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苦役列車



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【この小説が収録されている参考書籍】
苦役列車
苦役列車 (新潮文庫)

苦役列車の評価: 3.84/5点 レビュー 276件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.84pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全276件 261~276 14/14ページ
No.16:
(4pt)

確かに私小説

こういう作品が文学なのかは僕は分からないが、
一気に押し込まれたような読後感がある。
とても印象的な作品だ。
私小説ってこういう小説なんだ、
ということが良く分かった。
私小説だから、
自分の境遇と照らし合わせるとか、
緻密な構成に感嘆するということは、無い。
作中人物のケガれネジれた根性を目の当たりにし、
ぐっと息を呑む。
そういう「娯楽作品」。
ゾンビ映画と同じかなと思う。
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No.15:
(4pt)

これが受賞作であるのならば、もうとっくに・・・。

芥川賞受賞を心よりお祝い申し上げます。

とは言え、この作者が書いた、過去の候補作やその他の作品と比べて、今作がとりたてて優れた作品とは思えない。
むしろ、やや冗長で、プロットも内的緊張に欠けるのではないかというのが、私的な印象だ。
今作より精緻に構成された作品はいくつも公刊されていると、私には感じられた。

併せて収められた作品は、作家生活に入ってからの文学賞落選を巡るエピソード。
これを読んで、驚愕させられたことがある。作家生活を送る、今の「私」或いは「貫太」なる人物に、十代後半と比較して、人間的成長が全く感じられないのだ。
つまり、年齢を重ね、過去の経験を対象化し、作品に結晶化するという体験を積み上げても、人間的には成長できないということなのか。
或いは、作品のネタを拾うために、敢えて自ら成長を止め、だめな人間として自己劇化しているということか。
作品に追い越されたあとの人生はどうなるのか。

時間軸を遡ったり下ったりしながら、パズルのピースを埋めるが如く書き連ねられていく西村作品に、私は、私小説と実生活の連関に関わるある問題が存在するように思えた。
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No.14:
(4pt)

ちょっと黒い

最近忘れかけていた、人間のどす黒い部分を感じた。登場人物に共感も反感も感じないが、自分はまだ大丈夫、まだやれる、という気がしてきた。
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No.13:
(5pt)

駄目な自分を巧く客観視した作品

西村氏の私小説は内容が凄過ぎる。
犯罪者となった父親、それに絶望し半ば投げやりな人生を送る自分の駄目さを客観視し巧く描いている。
怠惰な日常生活を送り、やりがいのない低賃金の仕事に甘んじている一方で、素敵な女性を欲し、その夢叶わず自慰にふける。
友人は極めて少なく、変にプライドは高い。
真に嫌になるような人生・人物であるがなぜか共感してしまう部分が少なくない。

芥川賞受賞の際に「私小説しか書く気がしない」とインタビューに答えていたが、作品の幅を拡げ今後も益々活躍して欲しい。
歴史に残る作家となる予感がする。
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No.12:
(2pt)

予想よりもインパクトに欠けました

一歩踏み外しそうな労働者階級の物語ということで、あっちは漫画ですが銭ゲバ思い出しました
ただし私小説という事もあってか?
こちらの主人公さんは人を騙してでものし上がろうとする訳でもなしに
かといってストイックに内面に入り込んだ世界を構築する訳でもなしに

日本で一歩踏み外したらここだよねっていうラインでした
もっと悲惨な情報を知ってしまっていると、ちょっと落ちてる人の日記感覚です
共感できる厭らしい部分もあるのですがズッシリとした重みや深みがないので付き合いきれませんでした

文体がちょっと独特で読めない部分もいくつかありました
後半の一本はコラムみたいで同時収録しなくてもよかったのでは?

ところどころ花村萬月氏の作品を読んだいるような感じがした作品だったので
もう少し著者の他の作品を読んでみないとわかりませんが
賞受賞作品としては弱いと個人的に感じました
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No.11:
(5pt)

これぞ文学

西村賢太氏の作品を全て十分に読み込んだ。その上での感想だが、これぞ文学、である。文学というものはどうしたって、作者の経験から描き出すもの。西村文学は、力強い独白で、傷だらけの数奇な生き方を文学として見事に昇華している。人間の弱さ、狡さ、したたかさから目を背けない作品群。こんなに夢中になれる作家と久々に出逢った。
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No.10:
(5pt)

著者の青春時代

受賞後だったか夕方のあるラジオ番組で紹介され私小説だと知った。
青春時代を日雇い労働に費やした日々が綴られ、過去の作品では「暗渠の宿」も読み応えがあった。
著者にとっては受賞までの道のり(作品)がすべて労役(苦役)だったのかもしれない。この作品が転轍機となることを期待したい。
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No.9:
(4pt)

