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苦役列車
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苦役列車の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全276件 101~120 6/14ページ
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タイトルと表紙の黒さ、そして内容からして暗く淀んだ話を想像していた。 しかし、読むとまったく違っていた。 確かに主人公の置かれている状況は非常に困窮して、まさに社会の底辺にいる。 しかし、この小説からくるのはそんな苦しさではなく、そんな状況をむしろ肯定しているのだ。 受け流して、こんなものかと肯定しているのだ。 辛い状況にもかかわらず、明るいのだ。むしろこんな人生楽しそうにすら思う。 だから読んでいてまったく苦にならず、むしろ彼がどうなるのか、続きが気になるくらいにワクワクさせられた。 こんなに楽しい小説だとは思わなかった。 | ||||
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息をのむ展開。 冷徹に自己を見つめ、何物にもこびない個性に衝撃を受けました。 独特の文体にもひきつけられます。 | ||||
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文庫が400円でキンドル600円って・・ときどきこういうのがありますが、おかしくないですか? | ||||
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著者の業というか、鬱憤相当たまってんなーと。貧乏で苦しんだ時代っていうのも、財産になるんだなぁと実感。 | ||||
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漢字が多く、とっつきにくい印象が最初はあります。 ですが、読み進めていると、あっという間に引き込まれて、 ページをめくる手が止まらなくなります。 私小説をここまで読ませるというのは、すごい。 芥川賞受賞作をここまで面白いと思ったのは、初めてでした。 | ||||
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自分が知らなかった人間の世界を教わった。文体はさすが芥川賞を取るだけのことはある。感心しきり。 | ||||
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インターネットもスマートフォンも、ガラケーすら登場しない80年代の頃のお話です。 主人公は一人暮らしですが、家に電話すら引いてません。 今の人から見ると、いったいどうやって連絡とってるんだろう?って感じですね。 戦後直後とか、戦前でもないのに、中学しか出ていません。 高校に行かなかった特別な理由や、別にやりたいことがあったとかそういう描写はありません。 ちょっと想像できないですね。 当然、仕事といえば日雇いくらいしかないので、そこで働いている日常の場面から、お話がスタートします。 日雇いの仕事に通う主人公の日常が描かれています。 大事件が起こることもないです。 久々にできた職場での友人との付き合い、その友人とのちょっとしたすれ違いから生じる負の感情や、その友人の 彼女が不細工だったのを見て優越感に浸るところ。など、時代や生活環境は違うけど、誰にでもちょっと当てはまる 感情が描写されていると思います。 文体がもっさりというか、殊更詳細な部分もあったりで、色んなところが昭和っぽく古臭い感じがします。 読んでると、舞台が80年代なのかどうかも一瞬怪しくなるのですが、友人に、スタローンの「コブラ」という映画を観に行こうと 誘っている場面があるので、なんとか戻ってくることができました。 でも、全然とっつきにくいわけじゃなく、むしろその古臭さがたまらなくいいです。 主人公は昭和の文学青年みたいに古臭い話し方なのですが、友人やその他の人は現代の話し方をしていて、会話は成立して いるのだけど、読んでると違和感があったりします。 まるで、主人公だけ、石ころ帽子をかぶらされて、ぽつんとしてる感じです。 それが、何だか微笑ましいというか、純真な感じもします。 | ||||
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漢字や語句が難しく非常に読みにくい。ストーリーが淡々としていて、引き込まれない。時間とお金を損した気分。 | ||||
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タイトルと流し読みした書評から陰鬱な小説かと想像していたが、予想外に面白く、並行して読んでいたどの本より先に読み終えてしまった。 主人公は財も学歴もなく家族にも恵まれない典型的な社会的弱者で、二十歳前という年齢のせいもあり、自意識が強い。その自意識から自分をさらに貶める行動をとってしまうことに、気付きながらそれに抗えずにいる弱い彼の姿は、しばしば振り返り消し去りたいと願う昔の私にも重なり、身につまされる、けれどそこに嫌悪感は湧かず、むしろ愛らしさを感じるのは、主人公の親世代に近くなったせいか。いやテレビでお見かけする作者の容貌が優しげであるせいかもしれない。 主人公は不良ではあるが乱暴者ではなく、ただ社会人となる手順が普通から外れていただけだった。貧困から、彼のように子供から社会に溶け込むことが困難な若者はけして過去の像ではない。 優しげな顔つきに、先の見えない焦りや迷いの混じった表情でバスに揺られている貫多が目に浮かぶ。 | ||||
