは、妻と愛する息子との静かな隠遁生活を楽しんでいた―はずだった。猛烈な便秘に襲われるまでは。不安を抱え小さな医院に通うジョンが遭遇した不思議なできごと、そして奇跡。人気作家の伝説のデビュー作に「二十年後のあとがき」を加えた新装版。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.33pt

ウランバーナの森の総合評価:7.59/10点レビュー 37件。Bランク


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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(4pt)

コードギリギリだなぁ

ジョン・レノンが生前主夫生活を送るのに軽井沢に逗留していたのは有名な話だが、本書はジョンが軽井沢で送っていた4年間の逗留生活にスポットを当てたお話である。
ジョンが名作“ダブル・ファンタジー”の創作のきっかけを掴むまでに至る魂の逍遥とでも云おうか。

なお作中のジョンの妻の名前や曲名などが微妙に変えられている(作中ヨーコではなくケイコ)。この辺は大人の事情なのだろうが、実に座り心地の悪い読書を感じさせ、もどかしかった。

まず延々ジョンの便秘が解消されない問題が続くこと。排便シーンがいくつもあり、もしかしたらこんなにトイレで排便するのを語った小説はこれが初めてではないだろうか?
ジョンが便秘と格闘し、苦悶する姿は滑稽でありながら実に面白い。特に病院で与えられた特大浣腸の件は爆笑してしまった。

またそのシーンで挿入されるアビー・ロードスタジオでいつも排便していたことやコンサートで『I Feel Fine(作中ではI Feel So Fine)』演奏中に便意を催して青い顔で熱唱したなどのエピソードがあるが、果たして本当だろうか?

実はこの便秘がこの小説のキーだとは思わなかった。この便秘が解消されることがジョンの悔恨からの解放に繋がるのだ。

これはモデルとなったジョン・レノンを思わせる―というよりもほとんど彼なのだが―主人公が登場することからノンフィクションもしくはドキュメントのような印象を持ってしまうが実は幻想小説なのだ。
ジョンが出会うのは若気の至りで行っていた強盗の際に誤って殺したと思っていた水夫だったり、昔の彼女の母親だったり、バンド時代のマネージャーだったり、と彼が傷つけてきた人々たちだ。

一応物語の中盤でこの邂逅についての理由は付けられるが、この理由を凌駕してジョンとケイコ、そしてドクターとその助手を巻き込んで死者との接触がなされていく。
これこそ奥田氏がやりたかった、バランスの取れた物語の枠組みを超えるということではないだろうか?

しかし個人的にはどうにも盛り上がりに欠け、面白みに欠けた。なぜならずっとジョンが便秘に悩まされるシーンが続くからだ。
ドクターと話す内容も便秘だし、排泄に四苦八苦するシーンが何度も繰り返され、いい加減にしろ!といいたくなるくらいだからだ。これが後に稀代のストーリーテラーとなる奥田氏のデビュー作とは思えないほど盛り上がりに欠ける。

ジョン・レノンに纏わる逸話や実話、エピソードを消化して彼の人生と創作のキーとなる母親という存在、そして息子を上手く絡ませて幻想小説を紡ぐという発想は買えるものの、もう少しエンタテインメントによって欲しかった。
私は今は閉館したジョン・レノン・ミュージアムにも行ったくらいのファンだが、それでもなかなかこの物語にはのめりこめなかった。特に先にも書いたが諸般の事情からか有名なビートルズの歌やジョンの歌も歌詞も微妙に変えられているし、核心の手前で妙な幕で一枚仕切られて一番触れたいところに触れられない忸怩たる思いを終始感じたからだ。オノ・ヨーコが本書を読んでどう思うのか(思ったのか)、知りたいものだ。

ところで本書で出てくるアネモネ医院の心療内科の先生は後の伊良部先生に繋がるのだろうか?そう考えると今の奥田氏の原型はすでにここにあったのだろう。そう考えると奥田ファンこそ当たってほしい作品だ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ウランバーナの森の感想

