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消されかけた男



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【この小説が収録されている参考書籍】
消されかけた男 (1979年) (新潮文庫)
消されかけた男 (新潮文庫)

消されかけた男の評価: 4.26/5点 レビュー 23件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.26pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全23件 1~20 1/2ページ
12>>
No.23:
(2pt)

ル・カレの皮を被ったカッスラー

惹句や読み始めの印象では、リアリティのある物語を期待してしまいますが。読み終わってみれば「ドンパチのない荒唐無稽な活劇」です。
伏線の多さから緻密なストーリーテリングがあるように見えて、実は突っ込みどころ満載のご都合主義。
週末の気晴らしの読書と割り切ろうとしても、「目的達成のためにはすべての手段が正当化される」というチャーリーの行動原理によって読後感は良くありません。
「一見冴えない中年男、実はスーパースパイ」というひねったヒーローもの、主人公の倫理観をおハナシと割り切れるかどうかで、評価は分かれるでしょう。
消されかけた男 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:消されかけた男 (新潮文庫)より
4102165010
No.22:
(5pt)

アロース・コルトンとイングリッシュ・マフィン

本書の原本は
1977年に英国の出版社
ジョナサン・ケイプ
(Jonathan Cape Ltd)から上梓された
"Charlie Muffin" です。
「チャーリー・マフィン」
と言えば、英国の推理作家
ブライアン・フリーマントル
(Brian Freemantle)(1936-)
による人気シリーズの主人公であり
現在14作まで出版されています。
(第9作のみ邦訳なし)
本書はその第1作であり
現在でも「金字塔」「白眉」です。

チャーリー・マフィンは当初
英国秘密情報部(SIS)の
窓際ベテラン部員という設定です。
本来ならば
パブリックスク―ル → オックスブリッジ
出身者しか採用しない(と言われる)SISに
戦後のどさくさにまぎれて採用され
グラマースクール出身で
平板なマンチェスターなまりをしゃべる
労働者階級出身のマフィン
(加えて母親は娼婦であったことが
示唆されています)が
上司からも部下からも疎外され
組織から「いけにえの羊」に
されようとしている
‥という地点から物語がスタートします。

推理小説(サスペンス)の中でも
スパイ小説(エスピオナージュ)と言えば
古くは英国の作家
サマセット・モーム(1874-1965)による
『アッシェンデン』
(『秘密情報部員』など複数の邦訳あり)
などがあります(というより
モーム自身が秘密情報部員でしたから
ある意味自伝です)。しかし多くは
「007シリーズ」に代表される
お子様ランチ味の冒険活劇でした。
ところが
冷戦のまっただ中の1977年
チャーリー・マフィンが
それまでになかった
斬新なキャラクターを与えられて
登場してきたので
世界規模で好評を博しました。

日本で新潮文庫の初版が出たのは
1979年4月26日です。
奇しくも1979年はソ連が
アフガニスタンに侵攻した年であり
これに抗議して米国と日本は
モスクワ五輪(1980)をボイコットします。
英国はじめ仏国・伊国は参加しました。

ソ連には「チェーカー」
(「反革命・サボタージュ取締全ロシア非常委員会」
を意味するロシア語の略称)の流れをくむ
KGB(「国家保安委員会」を意味するロシア語の頭文字)
があり、英国のSISや米国のCIAを相手に
諜報活動を繰り広げていました。

著者フリーマントルが好んで取り上げた
テーマは「亡命」です。現に
「チャーリー・マフィン」シリーズより以前に
優れた亡命ものを書いています。
本書においても
ソ連の大物「カレーニン将軍」が
亡命を希望している
‥という情報が英国に伝えられ
SISが動き出していきます。
その中でマフィンだけが
「あやしい」「うそじゃないか」と
懐疑的な言葉を吐くのですが‥。

私は新潮文庫で初版が出て間もなく
本書を読みました。以来
現在に至るまで何度読み返したことか。
おそらく百回は超えて二百か三百と
いうところではないかと思います。

チャーリー・マフィンのまねをして
「ハッシュ・パピー」の短ブーツを
買いに行ったのですが
学生には少々値が張ったので
買わずに戻ってきました。
あるいは
本書で小道具として使われている
フランス・ブルゴーニュ・ワイン
「アロース・コルトン」
(Aloxe-Corton)を
社会人になってから買いました。
1本数万円したと思います。

