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狙った獣
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狙った獣の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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資産家の遺産相続人であるヘレンを悩ませる電話。それは、彼女と旧知の仲のエヴリンからの意味不明の内容だった。ヘレンは馴染みの投資コンサルタント ブラックシアに、エヴリンの動向を探るよう依頼する。 ブラックシアがエヴリンの行方を追ううちに、実はヘレンの弟ダグラスの離婚した妻だったことが判明する。これが実に不可解。顔見知り程度の間柄だったはずが、ヘレンとエヴリンはよく知る仲だったのだ。 エヴリンの狙いは何なのか。何故、ヘレンはエヴリンとの関係に口をつぐんでいたのか。 ブラックシアの探索が進むうち、ダグラスの自殺未遂からの事故死、そして、エヴリンとといかがわしい関係をもつ写真家ティローラ殺害事件が立て続けに発生する。 不可解極まりない人間模様が描かれていく。本筋の枝葉の部分で、ちらりと登場する人々の心のあやが良いアクセントになっている。 真相が判明するくだりで、ここまで抱えてきた違和感が、スカっと払拭される。なるほど、本作品は、どんでん返し心理サスペンスだったのね。 【MWA賞】 | ||||
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若い資産家で内向的な女性、ヘレンのもとに電話がかかってくる。エブリンと名乗る女性は、あなたは覚えてないかも知れないけど、私は覚えてる、と呪いの言葉をヘレンに流し込む。 いったい、エブリンは何が目的?ヘレンの過去には何があったのか?どんな事件が起きるのか? という切り出しのスリラーです。以前、ロス・マクドナルドの「さむけ」を読んで面白かったので、彼の妻であるマーガレット・ミラーの本書を読んでみました。本書も「さむけ」に負けず劣らず推理小説分野においては高い評価の作品だけあって、ヘイトの権化みたいなエブリンが何をやらかすのか?いったい何者なのか?というところで興味を引き立てられながら楽しく読めました。 女流作家だけあって、ドロドロとした女の嫉妬や妬みが上手く描かれていますが、まあ、好みの問題ですが、私にとっては全体的に陰鬱すぎました。リュー・アーチャーも心の傷口を描くテイストなので、さすが、似たもの夫婦ですね。 | ||||
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話の内容どうのこうのいう前に、とにかく暗くてひねくれていて、救いようがないです。 もちろん、登場人物の一人や二人はそうでも当たり前ですが、ほぼ全員がそんな感じで、数頁読んだだけで、挫折しました。 かなり好みが、はっきり別れると思います。 | ||||
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出張時に念のための一冊として持参。こういうのは道中で読み終わることはまずないのですが、本書はラウンジで読み始めて、機内で珍しくも読み終えました。ひたひたじわじわと怖さ、そして人間存在の哀切さが、頭の中を占領してくる一冊で一気読みでした。五十嵐貴久氏の「リカ」シリーズやテネシー・ウィリアムス、アーサー・ミラーなどの手になる米国戯曲群が何故か思い浮かびましたね。 | ||||
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気力のないときに読むと邪悪な力に引きずり込まれそうな作品。 邪悪な加害者とそれ以上に邪悪な被害者。 でも、なぜか哀れを誘う人たち。 読み終えると、憐れさが心に残る。 マーガレット・ミラーの作品は2冊目だけど、巧みに誘導されて、最初から分かっていたはずのことから目をそらされる。 術中にはまるのもまたいい。 | ||||
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いわゆるサイコ・サスペンスの古典なのですが、2016年の今読んでも、不思議なほど新鮮さを感じさせます。 ジワジワとした怖さがえんえん続くんですけど、なぜかさらわれる様な疾走感も、同時に味わっている… この作者の異常心理の描写は、お見事としか言いようが無いです。 登場人物に共感性を一切持たせない、冷たい描写がこれまたえんえん続くんですけど、なぜか最後まで目が離せない。 陰惨なラストに向かう流麗な描写を追いながら、底冷えするような主人公の孤独が、人間の普遍に昇華していく。 こんな小説があることが衝撃的です。 | ||||