現実味のないストーリーは好みではないのですが、登場人物の設定と著者の筆力で、後味のよい作品に仕上がっていると感じました。

kmak
0RVCT7SX
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ウランバーナの森の感想

久しぶりに奥田英朗を手にとった。

結構幅広い作品を書く作家だが、彼の魅力はなんといっても ハチャメチャな登場人物が魅力的なところであろうか。

『イン・ザ・プール』シリーズの医者 伊良部なんかは 徹底的にコメディー調だし、『サウスバンド』の父は元過激派。

どれもが強烈な個性の主人公と 、愛らしくも負けず劣らず個性的な登場人物たちは、結局はどれもが笑える作品なのである。

さて、それでは この『ウランバーナの森』の主人公はジョン。

これまでの作品に比べると、微妙に個性はない。

妻も、通う病院の医者も看護婦も、森で出会う人たちも、比較的抑え気味。

ただし、物語はあらぬ方向に どんどんと振れていく。

前半は、ジョンが便秘になることから始まる。

この便秘話が意外と長く、この辺りでは この本って何なんだぁ~って思って読んでる。

そのあと、話の筋があらぬ方向に。

この辺で、勘のいい人は 主人公が誰なのか察しが着く。

そうして最後には、思いがけず ほのぼのと優しくハッピーエンドを迎えることになるのだが、兎に角 ウィっとに飛んでいる。

バカ笑いじゃなく、コメディータッチがら読ませる当たりは流石。

まぁ楽しめる本であり、相変わらず外さない作家のひとりです。 了

とも
4ND5R58B
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.34:
(5pt)

冒頭部は

冒頭は便秘の話が長く続きますが、少し我慢して読み進めましょう。
最後は涙が止まらない。
心を浄化するための本です。
ウランバーナの森Amazon書評・レビュー:ウランバーナの森より
4062087596
No.33:
(5pt)

大人の童話

お気に入りの1冊になりました。奥田氏が描く登場人物は良いひともそうでないひともみななにかチャーミングでかわいくて憎めない。子供の頃、魔法使いの話を夢中になって読んだあの時のような気持ちになりました。後書きのこの本のバックグラウンドも素敵です。読み終えた後、なんとなくビートルズが聴きたくなりました。
ウランバーナの森Amazon書評・レビュー:ウランバーナの森より
4062087596
No.32:
(3pt)

ジョン・レノンを知らない人は話がわかるだろうか

この作品の主人公はただジョンという名前が出ているだけですが、明らかに元ビートルズのジョン・レノンですね。妻のケイコはオノ・ヨーコ、息子のジュニアはショーンということになります。読み終わってまず思ったのは「ビートルズ・ファン以外の人が読んでわかるんだろうか?」ということでした。私は昔、ビートルズが好きで、関連本もいろいろ読んでいたので、ジョンが母親に世話を拒否されて叔母夫婦の元で育てられたことやそれがずっとトラウマになっていたこと、毒舌家ゆえにいろんなトラブルがあったことなど前知識があったので話がすんなりと頭に入ってきました。が、このあたりのことを何も知らなければ、この小説を読んでみてどう感じるのだろう?と??になってしまいました。

ビートルズはメンバー間や所属会社との内紛の末に解散してしまい、ジョンがオノ・ヨーコと結婚したこともその一因になりました。ヨーコは前衛芸術家で変わっていて理解されにくい人でしたし、多分にアジア人蔑視もあったと思いますが、ジョンを惑わせビートルズを壊した女としてひどいバッシングを受けました。その後、ジョンは精神的に不安定になり、音楽活動も世間に出ることもやめてしまいました。言わば休止期間であったその4年間のことを、著者奧田英朗氏があれこれ想像して創作したのがこの作品です。ジョンがヨーコの実家所有の軽井沢の別荘に、まだ幼いショーンと滞在していたのも本当のことです。
この期間を経て、新たに発表したソロ・アルバムは明らかに作風がまったく違っていました。ジョンの精神的な変化に関して奥田氏が想像されたことは、当たらずとも遠からずという感じで、何らかの安らぎや着地点を得たものと思われます。この小説中では、自分が犯したかもしれない罪、ひどく傷つけた人々、愛憎混じり合って複雑だった母親への思いなどについて、幽霊になったキース・ムーン(当時の人気バンド、ザ・フーのドラマー。薬物中毒で早世)があの世との繋ぎ役になって、いろんな人との再会や贖罪を果たします。幽霊が出てくる時点でファンタジーといっていいと思います。
ジョンが便秘で悩むのは何かの象徴なのか?便秘で力むシーンが何度も何度も出てくるのですが、別に汚いシーンだからというのではなく、同じことの繰り返しが多すぎるのでこの場面は飛ばし読みしてしまいました。個人的には、このシーンはもう少し省略してもよかったのではと思いました。