これにはエピソードがあります。
最初のころは本書においては
"Aloxe-Cortonを
「アロックス・コルトン」と
訳出してありました。
そこで私はワイン屋さんで
「アロックス・コルトンください」
とオウムのように言ったところ
「アロース・コルトンですね」
と店主のおじさんに念を押されました。
そこで初めて瓶のラベルを見て
"Aloxe-Corton"
とつづって
「アロース・コルトン」の如く
発音するのだと知りました。
「これが『チャーリー・マフィン』に
登場するアロース・コルトンか」
と一服の感動を覚えました。
実は私は
アルコール分解酵素も
アセトアルデヒド分解酵素も
酵素活性がマイナスなので
一滴も酒(アルコール)が飲めません。
そこで大枚をはたいて購入した
アロース・コルトンですが
知人の誕生会に持って行き
酒好きの善男善女に飲んでもらいました。
「まろやか」「マイルドだがこくがある」
とやつらは言っていました。
ブルゴーニュの赤の高級ワインですから
おそらくそうだろうと思います。

上記のように
我が青春の「チャーリー・マフィン」なのですが
もうひとつエピソードがあります。
正確な年月日は忘れましたが
あの公共放送が
本書「消されかけた男」をもとに
ラジオドラマを放送したのです。
1980年代前半ではなかったかと
思います。当時も今も
うちにテレビはないので
よくラジオを聴いていました。
当時の公共放送は現在に比べると
中身が面白く、毎年、夏になると
江戸川乱歩シリーズのラジオドラマ
(あるいは朗読でしたか)
を流していました。しかも
『化人幻戯』(けにんげんぎ)のような
大人向けの作品も含まれていました。
語りは
中西龍(なかにし・りょう)(1928-1998)
という独特の口調の方でした。
さて
ラジオドラマ「消されかけた男」では
広川太一郎(1939-2008)が
チャーリー・マフィンの声を演じた
と記憶します。1回ものだったか
連続ものだったか忘れてしまいました。
いずれにせよ
冷戦下の英国秘密情報部員を主人公に
ソ連の大物将軍の西側への亡命を軸とする
本格派エスピオナージュを
ラジオドラマに仕立てていたので
たいへんたんのうしたことを
今でもよく覚えています。
もしこの話を
チェコ=オーストリア国境で
実写版ロケをするとしたならば
手間暇予算ははね上がります。

現在でもラジオドラマが
ないわけではありませんが
「本格活劇」がきわめて少なく
ファンタジー系が多いような気がします。
先日、米国の小説家
エドガー・アラン・ポー(1809-1849)の
『アッシャー家の崩壊』を
ラジオドラマにしているのを聴きました。
短い時間でしたが印象に残りました。
もしこれを映像(映画やテレビ)にするならば
相当の予算が必要でしょうが
ラジオドラマならばそこまで必要なく
むしろ想像力をかきたてるのが長所です。
ポーは世界で最初の推理小説家とも言われ
恐怖小説も多く書いています。例えば
『メエルシュトレエムに呑まれて』
という表題の
漁師が大渦巻きにのまれる話も
ラジオドラマ化すると面白かろう
と思います。
この短編は松本清張(1909-1992)も
愛読したらしく
長編伝奇小説『西海道談綺』で
引用していました。

2019年になってなお
ラジオドラマを指向する私は
あたかもチャーリー・マフィンのような
立ち位置かもしれません。
スネア(登場人物)とハリスン(登場人物)に
疎外されるかもしれませんが
ハリスンとスネアがどういう運命をたどったか
『消されかけた男』
『再び消されかけた男』
に解答が載っております。

最後に
「マフィン」と言えば今では
アメリカ式のドーム状の焼き菓子を
連想することが多いのですが
本書の舞台は英国なので
丸い形をした堅焼きパン
つまりイングリッシュマフィンを
著者は想定して主人公を命名した
と思われます。
「平べったくて硬い」つまり頑固なやつを
示唆しているのでしょう。
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4102165010
No.21:
(4pt)

テンポが良い

渋いスパイ物。
終盤まで大きな展開はないのだが、軽快に読める。訳文もいいけれど、原著の描写も上手いのだろう。
どんでん返しと言われるが、その展開自体は驚くほどではない。
しかし、それまで積み上げてきたちょっとしたエピソードを思い返さずにはいられない、そんなどんでん返し。
チャーリーと奥さん、そして愛人との関係が心に残る。
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4102165010
No.20:
(5pt)

ハッシュ・パピーにあこがれました

チャーリーが履く、くたびれたハッシュパピー。
当時はこの靴が欲しくて仕方がなかったです。

長くつづくシリーズですが、やっぱりこの最初の話が一番面白いですね。
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No.19:
(5pt)

