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永遠と横道世之介
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永遠と横道世之介の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全191件 181~191 10/10ページ
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世之介は、田舎から大学生として上京してきたばかりの垢ぬけない男の子。 物語は、上京から大学1年が終わるまでの世之介の1年間を描いています。 世之介の友達、あこがれの人、バイト、初めての帰省、彼女、家族… 彼の姿を通して、あ〜、自分もこんなんだったな、とか、こんな要領悪い子いたな〜とか、 クスクス笑いながら読めます。そして世之介を通してクスクス笑う自分は、 懐かしい暖かい気持ちでとても幸せなのに気付きます。 普通っぽく見える世之介は、読んでいる人を知らず知らず魅了し、彼の存在を 愛しく感じさせてしまう、不思議な魅力を持っています。 何をしたわけでもないのに、みんなに愛されてしまう世之介… そして、思いもかけない世之介の最期…胸が苦しくなりました。 でも読んでいくうちに、あ〜、彼らしい最期なんだろうな、と納得していくのです。 懐かしく、暖かく、少し胸が苦しくなる、そんな本です。 読んでいる間は、とても幸せでした。 | ||||
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この結末だけにはして欲しくなかった。悲しすぎます。いい人は早死にするということは実際によくあることなので、小説の中では起きて欲しくありません。祥子ちゃんかボートピープルのあの赤ちゃんと結婚するかいずれにしてもハッピーエンドがよかった。それ以外はすばらしい作品でした。 | ||||
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長崎で生まれた世之介は、名前は「好色一代男」の主人公と一緒だけど、80年代の 東京のどこにでもいた、普通の上京組の大学生。イヤミのないお人好しで、何となく友達ができ、 何となく女の子に気に入られるとにかく、普通にいいやつだ。そんな世之介のありふれた 毎日のきらめきを掬い上げた青春小説の金字塔!(あえて古い褒め言葉を使いたくなるような 王道感がいいんですよーほんと) とにかく、主人公の、ヒーローっぽくないんだけど可愛い男子ぶりがたまらなくよい。 入学式で話しかけられた男子とそのまま友達になり、なんとなく勧誘されて入る サークルがサンバサークルなんていうとんでもないところだったり(別に踊りや ブラジルに関心があったわけでもないので、かなり突拍子もない)。彼の出会う人たちも 小説的に面白いんだけど、どこかに実際にいそうな感じ。ちょっと ズレてるお嬢様で世之介を好きになった祥子ちゃん、いつも一緒 だったけど、意外な理由で大学を去ることになる倉持くんなどなど。 こんな友達が一緒だったら楽しいだろうな〜ちょっと時々疲れても、 みたいな人たちとエピソード満載なのだ。 しかし、この小説、リアルタイム目線で80年代を描いている わけではなく、現代を生きている、世之介をめぐる人たちが 「学生時代、横道ってやつがいたなあ」と思いだしていく回想形式を 上手く取り入れており、そのスタイルで描かれていた理由が次第に 明らかになる。この構成もよかった。 読めば読むほど、なんてことない世之介君が大好きになっていく小説。その ぐいぐいすきになっていく気持ちが心地よい。 | ||||
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「悪人」があまりにも素晴らしかったので、こちらは★4つにしました。 吉田修一氏の描く人物はいつも人間くさくて共感を覚えます。 横道世之介は石を投げれば当たりそうなくらいに普通の大学生ですよね。 青春を謳歌しつつ、それなりに悩み事を抱え、本人は一生懸命難だろうけど、他者からみるとなんだか笑える、そんな毎日です。 恋人の祥子ちゃんがサイコーですね。 浮世離れしたお嬢様と世之介の噛み合わないやり取りは面白いやらハラハラするやら。 人生は自ら切り開いていくしかない、と思っていたけれど、世之介のように与えられた責務に真摯に取り組んでいくことで、道は開かれていくのかな〜と思いました。 爆笑あり、涙腺のゆるみあり、の素晴らしい作品です♪ | ||||
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始めはなんとも情けない始まり方で。これも意図的なものなのでしょうか。読み進めるほどに味わいのある小説でした。友人の台詞にもあるように、彼のいた人生はきっと彩りのあるものだったにちがいなく、後半の、彼を失う喪失感は言葉では言い尽くせないものだと思います。どんなにえらい人物でも素敵な人でも、彼のかわりにはなれない。 1年って、年をとればとるほど、味気なくあっという間に過ぎてしまうものになってしまいました。でもこの本を読んで今一度、その時間のかけがえのなさを感じました。名作(西鶴のような)ではないでしょうが、心に残るお話だと思います。作者と同い年なので、80年代の描写も目に浮かぶようで楽しめました。当時はまだウォークマンだったんですね! | ||||
