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紅楼夢の殺人



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紅楼夢の殺人の評価: 3.64/5点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.64pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(5pt)

物語自体がトリック!?でもメタでも叙述でもない

清代のこと、名門貴族が皇帝の寵を得た貴妃の里帰りを祝うため、人工楽園「大観園」を作った。
歓待がすんだあとは、一族の美少女たちが点在する建物に住むことになった。
居住を許された男性はただ一人、花のような美少年・宝玉のみ。あとは使用人に至るまで、全員若い女性である。
なんともはや、ハーレム系美少女ゲームを何百年も先取りしたような設定だ。
「面白い話の原型は九割がた中国古典に存在する」という持論を持っていたが、いっそうその思いを強くした。

本編では大観園を舞台に次々と殺人が起こる。ある者は衆人環視の中で殺され、ある者は閉鎖された中庭で殺される。群王から名を受けた司法官・頼尚栄は、園内の捜査に赴く。
聡明な少年・宝玉と親しく言葉を交わすようになるが、やがて尚栄は宝玉こそが犯人ではないかと疑い始める。

絢爛豪華な中国貴族趣味に彩られた不可能犯罪とは、好みド真ん中のストライクだ。
様々な個性の美女だけではなく、先祖の業績に頼って財を喰いつぶすダメ親父や強きに媚びて弱気をいじめる腐敗役人など、多彩な人物が物語を彩る。中断できないほどの面白さだ。
が、読み進むにつれて不安になってくる。
犯人にふさわしい存在感のある人物は一人しかいないが、それではあまりに凡庸だ。
他の端役が犯人では納得できないーーと考えていたら、結末でひっくりかえった。
ネタバレを回避しながら慎重に書くと、実に作品世界と時代背景そのものがトリックなのだ。
チャチな叙述トリックではない。物語づくりを放棄した卑怯なメタミスでもない。

フェアに堂々と意表を突かれた。終章は深い余韻を残す。
紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)Amazon書評・レビュー:紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)より
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No.6:
(4pt)

紅楼夢の世界に

 2004年に出た単行本の文庫化。
 中国の四大小説のひとつ『紅楼夢』を下敷きにしたミステリ。著者が大ファンであり、10年間もあたためていたアイデアというから、そのつくりこみには凄いものがある。『紅楼夢』が好きな読者なら、二重に楽しめるだろう。
 残念ながら私は『紅楼夢』は読んでいないので、充分に楽しむことは出来なかった。そういった読者は、せめて、巻末の解説に先に目を通して一通りの知識を得てから本文に取りかかるべきと反省している。
 結末は思いもよらないもの。衝撃的だ。
紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)Amazon書評・レビュー:紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)より
4163213708
No.5:
(4pt)

原作を活かしきった秀作

芦辺拓は、『明智小五郎対金田一耕助』ではじめて作品を読みました。その作品でも横溝正史や江戸川乱歩の作品世界を自家薬籠中のものにしていましたが、この『紅楼夢の殺人』も、かの中国の古典を活かしつつ、ミステリーの世界に作っています。特に宝玉がいい味を出しています。原作は岩波文庫で、学生時代に1度読んだだけなので、どこまでがそれでどこからが『紅楼夢の殺人』なのか、記憶の中で混然としてしまいました。
本格とはいえませんが、とにかく面白く一気に読めます。
紅楼夢の殺人 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:紅楼夢の殺人 (文春文庫)より
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No.4:
(4pt)

幻想的

中国四大奇書の一つ『紅楼夢』の登場人物や舞台はそのままに、
ミステリーの要素を加味した幻想的な作品です。
賈宝玉と頼尚栄を探偵役として、本来の物語では殺されるはずの
ない人たちが次々と殺されていき、その度に奇怪なことが起きます。
文体が中国風で、すごく雰囲気が出てました。
全てが解決し終わると、なるほど、と納得できる結末でしたが、
ラストの部分は、なんだかぼんやりとしてしまいました。
中国の名前に馴染みが薄いので、覚えるのが大変でしたが、最初から
最後まで楽しめる作品でした。
紅楼夢の殺人 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:紅楼夢の殺人 (文春文庫)より
4167738015
No.3:
(5pt)