この小説の面白さー人間を読むということー

読み始めて、止まらなくなり週末の2日で読みきりました。久しぶりです、小説でのこのような読書体験。
レビューで、地味とか,展開が云々と書かれているものが目にはいり、驚きました。
組織の中での人と人との駆け引きを楽しむ小説だと思います。
その点、分かりやすい作りになっています。虐げられる昔の人間と、そこに乗り込んでたきたイギリスの上流階級の新しい職員らとのせめぎ合いです。
ラストシーンはなくてもいいくらいのものです。逆に、ちょっと残念なくらいでした。もっと地味にしてもらってもいいのにと。
邦題の「消されかけた男」、上手いです。全てを言い表していると思います。
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No.18:
(2pt)

地味

フォーサイス等に比べると、地味なストリー。
フリーマントルはフォーサイスより良いものが書ける!と言ったそうだが、少なくとも盛り上がりには欠けるし、地味なストーリー。
地味なスパイ小説が好きな人には堪らないかも。
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4102165010
No.17:
(4pt)

さわやかな読後感

滅多にこの分野には手を出さないが、昨年、どなたかの小説がこれを下敷きにしていると聞いて購入していたのを、ここに来て読みました。最後のどんでん返しが魅力だろうが、淡々とした描写に思わず騙されていく。組織に裏切られかかったときには、自分の生き方を通すというのは、ある意味で現在の日本の世相に適合しているかもしれない。でも、それでKGB側につくというのもなんとなくすっきりしない。それでも、このような筋書きであれば刊行当時多くの読者が受け入れたというところも興味深いと感じました。
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4102165010
No.16:
(5pt)

消されかけた男チャーリ

TV「スミスの本棚」で紹介される。英国情報部内で孤立無援の主人公がうまく立ち回り意外な展開が待ち受ける。
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4102165010
No.15:
(1pt)

ハードル上げすぎた!

スミスの本棚で、作家が紹介していることもあり期待して読みました。。。 綿密に散りばめられたら伏線 ラストの台どんでん返し スパイものだが一般人にも通ずる 魅力的な紹介だったので勝手にハードル上げすぎました。 読み終えたあと伏線を確認しに再読してぐらいでしたが、「この当時の小説としては」でした。 むずかしいですが内容を何も知らない状態で読む本です。
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4102165010
No.14:
(1pt)

拍子抜けのラスト

評価が高いので読んでみたのですが
完全に期待はずれです。
まず展開に面白みがありません。
登場人物にも魅力を感じませんでした。
ご都合主義による構成にも辟易したぐらいです。
ラストに対しても、何よそれ、と思ったぐらいです。
読んでいて、全然楽しくありませんでした。

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4102165010
No.13:
(5pt)

名作エスピオナージュ

珍しくまともな心理戦を楽しめる小説だ。
よくある自称心理戦ものは読者の知らない手がかりを元に話が組み立てられてしまうが
この作品はちゃんと書かれているため、読み返すことでさらに楽しむことが出来るだろう。
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4102165010
No.12:
(5pt)

ニュータイプ・エスピオナージュ

ページ数は大したことがないけど、
読み応え抜群です。
チャーリーのキャラも立っているし、
すらすらと読めます。
伏線の回収も見事なので、
読み終わったあと、感心しました。
チャーリーの奥さんって本当に夫を
愛してるんですね。
もう文句なしの傑作でしょう。
消されかけた男 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:消されかけた男 (新潮文庫)より
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No.11:
(5pt)

終局の “どんでん返し”が冴える、新感覚のエスピオナージュ

現在も続く、<チャーリー・マフィン>シリーズの第1作。どこから見ても風采の上がらない中年の英国情報部員チャーリー・マフィンが初登場するブライアン・フリーマントルの初期(’77年)の作品。
チャーリーは、ソ連KGBの幹部でスパイ組織の責任者、ベレンコフを逮捕したこともある腕利きだが、上(上司)が変われば、下(部下)の待遇も変わるという日本の昨今の成果主義ではないが、旧組織の生き残りとして冷遇されてしまう。折りしも、ベレンコフの親友であるカレーニン将軍が英国に亡命したがっているとの情報が入り、新任のエリート上層部は情報部員を送り込む。しかし、ひとりは東独で射殺され、もうひとりはモスクワで逮捕・発狂する。そこでチャーリーの出番がやってくる。彼はカレーニンと接触し、英米の情報機関挙げての亡命遂行作戦が繰り広げられるのだが・・・、とんでもない“どんでん返し”が待っていた。
そもそも情報部員(スパイ)たるもの、母国の利益のためにあらゆる困難を乗り越え、ミッションを完遂することが使命だが、本書でのチャーリーは、内部の謀略によって作戦の犠牲にまでされかねないなか、うまく立ち回って、自らを有利に導こうとする。そしてあっと驚く結末に至るまでの伏線が冒頭からあちこちに張り巡らされている。すべてにおいて自己韜晦を徹底したチャーリーの思惑が明らかになった時、読者は騙されていたことに気づき、感慨を新たにする。
本書は007のような英国情報部の派手な冒険活劇物語ではないものの、まるで現代に生きるサラリーマン小説のような人間味にあふれた、新感覚のエスピオナージュである。老婆心ながら、この先チャーリーがどんな形で組織の中で生きてゆくのかというのが気にかかるところである。
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4102165010
No.10:
(5pt)

