サマータイム・ブルース
評判
サマータイム・ブルースの評価:
4.31/5点 レビュー 26件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21〜32 2/2ページ
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サマータイム・ブルースの評価:
4.31/5点 レビュー 26件。 C ランク
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サラ
《誰かが迫害を受けているときに背を向ければ、その残虐行為に加担したのと同じこと》
いまは逢うことも叶わぬ昔の恋人サラの書物の森を彷徨い、島島を流浪していると、ひとフレーズごとにあのひとの息吹きに触れて、《彼女こそスター=マリーアだ!》 いつしか心も癒されていく。だから[……]もここ数日間は止っているのかも知れない。肉体の癒しが瀬音の湯で得られるのなら、あたしの心の癒しはサラの書物の森と島島に任せておこう。
「そうだよ、ヴィクに続け!」
今日はナイト。夕方5時から朝5時までの0.5日分の出番だ。出掛けに郵便受けを覘くと、『わたしのボスはわたし』が届いていた。胸に抱きしめる、幸せばかなあたし。鳥居坂を下ると、「遠回りじゃない」とほざく新橋から六本木ヒルズまでの嫌味な女客を落とすなり、晴海に直行する。アキテーヌで震える指先で堅固な包装を剥しにかかる。ふと見あげると、レインボーブリッジの電飾が白から緑に変わっていた。
『ゴーストカントリー』はサラの作品群に在って、なぜか、カルヴィーノの『蜘蛛の巣の小道』(白夜書房)第9章を想起させる。作家としての述志の気配が濃厚に漂うからだ。ヴィクは不在でも、これはサラにとって、重要な作品、いや書き終えねば前に進めない作品だったに違いない。
(『本と恋の流離譚』[...])
『わたしのボスはわたし』 I get to be my own boss... ヴィクからは少し離れるけれど、「鬼婦長」の話もいい。ヴィクには合気道の達人になって欲しい。そうすれば、襲いくる巨漢・悪漢を指一本触れずに投げ飛ばせるし、八十五歳になっても、矍鑠たる現役女探偵だろうし、体術・頭脳ともにますます冴え渡り、凄みを増すことだろう。誰か、サラに親しく、談じ込んでくれないものか。
「おはよう、サラ、愛しいサラ、きみの花言葉はやっぱし〈昔の恋人〉?」
と、目の前の西洋オダマキの花にぼくは問いかける。
「いいえ、あたしの花言葉は〈必ず手に入れる〉よ」
と、ぼくのサラ=西洋苧環が応える。
「カタリ」
と、澄んだ音がして、宿命の歯車がまた一つ駒を進める。
「きみのくれた風船蔓の種‥…」
「花言葉は〈あなたと飛びたい〉」
「うん、ぼくもきみと飛びたい」
「いま?」
「いま」
「二頭の黒と白の蝶のように」
「漆黒の翅のオルフェウスの蝶と」
「白い大きな翅に赤い斑点のアポロン蝶と」
……そうだ、最新刊の「ブラッディ・カンザス」も早く読まなくては……
サラの書物の森と島島を流浪し、ひたすら西へと流れゆく果てに出会ったのは、碧色の大海原にも似た《カンザスの大草原に浮ぶ三つの小さな帆船》たちの物語、そう、『ブリーディング・カンザス』だ。机竜之介のいない『大菩薩峠』中の一巻を読むにも似て、ヴィクのいないこの長編小説を、期待に多少の不安を交えながら読みだす。この大冊を書いて訳した著者と訳者の労苦が偲ばれる。そしてその労苦の中に見出される密やかな喜びも。なぜなら、書いて訳す者たちの端くれだから、ぼくもまた。
昨日は終日、母の引越しの手伝い、せめて今日、明日は読書に専念したいのだが、……
仔牛の小屋でひと騒動――
《三人の背後で小屋の扉が閉まった。ロビーは子牛を両腕で包みこんで、やさしくなで、濡れた脇腹を自分のシャツの裾で拭いてやった。もうじき、飼葉桶に新しい干し草を入れる作業にとりかかるだろう。ラーラを見つけるだろう。牛の糞にまみれ、自分のおしっこに濡れた、チップの野戦服姿のラーラを。
恥ずかしさのあまり真っ赤になりながら、ラーラはおきあがった。「ロビー? ロビー、あたしよ」》
難渋していたのに、ここからはほぼ一気に終章近くまで読んでしまった。サラも一気呵成に書き上げたことだろう、翻訳も捗ったことだろう、ここからは。いまは読み終えるのが惜しくなった。また明日、か明後日……
(『本と恋の流離譚』[...]
『七つのレヴューの環に誘われたある恋の物語』[...]
『流離譚‐本と絵と恋と‐』[...] )
愛しいひと
蜘蛛の巣の小道
古代人の遺言―ピラミッド・ミステリー
わたしのボスはわたし