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シブミ



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シブミの評価: 3.89/5点 レビュー 38件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.89pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全38件 21~38 2/2ページ
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No.18:
(4pt)

日本とその精神性を的確に描いた描写にびっくり

日本では1979年に出版されたというこの作品、友人のすすめで今頃になって手にすることになった。覆面作家と言われ様々な名前で作品を発表していたトレヴェニアン、長い間、その正体はわからなかったが、2005年の没後、本名がロドニー・ホイッテッカーといいテキサス大の教授をしていたこともあるとわかったという。

読後、まず感じたのは、イスラエルの女性エージェントを救うというストーリーはもしかしてつけたしのようなものだったのか?ということ。というのは、主人公が上海で生まれて日本で育つ過程と戦後の日本でどうして生きのびたかという生い立ち、それから主人公の趣味である洞穴探検の話にかなりのページ数が割かれていて、その合間にストーリーが展開するという感じなのだ。洞穴探検がいかに手に汗を握るスリリングなスポーツかということがかなり詳しく描かれていて、のめりこむあまりに途中でストーリーを忘れてしまった?と思えるほど(笑)。
そして、作者が描きたかったのは、ニコライという主人公の人間性、日本的なる精神、そのスピリットと崇高さ、それに対比してアメリカやロシアの程度の低さ、そしてそんな文化的、精神的に貧しい国が大国となってしまい世界に大きな影響を持つことの恐ろしさだったのかも、と思ってしまった。

この作者は日本に住んでいたことがあるのだろうか?または囲碁や武道などを習っていた、日本に来たことがあるとか、もしくは日本人の知り合いがいたのだろうか?戦後の日本をまるで自分が見てきたかのように正確に描写し、日本人の気持ちを代弁する、というか、日本人が書いたといっても通るくらいに日本人の気持ちや視点に立って状況が描かれているのは驚きだった。外国人が描いた日本というのは、日本人から見たらどこかおかしい場合が多いのだけれど、ここまで正確に日本的なるものを描くことができるとは。
タイトルの「シブミ」というのは、日本人からすればあまりいい意味に聞こえないと思うけれど(私はまず「シブ柿」を連想してしまった、笑)「わび、さび」のような意味に取ってもいいかと思う。作者はアメリカ人にもかかわらず、アメリカの雑でデリカシーや風情のない実用一点張りのような文化、精神性が大嫌いだったのだろうか?どのような人だったのか、もっと知りたいのだがあまり情報がない。

また、読んでいる間にふと思い出したのはトマス・ハリスの「ハンニバル・ライジング」。日本人の伯母ムラサキに育てられたハンニバルが彼女から多大な影響を受けるという設定。こちらは日本と中国を混同している部分があってあまりいただけないのだが、映画で主役を務めたギャスパー・ウリエルの顔が「シブミ」を読んでいる間ずっとちらついてしまった。

この作者は一作ごとに作風がまったく違うそうだが、「バスク、真夏の死」や「夢果つる街」も評判が高いので、今度読んでみようと思う。また、「シブミ」の続編に当たると言われている「サトリ」もぜひ。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.17:
(4pt)

奥深くて柔軟性がある

外国人が日本人を語るのは、
勘違いが多くて読み心地が悪いかなと思いましたが、
そんなことなかった。
日本の描写に違和感がないんです。
日本文化や原子力の利用への考察など、
今の日本人が読むと結構
感じるものがあるのではないでしょうか。

シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623
No.16:
(5pt)

ニッコ!

ニッコの生い立ちから描かれています。
どのようにして、この今に至ったのか。
その今、というのは、72年、ミュンヘンオリンピック事件の後です。
小説は79年に出ており、当時としてはとても時機を得た生生しい物語だったのだろうと思います。
ところが。30年を経た今、読んでも、とても生生しい物語。

他のレビューでは、古くさい匂いがするかのように書かれているものもありますが、
私は、最初、最近の小説だと思って読んでいました。
ファットボーイは、今では、Googleのようなもの。
上巻は、事件の始まりと、これからの対決に向けての布石がたくさんあります。
そして、下巻。5分の1くらいが、ケイヴィングの描写に費やされていますが、
これはこれで非常に楽しめます。

下巻、2分の1すぎたあたりから、怒濤の勢いで物語が進んで行きます。
暗殺の場面はあっという間。
そして最後は。
シブミの世界へ。

楽しめました。
映画化されていないのが不思議なくらいです。
「ボーン アイデンティ」や、2010年の「ソルト」など、
この「シブミ」の影響が大きいのではと思わせられます。

シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.15:
(2pt)

1980年出版の新装版

ブックカバーがとても魅力的ですね。
デザイナーの素晴らしい仕事だと感じます。

新しく出版された本だと思って購入したのですが、
読み始めると、スパイミステリーものとしては、テクノロジー表現に古い印象が感じられ、
また現代であれば「コントロールデスク」などと訳されそうな部分が「操作卓」と訳されていたり、
情報収集スーパーコンピュータ(現代であればエシュロンのようなもの)が「ファットボーイ」という名称で登場します。
長崎に投下された原子爆弾の呼称と同名なのは、日本文化がちりばめられた海外小説としてはやや抵抗を感じるところです。

またそのファットボーイから吐き出される情報の翻訳も、
「殺害さる」「殺さる」など異なる表現になっていたり、読みながら「ん?」とつまづいてしまう箇所が散見されます。

初版年を調べてみると1980年。

翻訳者は菊池光さん。
トーマス・ハリスの名作『羊たちの沈黙』を訳した菊池光さんですが、

シブミの翻訳には、「う〜ん」とうなってしまいました。

表現のディティールは小説全体を左右する大切な要素ですので、
作者も翻訳者も非常に気を使うところだと思うのですが、この翻訳に関しては、やや残念でした。

この作品を「原作」として、舞台を2012年に設定したリメイク版がでたら、素晴らしい物語になる予感がします。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.14:
(5pt)

今読むからこそ頷けるリアル・アメリカ

ドン・ウィンズロウの「サトリ」を読み、いたく感動して本書を手にとりました。日本では、1980年に早川ノヴェルズで刊行された後、2006年文庫版新装版が出たものが、改めて2011年に再版されています。「サトリ」の出版がなければ、本書も絶版のまま埋もれていた名作に数えられていたかもしれません。「サトリ」は本書の前日譚とよく紹介されていますが、上巻はむしろ、「サトリ」の前日譚と言ってもいいのではないでしょうか。ヘルが岸川将軍とであった経緯、なぜヘルは戦況を碁に見立てて分析するのか?近接感覚はどのように身についたのか?など、「サトリ」の疑問が上巻でほぼ明らかになっていきます。

本作品の執筆時は東西冷戦が時代背景としてあり、その中で日本は経済成長を謳歌していたころだと思います。その時代において、本書では日本が敗戦を経てテロ戦争後のイラクと同様の蹂躙を受けたことを、日本人ではない作者が嘆いていることは驚くべきことです。終戦後アメリカは日本にアメリカ的な正義、価値観、倫理観を移植され日本の文化を、教育を通して捨てさせることに成功しました。アメリカにとってそれは国民洗脳の大いなる成功例であるといえるでしょう。

そのことを執筆時に的確に指摘し日本文化の喪失を、ニコライ・ヘルを通じて嘆いていますが、当時それを自覚していた日本人が何人いたでしょうか。ニコライ・ヘルは日本文化と精神をシブミと総称して愛していましたが、これは現在私たちが持っている、文化、精神とは異なっている部分があります。それは作者の日本観への考察が不足しているのではなく、敗戦を通して日本人が変わってしまい、それ以前の日本には敬意を表しているものの、戦後の日本人はアメリカ人に蹂躙され自ら文化を放棄した日本人に対する大いなる批判が込められているように思います。

作中、作者はアメリカ的価値観を徹底的に否定しています。40年前これを読んだ日本人は意味が分からなかったのではないのでしょうか。作者はアメリカ人を、文化を持たない卑しい商人として描き、雑種で民族ですらない。ヨーロッパで生きていくことのできなくなった屑が集まってできた国だと表現しています。また、民主主義と資本主義を他国に押し付け、市場に変えてしまうことを善(正義)と考え、嬉々として実行している点を批判していますが、911以降イスラム圏にしてきた文化的蹂躙を経て初めて得心できるという意味で思想書としても読むことができます。

シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.13:
(5pt)

2011初めて出会いました

濃厚です。ウィンズロウのサトリから入ったのですが、そちらに比べると、本家らしくものすごく濃いです。濃いのに、しつこくなく、まさにシブミの極地です。日本の風俗も、無理に付け足した風も無く、自然に受け止められ、それが、ストーリをしっかり盛り上げてます。今まで知らずにいたのが、無念です。'80年代に出会いたかった。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.12:
(5pt)