終局の “どんでん返し”が冴える、新感覚のエスピオナージュ

現在も続く、<チャーリー・マフィン>シリーズの第1作。どこから見ても風采の上がらない中年の英国情報部員チャーリー・マフィンが初登場するブライアン・フリーマントルの初期(’77年)の作品。

チャーリーは、ソ連KGBの幹部でスパイ組織の責任者、ベレンコフを逮捕したこともある腕利きだが、上(上司)が変われば、下(部下)の待遇も変わるという日本の昨今の成果主義ではないが、旧組織の生き残りとして冷遇されてしまう。折りしも、ベレンコフの親友であるカレーニン将軍が英国に亡命したがっているとの情報が入り、新任のエリート上層部は情報部員を送り込む。しかし、ひとりは東独で射殺され、もうひとりはモスクワで逮捕・発狂する。そこでチャーリーの出番がやってくる。彼はカレーニンと接触し、英米の情報機関挙げての亡命遂行作戦が繰り広げられるのだが・・・、とんでもない“どんでん返し”が待っていた。

そもそも情報部員(スパイ)たるもの、母国の利益のためにあらゆる困難を乗り越え、ミッションを完遂することが使命だが、本書でのチャーリーは、内部の謀略によって作戦の犠牲にまでされかねないなか、うまく立ち回って、自らを有利に導こうとする。そしてあっと驚く結末に至るまでの伏線が冒頭からあちこちに張り巡らされている。すべてにおいて自己韜晦を徹底したチャーリーの思惑が明らかになった時、読者は騙されていたことに気づき、感慨を新たにする。

本書は007のような英国情報部の派手な冒険活劇物語ではないものの、まるで現代に生きるサラリーマン小説のような人間味にあふれた、新感覚のエスピオナージュである。老婆心ながら、この先チャーリーがどんな形で組織の中で生きてゆくのかというのが気にかかるところである。
消されかけた男 (1979年) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:消されかけた男 (1979年) (新潮文庫)より
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No.9:
(5pt)

モヤモヤ感はラストにすっきり

週間文春1979年 総合2位
風采のあがらない英国情報部員チャーリー・マフィンは、KGBのベレンコフを捕まえた功績も今は昔、組織から疎んじられる存在となりはてていた。そんななか、英国情報部は、KGBの大物カレーニンの亡命の情報をキャッチし、チャーリーに手引きの任を与える。CIAの思惑も入りくむ中、チャーリーは、困難なミッションに立ち向かっていく ・・・
冴えない風貌の英国情報部員が活躍するエスピオナージといえば、ジョン・ル・カレ描くところのジョージ・スマイリーものを想起してしまった。チャーリーは、尊敬を集めるストイックな組織人としてのスマイリーとは対照的に、嘲笑を受け軽蔑すらされてしまう組織の鼻つまみものである(なにせ、組織に抹殺されそうになるんで)。実際は、諜報員としての能力は、スマイリーと同様、卓越しているし、むしろ、チャーリーを駆りたてている行動原理の方が理解しやすかったりする。
派手なアクションはないけれど、この虐げられたかのモヤモヤ感は、ラストにスッキリする。まわりくどい描写がないので、ページ数の割りに、読み応えがあり、好感がもてた。シリーズもの第1作であるが、今後のチャーリーの苦闘が予想できてしまうなぁ。
消されかけた男 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:消されかけた男 (新潮文庫)より
4102165010
No.8:
(5pt)