タイトルとのギャップを感じた

「苦役列車」というタイトルで、装丁もいかにも暗い印象をかもし出していますが、
意外にも重苦しさは感じませんでした。

苦役といいながらも、ある意味では自堕落的に、困窮しながらもマイペースに
生きている主人公が描かれています。

それから、性犯罪者を父にもつ人間が書いた私小説というので、
フツウの人たちの次元を超えた内面が描かれているかと思いきや、
そうではなかったこともギャップの一つ。

自堕落的な生活の中に存在する孤独感、嫉妬、劣等感といった負の感情が
素直に表現されていて、そういった感情は特殊な生い立ちである主人公だけでなく、
誰もが持ち合わせてからこその共感があるのではないでしょうか。

個人的に、つげ義春を読んでいるような気になりました。
つげ義春の絵がつけば、そのままつげ漫画になってしまいそうな印象です。
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No.8:
(4pt)

一寸の虫にも五分の魂

まず、この本には、
“エピソード”が2つ収録されてます。

どちらも、文体は、思ったより繊細でしたが、
女性への思い込みから来る、言葉選びはとても乱暴で、
初見では、確かに陰気なものに感じるかもしれません。

しかし、その言葉の先にある、威風堂々な主人公の偏屈さは、
開き直って見てしまえば、何だか清々しいから不思議です。

もちろん、主人公の置かれた特殊な境遇もありますが、
突き詰めると、本人が父と同じDNAに嫌悪感を抱くなど、
なんとも「マトモ」な主人公である事に驚きます。

確かに、無駄なプライドばかりで歯止めのブレーキがかかり、
優柔不断のまま、出来事は通り過ぎますが、
その度に、根底にある生命力が、表裏一体となって湧き上がっており、
厚かましくも生きようとするその姿勢は、
人間らしく共感に値するのかもしれません。

きっと読み手は「線路は続くよ〜」の歌のように、
この終わりなきルートを追体験し、どんな間抜けな結果でも、
あたかも自分の荷物のように、心の席に運んでしまうのだと思います。

山手線のように、生活も同じところの繰り返しに不安をいだきながらも、
『生きたい!!』という想いが、日常のプラットホームとしてあるからこそ、
つまらぬ叱咤の戯言も、懐に落ちるものがあるのかもしれません。

それにこの主人公は、いつも悪循環のチケットを握り締め、
「出来るヤツ専用車両」に乗れなかったけれども、
いや、待てよ。本当は、これを読んでいる自分の方こそ、
もっとナーバスで、この列車に乗るべき該当者なのでは無いのか?

と、そんなことまで、考えてしまいそうなのです。

もちろん、読み手側の温度や不健康さも少なからずキーにはなっていて、
そうでなければ、読んだところで、
単なる愚痴と感じるのも同じく納得します。

例えるならば、彼女の居ない寂しいバレンタインの日、
知らぬカップルが、これ見よがしに目の前でキスをしても、
「良いねぇ」などと、余裕の笑みを浮かべる人なら、
たぶん、この本は、オススメ出来ないと思います。

要するに、
苦い薬だが、
役には立つ。

それゆえ、錆びた体には凄く効きそうな潤滑油でもあり、
心のエンジンにゆっくり浸透するには絶好の“闇”である。

少々ポジティブではありますが、
自分はそのように受け止めました。
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No.7:
(5pt)

たくさん書きたいことはあるが

芥川賞作品を文藝春秋が出る前に買い求めて読んだのはこれが初めてである。正直、待ちきれなかった。あと二週間かそこらが、である。
アカの他人であるにもかかわらず、受賞の報せを知ったときは、我が事のように嬉しかった。車谷長吉の直木賞以来の不思議な感情である。正直「もう、メはない」と思っていたから余計と嬉しい。ただし「これで彼は自分の手の届かぬ遠い所へ行ってしまう」。娘を嫁にやるような寂しさも半分ある。
だいたい彼の作品は基本的にはどれも同じと考えていい。悪く言えばワンパターンだが、よく言えば「ぶれていない」。敢えて分類するなら、大きく二つに分けられる。ひとつは藤澤清造が登場する「私」を主人公にした中年同棲もの。もうひとつは藤澤の出てこない「北町貫多」を主人公とするヤング西村もの。(多少の例外あり)。表題作は後者に当たる。私はどちらかというと後者の方を好む。まあ、これは好みの問題だから、たいした意味はない。実際はどっちも好きである。
で、問題の受賞作である表題作の出来だが、「これまで読んだ中では相当素晴らしい部類に属する」。ひょっとしたら、最高傑作かもしれない。だが、本当にどうかといわれると、よくわからない。彼には「今後も」あるからである。自分を徹底的に客観視できる、おそるべき冷徹な目を備えているからである。
もっとたくさん言いたいが、ヘンなことを口走りそうなのでこのへんでやめておく。