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はな読む気はなかったのだが、偶偶「随筆集 一私小説書きの弁」を読んで、結句「苦役列車」も読むこととなった。 (←西村賢太風) 芥川賞受賞の際の「風俗行く」発言、その後TVのヴァラエティ番組で何度か西村氏を見て、おもろい人やなぁ、と思っていたが、本を読むまでの気はなかった。 病院の待合室で偶然「一私小説書きの弁」を読み、これは小説も読んでみたいと思った。 一気に読ませる面白い小説だった。 みなさんが適切なレビューを書いてあるので、その作風等はそちらに譲りますが、私が感心したのは、西村賢太氏は40代の若さで「女にもてたい」という大概の男が持っている感情を放棄、封印している点だった。 意識的でも無意識でも男のあらゆる行動は「女にもてたい」願望に根差していることが多いと言われる。 例えばスポーツ選手が、初めはとにかく女にもてたい一心で頑張ったとか。 この小説を読んでいて太宰治を思い浮かべない人はいないと思うが、その天性の偽悪家太宰だって、結構恰好をつけていたように思うし、人間失格と言いながら女にモテルことは忘れていなかったように感じる。(実際モテたし) ところがこの西村賢太氏の書くことときたら、まず女性に嫌われること間違いなしである。大概の女性が嫌悪感を覚えるであろうことをわざとのように書いているし、内容だけでなくその書き方のキタナサは確信犯だ。買淫(この言葉自体が嫌悪感を呼ぶだろう)した後、その相手をクソミソに書く書きぶりなどサイテーである。 しかし、そのようなサイテーを一気に読ませる筆力は確かだし、爽やかなのだ。 併載されている「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」でも、文学賞にノミネートされ結果を待つ40を過ぎた貫多のコロコロと変化する情緒不安定な心情を描いているだけで、ちょっと小説にはなり得ないような話なのだが、それがリアルに迫ってくる読み物になっていることは驚くほどだ。うまい。 しかし石原慎太郎の解説は実に適切で、まさに芥川賞受賞後の「その変質に尽きせぬ興味がある」。 | ||||
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とても気に入りました。 「。」まで、うっかりすると200字以上ある長い文章を、リズムのある心地よい語り口で読ませます。 自分のことを「貫多」と呼び、そして客観的に自分を見つめ、自分にツッコミを入れ、軽く笑いを取りながら、的確に社会の底辺を描いていました。 社会の底辺にいる人たちは共感を持って読んだことでしょう。 私もその一人です。 時々出てくる古風な言葉には賛否両論あります。確かに、どうにも読めない難しい言葉もありますが、一方で、例えば、「たらふく食べる」を「鱈」と「腹」で 「鱈腹食べる」 こう漢字になっているのを見ると、なんだか、かわいい。常用漢字表の外側に、豊かな言語空間が広がっているような気がしてきました。 | ||||
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著者の若かりし頃の生活記録、ということである(恐らく)。 本作を読んで何の感情の起伏も起きなかったことが正直な感想である。 私も結婚するまでは、都会でひどい孤独感と闘い、女性に対する欲望が並大抵ではなかったため著者の気持ちは分かる。 しかし、あがく人間というものは高い向上心をもった人間なのであり、 最終的に、何からの形で落ち着き、規模の差はあれ成功し安息の地を見つけるのである。 よって、安心感をもって作品が読めてしまうのである。 また、描写されている生活がぶっとんでいるかと言えばそうでもなく、仕事というものを経験した人間ならば 容易にイメージできてしまうなんのことはない生活であったことも、作品をつまらなくした要因である。 唯一、評価する点は、数十年前の昔のできごとを詳細に記憶しているところである。 | ||||
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西村賢太は私小説家である。 自分の経験をもとに作品を構成する私小説家にとって自分自身を客観的に観察することは非常に重要であり この小説の見どころといえばまさに、どこまでも北町貫多を客観的に分析している点である。 苦役というのは何も、肉体労働のつらさや貧困のつらさを表しているわけではない。 主人公のどうにもならない性格こそが苦役であり そのためにたびたび繰り返される人間関係の破綻、暴力、暴言、堕落、に貫多は苦悩し、それは一種の廃疾とも表現できるほどのものである。 | ||||