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いきなり個人的なことになってしまうが、小生はこういうサイコ・サスペンス的な物語を読むにはある種の覚悟がいる読者だ。 特に描写が濃厚なものになるほど、精神状態がいい時でないと読んだ後に気分がダウン状態のまま回復しにくいのだ。 そのためこの本も購入した後長らく積ん読状態だったのだが、いざ読んでみると意外に読後感が悪くなかった。 別に描写が薄いわけでもテーマの掘り下げが足りないわけでもない。 登場人物は探偵役の投資コンサルタントを除きほぼ全員歪みや傷を抱えており、親子・夫婦・友人という人間の最も基本的な関係性が異常心理に触れて崩れていく描写は、50年代の作品であることを感じさせないほど説得力がある。 結局、著者マーガレット・ミラーの筆力のたまものだと思う。 バランスを崩すような「濃厚」な書き込みをせず、必要なことを必要なだけ描写して物語を進める文章は、語る内容に反してある種の詩情をすら湛えるようだ。原文の美しさを極力生かして日本語化した雨沢氏の翻訳もよいのだろう。 発表当時は斬新だったトリックはさすがに現在となっては途中で想像がついてしまうので、おすすめの★ひとつ減らしたが、決して作品の価値そのものを下げるものではないと信じる。 ハッピーエンドなどではないが、読み終えたときにある種のカタルシスさえ感じる読書体験だった。 | ||||
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基本的には、叙述トリックだが、じつは初っ端から大伏線が張られている、というより、大ヒントが かくされていると言っても大過はないだろう。 強烈な自己否定・嫌悪を異常心理にまで歪め、テンポの良い極上エンターテインメントを 織り上げるマーガレット・ミラーの手腕はお見事。 度をこえたビョーキぶりに圧倒され、たしかにコワいが、ラストは憐憫を誘う。 人が人に与える言葉の悪い意味での重み、身動きがとれないほどの孤独、ぶきみな異常心理など、 事象の負の部分をえぐった秀作と思われる。 | ||||
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若い頃に初めて読んだときは、頭の中に画像イメージがまったく湧かず、どんな話なのか理解できずに終わってました。久方ぶりに読み返し、そうか、これは1990年代に全盛期を迎えたサイコ・スリラーの先駆けだったんだとようやく納得しました。さらに10年前の「鉄の門」も傑作ですが、こっちのほうが短いので、最後のショッキングな大団円がいっそう効果的。 | ||||
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創元推理文庫も絶版になっているのでしょうか。身近では入手できなく東京出張の際に 神田で発見し、小躍りしました。 わたしのは、ハヤカワミステリ文庫・文村潤訳です。77年3月の発行ですが、翻訳が一時代前と 感じられました。孤独な主人公ヘレン・クラーヴォウの心理を「言葉は扉の隙間から、 さわると死ぬ毒の滴のようにもれて来た」と描写します。現在では、このような持って回った 言い回しはしないはずです。訳者の苦労もうかがい知れますが逆に、このまったりとした描写が この作品の雰囲気にピッタリ来ています。 内容を追うレビューほど、ネタバレになりますので申し上げませんが、心理スリラーでウィリアム・ アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)の香りと雰囲気を漂わせています。 国内で90年代、このテーマを扱った一大ベストセラーがありました。本作は56年にMWA最優秀長編賞、 いわゆるエドガー・アラン・ポー賞受賞作品ですから約40年前に、この病理に着目したことに敬服します。 ちなみに原作者のマーガレット・ミラーは、ハードボイルド派最後の巨匠、ロス・マクドナルドの妻です。 夫妻で作風が全然違いますよね。 | ||||
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作者自身、若い頃精神の病を患ったせいか、異常心理物を得意とする作者の代表作。遺産相続人のヒロインの元に掛かる殺人予告電話。恐怖に怯えるヒロイン。冒頭からH.マクロイを思わせる幽界的描写が続き、読者の心を震わせる。そして、最後に待っているカタストロフィ。 仕掛けは、S.エリン「鏡よ、鏡」等と同工異曲なのだが、延々と続く執拗な異常心理描写との対比で、ラストをより鮮やかにしている。旦那のR.マクドナルドの後期の作品が社会的テーマに拘り過ぎているのに比べ、マーガレットの方が潔い。 異常心理を描かせては天下一品の作者が、大きな仕掛けで読者に挑んだ傑作サスペンス。 | ||||
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全編にかけてS・キングの『キャリー』のような寒気をおぼえました。ブルブル。「推理小説」としてはそんなに手は込んでいないのですが、やはり面白い。ブルーなアメリカを堪能できました。・・ネタバレを怖れてあまりうまくレビューが書けませんでした、スミマセン。 | ||||
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