お達者クラブ

 フリーマントルが相変わらず達者で、この夏(2008年)もまた新潮文庫から新しい作品が出ている。思わず、「まだやってるのん?!」
 しばらく彼の作品から遠ざかっていたこともあり、久しぶりに、日本初紹介のこの本を読み返してみる。記念すべきチャりー・マフィンもの第一作。
 やはり、この第一作目が一番いい。
 東西冷戦が熱戦になることもなく終結し、東西双方のスパイは休業、窓際状態。
 チャーリーはその後、愛妻をも某事件に巻き込んで死なせてしまう、という展開を既に知っているだけに懐かしさの反面、読み進む辛さもある。
 そのような展開がわかっていても深い感動を覚えるのははやり稀代のエスピオナージュだからである。
 「ブライアン、まだやっているのか?」なんて、毒づくことは止めにしよう。
 
消されかけた男 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:消されかけた男 (新潮文庫)より
4102165010
No.7:
(5pt)

スパイ小説の名作

20数年前にこの小説が出されたとき(若かりし頃)に、夢中になって読みました。夢中になって読んだ記憶はあったのですが、今ふとしたきっかけで読み返して、全く新しい感動を覚え、驚きました。一部を記憶していても伏線や最後のどんでん返しの詳細は全く忘れていました。私が忘れっぽいのでしょうが、2度目でも、ある程度人生経験を積んだ後でも、読む者を夢中にさせる傑作小説です。人の生き方・行動について考えさせる小説でもあります。例えば、簡単なところでは、小説の中でチャーリーが相手の考えを読もうとする努力は私も日常のつきあいの中で見習わなくてはならないと思いました。昔読んだ方ももう一度手に取ってみては如何でしょうか?
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4102165010
No.6:
(4pt)

韜晦ぶりが見事な作品

チャーリー・マフィン・シリーズの第1作。勿論、冷戦時代の作品である。英国諜報部員のスパイで冴えない風貌のチャーリーは実は鋭い頭脳の持ち主。だが、彼は題名の通り組織に消されかかれる。
物語は、彼と組織の駆け引きを描き、最後の驚きの結末へと導く。真相が分かってから、途中における伏線の張り方、描写の仕方にも驚嘆するだろう。また、物語を通して描かれるチャーリーの悲哀は組織に努める全ての人(例えばサラリーマン)に通じるものがあり、読む者の心に染みる。チャーリーはこの後、シリーズ・キャクターとなる。
全体構成に仕掛けられた大きなトリックと組織人の悲哀を描いたスパイ小説の傑作。
消されかけた男 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:消されかけた男 (新潮文庫)より
4102165010
No.5:
(5pt)

ラストに驚かされるチャーリー・マフィンもの第一作

フリーマントルの初期の傑作であり、チャーリー・マフィンシリーズの第一作でもある。
スパイ小説の歴史の中で、本作が常に名作の列に上げられるのは、その計算され
尽くした完成度であろう。読者はラストのどんでん返しに驚かされるはずだが、そこに
到るチャーリーの振る舞いに伏線が隠されている。読了後に、そこが確認したくて再読
する読者も少なくあるまい。優等生スパイのありがちな活躍譚とは一線を画している。
この作品には、フリーマントルらしさが凝縮されている。母国英国への不信感、
組織の冷酷さと権威主義への反発、孤立無援の中を卓越した頭脳で危機を切り
抜けていく主人公。そんなフリーマントル節を存分に楽しめる筋立てだ。スパイ
ならずとも我々は生存のための闘いを常に強いられている。時として信じていた者からも
裏切られるのが世の常。信じられるのは自分だけかも知れない。そんな逆境の中で、
我々は何を信じていけばいいのか。そんな現代人のリアリティを突きつけてもくれる。
消されかけた男 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:消されかけた男 (新潮文庫)より
4102165010
No.4:
(5pt)

生き延びるための闘い つらいけれど、あきらめたらそこでお終い

フリーマントルの作品は初期のころがすばらしい。「別れをつげにきた男」など。
もちろん本作も代表作です。読んだ後、「えっ!」と思って最初から読み直した。伏線の張り方、そして会話などがすべて計算されている。
あとで「あー、このせりふと行動はこういう意味を持っていたのか」と思わされる。
私はチャーリーのやり方を出来るだけ真似しようとしています。
・行動は常に複数の目的を持って。
・状況の変化は見逃さない。
・相手の言葉や表情の変化に注意。
・逃げ道は必ず確保しておけ。
チャーリーが「無能」を装おうのに対して、「無能者」の私は「善人を装うこと」。
つらいこの世を生き延びるため、みなさん、がんばりましょう。
消されかけた男 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:消されかけた男 (新潮文庫)より
4102165010

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