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80年代学生物と思っていたら、横道世之介が人生の方向性を決めることになった1年生の1年間だけを描いていて、しかも合間に世之介の友人達のその後も挿入されていて、戻れない時間が持つ切なさと世之介の人間性に胸が一杯になった。 「世之介に出会った人生と出会わなかった人生で何かが変わるだろうかと、ふと思う。 たぶん何も変わりはない。 ただ青春時代に世之介と出会わなかった人がこの世には大勢いるのかと思うと、 なぜか自分がとても得をしたような気持ちになってくる」友人加藤が世之介を後に思いだして考えるこの言葉通り、 世之介という人柄が1冊の本から微笑みかけてくるので読んでいて優しい気持ちになる。 読後、憎めない横道世之介の笑顔が心に残る、ということは、読んでいた自分自身が笑顔になっていた本だった。 | ||||
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どストレートな青春小説。文章も物語も登場人物もカラッとしていて心地よい。最近の吉田修一さんは、人間の罪悪の意味を問うた中長編が目だっただけに、ここまで常春な雰囲気の作品は意外な気がしたが、文句なく楽しめた。地方から上京し法政大学とおぼしき大学に通う男子の一年間を巧みに描いた一冊。 都会での初めての一人暮らし、サークル活動、アルバイト、教習所通い、夏休み、帰郷、あるいは今迄にない恋心、デート、めまぐるしく移ろいゆく友人関係、大都市生活での戸惑いと慣れなど、おそらく多くの「若者」にとってお馴染みの出来事やイベントが、実にみずみずしく描かれており、共感し、微笑みながら読み進められた。現役の学生よりはむしろ、卒業してからしばらく過ぎた人が読んだほうが感慨深いだろう。青春は、遠きにありて思うもの。 80年代の群像劇ということで、バブリーな時代のハイテンションぶりや当時の流行モノが随所に書き込まれているだけでなく、この時代を切り取った既存の小説とは異なる時代イメージを打ち出そうとしているような感じもして面白かった(おそらく最大の「仮想敵」は村上春樹さんの作品)。とはいえ最も素晴らしいのは時代の復元などではなく、あくまでも個別のシーンを示唆深く描写する著者の筆の力で、彼のセンスのよさが遺憾なく発揮された傑作に仕上がっていると思った次第である。 | ||||
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映画と写真の世界を行き来する様な感覚の作品でした。 内容は深いとはいい難いですが、また読み返したい、日曜日の午後に読みたい、という感じの作品に仕上っていると思います。 吉田修一は80年代がとてもよく似合いますね。 彼の作品は、額縁に飾りたい様なしゃれたものだといつも思います。 世之介を取り巻く人々の20年後(現在)の回想シーンがとても印象的です。 できちゃった結婚して退学した倉持と阿久津唯の現在、お嬢さんがアフリカで難民支援をしている祥子ちゃん。 確かに、20年の時間を経れば人って変わるのだろうな〜と、妙に納得です。 映像的な作品でとても彼らしい作品に仕上っているのではないでしょうか。 だって、大好きな祥子ちゃんに「じゃあ日常でも切り取ります?」と言わせてるんですもの☆ 世之介がカメラマンになったという運びは、吉田修一ファンなら納得なのではないでしょうか/ もう500ページ読みたいと思わせる、日曜日に最適な作品です。 | ||||
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主人公世之介の上京物語と言ったところか。 どこか不器用、素朴、単純、無意味に前向き、人懐っこい世之介。 大学で上京した1年間を綴った物語であり、大きな事件があるわけでもなく、 淡々と物語が進んでいく。でもなぜか読んでいて飽きない。 大笑いというより、クスッと笑いながら、「ああ、わかるわかる」ってな感じ。 世之介以外の登場人物も個性的であり魅力的なことも飽きない要素だろう。 最後の世之介のお母さんの手紙の中の、「あの子は『ダメだ、助けられない』のではなく、『大丈夫、助けられる』と思ったんだろう」という言葉。この言葉が世之介という人物を見事に現わしていると思う。 本の帯に「あなたもどこかで会っている」とあったが、読みながら自分の昔の友人を思い出させてくれる そんなやさしい話。 個人的には、登場人物の中の加藤君が好き。 | ||||
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この作品はどうしたことか、ナレーションのような違和感のある口調で状況説明がされていて、至るところでそれにつまずき、イラっとしてしまう。「〜である」とやたらに繰り返されて、アニメの某○子ちゃんを連想した途端、それが気になってなかなか読み進めない。吉田好きなのに、悔しい。 その後、読み進めたのですが、おもしろくなってきました。あのイライラナレーションが、これも味、と思えるくらいに。星の数が変えられなくて申し訳ないけど、★★★★ということで。 そして読後、あのナレーション口調は世之介の不器用さや朴訥さを際立たせるエフェクトのようなものだったのだな、と納得。最初のストレスに負けず読んでよかった。 | ||||
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大学進学のために上京した「横道世之介」18歳の、なんでもない一年間の話。 なんでもない話なのに、呑気でお気楽な世之介の日常を笑いながら読んでいると、 とつぜんジーンときたりする。 世之介を知る人々の数十年後が物語に挟み込まれた構成が効いている。 気がつけば、世之介のことが好きになっている。 世之介の世界から出たくなくなっている。 そして読み終えた今、この本がなぜかとても愛おしくて仕方ない。。。 | ||||
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