大傑作。読まなければわからないし、読んだ所でわかるかどうかは別。

シブミ上巻。

『夢果つる街』とともに、タイトルは知っていたが未読だった本。この本に対しては、既存の枠組みでとらえるという行為は、意味がないどころか、却ってわからなくさせてしまうと思う。この作品がある面において「冒険」小説的な性格を有していることは、確かにそうだと思うが、それはこの作品のあくまでもごく一部を表しているに過ぎない。別の面を見れば、青春小説のようにも見え得るし、また、スリラーともいえる。そして、そのような言葉に還元することが困難な面をも有している。

だからこそ、敢えて既存の枠組みにあてはめることは、この作品に対しては適当ではない。この作品は、それ自体が一つのジャンルといっても良いほど、独特な立ち位置にあるといえる。この作品が「世界中を熱狂させた」とある。それ自体はそうかもしれないし、そうなのだろうと思う。ただ、その内のどれだけが、この作品を理解し得たのか。この作品は読まねばわからないのは勿論だが、読んだ所で理解出来る保証はない。人によっては、何度読んでもダメだろう。

基本的に、作品それ自体が面白ければ良いと思う。したがって、通常作者が誰であるとか、どういうつもりで書いたのか、といった国語の設問にあるようなことを考えるのは、どうでも良いことだと思っている。しかし、この作品に限っていえば、この作品の周囲にあるもの、背後に潜むものも気になる。こういう傾向の作家なのか。それとも、この「シブミ」が異端なのか。少し調べてみたいと思った。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.11:
(4pt)

まだまだ書いて欲しかった

トレヴェニアンには思い入れがある。もう10年以上前、いや20年近く前になるだろうか、「夢果つる街」を読んだ時、そのリリシズムに唸ったものだった。今でも私の海外ミステリベスト3に入っている作品だ。

ふつう、それだけ良い作品にあたると、その作家の他の作品も読みたくなるもので、次に見つけたのが「シブミ」だった。梗概をざっと読むと、どうやら日本を舞台にしているようである。こう言っては何だが、いくらトレヴェニアンでも、外国の作家の日本を舞台にした小説は荒唐無稽になってしまっているのではないか――。そういう危惧感から、読むに至らなかった。

そのトレヴェニアンが亡くなった事を知り、重い腰を上げた。

「渋み」とは――ごくありふれた外見の裏にひそむきわめて洗練されたものを示している。

この上なく的確であるが故に目立つ必要がなく、激しく心に迫るが故に美しくある必要がなく、あくまで真実であるが故に現実のものである必要がない。

シブミの精神が〈寂〉の形をとる芸術においては風雅な素朴さ、シブミが〈侘〉として捉えられる哲学においては消極性を伴わない静かな精神状態、そして、人の性格の場合には支配力の伴わない権威とでもいうか―― 。

1972年のミュンヘンオリンピックで、イスラエルの選手がテロリストに射殺され、復讐を期したミュンヘン5のメンバーもローマ空港で凶弾に倒れた。

仲間でひとり生き残ったハンナは、世界有数の暗殺者ニコを頼るべく、彼の住むバスクへ向かうが――。この暗殺者ニコの過去と現在が錯綜して物語は展開する。

日本を舞台にした場面は多少の違和感はあるものの、荒唐無稽さはない。よくぞここまで書けたなという感がする。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623
No.10:
(5pt)

設定が面白い

クリント・イーストウッド主演の映画『アイガー・サンクション』(1975) の原作者トレヴェニアンの作品。アイガー・サンクションの主人公は暗殺者にして絵画コレクターという設定だったが、『シブミ』の主人公の暗殺者は碁の名人。この主人公はその他にもいくつか人のまねできないような技を持っており、こういう設定が面白い。設定が面白いだけでなく、ストーリー自体もかなり洗練されており、一気に読み通せる。ちなみに私のお気に入りの登場人物は主人公の友人、LeCagot なる人物である。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623
No.9:
(4pt)

フリーランスの “孤高の暗殺者”ヘルはいかにして<シブミ>を会得したか

超寡作ながら、『夢果つる街』(’88年、「このミス!」創刊号・海外編第1位)、『ワイオミングの惨劇』(’04年、「このミス!」海外編第3位)など、1作ごとに趣向の異なる名作を生み出した異色の覆面作家トレヴェニアン。本書は’79年発表の“冒険スパイ小説の金字塔”と謳われるトレヴェニアン名義の第4長編。

時は1970年代後半、ミュンヘン・オリンピックのイスラエル選手殺害事件に端を発したユダヤ人グループとアラブ人パレスチナゲリラとの抗争。それに、アラブ諸国と手を結び、国際的な石油とエネルギー関係の主要企業を支配し、アメリカにおいてCIAをも傘下におさめる巨大組織・母会社≪マザー・カンパニー≫が介入する。対するはフリーランスで“孤高の暗殺者”ニコライ・ヘル。敵の接近を肌で察知する<近接感覚>、必殺の<裸−殺>の技を持って自身<スタント>と呼ぶまさに達人の域に達した“仕事”を行う。

