鶴屋南北の殺人
- 本格ミステリ (563)
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江戸の歌舞伎作者鶴屋南北の幻の台本がロンドンで発見され、現代の日本で上演しようとしたところ、謎の連続殺人事件が起こる……といった内容の歴史系ミステリ。 こうした物語では史実と整合性を持たせるため、過去の偉人を騙った贋作だったり、真偽不明のまま紛失してしまったりといったオチが多いのですが、そこは芦辺拓先生、最後まで(作中の)鶴屋南北が手がけた台本だったという大法螺をぬけぬけと展開してみせるのであります。 そして、この幻の南北劇なるものの設定がまことに奇想天外、荒唐無稽なものでして、ほとんど伝奇小説のノリなんだから。歴史ネタのミステリは数多くとも、ここまで壮大な法螺話はなかなかお目にかかれるものではございませんよ。トンデモはトンデモですが、大して根拠もないのに推理だけで真相を突き止めたと称して、歴史学会を非難するような歴史ミステリのトンデモとは対極にある一作でした。 そんな南北の大法螺ぶりが楽しい本作でしたが、難点は南北劇をめぐって起こる現代の物語なのですね。 唐突、散漫、煩雑といった展開が続くもので非常に読み進めることが難しく、正直、前半だけなら星1~3個という印象です。 ところがどっこい、過去編?で南北の口から真相が語られ始めるととんでもない迫力がみなぎってきて、星5つではぜんぜん足らない、6つでも7つでもつけちゃうよといった破格の面白さ。 真ん中を取ってこの採点ですが、これほど評価に困る小説は他にちょっとないのでは。現代の事件の解明も何だか消化不良のままおしまい。 うーん……現代の事件はなしにして、時代小説として書いた方がよかったんじゃないの? と思えなくはないんですが、だったら、どんな風に構成したらいいんだよと問われるとこれも難しいところ。何とも悩ましい物語ですね。 物語は虚実が入り混じり、幻想的な雰囲気で進んでいくのですが、最後できっちりオチをつけてしまうあたり、この小説のジャンルはやはり本格ミステリなのであります。 「あの男は忠臣蔵の芝居を見て、自分が塩冶判官のつもりになって、罪もない師直ならぬ意知を殺した。それだけではない、世の人々は芝居とは似てもつかない現実の出来事を芝居に当てはめ、佐野善右衛門が正義の人であり、田沼父子が極悪非道の輩だと思いこんでしまった。 つくづくと芝居というものの恐ろしさ、罪深さというものが身にしみた。こんなものに自分は夢を抱き、つらくみじめな下積みに耐えてきたのかと何とも言えない思いがした」 | ||||
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今回の作品は構想10年。ご本人の談ではその間にいろいろ筋立ては二転三転したそうです。そりゃ10年もの時間があればそうなるでしょう。そしてミステリーと言う範疇ではトリック自体はかなり苦労したそうで実は大向こうをうならせるほどの大したトリックにはならなかったかも、と仰っていた。 ただこれを歴史物、特に「歌舞伎の歴史」、「江戸時代の歴史」という切り口で観るとここまで徹底的に調べて書くのか、という凄い探究心、研究量の熱を感じる力作だと思います。勿論創作なので虚実ない交ぜになっていますがどこからどこまでが歴史的事実でどこからどこまでが創作部分なのか分からない。読者に全部事実じゃないのか、という気にさせる点でこの作者の勝ちだと思います。 そして蛇足ながら昨今の政府官僚組織の在り方へのチクリとした皮肉どころか真っ向から切り捨てているのも作者らしくて痛快ではあります。 | ||||
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芦辺拓氏は、研究量で頭一つ抜きん出ている。 もうとっくに気の抜けたハンチングおじさんは勿論、 苗字と名前が似た人も、還暦過ぎ老化で気力の衰え 甚だしい中、こんな風に新機軸を打ち立ててくれる のはとても有難い。 鶴屋南北についても何か読んで見ようと、読者の 興味が広がる。 | ||||
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