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『苦役列車』は再読三読しても飽きることのない作品である。 主人公である十九歳の北町貫多は安下宿に籠り、日銭を稼ぐために 嫌々人足仕事に出ては、安酒を食らう鬱屈した日々を過ごしている。 友達も彼女もおらず、夢と希望を持てないまさに苦役な日々が続く。 しかし、ある日新人の人足が彼の前に現れ、仄かな友情を 芽生えさせるのだが・・・。 今作が優れているのは、『私小説』と定義されているにも関わらず、 作者、西村賢太が貫多を徹底的に客観化して描写している点にある。 通常ならば、自己の生涯を振り返るのに多少の自己擁護や社会に対する異議申し立てを 試みるところだが、西村賢太の場合は希薄であることが興味深い。 主人公の境遇が中上健次の『十九歳の地図』に似ているにも関わらず 貫多は社会に反抗しようとせず、ただ流されていくばかりの自分を 苦々しく感じ安酒をあおるばかりなのだ。 しかしながら 同世代の若者に対する嫉妬と、密かに抱く己への自負、 悪鬼のような残酷性と、少年のような無邪気さが混在する 貫多の豊かなパーソナリティは読者を魅了してやまない。 また、文体上の特徴においても、例えば 曩時(のうじ)北町貫多の一日は目が覚めるとまず廊下の突き当りにある、年百年中糞臭い 共同後架へと立ってゆくことから始まるのだった。 という古めかしい書き出しと 天丼セットの食券を購(もと)め、すぐさま出てきたどんぶりを一気にかきこみ、 おそばのおつゆを一滴余さず飲み干すと、貫多はようやくに人心地がついた感じ。 といった幼い語り口が混在するアンバランスな感覚に不思議な快楽を覚える。 『曩時』『年百年中』『おそば』『おつゆ』『お刺身』といった 奇妙な言語感覚が計算ずくなのか、天性の感覚なのか理解不能であるが この言語感覚こそが、通常陰鬱に流れていく作品の雰囲気を柔らかく和ませ、 ともすれば非常に滑稽な風味を加えており、 貫多に対する読者の親近感を得ることに成功しているのだ。 この美しき天然の才を有した極めて稀有な小説家・西村賢太の世界 はどれ一つ取り上げても、決して読み飽きることを知らない。 | ||||
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読んでみたけど、別に面白くはない。こういうものだと言われれば、そうかと思うだけ。 | ||||
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青春だ。 共感する箇所が山ほどあった。 恋愛のほろ苦さで「若きウエルテルの悩み」と肩を並べるのではないかと言ったら、言いすぎになるのだろうか。 | ||||
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何か違った生き方のような気がする。いろんな生き方があるだろうが僕とは違う。 | ||||
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人の人生を覗き見ることは、卑怯者の私にとってとても楽しいもの。しかしこの本は、ここまでさらけ出す?!思わず私はひきょう者で「スミマセンでした」とわびたいくらい潔い。かっこいい。三島由紀夫を読んだ時の衝撃と同じでした。あっぱれ! | ||||
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小学校5年の時、主人公である貫多は、父親が、性犯罪を起こし離別、中卒という劣等感と自らを戒めない性格が入り交じり、日雇いの仕事をし、その日暮らしする。酒、女に宵越しの金を持たず、金が無くなれば日雇いに出るというだらしない性格であり、家賃を幾度も滞納し、アパートを追い出されても、懲りない生活を繰り返す。彼自身は、自分は劣等な男とは思わず、むしろ他人を馬鹿扱いにするが、年齢をおうごとに、一生落ちこぼれた人間であることに、うすらと気づく。というよりも、現実を味わうのであるが、何故か後半いきなり、小説家を目指す設定は、あまりにも唐突で飛躍しすぎている。彼は小説が川端賞の候補にあがったことを出版社から聞き、いちるの望み、人生の大逆転を期待する。反面自分の文才のなさから、堀木克三という売れない作家を思い、川端賞への期待と賞をとれなくとも、売れなくとも自分は書くことが好きなのだという言い訳の間に苦しむ。結局彼は賞をとれず、歳をかさね、あいもかわらぬ落ちこぼれた人生を送るはめになる。 感想をいえば、よくも前半、日雇い暮らしと酒と女、金のだらしなさ、向上心のなさを長々と書いたものだと思う。まったくもってくだらない。後半は、彼が、案の定うだつがあがらないまま、年齢を重ね現実を直視することになるのだが、いきなり、小説家になるのは、無理がある。小説家になろうとする過程が抜け落ちといる。結末は、だらしない男が、だらしないまま終わるという当たり前の結末でしかなく、つまらない。ただ、読みやすく、休まなければ一日で読める。石原慎太郎がこの作品を賛美したそうだが、それは、作品中芥川賞の裏側を暴露したからではないだろうか?作品としとは、評価にいたらない。文体は、どこか織田作之助を連想させる。 | ||||
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全体的に古風な言い回しが多く、昭和時代の真面目な書生のような語り口が特徴的。 その真面目な書生が、真面目な顔をしてとんでもない悪口や罵詈雑言を吐くのがこの作品の面白いところである。 分別ある女性読者ならば開始五行でその下劣さに辟易するであろう露悪的な性描写が、作者の丁寧かつ古風な文体と相まって独特のユニークさを演出しており、その文の流れには子気味良いリズムがある。強かな底辺労働者らしいべらんめえ調の台詞も、つい口に出して読みたくなるほど痛快で子気味良い。 古風な語り口と露悪的な悪口が紡ぎだす独特のリズムこそ、この作者の最たる個性であり、醍醐味であるように感じた。 しかし、底辺労働者の絶望的な実態とはいうものの主人公はまだ19歳と存分に若く、「人生は終わる事のない苦役列車のようだ」と嘆くにはまだ早い気がしなくもない。 | ||||
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