本書においてヘルの<スタント>と復讐行為は下巻の僅かのページを占めるにとどまり、大半はその境地に至るまでのヘルのヒストリーが、上海の租界地時代、日本での修行時代を中心に描かれる。トレヴェニアンの描く日本の戦前・戦中・戦後史、碁の世界をもとにした“侘び”“寂”“渋み”といった日本文化は私たち日本人一般読者の理解を凌ぐ正確さと、奥深さを誇っており、感心してしまう。

本書は、ヘルがいかにして“シブミ”を会得したかという物語であると同時に、トレヴェニアン流の日本文化論であり、アメリカ文化に対する鋭い批評でもある。是非ゆっくりと味わって読みたい秀作である。

さて、本書の前日譚『サトリ』が、かのドン・ウィンズロウによって発表される。ニコライ・ヘルの若き日の苦闘を描いたという作品だとか。大いに期待したい。

シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623
No.8:
(4pt)

フリーランスの “孤高の暗殺者”ヘルはいかにして<シブミ>を会得したか

超寡作ながら、『夢果つる街』(’88年、「このミス!」創刊号・海外編第1位)、『ワイオミングの惨劇』(’04年、「このミス!」海外編第3位)など、1作ごとに趣向の異なる名作を生み出した異色の覆面作家トレヴェニアン。本書は’79年発表の“冒険スパイ小説の金字塔”と謳われるトレヴェニアン名義の第4長編。

時は1970年代後半、ミュンヘン・オリンピックのイスラエル選手殺害事件に端を発したユダヤ人グループとアラブ人パレスチナゲリラとの抗争。それに、アラブ諸国と手を結び、国際的な石油とエネルギー関係の主要企業を支配し、アメリカにおいてCIAをも傘下におさめる巨大組織・母会社≪マザー・カンパニー≫が介入する。対するはフリーランスで“孤高の暗殺者”ニコライ・ヘル。敵の接近を肌で察知する<近接感覚>、必殺の<裸−殺>の技を持って自身<スタント>と呼ぶまさに達人の域に達した“仕事”を行う。

本書においてヘルの<スタント>と復讐行為は終末の僅かのページを占めるにとどまり、大半はその境地に至るまでのヘルのヒストリーが、上海の租界地時代、日本での修行時代を中心に描かれる。トレヴェニアンの描く日本の戦前・戦中・戦後史、碁の世界をもとにした“侘び”“寂”“渋み”といった日本文化は私たち日本人一般読者の理解を凌ぐ正確さと、奥深さを誇っており、感心してしまう。

本書は、ヘルがいかにして“シブミ”を会得したかという物語であると同時に、トレヴェニアン流の日本文化論であり、アメリカ文化に対する鋭い批評でもある。是非ゆっくりと味わって読みたい秀作である。

さて、本書の前日譚『サトリ』が、かのドン・ウィンズロウによって発表される。ニコライ・ヘルの若き日の苦闘を描いたという作品だとか。大いに期待したい。
シブミ (1980年) (Hayakawa novels)Amazon書評・レビュー:シブミ (1980年) (Hayakawa novels)より
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No.7:
(5pt)

一体誰が

この作品を映像化してくれるのは誰なのだろう?あとがきの原田真人はロバートアルトマンを挙げている。私は違うと思う。ブレードランナーを撮った頃のリドリーかそれともサミェルフラー、ハックフォード?それとも長谷川和彦か?そんなことに思いをはせるのも楽しい。しかしいつかは実現して欲しい。素晴らしいの一言 そんな小説である。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.6:
(5pt)