ただひとつ気になったのは、ジョンの最初の妻シンシアとその息子ジュリアンのことでした。ここではほんのちらっとだけ出てきますが「子供の頃は平凡な家庭に憧れたが、いざそれを手にしてみると、その平穏さに馴染むことができなかったのだ。最初の妻が古風な女だったということも、最初はそれを求めていたくせに(中略)ジョンにはそれが重荷だった。ジョンは責任を取りたくなかったのだ。」ということ、ジョンがシンシアにひどく当たったこと、そして終生に渡ってジュリアンを無視し続けたことやヨーコも彼を冷遇していたこと、見かねたビートルズのメンバー、ポール・マッカートニーたちがジョンを批判しジュリアンのアルバム・デビューに手を貸したことなども知られています。ここでは、ジョンもヨーコもとてもいい人に描かれすぎていて、お話なのでそれでいいのですが、他のことが事実に沿って描かれているだけに、そのあたりがなんだかすっきりしませんでした。シンシアとジュリアンも真っ先に謝るべき人たちではないのかなあ・・・。

どうしてデビュー作でジョン・レノンだったのか?あとがきで奥田氏は、4年間の空白を置いて発表されたアルバムが実に穏やかになっていた、「空白の4年間に何があったのか、その部分を埋めてみたかった」というのが、この小説を執筆した動機だと書いています。ただ、ビートルズは永遠だといえど、特に若い人にはジョンのことを知らない人も多くなってきているのでは・・。デビュー作でこのテーマは、結構リスキーじゃないのか?そんなことも考えてしまいました。
奥田氏作品は、「東京物語」、「邪魔」と、まだ3作目です。すでにこの3作だけでもまるで違う作家が書いたかのように作風がまったく違います。次は「最悪」が控えているのですが、これからも読んでいくのが楽しみです。
ウランバーナの森Amazon書評・レビュー:ウランバーナの森より
4062087596
No.31:
(5pt)

神がかったようなデビュー作

ストーリーからなんとなくジョン・レノンの話か?と思ったが、読み進めてみると、確かにジョン・レノンの話なのに、意外すぎる展開に驚かされる。
最初はくだらない便秘の話で、吹き出すような言い回しが面白く、中盤は村上春樹風(?)、後半は深く人生や宇宙を考えさせられる。途中、出てくる医師の診察内容もいちいち深い。
奥田氏のデビュー作というが、構成がしっかりしているうえ、創造力たくましく、いやはや恐れ入った。とんでもない才能だ。
…の割には、あとがきに「この本は話題にならなかった」という一文があり、世間の評価ってあてにならないもんだよなと思わされた。
新装版 ウランバーナの森 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:新装版 ウランバーナの森 (講談社文庫)より
4062936402
No.30:
(4pt)

謝ることで解放される

この物語は昔散々悪さをしてきた主人公のジョンが大人になって社会的に成功して息子ができたときのこと。体調が優れない日が続いたある夜、ジョンは夢の中で過去に傷つけてきた人たちが次々と出会うことになる。そして、傷つけた一人づつにジョンは謝っていくのです。謝るにつれて心の重荷からだんだん解放されていくジョンの様子を読んでて思ったのは人は謝ることによって楽になる面があること。話しが進むにつれてジョンは自らの重たい過去と向き合うことになります。過去の真実を知って本当の意味で解放されたジョンはとても清々しかった。
ウランバーナの森Amazon書評・レビュー:ウランバーナの森より
4062087596



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