と言いながら追記。
腰痛の描写ではじまる併収作『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』は中島敦の『山月記』ばりの凄みを放つ生粋の「純文学」。「彼は文名を上げたかった」といって最後にこけるルーザー小説である。本著により図らずも(?)ルーザーからウイナーと化した作者の今後の行方や如何に?
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No.6:
(5pt)

ひねた性格、荒んだ日々―それでも残った一縷の希望

本書は、『暗渠の宿』で野間文芸新人賞を受賞した著者による、中編小説です。

生来のひねくれ根性が、

父親が性犯罪で捕まったことで一層強まった青年を主人公とし、

絶えない周囲とのトラブルや、

それによりさらに屈折を重ねる内面を、味わい深い文体で描きます。

定職も、友人も、恋人もない自身への限りない卑下と

その裏返しともいえる、他者を見下した態度

見下していた友人に恋人がいると知ったことへの反応など

どの場面も、主人公の救いようのない性格が赤裸々に描かれ

とても印象的なのですが、とりわけ心に残ったのは、

そのような主人公がときおり見せる、本への愛着です。

陰気な小人物の鬱々とした日々を描きつつ、

決して重苦しさを感じさせることのない本書。

著者の作品や純文学が好きな方に限らず、

多くの方にオススメしたい著作です。
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No.5:
(5pt)

魂が揺さぶられる作品。

魂が揺さぶられる作品。味わいがあり自然と心に響いてくる。

表面的でマトモに内容すら覚えてない小説が多い中、久しぶりにどっぷり小説の世界に入りこみ満喫できた。

過激というよりは、礼儀正しく主人公の暗い部分を見つめているような、
傷ついた人間への深く優しい視線が感じられ、癒されました。

殺伐としたいまの時代にこの作品が発表されことに感謝したいです。
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No.4:
(5pt)

いつもの賢太節が楽しめる

発売になったと聞き、すぐに入手して、読みました。
表題作の「苦役列車」は、女性へのDVがなかったり、10代の時の話なので藤澤清造がでてこなかったり、通常よりもハードさ・ディープさは薄かったが、いつもの賢太節を堪能できました。
西村さんの特徴は、ちょっと古臭い言葉遣いをしながら、トップスピードで西村賢太ワールドへ読者を連れて行ってしまうこと。たとえば、「結句」「どうで」「因である」「ほき出す」「云い条」など。
友人がいない、窮乏している、彼女ができないといった多くの若者が持つ悩みが、露悪的ともいえる手法で描きだされているので、多くの人に共感されていると思う。
これを機会に、「墓前生活」「どうで死ぬ身の一踊り」などの藤澤清造ものにも手を出すひとが増えるとファンとしてもうれしい。
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No.3:
(4pt)

より広く西村賢太を

芥川賞受賞作ということで、これで初めて西村賢太に触れる人も多いだろうが、ケンタの真骨頂はむしろ どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫) とか 小銭をかぞえる のほうの、同棲している女との関係もののほうにある。併収されている「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」のほうが、川端賞落選の周辺を描いて、より嘉村磯多的な私小説世界が展開していると言える。もし「苦役列車」に歉い、という人がいたら、先の二著にも手を出されたいと思う。
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No.2:
(5pt)

止まらなかった。。

読むのがしんどく苦しいのにじっくり読み、最後で「ふうううう」とため息をつきました。少年が感じている生き辛さとか孤独感が息苦しいほど迫ってきます。大人になって女性ともめる作品は「ひどい男だ」と笑えたけど。著者は「自分より最低な奴がいる、と思ってもらえれば」と言ってましたが、それよりも人間の本性剥き出しの少年がとても身近というか自分に重なる瞬間が結構あって、忘れられない小説になりそうです。小説に涙や学びを求めない人にはたまらなくいい作品だと思います。
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No.1:
(5pt)

もがく主人公

苛烈な環境の中でもがきながら生きる主人公 どうしたら有利に生きる事ができるのか。どうして自分はこのようにしか生きられないのか。それは親や先生、友人や先輩のようなものから学ぶのであろう。その学ぶべき相手がいない場合、人はもがきながら生きるしかないのかもしれない。
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