トレヴェニアンの代表作 サスペンスアクション小説の大作です

第二次世界大戦前の魔都上海でドイツ人の父とロシア人の母の元に生まれ、日本の軍人に育てられ日本人の魂を宿した男ニコライ・ヘル。洞窟探検家、一部の人々には腕利きの暗殺者として有名な彼のもとへ、殺された同志の仇を討ってほしいと現れた旧友の姪。相手が巨大な組織の上、もう暗殺業を引退していることを理由に、何とか穏やかに事を進めようとするものの上手くいかず、再び戦いの場に立つニコライ・ヘル・・・。文庫で上下二冊組みのサスペンスアクション小説の大作です。上巻では、大戦前の上海から戦中戦後の日本を舞台にニコライ・ヘルの成長がメインに描かれています。外国の作家が日本を描くと、ちょっとヘンなところが見られることも多いのですが、本作にはそういうこともなく、よくぞここまで調べて書けたものだと感心してしまいます。大事なもの、大切な人たちを戦争で失いながら、占領軍が支配する東京で生きていくニコライ・ヘル。読み応えたっぷりです。下巻では、洞窟探検と巨大組織との戦いが描かれていて、戦いのほうも十分に楽しめるのですが、なんといっても洞窟探検の様が緊張感にあふれ圧巻。信頼するパートナーと真っ暗な縦穴にザイル一本で降りていく恐怖。その先に待っているであろう未知の世界への期待感などなど、とても興奮し手に汗握りながら読めました。とてもおもしろい小説なのですが不満が一つ。ニコライ・ヘルがあまりに凄すぎ。六ヶ国語を話し、囲碁の名手。その囲碁で学んだ論理的思考法と常に冷静でいられる心の持ち主。日本で身近にあるものを武器にして人を殺す格闘技を身につけて、とこれだけでも十分に超人なのですが、まぁ、ここまでは許しましょう。ここにさらに、普通の人には無いある種の感覚・超能力を持っていて、となったらもう・・・。ニコライ・ヘルの物凄さを強調したかったのでしょうが、これではあまりに超人すぎでしょう。超能力までは必要なかったような気がします。とはいえ、寡作ながら質の高い小説を発表してきたトレヴェニアンの代表作と呼ぶにふさわしい一作。まだ未読の方はぜひ。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623
No.5:
(5pt)

こんな小説があったなんて!

たまたま書店で「シブミ」というタイトルに惹かれて手にした作品。作者は米国の大学教授という肩書きを持つ覆面作家らしいが、とにかく日本文化に関する知識の深さには脱帽!(ちょっと日本を褒めすぎ?と思わなくもないが・・)ストーリー自体も一級のエンターテイメントに仕上っている。二十数年前の作品らしいが、こんな小説があったなんて!
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623
No.4:
(5pt)

こんな小説があったなんて!

たまたま書店で「シブミ」というタイトルに惹かれて手にした作品。

作者は米国の大学教授という肩書きを持つ覆面作家らしいが、

とにかく日本文化に関する知識の深さには脱帽!

(ちょっと日本を褒めすぎ?と思わなくもないが・・)

ストーリー自体も一級のエンターテイメントに仕上っている。

二十数年前の作品らしいが、こんな小説があったなんて!
シブミ〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404631
No.3:
(4pt)

タイトルでひいてはいけません

「渋み」を名詞として使っているのか、形容詞として使っているのか、その辺の判断に苦しんでしまうが、違和感はそこだけ。内容に関して言えば、日本人が書いたと言っても通るくらい。「日本の心を持つ孤高の暗殺者」が巨大な組織と闘う、という粗筋を聞かされて、何となくスティーブン・セガールの映画を連想していたのだが、読んで反省。もっと深いところで日本文化を理解して書かれている。「今の日本文化は西欧に毒されている」なんて、外国人に言われちゃあな。アクションはそれほど派手ではなく、むしろ伝記小説を読んでいるかのような印象。ユーモアのセンスもあって、すいすい読める。「夢果つる街」も悪くは無いが、個人的にはこちらを推薦。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623
No.2:
(5pt)

a Trevanian Literature for the Trevanian Fan

「二十世紀に書かれたものは殆ど読んだことがない」と語る覆面作家TrevanianによるTrevanianファンの為の大傑作。多種多様な形容詞を駆使し、登場人物が日常会話に用いる<日常語>が少しも日常語ではないという彼独自の世界が洋の東西を問わない大いなる(しかも、繊細な)展開を見せる本書は、英語圏では日本の場面描写の素晴らしさで評判になったのですが、この人が書くものの常として本書も決して万人向けの文学ではありません。例えば、パリの空港の描写を「モントリオールのよう」だという箇所があるのですが、彼の別の作品を読んでいない人にはなぜ「モントリオールのよう」なのかさっぱり分からないように(恐らく、意図的に)書いてあるのです。何はともあれ、本書は日本を好意的に(しかも誤解せずに!)描いた数少ない英語文学なので、その意味では一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623
No.1:
(5pt)

ゆっくりお読み下さい

癖になりそうな本です。シブミの上下を読んでトラベニアンが天才なのではと思いました。映画を見てるような読める一冊です。読み終わったら、寂しくなるからゆっくり読んだほうがいいと思います。
シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150404623

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