独特の世界を楽しんでください。

中国四大奇書に並ぶ評価をされている「紅楼夢」を題材にし、その名場面を上手く散りばめ探偵小説として仕上げています。
元勲の一族である賈家「栄国府」の二男の息子「宝玉」、舞台は、貴妃になった宝玉の姉「元春」の里帰りのために莫大な費用を掛けて造営された「大観園」。
この世のものとは思えぬこの楽園に住むのは、林黛玉、薛宝釵、迎春、惜春、探春等の美女・美少女ばかりで、男性は「宝玉」一人。
この桃源郷のような「大観園」で美少女連続殺人事件が起こります。
事件を解決すべく刑部の官僚「頼尚栄」が探偵として登場しますが、非現実的な現象、華麗なトリックをどのように暴いてく行くのでしょう?
私の推理はすっかり外れてしまいました。
独特の世界を是非味わってみて下さい。
以前から「紅楼夢」には興味があったのですが、是非読んでみたいと思います。
紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)Amazon書評・レビュー:紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)より
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No.2:
(5pt)

一読する価値ありです。

私は昔からの紅楼夢ファンで、この本はミステリー仕立てというところに好奇心を掻き立てられた衝動買いでしたが、買って大正解だったと思います。紅楼夢という題材の面においては、主な人物関係や主人公たちのキャラクター、名場面(限られたいくつかの場面だけではあるが)などがとてもわかりやすくギュッとまとめられており、内容的には大変面白いが体系的には一見してまとまりがないという紅楼夢のとっつきにくい点をみごとに克服しています。紅楼夢が初めてという方でも、これを読めばだいたいの主人公のキャラクターや物語の筋がなんとなく身につくのではないかと思います。ミステリー仕立てという面においても、なかなか完成度の高いミステリーに仕上がったのではないかと思います。恐らく紅楼夢をよく知る人でも全く知らない人でも、ワクワクして一気に読めるのではないでしょうか。最後に明かされる真相はちょっぴり夢のあるもので、読んだあとは不思議とスッキリしました。欲をいえば…おすすめではありますが、これはあくまでも紅楼夢を「改編」した「ミステリー小説」なので、この本から紅楼夢に興味を持ったという方には、ぜひ原作も読んでいただきたいです。もっとたくさんの美しい場面や面白い場面、教科書などには決して載っていないきれいな漢詩などがありますし、やはり殺人事件のぞくっとする場面よりは、原作本来の美しい名場面のほうを心に残していただきたいので…
紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)Amazon書評・レビュー:紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)より
4163213708
No.1:
(5pt)

痛快!

『三国志』『水滸伝』『金瓶梅』は、一応読んだ。三国志も水滸伝も大好きだ。でもどういうわけか、『紅楼夢』は未読だった。知らなかった。こんなに面白い話なら、さっさと読んでおけば良かった!舞台は都、比類なき栄耀栄華を誇る賈(か)氏の館、寧国邸・栄国邸。その中に造園された、『大観園』なる広大無比かつ美麗極まりない庭園に、一族のうら若き美姫たちとその侍女たち、それから一族きっての変わり種で父親の頭痛の種たる美少年、賈宝玉が住まいを与えられたことから物語は始まる。宝玉少年は「女児のからだは水でできているが、男児のからだは泥でできている」などと言ってはばからず、男子にしては華麗な衣服にその麗質をつつみ、日がな一日少女たちの守護役として『大観園』で詩作と少女たちとのおしゃべりに時を費やすというありさま。つまりは『大観園』というのは、砂糖菓子でできたような美しい少女たちの、この世の楽園なわけであります。ところがこの麗しいパラダイスに連続して発生する、悲惨な殺人事件……。何しろこれだけたくさんの美女と美少女が登場しながら、みんなそれぞれに個性的かつ魅力的というのがすごい。それから彼女たちが惜しげもなく殺されていくところがまた……ああ、もったいない。ごひいきの美少女が殺されては「ぎゃっ」と叫びながら、キャラ萌えにはまるもよし、「公案」などという聞きなれぬ言葉に魅力を感じて、中華四千年の歴史に思いを馳せるもまたよし。トリック満載、不可能興味満載。本邦メタ・ミステリきっての痛快作です。文藝春秋80周年記念出版、『本格ミステリ・マスターズ』の一冊。
紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)Amazon書評・レビュー:紅楼夢の殺人 (本格ミステリ・マスターズ)より
4163213708

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